空想地帯<挿絵付きSM系官能小説サイト>

 メニューに戻る  官能小説一覧に戻る




強制彼女


 私には付き合っている男の子がいる。中学二年生の現在、セックスも経験済みだ。
 性の低年齢化が叫ばれている時代ではあるけれど、実際問題、私のクラスで初体験を済ませている子なんて数えるほどしかいない。
 私は性に関して友達よりも進んでいる訳で、本来は優越感を抱いていても良いはずだった。みんなが興味を持っている中で、本当にセックスをしている数少ない中学二年生なのだから。
 けれども私は、彼氏のことも、彼氏との性体験のことも、出来ることなら無かったことにしたかった。ただ単純に恥ずかしいとか、そういうことじゃない。問題なのは私の彼氏、秋山君だ。
 彼は私よりも身長が低いのに、体重は私の倍以上ある、いわゆる肥満児。夏でも冬でもいつも汗を掻いていて、体臭もきつく、男子女子を問わずクラスのみんなに嫌われている。実際に友達は一人もいない。
 とてもじゃないが、彼氏として友達に紹介することなんて出来なかった。
 自慢ではないけれど、私はクラスの人気投票で一番になったことがあるくらい男子にモテていたし、友達も一杯いた。
 そんな私が秋山君に告白されて付き合うことになった時、クラスのみんなが驚いていた。けどきっと一番驚いていたのは私自身に違いない。
 なんであのとき告白をオーケーしたのか、一年近く経った今でも分からないくらいだ。ただ、何故か秋山君の言う通りにしなくてはいけないような気がしたのだ。
 正直言って、私はそれまで秋山君のことを、他のみんなと同じように気持ち悪いと思っていた。というか、今でもそう思っている。
 外見は私の理想である「背が高くてスレンダーな体型」とは真逆だし、ほとんど喋らない彼の根暗な性格は、おしゃべり好きな私とは根本的に合わない。そして何よりも、三メートルも近づけば漂ってくるきつい体臭は強烈な嫌悪感を誘う。
 それでも、告白された一年近く前のあの日から、私は秋山君の言うことなら何でも聞くようになった。嬉々として従うわけではなく、内心は死ぬほど嫌々であることがほとんどだけれど、脅されているわけでもないのに逆らえないということは、私はたぶん秋山君に多少なりとも惹かれているのだろう。どう考えても、そうとしか思えない。それ以外説明が付かない。
 秋山君のことが好きだ、と私は毎日のように心の中で呟いていた。だって、そうしないと、とても辛いから。吐き気を我慢しながらキスをするのも、発狂しそうになりながらセックスをするのも、辛くて仕方が無いから、私は彼のことを少しでも好きにならないといけない。それがほとんど無理なことだと分かり切っていても、早く彼を好きにならないと、いつか心が壊れてしまいそうだった。


 午前の授業が終わりお昼休みになると、私は二人分のお弁当を持って秋山君の席に向かった。
 私に話しかけてくれる友達は、今は一人もいない。秋山君に「他の奴らとはあんまりしゃべるな」と言われて以来、ほとんど友達と口を利かない様にしてきたので仕方がない。彼と付き合う前の、クラスの人気者だった頃との落差に、時々なんの前触れもなく泣き出したくなることもあるけれど、彼の言うことに逆らう気には、何故かならなかった。
 秋山君が座っている席の前に立つと、彼の据えた体臭が鼻を衝いた。いつまで経っても慣れることの出来ない臭いを堪えつつ、私は彼にお弁当を掲げて見せた。
「秋山君、お弁当食べに行こ?」
「…………」
 彼は何か小さな声でブツブツと呟いた。お昼休みの喧騒に包まれた教室ではほとんど聞き取れないので、私は彼の口元に耳を近づけた。
「……キスをしろ……」
 その言葉に、ドキッとして彼の顔を見る。
「う、うん……」
 私は声を震わせながらコクリと頷いた。
 クラスメイトの目の前で秋山君とキスするなんて、泣き出したいくらいどうしよもなく嫌だけど、彼の言う事は絶対だ。
 私はお弁当を机の上に置き、秋山君の両頬を手の平で包み込んだ。肌が荒れ放題の彼の頬は、ざらついた感触として私の手の平に伝わり、おぞましさに背中が震えた。けどキスをする時はこうするようにと言われているので、手を離すわけにはいかない。
 椅子に座ったまま動こうとしない彼に、私は中腰になって顔を近づけ、机越しに唇を重ね合わせた。カサついた彼の唇を割り、舌を差し込んで秋山君の舌に触れる。すると彼も少しだけ舌を突き出してくる。
「ん……んん……」
 ヌメヌメとした彼の舌を舐め回していると、胸の奥から吐き気が込み上げてきた。私はそれを懸命に我慢しながら彼の舌に吸い付く。
 キスしたまま教室の様子を窺うと、みんな私達のことなんて気にせず、お弁当を取り出したり机をくっ付けたりしてお昼の準備をしていた。最初の頃は教室でキスする度に大騒ぎになっていたけれど、今ではもう当たり前の光景になってしまったのだ。
 男子は幻滅し、女子は軽蔑するようになった。クラスの位置付けでは、私はもう秋山君とセットで扱われるようになっている。それは私がクラスメイト全員からの嫌われ者になってしまったということを意味する。付き合いだす前は、私に気のある男子が何人もいたし、女子にも嫌われるどころか友達がたくさんいたのに……。
 悲しくて、気持ち悪くて、私は涙目になりながら舌を絡め続けた。
「んっ……」
 突然、秋山君が私の肩を押してキスを中断した。ようやく彼はクラスメイトのいる教室でのディープキスに満足したようだった。
 私がスカートのポケットからハンカチを取り出して唾液に濡れた秋山君の唇を拭うと、彼は無言で席を立って教室を出て行った。
 急いで身なりを整えて、私は慌ててお弁当を掴み秋山君の後を追った。およそ恋人に対するものではない彼の態度に心を傷つけられながら……。


