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誘発症状の見方・記録のしかた 2006.5.26 upload 2009.1.19 reviced |
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限界値測定で誘発症状が出たのかどうか、耐性導入治療中に誘発症状が出たのかどうか、始めてのお母様方には非常にわかりにくいと思います。だいたいはこれで出たのか、出ていないのか迷うというときもたいていは出ているときです。しかし、アレルギー性ではなく非アレルギー性(非特異的ともいう)の悪化を誘発症状と受け取るひともあり、なかなか厄介です。 そこで、すべてを解説することはできませんが、できるだけ注意点を書き出して見ます。 |
A.注目点
(1)アレルギー性の悪化か、非アレルギー性の悪化か、を見分ける。
アレルギー性の悪化とは体の内側から自然に出てくる、赤み、ブツブツ、痒みなどの症状のことです(自発的、自律的悪化)。しかし、
体の内側から出てくる赤み、ブツブツ、痒みなどの症状というものをお母さん方が例え見ていたとしても
それが自発的、自律的悪化だと認識したことはまずない。そこで、まず非アレルギー性の悪化を説明し、アレルギー性の悪化
とは非アレルギー性の悪化ではないもの、理解してもらう方が簡単です。
非アレルギー性の悪化とは、物理的・化学的刺激による悪化のことです。もっと簡単に言うと外からの刺激による悪化のことです。体が温まる(入浴、哺乳、布団に入って就眠)、掻く、こするという物理的刺激、日光(紫外線)、ほこりや砂を触る、よだれ、ウンチ、おしっこ、細菌感染などで
す。
これらの刺激は正常な乳幼児でも痒みや湿疹の原因になりえます。ところがアトピー性皮膚炎のこどもにおいては、これらの刺激でより簡単に、より強く痒み、湿疹を生じます。
なぜかというと湿疹の部位、あるいは以前湿疹があって、現在は軽快している部分の皮膚にはなお、アレルギーに関与する免疫細胞が住みついています。これらの免疫細胞はアレルゲンの刺激に激しく反応
するのはもちろんですが、アレルゲン以外の刺激に対しても強く反応するからです。
非アレルギー性の悪化は基本的には血管拡張によるもので赤みだけ、一過性のことが多い。
ただし、すでに湿疹があった部位においては外から強い刺激が加わるとぶつぶつが出てくることもあり、長引くこともあるので見分けるのは厄介です。
これに対してアレルギー性の悪化は外からの刺激では説明のつかない悪化です。血管拡張の他にも、自然にブツブツを起こすものがある。また、アレルギー性の悪化は乳児だと顔に多い。体の上方から下方に広がるという性質があります。
要するに、物理的・化学的な悪化ではない(外からの原因ではない)、ということを確かめることです。しかし、すでに湿疹があった部位においては物理的・化学的刺激
によってときにはぶつぶつが出たり長引くこともあり、見極めは決して容易ではありません。
見分けるのにはお母さん自身が経験を積むことと、医師と十分相談することが必要です。
(2)負荷しているアレルゲンによる症状か、それ以外のアレルゲンによる「ノイズ」なのか
アレルゲンの誘発試験(負荷試験)を行っている間にも、日々の食事やおやつを食べています。ときには間違って除去食で止めているはずのアレルゲンを食べてしまっていることがあるかも知れません。当日食べたものをよく思い出してみます。受診のときに相談する場合は食物日誌やメモを持ってきて、間違ってアレルゲンを食べたかどうかを調べます。
いつも食べているものとあまり変わらない食事を食べていれば、たいていはお母さんの思い過ごしです。いつも食べ慣れているものではない食品を食べ、短時間後に症状が出ればそれは「ノイズ」である可能性が高いです。
たいていは最も症状に影響を与えているのは負荷している食物であることが多いです。
(3)湿疹の日差変動、日内変動を除外
湿疹は毎日、毎日、症状の波、揺れがあります。同じ生活をしているようでも湿疹がいい日と悪い日があります。その症状の揺れの幅を頭の中においておく必要があります。
限界値を測るということは、症状が出るか出ないかの、ギリギリの量を決めるのですから、症状は通常、非常にわずかなものです。毎日、毎日の症状の揺れの2倍くらいの強さでないと症状とは言い難い。
湿疹はその日のうちでもよくなったり悪くなったりします。食べたり、食べこぼしを口の周りに付けたり、こすったり、入浴したり、寝たりという行為の中でよくなったり悪くなったりしますから、昨日の食事の後と較べて悪いのか、
一昨日のときと較べて悪いのか、というように比較を行わければわかりません。
(4)症状発現と消失の時間的推移を観察する
※記録のしかた
| A.食べた時刻 B.症状が出た時刻 C.症状が消えた時刻 |
A B C 9:00⇒9:05〜9:45」 時刻表示は24時間制で。 |
これにより、即時型反応と遅発型反応を区別する
| 開始 | 持続 | |
| 即時型 | 1−3時間後に出る (極端な例としては5-10分後に出る) |
30分−3時間 (極端な例としては数分で消失する) |
| 遅発型 | 4−5時間後、7−8時間後 (まれにそれ以上) |
4−5時間、あるいはそれ以上、 翌朝まで、翌日以降まで続くことも |
