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オイゲン・シュタットフェルト男爵が、秘密警察という不名誉な仕事を生業にするようになってから、十年の月日が流れようとしていた。 名誉とは無縁のこの組織は評判が悪く、進んで入りたがる貴族は皆無であり、秘密警察における唯一の貴族であるオイゲンは、組織内である程度の影響力を行使出来る立場にあった。 オイゲンはその影響力を、若い女の尋問を一手に請け負うという、ただその一点にのみ費やしてきた。上申して尋問をこちらに回してもらうのは簡単だが、殺しさえしなければ何をしても良いという尋問は、秘密警察の中でも人気が高い。組織内で反感を抱かれないように、根回しやフォローで多くの人脈や圧力が必要なのだ。 この十年間に、オイゲンがこの手で犯し、汚し、責め抜いてきた女の数は、三桁にすら届くだろう。その中には、高貴な生まれの者や裕福な生まれの者も多数含まれている。トルネオ大佐の軍事独裁政権であるこの国では、大佐の政敵になりうる有力者が次々に思想犯として逮捕拘禁され、オイゲンの尋問室に送られてくるのである。 ところがそれも、ソ連邦の崩壊で一変する。名実ともに社会主義の旗頭だったソ連が消え去ると、西側諸国の外圧と民主化を求める民衆によって、トルネオ軍事政権は風前の灯火となった。いち早く状況を見極めたオイゲンは、秘密警察に送られてきた民主化運動の指導者に取り入って、彼が釈放されるよう手を打った。 民主化運動を主導するグループに恩を売ったつもりだったが、その指導者はオイゲンの予想以上に有能であるらしかった。トルネオ大佐は、数ヶ月後にオイゲンが解放した指導者によって逮捕され、処刑を待つ身になったのだ。間接的にではあるが、オイゲンはトルネオ軍事政権打倒に手を貸したのである。新政権での私の立場は保障されたも同然だった。 そして、今。 オイゲンの目の前には、全裸の少女が拘束されていた。 薄暗い地下室において、唯一の明かりである旧式の電球が、幼いながらも透き通るように綺麗な彼女の肌を照らし出している。 天井から垂れ下がっている鎖に、両手を頭の上で繋がれている少女は、屈辱に表情を歪めながらもキッとオイゲンを睨み付けていた。 「この裏切り者! 恥を知れっ!」 額に青筋を立ててオイゲンを罵るこの少女の名は、ルルカ・トルネオ。軍事政権の最高責任者だったトルネオ元大佐の一人娘である。 地下の尋問室には、オイゲンとルルカの二人しかいなかった。いつもなら数人掛かりで尋問を行っているのだが、最高権力者だったトルネオ大佐の娘をじっくり嬲るために、オイゲンが部下達を追い払ったのである。新政権の指導者に借りを作っているオイゲンに逆らえる者は、今や秘密警察には皆無だった。 「早く鎖を外しなさい! 私を誰だと思っているのよ!」 ルルカは尋問室に連行されてきた時から、大声を上げて文句を言い続けていた。幼い彼女は、まだ自分の立場を正確に把握していないようだった。 「元気のいい糞ガキですねぇ。やはり甘やかされるばかりで、誰も躾をしてくれなかったのですか?」 オイゲンが慇懃無礼に応じると、ルルカはますます怒り心頭になり眼つきを鋭くする。 「何よアンタ! 裏切り者の分際で!」 よほど独裁政権崩壊のきっかけを作ったオイゲンに腹を立てているのか、彼女は全裸で拘束されていることも忘れているようだった。 それを思い出させてやろうと、オイゲンはゆっくりとルルカに近付いていった。 「な、なによ?」 問い掛けを無視して少女の目の前に立ち、無防備な乳首を摘まみ上げる。 「ああっ! な、何してんのよ! 離しなさい! 離しなさいよ!」 叫んでいるルルカの顔が、恥辱にまみれてみるみる赤くなってくる。 オイゲンは彼女の反応に満足して乳首から指を離した。 「そろそろ、気付いて欲しいものですな、ルルカ様。名門貴族のお歴々ですら貴女のような子供に頭を下げて媚びを売っていた時代は、もう終わったのです。今はこの通り、貴族の端くれでしかないこの私、オイゲン・シュタットフェルト男爵に尋問を受ける身なのですぞ」 「た、たかが男爵風情がこの私を……っ!」 ルルカは不服そうに唇を噛み締めた。 「それにしても、随分と幼い体つきをしておりますな」 「み、見るなっ!」 