 私と秋山君は人気のない中庭のベンチに並んで座った。私はすぐに彼の膝に布巾を敷いてお弁当を置いた。それから自分のお弁当を準備するのだ。
 何をするにも、まずは秋山君を優先する。それは彼と付き合い始めて間も無く出来た暗黙の了解だった。彼の言う事には逆らえないのだから、私達の関係からいえば当然といえば当然の成り行きだ。
 でも本当は、私はもっと優しくしてもらいたかった。彼に尽くすのは、それほど抵抗はない。けれど、少しも優しくされないどころか、冷たくされるのはすごく悲しい。見返りのために尽くしているわけではないけど、でもちょっとくらいは何かして欲しい。何か言って欲しい。たとえ相手が秋山君でも、私達は付き合っているのだから。恋人なのだから。
 認めたくなくても、それが現実なら、私は秋山君を好きになろうと努力してきた。それでも彼は、いつも冷たくて、あまりにも自分勝手に過ぎる。
 最近私はそう思うようになってきた。
 付き合い始めた頃は、ただただ秋山君に従っている自分が信じられなくて、どうすればいいか分からなかった。時が経つにつれて諦めの気持ちが強くなり、いっそ彼を好きになって楽になろうと思うようになった。
 しかし今、私は彼の態度に傷つき腹を立てていた。特に、先ほどのクラスメイトの前でのディープキスには、大きく感情を揺り動かされてしまった。
 大体、秋山君はどうしてあんなことを言ったのだろう。彼は絶対服従の私を前にしても、あまり人前でハレンチな行為に及んだりはしないタイプのはずなのに。
「…………」
「…………」
 黙って二人でお弁当を食べながら色々考えてみても、気が滅入るばかりで何も得るものはなかった。
 秋山君は二人っきりの時でさえも、食事中は話しかけられるのを嫌う。付き合っているのに。恋人なのに。
 ……………………。
 私は反発の意味も込めて彼に話しかけてみることにした。彼の意に沿わない事をしようとするなんて、いつ以来だろうか、思い出すこともできない。ひょっとしたら、初めてのことかも知れなかった。
「ね、ねえ、秋山君」
 緊張しながら声を掛ける。秋山君は当然無視して黙々とお弁当を食べ続けるだろうと思っていたが、予想に反して、彼は私の声にピクリと反応して箸を止めた。
 意外な展開に、私は多少動揺しつつ言葉を続ける。
「あ、あのさ、さっきはなんで、キスしろなんて言ったの? いつもはあんなところでしたりしないのに……」
 少しだけ意識して微妙に非難するような口調でそう言うと、秋山君は驚いた表情をして私の方に顔を向けたが、すぐにまた前方を向き、視線を落としてお弁当を箸で突付き始めた。
「そろそろ効果が切れてきたか……」
 しばらくしてから、秋山君がボソリと呟いた。
「え? なに?」
 意味が分からず聞き返しても、彼から反応が返ってくることはなかった。


