はじめに...私が何故予防に力を入れるようになったのでしょうか?
皆様は、虫歯になっても治療すれば、元通りの強さになる
と思っていませんか?
実は、病気(むし歯・歯周病)になった歯をどんなに頑張って
高度な技術を用いて治療したとしても、
治療の必要のない未処置歯より、寿命が縮まる可能性が高くなります。
私を含め、患者様の歯を長持ちさせることを第一に考えている歯科医師は、
若い頃は色々な情報を集め、
様々な方法で時間をかけて丁寧に治療しています。
ところが、『完璧だ!』と思っても、長い年月を経過すると、
少なからず様々な問題に直面します。
噛む力は皆様の想像以上に強く(数十s)、
しかもアイスクリームから熱いお茶まで、
様々な温度のものがお口の中に入ってきます。
お口の中は、実は大変過酷な環境なのです。
歯は使うもので、飾り物ではありません。
例えば、電化製品・自動車・家など、使用する物は必ず経年変化による
劣化が起こります。
ましてや過酷な状況で一日中酷使される歯をどんなに丁寧に治療したとしても、
一生問題が起こらない状態にするのは困難です。
歯のかぶせもの・ブリッジ・インプラント等は、広い意味の人工臓器です。
他の部位の人工臓器で自分の体と同等の性能を発揮できるものは、
現在のところ存在しません。
熱心に治療した歯科医であるほど治療の限界を感じ、予防に力を入れるようになります。
私もその一人です。
1.予防にとって重要な事は何でしょう?
歯を失う原因は、
第1位が歯周病、
第2位が虫歯、
第3位が歯の破折(根まで割れてしまう)
となります。
従って、この三つの病気に対する予防が必要になりますが、
歯周病と虫歯の予防は多くの場合関連性があります。
歯の破折は別の方法が必要になります。
虫歯菌や歯周病菌は家族に感染することがあるといわれていますので、
場合によってはご本人だけではなく、家族と一緒に予防や治療をした方が
よい場合もあります。
虫歯菌は歯がなければお口の中で生きて行けません。
従って、歯がはえる前のお子様には、虫歯菌は定着しないのです。
虫歯菌は、歯がはえ始める生後6ヶ月頃からお子様のお口に住みつき始め、
特に1歳7ヶ月から2歳7ヶ月の間に、お母さんのお口の中から移り、定着するという
説が有力です。
この時期のことを「感染の窓」と呼びます。
感染の窓と呼ばれる時期に、お母様(出来れば同居者全員)のお口の中の虫歯菌を
減らすことにより、お子様のお口の中に長期間虫歯が少ない状態を実現できると
言われています。
従って、お子様のむし歯予防は、母子が一緒に行う必要性が高いと言われています。
この件について更に詳しくお知りになりたい方は、
虫歯菌の母子感染のページをご覧下さい。
(1) 虫歯予防は何故必要なのでしょう
1.虫歯は歯科医院で治療しても治りません!