オイゲンがしげしげと少女の身体を見つめると、ルルカは身をくねらせて恥らった。 彼女の子供っぽい身体には、女性的な胸の膨らみや腰のくびれはまだほとんど見られない。手の平で簡単にすくい取れるほどの小さな胸は、最近になって膨らみ始めたばかりなのが明らかだった。股間にはうっすらと産毛が生えているのみで、くっきりとした割れ目を覆い隠すものは何もない。小さな体を支えている足や、頭の上で拘束されている腕も、大人の艶かしさとは無縁で、細く可愛らいものだった。 「年齢から考えるとそれほど幼いということもないですが、しかしどうでしょうか。それでもご学友と比べると、若干成長が遅い部類に入るのではありませんか?」 「だ、黙りなさいっ!」 オイゲンに全身を舐めるように観られ、ルルカは顔を真っ赤にして身悶えしていた。子供の身体をしてはいるが、子供のように裸体を晒すことには抵抗があるという、微妙な年頃らしい反応だった。 「ルルカ様は今ひとつ現状に対する理解が欠けていらっしゃるようなので、貴女の置かれている現在の立場を説明させて頂きます」 「ふ、ふんっ。勝手にしなさいよ」 「まず、貴女が今まで贅沢三昧をしてこれた唯一の理由であるお父上ですが、既に逮捕拘禁され、公開ギロチンを待つ身でございます」 「アンタのせいじゃないのっ!?」 少女の抗議を無視してオイゲンは話を続ける。 「強権的な独裁政治で相当に国民の怒りを買っておりますから、きっと民衆から罵詈雑言を浴びせられながら惨めに首を刎ねられるのでしょうな。首と胴を切り離される時、民衆からは喝采が湧き上がることでしょう。いやあ、これほど悲惨な死に方もそうはありますまい」 「ひ、ひどい……」 「おや? 何を他人事みたいに言っているんですか?」 「誰がっ! 他人事なんかじゃないわよっ! 私のお父様のことなのよ! 私にはすごく優しいお父様なのに! アンタには分かんないでしょうね、本当のお父様の優しさなんか!」 「本当の……? いやいや。身内に優しくすることなんて、誰だって出来ますよ。ダイレクトにメリットとして跳ね返ってくるのですからね」 「は、はあ?」 「この場合のメリットというのは、娘である貴女の信頼です。優しくするといっても、別に身を削って何かをするという訳でもなく、ちょっと甘やかしたりご機嫌を取ったりといった、どうせそういう簡単なことだけでしょう? そんなことくらいで娘の信頼を得られるんだから、そりゃあ優しくするくらい外道のお父上でも出来るでしょう。身内に優しくすることほど、ローリスクハイリターンなことはない」 「……ふうん。よく分かったわ」 「おや、分かって頂けましたか。意外に物分かりが――」 「違うわ。アンタが鬱屈したツマンナイ奴だってことが分かったのよ。恋人いないでしょう? 寂しい人生送ってきたってのが丸分かりよ」 「この状況でよくそんなことが言えますねぇ……。もっとも、すぐに今のセリフを死ぬほど後悔することになるでしょうが」 オイゲンの目が細められ、冷たい光を帯びた。 それを見たルルカは思わず息を詰まらせる。 「どうしました? そんなに怯えないで下さいよ。まだ尋問は始まっていないのですから」 「お、怯えてなんかいないわよっ!」 虚勢を張るルルカに対して、オイゲンは肩を竦めた。 「何のメリットもない赤の他人に対してどこまで無条件でリスクを背負えるかが、本当の優しさを量る指標だと言いたかっただけなんですがね。そういう観点で見ると、お父上は処刑されても同然のクズだと私は思うのですよ」 「ア、アンタがそれを言うの? お父様の権力に寄り掛かって生きてきた貴族のアンタが! 私、ちゃんと覚えているわよ。社交界でアンタと会った時、私に媚びへつらっていたことを!」 「それについては返す言葉もありませんが……。苦しくなってきたので話を戻させて頂きます。先ほど貴女の言い草が他人事みたいだと言ったのは、別に貴女がお父様の処刑に対して何も感じていないと言ったのではありませんよ」 「な、何よ? 何が言いたいのよ?」 「ですから、貴女に取ってお父様の処刑は他人事ではないのです。なにしろ、貴女自身も処刑台に上ることになるのですから」 「え……?」 「いやはや、その年でギロチンに掛けられるというのは何とも気の毒な話ではあるのですが、これも時代の流れと思って諦めてください」 「い、嫌よっ! なんで私までっ!?」 