誘発症状の見方
           2006.5.26 upload
この項はまだ書きかけです。思いついたことを書き進めています。質問があれば掲示板でどうぞ。

 

  限界値測定で誘発症状が出たのかどうか、耐性導入治療中に誘発症状が出たのかどうか、始めてのお母様方には非常にわかりにくいと思います。だいたいはこれで出たのか、出ていないのか迷うというときもたいていは出ているときです。しかし、アレルギー性ではなく非アレルギー性(非特異的ともいう)の悪化を誘発症状と受け取るひともあり、なかなか厄介です。
そこで、すべてを解説することはできませんが、できるだけ注意点を書き出して見ま
す。



(1)アレルギー性の悪化か、非アレルギー性の悪化を見分ける。

a)非アレルギー性の悪化とは?
  すでに免疫細胞が住み着いている部位には何の刺激を与えても、すぐ赤くなります。たとえば、体が温まる(入浴、哺乳、布団に入って就眠)、掻く、こするという物理的刺激、日光(紫外線)、ほこりや砂を触る、よだれなど。これが非アレルギー性の悪化です。

b)非アレルギー性の悪化の性状
  単純にいうと軽く、血管拡張によるもので赤みだけ、一過性のことが多い。ただし、元の皮膚の状態が非常にアレルギー性と見分けがつきにくくなります。そのため、ある程度はステロイド軟膏などで皮膚の状態をコントロールして置くことも必要です。

c)アレルギー性の悪化
  乳児だと顔に多い。体の上方から下方に広がるという性質があります。単純にいえば、外的な刺激なしに体の中からでてきた湿疹という印象があります。今まで出ていたところが一層赤くなるということもあります。



(2)目標アレルゲンによるか、それ以外のアレルゲンによるのか

  おもわぬ症状が出たときは間違って、あるいは知らない間に目標以外のアレルゲンを食べて出たのではないか、気を付けてみないといけません。

(迷いすぎるお母さんに)
  ただし、症状が出たとき、いろいろな食物のどれかが悪かったのだろうか、すべてマークするとわかりにくくなります。今まで、食べて悪かったとわかっている食物を知らずに食べてしまったかどうかは厳しくチェックしなければなりませんが、そうでないものは思い切って考えから除外して下さい。
たいていは最も症状に影響を与える食べ物は負荷している食物であることが多いです。



(3)比較と判断が大事です

  いくら私が診察の場で見ても母親にしか分からないことがあります。私はお母さんの観察なしには診断できません。食事日誌を付けたり、湿疹の様子はまめに記録して下さい。

  しかし、大事なのは記録そのものではなく、実は記録のときにしている「判断」です。
細かく見ていくと、皮膚症状や食べ物の記録はいくらでも詳しく書くことができます。
ですから、本当は何を書きとめ、何かは捨てているのです。枝葉は取り払って幹だけを書きとめることが大切です。枝葉をとるということは上に書いた(1)(2)のことです。

  例え間違ってもいいから、勇気をもって自分なりの判断をしてみて下さい。そのために必要なのは比較です。昨日食べたときと今日食べたときの比較、物理的刺激で赤くなったときと、体の中から痒みが出たときの比較、症状が出たときの朝、昼、夜の比較などなど、さまざまな比較をします。それによって判断力が養われます。

そして、次回の診察で私が下した判断を参考にして下さい。また、私も一度で判断できないことも多いですから、判断のために必要な比較をするように言っていますから、それを必ずして下さい。

もともと、最初のうちはあまりお母さんが正確な判断を下すとは考えていませんから、安心して下さい。最初のうちはお母さんのあやふやな観察、判断から最大限情報をとろうとして、根堀り葉堀り聞きますのでしまいに泣き出しそうになるお母さんもいますが、責めているのではないのです。

最初はなにがなにやらわからない方でも、繰り返し、観察、比較、判断をするうちにしっかりした見方が出来るようになります。

(4)時間との関係
アレルギー性を疑おうと、非アレルギー性を疑おうと、食べた時刻との関係だけは最大の注意を払って下さい。単純にいうと、食べた時刻と近いほど原因である可能性が大きいです。軽い遅発型は見分けるのは困難ですから、最初は即時型だけにしぼって注意して下さい。近い場合はごく軽い症状でも原因と考えて下さい。

逆に、時間が経っている場合は、原因と考えるのは慎重にして下さい。時間が経って現れる場合、多くは入浴時など非アレルギー性の原因がからんでいるので、ここでは別の日との比較が大事になります。食べた日の前、数日の様子と較べて1.5−2倍ほど悪いのであれば誘発と考えます。

(5)身体の各部位との比較
頬や顎は物理的な刺激を受けやすい場所です。胸やおなかに湿疹、皮膚病変がある場合はそちらを見て下さい。頬や顎を掻きくずして悪くなったとしても、胸やおなかが変わらない、あるいは改善していればそれは非アレルギー性の刺激です。

(6)湿疹はいつ終わったか
即時型の場合はすぐでてすぐに消えます。これはわかりやすい。遅発型の場合は激しい症状はいったん治まったが、夜になっても赤いのは残っている。翌朝に消えた、とか翌朝薄くなった(完全に元に戻ったのはいつか曖昧)というような場合が多いです。
さらにいうと、お母さんは意識していなかったが、翌週私が見ると先週より悪くなっていて、実は遅発型の症状はずっと残っていたという場合も少なからずあります。

(7)掻いて悪くなったと決めつけないで
掻いて悪くなったという判断を下すときは注意して下さい。たまたま掻いて悪くなったのか、食べて体の中から悪くなった、すなわちアレルギー性の反応で悪くなったのか、判断しないといけません。いつもの掻きかたとどう違うのか、他の日と較べて下さい。たまたま掻いて悪くなったときはおおむね早く改善しますが、アレルギー性の場合は数日、あるいはそれ以上長引くことがあります。


(8)見逃してしまった場合
a)限界値のとき
実際は食べ物のせいで出た誘発症状なのだけれど、そう受け取らずに食べ続けた場合、数日経って来院して見ると開始前より一段階、悪化してアトピー性皮膚炎が復活しているということがよくあります。このときお母さんはその変化にほとんどと気づいていません。私は1週間単位でみており、その間の絶対的な変化を記録していますから、わかりますが、お母さん方はわかりにくいようです。このときは乾燥性の湿疹パターンです。
これは、日常的に起こる悪化は血管拡張を主体とした軽い反応は見ていても、地肌の悪化を見つけていないからです。

限界値の測定を始めて少なくとも1週間のうちには診察を受けて下さい。

b)耐性導入のとき
気づかれにくいいけれど悪化が長引いていることがあります。このときは皮膚の深いところが悪化することが多く、ドス赤い、ドス黒いといった色調になります。


 

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