治療してない歯と、歯全体を金属で覆うかぶせもの(クラウン)を
装着した歯と、どちらが虫歯になりにくいと思われますか?
実は治療していない歯の方が、虫歯になりにくいのです。
皆様はご自身のお口に入っている金属等のかぶせものが、
歯にピッタリ合っているとお思いですか?
詰め物やかぶせものは、大変複雑な過程を経て作成されます。
その過程一つ一つに変形要因がありますので、実は歯にピッタリ合うことはありません。
当然その隙間はバイ菌が入り込むには充分な広さとなります。
また、歯は噛む度に強い力を受けるため、僅かにたわみます。
たわむ度に、詰め物と歯を引きはがす力が加わり続けます。
更に、お口の中には熱いものから冷たいものまで、様々なものが入ってきます。
歯はそのたびに膨張・収縮を繰り返しますが、当然詰め物も膨張・収縮します。
ところが、膨張等の量は歯とは差があるので、何度も膨張・収縮を繰り返す度に
やがてその境目にはがれが生じてきます。
最初のうちは境目は目に見えませんが、バイ菌が侵入するには充分な広さとなり、
やがて中に虫歯が発生します。(これを二次う蝕と呼びます。)
その結果再治療となるのですが、残念ながら元の詰め物より削る範囲が広くなり、
前の詰め物より取れやすくなってしまいます。
また、残った歯も薄くなるので余計にたわみやすくなり、更に取れやすくなったり、
ひどい場合には歯が欠けてしまいます。
この様なことを繰り返しながら、やがて神経を取らなければならなくなり、
最後は抜歯に至ります。
以上のように、一度治療を施すと、悪循環のサイクルにはまってしまいますので、
予防によって治療の必要がないようにすることが重要なのです。
つまり、歯医者で虫歯を治療しても、健全な未処置歯より遙かに虫歯に
なりやすい状態になってしまい、元通りに治るわけではないのです。
この件に関しては、CO(シーオー)について を参考にしてください。
一方、大きな虫歯でかぶせもの(クラウンやブリッジ)を装着した歯が抜歯に至る
原因の第1位は歯周病(62%)、ついで歯根破折(16%)、
根っこの先の病気(8%)、虫歯(6%)となります。
このデータより、かぶせものをした歯は、歯周病になりやすいことがわかると思います。
かぶせものは、先に説明したように歯に完璧に合わせることは不可能ですので、
かぶせものと歯の境目に細菌がたまることにより、歯周病が発生しやすくなります。
また、日本の保険制度で使用されている金属は摩耗しにくく、長期間経過すると
知らないうちに歯に無理な力がかかるようになり、このことが歯周病の進行を
大幅に促進する原因となる場合があります。
従って、歯周病予防の一手段としても、虫歯予防が重要であることが、
お解りいただけると思います。
2.初期の虫歯は、歯科医院で治療しなければ治ります!!

初期の虫歯は、的確な対応を行えば、治療しなくても元通りに治ります。
『治療しないのに治るとはどういうことか』
と疑問に思われるかもしれません。
実は唾液が初期の虫歯を治してくれます。
虫歯は、虫歯菌の産生する酸によって歯が溶かされて起こります。
(これを脱灰(だっかい)といいます。)
唾液の中には、この酸を中和する作用があります。
酸が中和される段階で、一旦溶け出した歯の成分(カルシウムなど)が
歯に戻されます。(再石灰化)
その結果、歯を削らずに済み、上に述べた二次う蝕が起こらない、
最高の状態に戻すことが出来ます。
つまり、削らず唾液の力で治すことこそ、最高の治療法なのです。
但し、唾液の力を最大限引き出すため、患者様自身の行う正しいホームケアと、
歯科医院で行うプロフェッショナルケア、すなわち予防処置が必要となります。
初期虫歯は完全に治せます!のページも参考にしてください。
3.マイナス1歳からの虫歯予防!