「お父様の権力を笠に着て好き勝手に贅沢三昧の暮らしをしてきたのは、国民にも周知のことですからな。目立ちたがりな性格が災いしましたね。首だけになってしまったルルカ様に、民衆は唾でも吐き掛けてくるかも知れませんが、後で私が拭いておいて差し上げますのでどうかご安心下さい」 オイゲンは慇懃な仕草で胸に手を当てて、少女に向かって深く頭を下げてみせた。顔を上げてルルカを見ると、彼女は可哀想なくらい蒼褪めていた。 「嫌……そんなの嫌よ……。ギロチンなんて……怖い、怖いわ……」 ルルカの全身がブルブルと小刻みに震え始めた。彼女の両手を頭の上で拘束している鎖が、ジャラジャラと小さく金属音を立てる。 「やれやれ、ようやくご自分の立場がお分かりになりましたか。大人しくなったところで尋問を始めたいと思うのですが、どうせ貴女はお父様の所業については何も知らないのでしょう?」 「そ、そうよ! 私は関係ないわ! 私は、私は……」 そんなところだろうな、とオイゲンは思った。トルネオ軍事独裁政権が続いていれば、この我意の強い少女が政治に口出しするようになるのは時間の問題だっただろうが、そうなるのは少なくとも数年は先の話だったろう。今はまだ幼すぎる。 とはいえ、ハイ分かりましたと引いていては尋問したことにはならない。我儘なだけで何の力も持っていなかったことが明白だとしても、一応は酷く責め抜いて問い詰め、その結果何の情報も得られませんでしたと報告しなければならないのである。お役所仕事の辛いところだった。 「し、死にたくない……。死にたくない……」 ルルカは啜り泣きながら同じ言葉を繰り返していた。 「実はですね、ルルカ様。貴女が新政権にとって有益な情報をもたらせば、命だけは見逃してもらえる可能性はあるのですよ」 それは出鱈目だった。トルネオ大佐の一族は女子供に至るまで皆殺しにすることが既に決定している。そもそも、今さらルルカの口から出る情報など、誰もまともには取り合わないだろう。 必死に命乞いをするルルカの姿を見たいがためについたオイゲンの嘘である。 「わ、私……知らないの。本当に何も知らないのよ……」 「それは困りましたね。まあそれでも、この私が口添えすればなんとかならないこともないですよ」 「え……?」 「処刑されたくなければ、私に頼んでみたらどうですか?」 「た、助けなさいよ!」 オイゲンはやれやれと首を振った。 「それが人に物を頼む態度ですか? まるで成っていませんね。頭の下げ方くらいは、貴女に媚びへつらってきた大人達を思い出せば分かるでしょう。やり直しです」 「な、何よ! たかが男爵ごときが偉そうにして!」 「たかがと言うのなら、それこそたかが死刑囚が、貴族であるこの私に暴言を吐くなど許されざることでしょう」 オイゲンは腰に備え付けてある一本鞭を手に取った。長年に渡って愛用してきた仕事道具である。 「何か知っている情報があれば思い出せるように、私が手伝って差し上げます。何かのキッカケで忘れていたことを思い出すなんて、よくあることですからね。痛みによるショックなどは最適ではないかと存じます」 そう言ってオイゲンは鞭を振るった。金や権力を持っている何百人もの女達を傷付けてきた年季の入った鞭が、最高権力者であるトルネオ大佐の娘を打ち据える。ビシィッとルルカの腹部を横に薙ぎ払うように痛打する。 「ぎゃあああぁぁっ!」 少女の口から出たとは思えぬような、苦痛に満ちた低い声が地下室に反響した。彼女の手を頭上で拘束している鎖が揺れ、キィキィと金属音が鳴った。 赤く細い鞭痕が、ルルカの腹を横切る形で浮かび上がり、ふっくらと腫れ上がってくる。 「ひ、ひいぃっ」 熱い痛みが駆け上がってくる恐怖に、哀れな少女は歯の根も噛み合わぬほど震えた。 彼女に見せ付けるようにして鞭を振り上げると、ルルカは恐怖に歪んだ表情になり目を見開いた。 「あああっ! 痛いぃっ! やめてっ! やめてぇっ!」 「やめて欲しかったら、もっと丁寧に頼んでみてはどうですか? 社交界で貴女に頭を下げていた私のことを思い出して、その通りにすればいいのです」 少女はボロボロと泣きながらオイゲンの目を見つめた。 「ああ、ど、どうすればいいの……? お、覚えていないのよ……」 「おや? 先ほど私のことを覚えていると仰っていたはずですが?」 