「しゃぶれ」
 お弁当を食べ終わった秋山君は、開口一番そう言った。まだ私が食べている途中だというのに御構い無しだ。
 意地を張って無視しようとしたけれど、彼の言う通りにしなければという、いつもの焦燥感に駆られ、止む無くお弁当を片付ける。ベンチに座っている彼の足元に跪くと、膝小僧が中庭の土に少しだけ沈んだ。
 ズボンのチャックを下ろし、黄色く汚れたブリーフの前面部を開くと、秋山君の勃起したペニスが飛び出してきた。いつもは口に咥えてしばらくクチュクチュと刺激しないと大きくならないので、最初から勃起しているのを見て私は少し驚いた。
 もっとも、それでも彼のペニスは私の親指より少し大きいくらいでしかない。他の男の人のを見たことがないから実感はないけど、いろんな雑誌とかを見る限り、平均よりも随分と小さいはずだ。
 おかげで初めてのセックスの時はあんまり痛くなかったし、フェラチオもしやすい。ペニスは大きいほうが女性は感じやすいらしいけど、まだ彼のことを好きになっていない私には、正直言ってこれくらいの方が都合がいい。好きでもない相手とのセックスで感じるなんて、順序が逆だ。それでは遊んでる子みたいで私は嫌だった。
 ペニスを指で摘まんでシュッシュッと軽く擦ると、ダラダラと先っぽから粘っこい汁が湧き出てきた。彼の生ゴミのような体臭に、ムッとする性臭が加わる。
 私は顔を顰めながら彼の尿道口から溢れてくる汁を舌ですくい取った。
 今日の秋山君はやはりいつもより興奮しているようだった。さっきの教室でのディープキスのせいだろうか。だとしたら、ひょっとしたら明日もやらされるのかも知れない。
 ウンザリしながらも、私は秋山君に分かりやすいように、ゴクッと喉を鳴らして飲み込んで見せた。ここで吐き出したりすることは許されていないし、する気になることもできない。
 指を離して、今度はパクッと口だけで根元まで咥え込む。鼻先に彼の陰毛が当たる不快感に耐えて、レロレロと舌腹をペニスにこすり付ける。また彼の尿道口から汁が出てきたので、直接飲み込んで胃に送り込む。
 吐き気を催して胃が震えたが、なんとか押さえ込んだ。秋山君に一年近く咥えさせられてきて、さすがに嘔吐することはなくなったが、好きでもない人のオチンチンから溢れてきた物を飲み込む気持ち悪さには、到底慣れることができなかった。
「……もっと激しくしゃぶり上げろ……」
 頭上から声が聞こえて、私は唇を窄めてペニスを締め付けた。そのまま勢いよく顔を前後させる。一生懸命くちびるで彼のペニスを扱き立てていると、また頭の上から声がした。
「今日でもう終わりにしてやる……」
 何のことか分からず、私はなんとなく動きを止めて秋山君の顔を見上げようとしたが、即座に彼のペニスへ意識が戻り、フェラチオを再開する。
 そうだった。彼に「しゃぶり上げろ」と言われている以上、彼の許しがあるまで私は決してペニスを口から離すことは出来ないのだ。
 しかし、それにしても、これまでにも何度か思ったことがあるが、無意識の行動すら途中でカットして命令を遂行しようとする私の動きは、どこか不自然ではないだろうか。そんなことは有り得ないとは分かっていても、心を無視して体が勝手に動いているような気がしてくる。
「……その通りだ」
 私の心の声に答えるように彼は言った。
 聞きたいことは山ほどあったが、私は唇で彼のペニスを扱くのに忙しくて、ゆっくりと考えることすら出来ない。
「お前が僕の言うことに逆らえないのは、僕に操られているからだ。本当は僕と一緒になんか居たくないんだろ? それはそうだ。お前は操られているだけなんだからな」
 一体、秋山君は何を言っているんだろう。全く訳が分からない。
「だけどそろそろ効果が薄れてきたみたいだからな。さっき飯食ってる僕に、勝手に話し掛けてきただろう。だんだんとそうやって僕の気に入らないことをするようになる。もう終わりだ。絶対服従できない人形になんて用はない。お前はもういらない」
 秋山君がこんなに長い台詞を喋っているのを聞くのは初めてだな、と思いながら、私は激しく顔を前後させていた。ペニスの先端から溢れてくる汁と私自身の唾液を次々に飲んでいく。
 いきなり射精が始まった。精子を喉奥に打ち込まれて咽そうになったが、無理やり喉を動かして飲み込んだ。
 射精が収まり、ペニスから口を離すと、彼は「後始末しろ」と言った。
 小指よりも小さくなって先端が包皮に隠れてしまったペニスを手で掴み、亀頭部を剥き出しにする。尿道口から精液が溢れ出して垂れそうになっていたので、ペロペロと舐め取っていく。
「新しく女を服従させるのは面倒臭いけど……」
 ペニスを嘗め回して射精の後始末をしている私の頭を無造作に撫でながら、彼は続ける。
「まあいい。とりあえず、お前には壊れてもらう。チンポを戻してこっちを見ろ」
「……うん」
 ようやくフェラチオが終わり、私は言葉を発することが出来た。
 ペニスをブリーフの中に戻しながら、彼の言ったことを反芻してみる。
 …………。
 秋山君の言うことを信じれば、全ての辻褄が合う。
 つまり、私は秋山君に弄ばれていた、ということになる。操られていたというのがいまいちピンとこないけど、催眠術とかそういうのだろうか。いや、方法はこの際どうでもいい。
 私はこの一年近く、好きでもなんでもない男と強制的に、ほとんど毎日、吐き気を我慢しながら汗まみれになって体を重ね合わせていたのか……。
 彼の言うことに逆らえないということは、彼に惹かれているからだと思い込み、必死になってちゃんと好きになろうとしてきたのは、全くの無駄だったのか……。
 秋山君と目が合うと、私の目から涙が零れ落ちた。怒ればいいのか、悔しがればいいのか、悲しめばいいのか、よく分からなかった。
「……なに泣いてんだよ」
 鬱陶しそうに彼が聞いてきた。逆らえない私は、思ったまま小さく「わからない」と答えた。
「まあ、どうでもいいか。俺はもう教室に戻るけど、お前はチャイムが鳴ってから来い。教室に入ったら、誰のでもいいから真ん中の机の上に乗って、パンツを下ろしてスカートを捲り上げろ」
「……え?」
「そしたら、中腰になって思いっきり脱糞しろ」
「え? え?」
 突然なにを言い出すの? そんなこと、出来る訳が……。
「分かったら返事をしろ」
 出来る訳が……。
「うん、分かった」
 出来る訳がないことを、私の体は勝手に頷いて承諾してしまった。
 いまならはっきりと分かる。やはり、私は操られている。
 今までは、体と心が一致しなくなると、「彼に惹かれているから」と無理やり後付けの理由を自分に与えていた。さすがにそれだけでは無理があると思っていたが、しかし操られているなんて非現実的な結論に達しろという方が、それこそ無理があるだろう。
「まあ、そうだな」
 彼がまた、私の心の声に答えるように言った。
 本当に心が読めるのだろうか……。
「そんなことより、お前は思いっきり脱糞してくればいいんだ」
「うん」
 私が頷くと、秋山君はいつものように、何てことなく、呆気なく校内に戻っていった。もう本当に私のことなんてどうでも良いらしい。
「…………」
 チャイムが鳴るまでの五分間、私は黙ってその場に突っ立っていた。