近年、一部の歯科医院で
『マイナス1歳からのむし歯予防』
が行われています。
『−1歳から』とは、妊娠初期(或いは妊娠する前から)のことを指します。
つまり、虫歯のないお子様にするためには、生まれる前から対策を取る
必要があるのです。
お子様のお口の中には、歯がはえる前には虫歯菌は定着しません。
上に述べたように、歯がはえ始めた頃より
虫歯菌は母親から感染することが分かっています。
従って、その時期までに、お母様のお口の中の虫歯菌などの悪玉菌を
減らしておけば、お子様への感染を少なくしたり、遅らせることができます。
虫歯菌の感染時期が遅いほど、虫歯が少なくなることが分かっています。
一度削った歯は、決して元には戻りません。
お子様の一生を決めるのが、幼少期のお口の細菌管理、
更にそのためには、
出生前から母親のお口の細菌管理(=マイナス1歳からのむし歯予防)
が必要です。
当院では、希望者には徹底的な、マイナス1歳からのむし歯予防を行っています。
詳細はご来院時にご説明致します。
(2) 歯周病予防は何故必要なのでしょう
歯周病により骨の吸収が始まると、本人がどんなに頑張って歯を磨いたとしても、
絶対磨けない部分が出来てしまいます。
また、ある程度進行してしまうと、手術等を行ったとしても、ご自身で掃除できない部分を
なくすことが出来なくなります。
右の写真をご覧になって下さい。これは歯周病でぐらぐらになり、抜歯した歯です。
一番手前の部分が歯の根の先端ですが、右下の部分は黄色っぽく、
比較的綺麗です。
一方、他の部分には茶色や白っぽい汚れが付着していますが、
これはすべて歯石です。
元々、かぶせものの下の部分は黄色っぽい色だったのですが、
歯周病で歯磨きのできない部分ができ、そこにバイ菌が入り込み、
その結果歯石まで付着してしまったのです。
こうなってしまっては、バイ菌を取り除くことは不可能で、
その結果抜歯しなければならなくなってしまいます。
歯周病は、この様な自分で掃除の不可能な部分がたくさんできてしまわないうちに、
予防することが重要なのです。
(3) 歯ぎしりは何故危険なのでしょう
歯ぎしりはをしない人は、、実は殆どおられません。
歯ぎしりは多くの場合(ギリギリという)音が殆どしない状態で行われており、
気がついていないだけなのです。
歯ぎしりは時に歯に致命的なダメージを予兆なしに与え、
しかも完全にその影響を排除できないため、
歯科医師にとって最も恐ろしい敵、
といっても過言ではありません。
歯ぎしりの詳細についてはこちら
2.虫歯と歯周病の予防
先ほど説明したとおり、歯を失う原因は、第一位が歯周病、次いで虫歯となります。
虫歯はよほどほったらかしにしない限り、すぐに抜歯の原因になることはなく、先に述べたように繰り返し治療することにより抜歯に至ります。
したがって、いかに若いときに虫歯にならないか、が重要です。
ところが、お子様は後述する理由により虫歯になりやすく、予防が重要となります。
歯周病に未成年がかかることは稀で、40才くらいから急増します。しかも自覚症状が出た頃には多くの場合その歯に関しては手遅れで、他の歯も多くは中等度から重症になっている場合が多く、長持ちする状態にするためには時間と費用を要するようになってしまいます。
従って、未成年者(小児)の予防は虫歯を対象とし、成人の予防は歯周病を第1の対象・
虫歯を第2の対象とします。
(1)予防の手順
予防の手順は、下の図の手順で行います。
予防処置は、歯科医師と歯科衛生士が協働して行います。

むし歯予防に関係のある項目には、項目の右に(C)
歯周予防に関係のある項目には、項目の右に(P)
両方に関係のある項目には、項目の右に(C・P)と書いてあります。
(2)唾液検査(虫歯のリスクテスト)(C)
虫歯の発症には、右の図のように、
・虫歯菌の数
・歯を守る力
・食事の習慣
の3つの要素が関係しています。
虫歯のリスクテストは、この3要素について調べます。
唾液検査で調べる項目は
・ミュータンス菌の測定
・ラクトバチラス菌の測定
・唾液緩衝能の測定
・唾液の量
・食習慣の調査
の5項目について調べます。
食習慣についてはあとの項目で説明します。
これらの結果に問題がある場合は、各々その対策についてご説明致します。
唾液検査については、こちらのページもご覧下さい。
ミュータンス菌、ラクトバチラス菌とは、虫歯の原因菌の中でも代表的なバイ菌で、
これらの比率が高いと虫歯になる危険性(リスク)が高くなります。
一方、唾液には初期の虫歯を修復する作用があり、それを唾液緩衝能と呼びます。
虫歯は、虫歯菌によって作られた酸が歯を溶かすこと(脱灰:だっかい)によって
起こりますが、初期の段階では溶かされた部分が唾液の中の成分によって
修復(再石灰化)されます。
人間が元々持っているこの修復機能を最大限に発揮させることにより、
虫歯の発生を極力抑える用にするのが『むし歯予防』の考え方です。


右の図は、唾液緩衝能・唾液分泌量が歯垢のPHにどのような影響を与えるかを示したグラフです。
唾液緩衝能が高い方、唾液の多く出る方は短時間で中性に戻るのに対し、
唾液緩衝能が低い方、唾液の少ない方は歯垢のPHが中性に戻るのにかなり時間がかかっています。
中性に戻るのに時間がかかると、長い時間歯が溶け続け、虫歯ができてしまいます。
唾液は年を取ると少なくなる場合が多く、しかも高血圧などの薬は唾液を少なくする
副作用があるので、高齢になると急激に虫歯が増える場合があります。
また、唾液の量が減少すると、口臭が強くなります。
コラム. 虫歯の原因となる細菌について