「うう……」 ルルカは膝をガクガクさせて竦み上がっているだけで答えようとはしなかったが、その様子を見ただけでオイゲンは全てを察する。 「そうですか。覚えてもいないことを適当に言っただけでしたか……。私は見事に騙されてしまったというわけですね。まあ確かに、私も一応は貴族の端くれですから、貴女に媚びへつらっていたのも予想できるでしょうが……。いやはや、こんな小娘に私も舐められたものです。やってくれましたね、ルルカ様。初めてですよ、この私をここまでコケにしたお嬢様は」 淡々と喋っていたオイゲンは一旦言葉を止めて、フーッと嘆息した。 「…………ゆ、許さん。絶対に許さんぞ糞ガキが! ジワジワと嬲り殺しにしてくれる!」 「ひ、ひぃっ」 いきなり語気を荒げたオイゲンに驚いて、幼い少女の身体がビクリと振動した。 「あ、ああ……」 身震いしたルルカの股間から、チョロチョロと小水が太ももに流れ落ちていった。足を伝い、冷たい石造りの床に薄黄色の水溜りが出来ていく。 「ははっ、ははははは! どうしたのですか、ルルカ様! 情けないですよ! しっかりなさってください!」 「う、うああっ! うあああっ!」 ルルカはボロボロと泣き濡れた。太ももを伝う生温かい感触が惨めでならない。身を切られるような恥辱に頭の中が真っ白になる。 「やれやれ、所詮はただのワガママ娘でしたか。こんなガキに一杯食わされたかと思うと腸が煮えくり返ってきますね。もう一発いっておきますか」 オイゲンがおもむろに鞭を振り下ろした。 鞭はルルカの右胸を斜めに打ち払い、小さな乳房をブルンと揺さぶった。 「ひああああっ!」 ルルカは喉を逸らして悲鳴を上げる。成長途中でまだ硬さの残る乳房を襲った強烈な刺激に、意識が磨り潰れそうなほどの激痛が生み出される。右胸に刻まれた赤い線から燃え上がるような熱が湧き上がり、背中を仰け反らせて痙攣した。 「い、痛いっ、痛いいぃぃっ!」 涙を流し、鼻水すら溢れさせて恥も外聞もなく泣き腫らす。 「さあ、私にお願いするのですよ。でないとまた鞭で打ちますよ?」 「いやっ! 鞭はいやあっ!」 「だったら懇願しなさい。誠心誠意、まごころを込めれてお願いをすれば、配慮して差し上げますよ」 勝ち誇った笑みを浮かべているオイゲンに怯えながら視線を向け、ルルカは身を縮ませて切り出した。 「もう、やめてください……。痛いこと、しないでください……」 生まれて初めて口にした他者に屈する言葉は、かすれた泣き声な上に途切れ途切れだった。 「ようやく態度を改めることが出来ましたか。お父上の御威光がなければ、自分がいかに非力で無力な存在であるか、身に染みましたか?」 「ううう……」 「返事をしろ!」 オイゲンが怒鳴り声を上げ、鞭で地面をピシリと打つと、ルルカは肝を冷やしながらコクコクと頷いた。 「ちゃんと言葉に出して答えてください。また鞭が欲しいのなら別ですが?」 「あ、う……」 歯の根が噛み合わずガチガチ鳴らしているルルカに対して、オイゲンは悦に入り冷笑を浴びせた。 「ルルカ様、もう一度お聞きします。これが最後のチャンスですよ。ご自分の立場がお分かりになりましたか? まあ、答えたくないのでしたらそれでもいいのですけど」 「あ、わ、分かりました」 「何がお分かりになったのですか?」 「だ、だから、私の立場が分かりました……」 「なるほど、いいでしょう」 オイゲンが満足げな笑みを浮かべて間近まで近づいてきた。 震えているルルカの鎖が解かれ、拘束具から自由になる。 疲労困憊の少女はフラフラとよろめいた後、ペタンと地面に座り込んだ。 「あうう……」 鎖で括られていた手首を痛そうに擦っているルルカの目からは、未だに涙がポロポロと零れ落ちている。独裁者の娘としてやりたい放題やってきた少女の末路だった。 「何をボーッとしているのですか? 鞭打ちを免れたからといって安心していてもいいのですか? 貴女には処刑が待っているのですよ? 私にお願いしてギロチンを辞めて欲しくはないのですか?」 ルルカは慄きながらオイゲンを見上げ、潤んだ声を上げた。 「た、助けて……。助けてください。私はまだ死にたくない、です……」 「ふうむ。しかし、もはや失脚した独裁者の娘でしかない貴女を助けて、私に一体どんな利益があるというのですか?」 