 教室に向かう途中で何度も転んだ。これから起こる事への恐ろしさで足が竦んでいるのに、それでも無理矢理に足を動かして歩いていると、すぐにバランスを失って転倒してしまうのだ。
 泣き叫んで誰かに助けを求めたかったが、教室へ辿り着くのに障害となるようなことは一切出来なかった。
 不自然な歩き方をして、しかも頻繁に転んでいる私に、せめて誰か声を掛けてくれればと思うが、既にチャイムがなっているので、いま私が歩いている廊下には人影はない。誰か通るとすれば先生くらいだろうけど、先生達は昼休みの後の授業には、割と遅く来たりするので当てに出来なかった。秋山君はそこまで考えて、今この時に命令を出したのかも知れない。
 私は震えながら教室のドアを開けた。少しざわついていたクラスのみんなが一斉に私を見て、ドアを開けたのが先生じゃないと知るとまた視線を戻した。これから何が起こるのかも知らずに……。
 教室には、男女二人の席を隣同士くっ付けた組が、横に四列と縦に四列ある。秋山君には「真ん中の机」としか言われていないが、完全に真ん中という席はないので、内側の四組の中の、さらに中央寄りの四席の中から、私の自由意志で醜態を晒す机を選らばなければならなかった。
 少しだけ迷った末、私は四席の中から右前方の机を選んだ。その机の所有者である礼奈は、私が秋山君と付き合う前のクラスの人気者だった頃の友達だった。今はクラスで孤立している私と話すことはほとんどないけれど、知らない仲ではないので、少しは気が楽になるのではないかと思ったのだ。
 しかし礼奈の席の横に立った時、私はすぐに後悔した。礼奈が怪訝そうに向けてきた顔が、私を認識した途端、苦虫を噛み潰したような表情に変化したのだ。話しかけてくれるなと、そう顔に書いてある。嫌われ者の秋山君と付き合っているとはいえ、友達だった礼奈がそこまで露骨に嫌悪感を表すとは全く思っていなかったので、かなりショックだった。
 話しかけると思われただけでそんな顔をする彼女の目の前で、しかも彼女の机の上で、今からウンチをしなければならないかと思うと、クラクラと目まいがした。それでもやはり体は止まってくれない。今さら席の変更は出来ないようだった。