虫歯を引き起こす細菌は、連鎖球菌や乳酸桿菌と呼ばれる細菌です。
代表的な細菌は、
・ Streptococcus mutans(ミュータンスレンサ球菌)
・ Streptococcus sobrinus
・ Lactobacillus(乳酸桿菌)
の3つです。
その中で最も重要視されているのがミュータンスレンサ菌と乳酸桿菌です。
因みにミュータンス群と呼ばれる細菌は7種類存在しますが、その中で人間の
お口の中に存在するのは
S.mutans と S.sobrinus で、何れも虫歯の原因となります。
S.mutans は重要な虫歯原因菌といわれています。
この菌は、砂糖から水に溶けないどろどろの物質を作り出し、それにより歯にこびりつきます。
そして、糖分などを原料として強烈な酸を作り出し、歯を溶かして虫歯を作ります。
S.sobrinus は虫歯の20%程度に存在し、S.mutans 単独による虫歯より、
重症になりやすいといわれています。
近年、S.mutansより酸を産生する能力や耐酸性、虫歯の誘発能などがより強いことが
報告されいます。
Lactobacillus菌自体は歯にくっつく能力はありませんが、ある程度虫歯が進行すると
虫歯の孔に入り込み、そこで強烈な酸を作り出し虫歯を進行させると言われています。
当院で行う虫歯のリスクテストでは、ミュータンスレンサ球菌と乳酸桿菌を調べますが、
更に詳しく調べたい方にはPCR法と呼ばれる高精度な方法で、
ミュータンスレンサ球菌・ソブリヌスレンサ球菌・乳酸桿菌の3菌がお口の中にどのくらい
存在するか正確に計測することも可能です。
(3)食生活指導・歯磨き指導(C・P)
(a) 食生活指導

虫歯になりにくい食事の採り方の指導をします。
長期にわたって継続できる習慣の獲得が大切なので、
「・・を食べたらダメ」という禁止ではなく、飲食の回数を少なくする事を基本とします。
右の図をご覧下さい。
このグラフは、食事をしたときに、歯の周りについた汚れのPHを示しています。
上下のグラフとも中央付近に赤い横線がありますが、これより下(赤く塗りつぶした部分)は強い酸性のため、歯の表面が溶かされます。これを脱灰といいます。一方、赤線より上(青く塗りつぶした部分)は中性に近く、歯の表面が溶かされることはありません。逆に溶け出た成分が歯に戻ることもあり、これを再石灰化と呼びます。
右図上下のグラフを見比べると、下のグラフに赤く塗りつぶした部分が多いことに気付かれるともいます。つまり、飲食回数が多いほど歯が酸にさらされるため、虫歯になる危険性が高まります。
子供の栄養にとっておやつは重要ではありますが、だらだら与えるのではなく、
決められた時間に、決められた回数(出来れば1回く)与えるようにすることが大切です。
成人では、缶コーヒー・スポーツドリンク・ジュース・お菓子などの飲食により、
歯垢のPHが酸性になり、虫歯になりやすくなります。
特に、大きめのペットボトル飲料を何回にも分けて飲む方は、
歯垢が常に酸性の状態になるため、虫歯が多発します。
どうしてもお菓子の類を何度も食べたい場合は、食後のデザートとして食べる(与える)のも
一つの方法です。
 (b) 歯磨き指導

歯磨き指導は、予防にとって重要なポイントです。
虫歯を予防するためには、たとえフッ素を塗ったり、キシリトールを利用したとしても、
最低限の歯磨きが絶対に必要です。
特に上記リスクテストの結果、リスクが高いと診断された方は、より歯磨きに気を遣う
必要があります。
お子様の場合、ご自分で歯磨きをさせることは、習慣づけにとって重要ですが、
残念ながら充分な歯磨きは不可能です。
お母様が、右図のように仕上げ磨きを必ずしてあげてください。
歯周病の予防にとっては、虫歯以上に歯磨きが重要です。
必ず歯磨き指導を受け、鏡を見ながら時間をかけて磨く必要があります。
歯磨きの仕方はその方のお口の状況で変わりますので、ご来院の上ご相談下さい。
(4)キシリトール(Xylitol)の利用(C)
非う蝕誘発甘味料といわれるものは、細菌による酸の産生を引き起こさないばかりでなく、
歯を守るのに重要な唾液の分泌を促します。
その中でもキシリトールは、虫歯予防にとって様々な役割を果たしてくれることが
わかっています。
(a) キシリトールはどうやって虫歯の発生を防ぐのですか?