「あ、え……? そ、それは……」 「ルルカ様に残っている存在価値は、そうですね、その身体がまだありましたね。幼いながらも美しい裸体ではありませんか。もっとよく見せて頂けませんか?」 「そ、そんなこと……」 「ああ、嫌ならいいんですよ? 私は別に、ねえ? いやいや、本当に。私はロリコンではありませんから、貴女が見せたくないというのなら、別に見たくはないのですよ。まあしかし、見て欲しいというのなら、その期待に答えるのにやぶさかではありませんが?」 幼い少女を裸にして拘束したオイゲンが、ぬけぬけとそんなことを言ってのける。 「い、嫌じゃない、です。見て欲しいです……」 ルルカは悔しさに表情を歪ませながら舌を動かした。 「それでしたら、ルルカ様。床に寝て足を広げて頂けますか?」 「……わ、わかったわよ」 「ん? なんですか? 今、生意気な小娘の言葉が聞こえたような気がしたのですが、ひょっとして鞭がご入り用ですか?」 「ち、ちがうっ、違いますっ! わ、分かりましたと言いました!」 「……まあ、いいでしょう。一度だけなら見逃して差し上げますので、貴女はやるべきことをやってください」 「は、はい……」 シクシクとすすり泣いている少女はホッと息をついた。鞭の激痛を味わうのだけは二度と御免だった。恥ずかしい部分を曝け出すのも耐え難いが、それでも鞭よりは遥かにマシに思える。 ルルカは冷たい石詰めの地面にそっと背を横たえ、ゆっくりと足を開いていった。 開帳された股間の割れ目は、僅かだがピンク色の粘膜を露わにし、秘めやかな膣口を覗かせている。そこは極度の羞恥心のせいで、ヒクヒクと小さく収縮を繰り返していた。 「もっと足を開くのですよ、ルルカ様。ご自分で太ももを持ってグッと広げるのです」 「うう……」 顔を真っ赤にしながらルルカは両足を掴んだ。オイゲンの言う通りに、ガバッと足を広げる。 「素晴らしい。余計なビラビラがはみ出ておらず、綺麗な一本筋の中にひっそりと息づく膣口が堪りませんな。どれどれ……」 オイゲンが両手を伸ばし、割れ目の両岸に親指を置き、グイッと外側に引っ張った。 「ひあんっ!」 思わずルルカは声を上げる。秘裂の内側を剥き出しにするのは初めてのことで、未知の感覚に得体の知れない不安が湧き起こる。割れ目の粘膜が冷たい空気に曝され、恥裂を剥き出しにされていることを嫌でも実感させられた。 「貴女のオマンコは瑞々しいピンク色をしておりますぞ、ルルカ様。もちろん処女なんでしょうな?」 大股開きをして震えているルルカの顔を、オイゲンが身を乗り出して覗き込んできた。 「処女ですか?」 「は、はい……」 「処女なのですか?」 「はい……」 「処女なのでしょう?」 「しょ、処女です……」 少女がそう答えると、ようやくオイゲンは満足して秘裂から指を離し、いそいそと衣服を脱ぎ捨てて全裸になった。 ルルカはその様子を絶望に暮れながら見上げていた。いつのまにか止まっていた涙が、またしても溢れ出してくる。 「ほうら、ルルカ様。このチンポが、ルルカ様を少女から大人の女にしてくれるのですよ」 全裸になったオイゲンが誇るようにグッと腰を突き出した。その股間からは、醜悪な巨根が先端から涎を垂らしてそそり立っている。 濡れ光るキノコ状の亀頭が恐ろしくてならず、ルルカは「ひぃ……」と怯えた声を漏らした。初めて見る男のペニスは、漠然と想像していた姿形よりも、ずっと凶悪そうで野太かった。 だがルルカは恐怖で震え上がりながらも、大股開きの太ももを持っている手を離したりはしなかった。オイゲンに見捨てられてギロチン台に掛けられることだけは、絶対になんとしても避けなければならないのだ。 ルルカがこの世に生を受けてから、まだ十数年しか経っていない。寿命を迎えるまでのあと何十年かは、人生を謳歌しながら自由に生きていたいし、それが当然のこととして、ほとんど意識したこともなかった。 そしてそれ以上に、死への恐怖は堪えようもないほど強大で抗し難い。何も感じることもなく、何も考えることもなく、自分の存在が全くの無になってしまう。それが死ぬということなのだ。本能的且つ深刻な畏れを抱かざるを得ない。 オイゲンの怒張がピタリと膣口に触れると、ルルカは「うっ、うっ」と声を上げて泣き出した。 「おやおや。トルネオ大佐のご息女ともあろうお人が、幼女のように顔を歪めて泣き腫らすとは、みっともないですぞ。