 私は一足飛びで机の上に飛び乗った。視界の端に、礼奈が唖然として私を見つめている姿が映る。
 彼女を見なくても済むように、私は礼奈に背を向けて前方の黒板の方に向き直った。
 震えながらスカートの中に手を突っ込み、ショーツの両端を掴んで、一気に足元まで引き下げる。片方ずつ足を上げて、私はショーツを完全に引き抜いた。
 教室は水を打ったように静まり返っていた。誰でもいいから力ずくで止めて欲しいのに、みんな私の奇行に固まっている。
 先生はまだこないのだろうか……。
 少しでも時間を稼ごうと、必死に体の動きに抗おうとしたが何の効果もなく、私の体はスカートをたくし上げて腰の辺りで纏めて手で抑えた。
 お尻もアソコも、丸見えになってしまった。



「……っ!」
 恥ずかしい、なんてものじゃない。あまりのショックに胸のあたりがヒヤッとした。悲鳴を上げたくても、声を出すことすらできないようだった。それでも涙は出るみたいで、後から後から溢れてきて頬を伝い流れ落ちていった。
 私の代わりを務めるかのように、クラスの女子数人が「キャー」と悲鳴を上げる。何故か私には、その声がずっと遠くから聞こえてきたような気がした。それほど小さな声に思えたのだ。
 ふと周りを見回してみると、さらに何人かの男子と女子が口々に何か叫んでいたが、私には何も聞こえなかった。みんな、どうも変だ。
 いや、おかしいのは私なのだろうか。でも私は今、こんなにも冷静に周囲の状況を見ることが出来ている。なんだ、やっぱりおかしいのはみんなの方じゃないの。
 なぜだか無音で取り乱しているクラスメイト達を見下ろしていると可笑しくなって、私はクスリと笑った。本当はもっと大笑いしたかったけど、体が思うように動かなかった。
 机の端から端まで足を広げて、ゆっくりと腰を落として中腰の姿勢を取る。別にそうしたかった訳ではないけれど、勝手にそうなったのだ。変なの。私はまたクスリと笑った。
 私の体は、今度はお腹とお尻の穴に力を入れ始めた。これじゃあ、ウンチが出ちゃうじゃないの。可笑しくてクスクス笑っていると、お尻の穴から下品な放屁が漏れた。
 ブーッと大きく鳴ったその音だけは、何故か正常に私の耳へと届いた。それからすぐに、教室のざわめきがだんだんと聞こえるようになってきた。そしてオナラの臭いが鼻を衝くと、私は完全に我を取り戻した。
 私は無意識のうちに、スーッと思いっきり息を吸い込んだ。
「いやあああああああ!」
 力の限りの大絶叫は、先程とは違い、どうしてだかちゃんと発することができた。教室中に響き渡り、クラスのみんなが再びシーンと静まり返った。
 剥き出しの性器とお尻の穴を完全に見られてしまっている現実に耐え切れず、もう一度叫び声を上げるために大きく息を吸い込もうとしたが、強烈な便意を感じて私は反射的に硬直した。
「で、出るっ。出ちゃうっ! 助けて! 誰か助けて! 早く助けてよお!」
 涙で顔をグチャグチャにして泣きじゃくりながら、誰ともなしに助けを求めるが、応じてくれる人はいない。
 お尻の穴からウンチが顔を出した感覚がして、息の詰まる想いがした。
 硬くもなく、かといって軟らか過ぎもしない自然便がムリムリと押し出されていく。ある程度まで排出すると、途中で切れてボトリと落下した。
「ひっ……」
 すぐ後ろから声がした。私はそこで、今更ながらに気が付く。礼奈の机の上で前を向いて中腰になっているということは、その席に座っている礼奈の眼前に、私のお尻があるということに! さっきの放屁が礼奈の顔に直撃しているだろうということに! 私のウンチが礼奈に降り掛かっているだろうということに!