(ア) 微生物学的作用
・細菌により発酵されないため、キシリトールを食べても酸が産生されません
・細菌のエネルギー源として使用されないだけでなく、細菌の貯蔵エネルギーを
消費させ、最近の成育を阻害します
(イ) 唾液の分泌促進による再石灰化(初期の虫歯が治ること)の促進
・キシリトールの甘味により唾液の量が多くなり、唾液の作用により再石灰化が
促進されます
・重炭酸塩イオンという、酸を中和する作用のあるイオンの分泌と生成を刺激し、
再石灰化を促進します
(ウ) 生物無機的(bioinorganic)作用
・カルシウムイオンの沈殿を阻止し、唾液中のカルシウムの量を維持することにより、
歯にカルシウムが戻る事を促進します
(b) キシリトールの使用方法は?

各自のリスクに応じた処方を行います。
詳しくはご来院の上ご相談下さい。
(c) さくら歯科院長の、キシリトール体験記

キシリトール体験記のページをご覧ください。
(5)フッ素(フッ化物)の利用(C)
(a) フッ化物はどのように虫歯を予防するのでしょう

(ア) 脱灰の抑制・再石灰化の促進
溶けかけた歯の表面の修復を促進し、
むし歯の進行を阻止します
(イ) 歯質の強化
・ハイドロキシアパタイトの結晶構造の安定化
・フルオロアパタイトの形成
この2つの作用により、歯を酸に溶かされにくくします
(ウ) 細菌の抑制
・細菌が産生する酵素の働きを阻害し、酸を産生しにくくします
・菌体内への糖の取込みの阻害します
・抗菌作用(発育の抑制)により、酸菌を減らします
(b) フッ素の使用方法について

フッ化物応用法には、
・飲料水へのフッ化物添加をはじめとする全身的応用法
・フッ化物歯面塗布法
・フッ化物洗口法
・フッ化物配合歯磨き粉
などの局所応用法がありまが、わが国では主として局所的応用法が実施され、
高いう蝕予防効果を上げています。
局所的応用法の中では、
・フッ化物歯面塗布法は歯科医師や歯科衛生士といった専門家が直接
行うものとしてプロフェッショナルケア、
・フッ化物洗口法は集団応用や個人応用が可能なもので公衆衛生的手段
+ホームケア、
・フッ化物配合歯磨き粉は個人が自由に入手できるものとして自己応用法、
ホームケアあるいはパブリックケアで行われるものです。
(ア) フッ化物歯面塗布法
歯科医師や歯科衛生士など専門家が直接、歯面にフッ化物溶液を塗布を
行う方法です。
塗布した高濃度のフッ化物が歯面上にフッ化カルシウムを生成し、
歯の表層がフッ素化アパタイトに変化することで歯の表面の酸に対する
抵抗力が増します。
フッ化物歯面塗布法の虫歯予防効果については、約20%〜40%の効果が
報告されています。
(イ) フッ化物洗口法
フッ化物洗口法は、用いる洗口液のフッ素濃度が低く、安全性も高く、
フッ化物洗口液の調製も簡単にできます。
低濃度フッ化物は、歯の表面のみならずお口の粘膜にも保持され、
作用し続けます。
その結果、歯が溶ける(脱灰)のを抑え、再石灰化を促進させます。
また、このフッ化物洗口液を用いた洗口法は、誰もが簡単に苦痛なく
実施できるので、より多くの対象(小児)に応用することが可能であり、
公衆衛生上、虫歯予防を考える上で有意義な方法です。
虫歯抑制効果はフッ化物洗口法の実施方法、実施期間の違いにより差が
見られますが、平均的に見て35%〜50%の虫歯抑制率が
認められています。
(ウ) フッ化物配合歯磨き粉
最近の歯磨き粉には、多くの場合フッ素が含まれています。
これを上手く利用すると、歯の強化に役立ちます。
歯磨きしたあとに、コップの底の方にほんの少しだけ水を入れ、その水を口に含んで
数十秒ぶくぶくうがいをし、はき出します。
その後は一切柚須がにようにすることにより、お口の中に有効な濃度のフッ素が残り、
歯を強化します。
虫歯の抑制率は15〜20%です。
(c) フッ素の毒性について