私が大人の女にして差し上げましょう」 先走り液でヌメヌメと濡れている肉棒が、ルルカの幼い秘唇を抉じ開けて膣穴に押し入ってきた。先端が僅かに沈んだだけで、うぶな膣口はグニャリと歪められ、無理やりに広げられていく。 「ああああっ! 痛い! 痛いぃっ!」 肉壁が裂けるかのような激痛が走った。それまで顔を起こして股間を見ていたルルカは、背中を仰け反らせ首を後ろに垂れて泣き叫ぶ。 自身の両足を掴んでいる手に力が入り、十本の指がググッと太ももに埋もれる。 「痛いですか? ですが、まだ先端が少し入っただけですぞ」 オイゲンは容赦なく腰を押し進め、きつく閉じ合わさっている秘肉に陰茎を捻じ込んでいく。 亀頭の傘部分が膣道を抉り抜き、ルルカの総身が激痛に悶える。 「うぎぎっ……! 痛いってば! 痛いって言ってるでしょ!?」 泣きながら痛みを訴える少女の叫びに、オイゲンは動きを止めて口を開いた。 「おや? ひょっとして今、私に向かって言いましたか? 死刑囚がこの私に対して声を荒げるなど、自殺行為にも等しいと思うのですが?」 「う、ううう……」 「もう一度言ってみてください、ルルカ様」 「……い、痛い、です」 「ふむ、なるほど。痛いですか。しかし私は気持ちが良いのですよ。ここでやめても私は一向に構わないのですが、どうされますか?」 「え……?」 「まあもちろん、私が満足しなければ、ルルカ様の処刑は確実に行われるでしょうが」 「や、やめなくても、いいです……」 ルルカは大股開きの体勢を保ったまま、ポロポロと涙を零してすすり泣いた。 「何をやめなくていいのですか? はっきり言って頂かないと、分からないじゃないですか」 「……セ、セックスです。セックスをやめなくてもいいです」 「やめなくてもいいと言われても、私は別にどうしてもやりたい訳ではないのですが?」 「し、してくだい……。セックスしてください……」 「そこまでお願いされては仕方ありませんね。では!」 再びオイゲンの怒張が膣道を突き進み始めた。 「はうっ……」 鋭い痛みに息が詰まる。自分でお願いした結果だからこそ、その痛みを余計に辛く感じてしまう。 未通の秘穴をおぞましい肉塊が押し入っていき、先端が子宮口をズンッと突いた。 「ひああっ!」 「おや、狭苦しい穴ですねえ。まだ私のチンポは入りきっていませんよ?」 そう言いながら、オイゲンはルルカの腰をガッシリと掴み、無理やり肉棒を根元まで捻じ込んだ。 「あ、あああ……」 かつてない激痛と強烈な圧迫感に襲われ、ルルカは悲鳴を上げることすら出来なかった。見開いた目からは止め処なく涙が流れ落ち、パクパクと開閉を繰り返す唇の端からは涎が垂れている。 初潮が来てからまだ間がない小さな身体に、オイゲンの巨大で猛々しい怒張を受け入れるのは、いくらなんでも早過ぎたのだ。 オイゲンが腰を引き、一物がズズッと僅かに引き抜かれた。陰茎が突き刺さり無残に広げられている膣口から、トロトロと鮮血が溢れ出してくる。 「おお、ルルカ様、破瓜の血ですぞ。この私のチンポによって、貴女が大人の女になったという証拠です。どうぞご覧になってください」 「うう……」 ルルカはうめきながら首を振って拒んだ。初めてのセックスは痛いというのは知っていたし、血が出るということも知っていた。けれどこの痛みはいくらなんでも尋常ではなかった。裂けてしまったのではないだろうかと、そんな危惧を抱き、心底からの恐怖に囚われた。掴んでいる足がガクガク震えて安定を欠く。 蔑むような目でルルカを見下ろしていたオイゲンが、体を躍動させて処女の内粘膜を蹂躙し始めた。 「うっ……うああっ……痛いっ! 痛いっ!」 ゆっくりとしたストロークではあったが、未経験の膣壁は巨根が出入りする度に痛苦を訴えてくる。膣粘膜が抉られ、肉棒が引かれるごとに破瓜の血が股間に筋を作っていく。 「いい締まりですぞ、ルルカ様。これがトルネオ大佐のご令嬢のオマンコかと思うと感無量です」 「うぎぎぎ……」 脊髄が磨り減るかのような激痛を味わいながら、ルルカは悪夢のような汚辱にわなないていた。 つい昨日までの恵まれた環境が嘘のようだった。生まれた時から何不自由のない暮らしをしてきたルルカにとって、贅沢三昧の日々を送るのは当たり前のことだった。