 惨状を確認するために後ろを振り返りたかったが、体は言うことを聞いてくれなかった。それどころか、お尻の穴をパクパクさせて、さらにウンチをひり出していく始末だ。ボトボトと途切れ途切れに、おそらくは礼奈のスカートの上に落ちていく。
 ムワッとウンチの臭いが辺りに漂った。それは、消臭剤の置いてある水洗トイレでは決して嗅ぐ事のない、はっきりとした強い臭いだった。
 教室はもう大騒ぎだ。泣いている子や面白がっている子、興奮している子、それと私を非難している子。人によって反応は様々だった。でも私を机の上から引き摺り下ろそうとする人はだれもいない。
 いつの間にか、周囲の席の子達はみんな逃げ出していて、私は空席に囲まれていた。
「ううっ、ひっく……ひ、ひぐ……」
 唯一、私のすぐ後ろに座っている礼奈だけは、その場に留まってただ泣いていた。ウンチを掛けられてしまい、どうすればいいのか分からなくなったのだろう。
 ウンチを出し終わった私も、下半身丸出しの中腰のまま、どうすればいいか分からずに声を殺して静かに泣いていた。
 けれどもこの悪夢はまだ終わらなかった。
 私の体は、またお腹とお尻の穴に力を入れ始めたのだ。
 一瞬、何が起きたのか分からなかった。だって、もう出るものなんてないのに。
 秋山君の言葉通りに、クラスのみんなの前でウンチしたのに、なんで私はまだしようとしているの?
 混乱する私の心を無視して、私の体はお尻の穴をヒク付かせながら気張っていた。  プスーッと気の抜けた放屁が漏れる。激しい喧騒の中でその音は掻き消されたが、風圧と臭いをモロに受けた礼奈が「ウッ」と呻いた。
 死にたくなった。秋山君とセックスしていた時も、何度もそう思ったけど、今この時は、本当の本当に死んでしまいたかった。
 今すぐ窓に走り寄って、この二階の教室から飛び降りてもいい。二階くらいでそう簡単に死ねるとは思えないけど、少しでも死ねる可能性があるのなら、今すぐ試したかった。
 けど私は、出もしないウンチを出そうと踏ん張っていることしか出来ないのだ。
 気が狂いそうだった。さっきみたいに、いや今度はずっと頭がおかしくなってしまえば楽になれるのにと、私は本気で思った。
 色んなことがありすぎて頭がボーッとし始めた私の目に、教室の隅でこっちを見ている秋山君が映った。
 彼を見て、私はやっと理解する。
 昼休みに彼は「脱糞しろ」と二回言った。だから今、私は彼の二つ目の命令を実行しようとしているのだ。
 ワザとなのか偶然なのかは分からなかった。しかしどちらにしても、この悲惨な現実には変わりがない。出るはずもないウンチを出すまで、ずっとこうしていなければならないのだ。
 そこまで考えた時、絶望に苛まれて目の前が真っ暗になった。比喩でもなんでもなく、視界がブラックアウトした。
「ああああああぁー!」
 全身の力が抜けて、私は言葉にならない悲鳴を上げながら、中腰の姿勢のまま、ゆっくりと後ろに倒れていった。
 プスッと小さな放屁を発しつつ、ウンチまみれで泣いている礼奈に向かって、お尻から突っ込んでいく。
 私の正常な思考はここで途切れた。
 自分の物でなくなるのならば壊れてしまえ、という秋山君の思い通りに、私の心は破壊され尽くして永遠に壊れたままになったのだ。
 それは、一年近く秋山君の彼女として好き放題されてきた私が、ようやく彼から自由になった瞬間でもあった。



 メニューに戻る  官能小説一覧に戻る


Copyright(C) 2007 空想地帯<挿絵付きSM系官能小説サイト> All Rights Reserved.