急性毒性とは
急性中毒は、誤って一度に大量のフッ素を摂取した場合に限って起こります。
歯科医院で塗布する場合は急性中毒の起こる量をお口の中に塗布することは
ありません。
又、フッ素洗口を家庭で行う場合も、安全な量しかお渡ししませんので、
通常は起こりません。
慢性毒性とは
慢性中毒は、ある濃度以上のフッ素を長時間取した場合に現れます。
飲料水にフッ素が添加されている場合に起こり得ますが、家庭でのフッ素洗口
程度の量では起こりません。
(d) フッ素についてのQ&A

Q1:妊娠中の母親がフッ素を摂取しても胎児に悪影響はありませんか?
また、母乳に対してはどうでしょうか?
A:水道水にフッ素を添加している地域でも、胎児に対す悪影響は認められていません。
また、死産や新生児の死亡率が増えるという報告もありません。
仮に、母親が誤って大量のフッ素を飲み込んだとしても、血液や胎盤を経由するうちに
胎児に移行するフッ素は極少量になってしまいます。
その証拠に、胎児期に歯の形成が行われる乳歯には、出生後に形成される永久歯に
比べてフッ素症歯は現れにくいことがわかっています。
また、母親が摂取するフッ素のほんのわずかしか母乳に移行しませんから、
母乳による乳児への影響はありません。
むしろ、母乳保育中の乳児は、フッ素が不足しがちであると言えます。
Q2:フッ素はガンの原因になると聞きましたが?
A:現在では、アメリカ国立ガン研究所をはじめとする専門機関から、
水道水フッ素添加をはじめとする各種フッ化物利用法とガンの発生とは
無関係であることが示されていす。
Q3:フッ素は大人に有効でないと聞きましたが本当ですか?
A:お子様程ではありませんが有効です。
大人の歯は子供の歯に比べてエナメル質は成熟し、ある程度強くなっていますが、
歯周病により歯槽骨が吸収され歯肉が退縮すると、セメント質や象牙質が露出し、
歯の根の部分の虫歯が発生しやすくなります。
また詰め物や入れ歯の周りに虫歯が発生したり、二次齲蝕(なおした部分が再び
虫歯になること)も増加してきます。
フッ素はこのような虫歯予防にも効果があることが確認されています。
このようなことから、大人に対してもフッ化物応用は有効であり、最近では大人用の
歯磨き粉にもフッ化物配合のものが増えていています。
Q4:なぜ日本では欧米諸国に比べてフッ素利用の普及が進んでいないのでしょうか?
A:歯科の専門家である歯科医師・歯科衛生士が必ずしも十分にフッ素利用の
価値・有用性をアピールしてこなかったために、国民の間に十分周知されていないことが
最大の理由と言えます。
(e) 吸収されたフッ素はどうなるのでしょう?