壮年で男爵位のオイゲンはもちろん、彼よりもずっと年を取っていて爵位も遥か上の大貴族ですら、幼い少女に媚びへつらってくるのである。ルルカはそれが未来永劫続くものだと信じて疑わなかった。自分はずっと周りから持ち上げられ、死ぬまで誰にも頭を下げることなく生きていくのだろうと、そう思っていた。 「うあっ……あああっ……うぎぃっ……」 なのに、男の下でいいように身体を揺すられ、惨めに苦痛の声を上げている今の状況はどうだろう。情けないという言葉では到底表現できないほどの屈辱を極めている。 こんなことは有り得ない。これは悪い夢なのではないか。この地下牢に繋がれた時、そんなことを半ば本気で考えていた。そしてそれ以上に、そのうち父が復権して何とかなるのではないかなどと、そう考えていた。認めたくなかったのだ。自分の立場が地の底に落ちてしまったことを。 「うぐぅ……」 下種な亀頭で子宮口を小突かれ、ルルカは苦しみに満ちた息を吐いた。 処女を失うまでは、何の根拠も無くなんとかなるんじゃないかと思っていたが、そんな現実逃避も、股間を伝う生温かい鮮血の感触が追い払ってしまう。ついに汚されてしまったのだと自覚すると、深く暗い絶望が心を侵食していった。 「だんだん私のチンポに馴染んできましたかな? そろそろギアを上げていきますので、お覚悟のほどを」 「あ、う……」 やめろと喚き立てても、聞き入れてもらえないことは分かり切っていた。それでも諦めきれず、唇が僅かに動いた。 「う……」 「ん? 何でしょうか? ルルカ様」 「……や、やめて。やめてください。もう許して下さい」 「しかしながら、途中で止めてしまうと、ルルカ様のお命が消えてしまいますぞ」 「も、もういい。どうなっても、いい……」 独り言のように小さな呟きだったが、それはルルカの本心だった。これ以上の激痛を回避できるのならば、後のことはもうどうでもよかった。 さめざめと泣いているルルカを、オイゲンは「ふうむ」と唸りながら見下ろした。 「そう自暴自棄にならなくてもよろしいでしょう。今はそうして悟った気になっていても、ギロチン台に首を固定されたら、どうせ泣き叫んで後悔することになると思いますがね」 「…………」 彼の言う通りかも知れないと思ったが、ルルカはそれでも前言を撤回する気にはなれなかった。 「ふう、やれやれ。分かりました。ルルカ様の意向はそれとして、私は私の意向に沿うように行動するのみです」 オイゲンの言葉を受けてルルカが反応する前に、猛烈な抽送が開始された。苛烈な勢いを持ってオイゲンの腰が弾み、膣口に埋まった肉棒が暴れ回って蠢動する。 「あああっ! やっ! やめてっ! もうやめてえっ!」 とっくに嗄れ果てたと思っていた喉が、恥部の激痛に押されて絶叫を搾り出す。激しい出し入れはそれほどまでに耐え難い痛苦をもたらし、ルルカの心身を直撃しているのだ。 「こんな中途半端で止められるわけがないでしょう! ルルカ様はもう少し男のことを勉強した方が良い! 私が今この場でしっかりとお教えして差し上げましょう!」 荒っぽい振動を繰り出しながら強弁を震うオイゲンの口から、いくつもの唾がルルカの顔に降り注いだ。ルルカはそれさえも気にならないほどの激痛の渦中にあった。大股開きを保っていた太腿も意識から外れ、今まで健気に掴んでいた手が離れる。自由になった足は強烈な突き込みに合わせてブラブラと揺れた。 「ひっ……ひいいっ……ひいっ……」 秘めやかな部分を否応無く蹂躙され、ルルカは全身をのたうたせた。燃え上がるような痛みは、穢れた肉杭に処女地を汚されている証しでもあり、あまりの嫌悪感に背筋がゾッとする。 「この締め付けは堪りませんな。やはり犯すのは少女に限る」 「うっ……ううっ……」 ポロリと漏れ出たオイゲンの本音に、身の毛もよだつ思いがして鳥肌が立つ。膣粘膜を掻き回している肉棹に快感が走っているのかと思うと、例えようのない不快感が湧き上がってくる。 「ルルカ様、そろそろ出しますぞ。貴女の中に、私の子種を注ぎ込ませてもらいますぞ」 「あ、あああ……そんな……」 ガンガン腰を突き込まれ、身体をガクガク揺さ振られながら、ルルカは助けを求めるかのようにオイゲンを見上げた。 「だ、出さないで……。中には出さないで……」 「何故ですか? なぜ中で出してはいけないのですか?」 