※ 例え開始が1−3時間、あるいはそれより早くても、持続が4−5時間あるいはそれ以上の場合は遅発型と分類する。
アレルギー性を疑おうと、非アレルギー性を疑おうと、食べた時刻との関係だけは最大の注意を払って下さい。単純にいうと、食べた時刻と近いほど原因である可能性が大きいです。軽い遅発型は見分けるのは困難ですから、最初は即時型だけにしぼって注意して下さい。近い場合はごく軽い症状でも原因と考えて下さい。
逆に、時間が経っている場合は、原因と考えるのは慎重にして下さい。時間が経って現れる場合、多くは入浴時など非アレルギー性の原因がからんでいるので、ここでは別の日との比較が大事になります。食べた日の前、数日の様子と較べて1.5−2倍ほど悪いのであれば誘発と考えます。
湿疹はいつ終わったか
即時型の場合はすぐ出てすぐに消えます。これはわかりやすい。遅発型の場合は激しい症状はいったん治まったが、夜になっても赤いのは残っている。翌朝に消えた、とか翌朝薄くなった(完全に元に戻ったのはいつか曖昧)というような場合が多いです。
さらにいうと、お母さんは意識していなかったが、翌週私が見ると先週より悪くなっていて、実は遅発型の症状はずっと残っていたという場合も少なからずあります。
B.注意点
(1)誘発症状は思ったより軽いものと心得よ
限界値検査にしろ、耐性導入中の負荷にしろ
、負荷するのは常に限界値の量です。ということは症状が出るか、出ないかギリギリの量を食べているわけです。したがって、出てくる症状は「あるか、ないか」の非常にかすかな症状であることが圧倒的に多いわけです。特に限界値検査では強い症状が出ることはほとんどありません。
このことは、最初に説明しておくのですが、それでも些細な症状を誘発症状ではない、と思ってしまうひとが多いのです。
(2)観察と記録、そして判断
限界値測定と耐性導入の結果の観察は注意深く行わなければなりません。
上に書いてある注目点(1)−(4)によく注意して観察を記録して下さい。
ただし、詳しく記録するようにというと何でも書いてくるお母さんがいます。記録には
注目点(1)−(4)か、そのための判断材料だけが必要です。そのためにはお母さんがある程度「判断」を下しながら、観察・記録をする必要があります。大事なのは記録そのものではなく、実は記録のときにしている「判断」です。
例え間違ってもいいから、勇気をもって自分なりの判断をしてみて下さい。そのために役立つのは比較です。昨日食べたときと今日食べたときの比較、物理的刺激で赤くなったときと、体の中から痒みが出たときの比較、症状が出たときの朝、昼、夜の比較などなど、さまざまな比較をします。それによって判断力が養われます。
どちらか、自信が持てないときでも7:3でアレルギー性だ、6:4で非アレルギー性だ、のように重みづけを持ちながら判断をしてみて下さい。その後の受診で医師と相談するとき、自分はこれこれの理由でこう判断した、という思いがあれば、例え間違っていたとしても、どこが間違っていたかを
学習することができます。始め頃、思い切りよく判断していた人は早くから正しい判断ができるようになりますし、まったく判断していない人はいつまでたっても判断ができないという傾向があります。
もともと、最初のうちはあまりお母さんが正確な判断を下すとは考えていませんから、安心して下さい。お母さんのあやふやな観察、判断から最大限情報をとろうとして、根堀り葉堀り聞き
だすこともありますが決して責めているわけではありません。
最初はなにがなにやらわからない方でも、繰り返し、観察、比較、判断をするうちにしっかりした見方が出来るようになります。
(3)掻いて悪くなったと決めつけないで
掻いて悪くなったのだから、誘発症状ではないと思ったとお母さんが判断
しましたた。掻くという物理的な原因で症状が出たのは確かに外からの原因となります。しかし、その掻き方は昨日、一昨日、2日前と同じくらいの掻き方でしたか。掻いたあと赤くなった強さは昨日、一昨日、2日前と同じくらいの強さでしたか。掻いたあとの赤みが消えるのに昨日、一昨日、2日前と同じくらいの時間しかかかりませんでしたか。
受診日に来て見たら「掻いて悪くなった状態がいまだに残っている」ときに、このように質問をします。この場合、お母さんは時間的(日次的)比較が十分ではなかったのです。確かに掻いたことによって悪くなったのは事実としても、それだけ強く掻いてしまったのは、体の内側から起きている痒みがあったのです。
掻いて悪くなったばかりでなく、食べ物が口について悪くなったなど、いろいろのケースがあります。外側からの原因のように見えて、実は内側に本当の原因がある場合があります。こういうケースは受診のたびに教えて行きます。
(4)見逃してしまった場合
実際は食べ物のせいで出た誘発症状なのだけれど、そう受け取らずに食べ続けた場合、数日経って来院して見ると開始前より一段階、悪化してアトピー性皮膚炎が復活しているということがよくあります。このときお母さんはその変化にほとんどと気づいていません。私は1週間単位でみており、その間の絶対的な変化を記録していますから、わかりますが、お母さん方はわかりにくいようです。
なれてきたら、時間単位で起こる、血管拡張を主体とした軽い反応だけではなく、数日単位で起こってくる、地肌の悪化
にも注意をするようにして下さい。
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