成人では吸収されたフッ素の90%以上が主として尿中に排泄されます。
小児の場合は60〜70%以上が排泄されると考えられています。
(6)PMTC・PSC(C・P)
プロが徹底的に歯の汚れを落とすことにより、
普段どうしても磨けない部分の細菌を取り除きます。
PMTCを行うことにより、お口の中にいた悪玉菌が
大幅に減少し、善玉菌に入れ替わることにより
お口の健康を保ちます。
悪玉菌は約3ヶ月で復活してきます。
従って3ヶ月に一度の間隔で、行うのがよいとされています。
この方法は北欧で考案され、素晴らしい効果があることが実証されていますが。
しかし残念ながら日本では誤った方法で行う医院が増えてきていることが、
歯周病治療に熱心に取り組む歯科医の間で憂慮されています。
本来PMTCは1時間ほどかけて、歯に負荷のかかりにくい方法で徹底的に行ってこそ
効果があります。
短時間で爽快感を患者様に味わって戴くことを目的として、安価に行っている医院も
あるようです。
しかし、短時間では徹底的な細菌の除去は不可能で、結果的にご自身で歯を磨くとは
あまり変わらず、それでは歯を長持ちさせることにつながりません。
この件に関しては、こちらもご覧下さい。
通常『PMTC』というのは歯ぐきから上の部分を主体に行いますが、
歯ぐきの下に隠れている部分の清掃がより重要です。
これを『PSC』といったり、『縁下デブライドメント』と呼びます。
(7)3DS(C・P)
PMTCを行ったあとも、歯の表面を電子顕微鏡で見るとたくさんの細菌が
残っています。
PMTCを行った直後、更に各個人の歯にあった『トレー』と呼ばれる物を使い、
その中に消毒薬を流し込んで上下の歯に装着して、歯の表面から更に
細菌を大幅に
減少させる方法です。
徹底的に細菌のバリアを除去してからでなければ、薬液が細菌に到達しないので、
上記PMTCを徹底的に行ったあとでなくては、効果があまりありません。
当院では、この方法を紹介しているHPが殆どない頃から手がけており、
様々なノウハウを持っています。
詳細は、3DSをご存じですか のページをご覧下さい。
(8)CCP-ACP(リカルデント)
リカルデントとは、メルボルン大学のレイノルズ教授らの
グループによって開発された、牛乳由来タンパク質の
分解物であるカゼインホスホペプチド(CPP)と、
非結晶性リン酸カルシウム(ACP)の複合体です。
リカルデントは、カルシウムとリンを過飽和状態で
口腔内に供給します。
初期虫歯は、唾液中のカルシウムやリンによって修復されます。
リカルデントは、唾液よりはるかに多くのカルシウムやリンを
含むので、より強い初期虫歯修復作用(再石灰化)を有します。
具体的には、 リカルデントを含んだペーストを歯に塗りつけて
使用します。
(9)プロバイオティクス
スウェーデンで開発された、
2種の特殊な乳酸菌を配合
したサプリメントで、
プロバイオティクスとも
呼ばれています。
スウェーデンでは以前から
広く利用されています。
この乳酸菌は、
・ 抗菌物質を産生
・ もともとヒトの体内に存在
・ 腸内環境に悪影響を
及ぼさず、病原菌と戦う
・ 副作用がない
・ 乳児・子供・成人に対する
完璧な安全性
といった特徴を有しています。
特に、乳児の夜泣きを抑える効果があり、新生児を抱え家庭にとって、ありがたいサプリメントとなっています。
これらの菌は、実験により虫歯菌や歯周病菌を抑制するという結果が得られています。
(右上グラフは虫歯菌の抑制効果の研究報告)
虫歯菌(ミュータンス菌)の多い方が使用することにより、虫歯菌を減少させることができるのではないかと
考えられています。
3.歯根破折の予防(歯ぎしりの影響の防止)
歯根破折(歯の根が真っ二つに割れること)は、ある日突然起こります。
むし歯や歯周病と異なり、神経を取ってしまった歯の破折を確率高く予防することは
不可能です。
歯根破折の最大の原因は『歯ぎしり』であることが分かっています。
従って、この歯ぎしりの影響を少なくすることが、全ての歯に対して歯根破折を
予防する最良の方法と言えます。
歯ぎしりを全くしない人はいない、と言われています。
そして、皆様の想像を遙かに超えるダメージを、歯や歯周組織に与えます。
ただ、残念ながら歯ぎしりを止めることはできません。
歯ぎしりの詳細
そこで、歯ぎしりの悪影響を少なくするために、ナイトガードを作成します。
作成の手順は、以下の通りです。
(1) すべての歯の型を取る
(2) 咬み合わせを取る
(3) 作成したナイトガードを装着する
ナイトガードは、多くの場合上あごに装着します。
材質には色々なものがありますが、当院では硬めの物と軟らかめのものを併用
しています。
硬めのものを咬み合わせを調整せずに装着している例を多く見かけますが、
この場合下の歯に無理な力がかかり、逆に副作用を生じる場合があります。
場合によってはあごの関節に異常を来す顎関節症になってしまうことがあります。
そのため、硬めのものを使用する場合、当院では大変時間をかけ、
細かい咬み合わせまで調節しています。
ただ、柔らかめのものは、それほど細かなかみ合わせの調整を必要としません。
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