「うう、こ、子供が、子供ができちゃう……」 「なあに、そのことでしたらご安心下さい。数日中に処刑されるルルカ様には無用の心配ですよ」 「ひっ……。イ、イヤッ! 処刑は嫌っ!」 ついさっき諦念の表情を浮かべていたルルカだったが、いま再び死の恐怖に支配されていた。腹の中に子供を宿したままギロチンに掛けられるという想像が、妙に心の奥底を刺激して、生への執着を呼び起こしたのだ。 「死にたくなかったらどうすればいいのか、お分かりですな?」 「あ、あうう……」 男根に膣道を摩擦されながら、ルルカは必死になって本意ではない言葉を口にする。 「な、中に出して下さい……」 「よろしい。美少女にそんなお願いをされて断れる男などおりますまい」 内粘膜を痛烈に穿り返していた肉棒が、グッと奥まで突き込まれ子宮口を圧迫してくる。 「ルルカ様、出しますぞ! ルルカ様っ!」 「ああ、は、はい……」 返事をすると同時に、ルルカは秘奥に熱い粘液を放たれたのを感じた。ドクドクと断続的に続く噴出が膣内を満たしていく。牡種がネットリと体内を広がっていく気持ちの悪い感触に、震えるほどの嫌悪感が全身を駆け抜けた。 オイゲンが腰を引くと、ズルリと一物が抜け出ていった。その後を追うように、中出しされた精液が出口へ向かって流れていき、膣口からトロリと垂れて白く濁った姿を見せる。破瓜の血と混ざり合って地面に垂れ落ちていく。 秘部を余すところなく汚されてしまったことを実感して、散々泣き腫らしたにも係わらず嗚咽が込み上げてきた。 「ううっ……う……うああっ……」 「ふう。ルルカ様のオマンコの具合は素晴らしいですな。これほどの名器をむざむざ処刑させてしまうのは惜しいくらいです」 ルルカは地面に手を着き、ノロノロと上半身を起こした。 「た、助けてください。お願いします」 「そうですねえ。助けたいのは山々ですが、私一人の力ではなんとも……」 「え……。く、口添えすればどうにかなるって……」 「ああ、アレは嘘です」 「………………」 怒りは沸いてこなかった。それよりも、目の前が真っ暗になるかのような絶望が胸を覆っていた。 「お、お願い……。助けて……」 「ですから無理だと申し上げたはずですが?」 「や、やってみないと分からないじゃない……」 騙し犯した相手に対して、咽び泣きながら頭を下げる。 「お、お願いよ。口添えだけでも……お願い、お願いします」 オイゲンはわざとらしく溜息をついた。 「やれやれ、仕方ありませんねえ。ではルルカ様、貴女自身も身体を張ってもらうことになりますが、よろしいでしょうか?」 「ど、どういうこと……?」 「新政権の有力者どものチンポを咥えまくれ、ということです。ルルカ様に媚を売っていた貴族も中にはいるでしょうが、彼らに頭を下げてチンポを咥えさせてくれとお願いするのですよ」 「うう……」 新しい民主政権の中枢に残っているような貴族というと、オイゲンのように民主化運動に加担した者しかいない。そんな裏切り者に向かって、今度は自分の方から媚を売らなければならないとは……。 あまりにも辛すぎる未来図に蒼褪めながら、ルルカはこくりと頷いた。 「や、やるわ……」 「ん?」 「やります……」 「良い心掛けです。ああ、それと……これは貴女の処刑とは関係ないことなのですが、実は私、独裁政権時代にあまり蓄財していなかったのですよ。実入りはそれほど悪くはなかったのですが、高貴なご婦人方の尋問を担当するために色々と必要経費が掛かりましてね。新政権では貴族は今までよりも冷遇されるのは確実です。功績のある私は要職に就けるでしょうが、これからは今までのような派手な儲けはできないでしょう」 「……?」 「一方で、今までせっせと平民から搾取して富を蓄えていた大貴族は、財産の大半を没収され官職を解かれてしまいましたが、彼らも心得たもので、隠し財産を大量に保有しております。つまり、大貴族たちは、金は持っているが暇を持て余しているのです。どうですか? もう予想は付いていると思いますが、ひとつ私の頼みを聞いてもらえませんかね?」 「う、ううう……」 ルルカはブルブルと震え出した。 「大貴族の中には、その無駄に高いプライドを貴女に傷つけられた者が、おそらく大勢いると思うのですよ。彼らに復讐の機会を与えてやれば、私の財布もいくらか厚みを増すことが出来ます。処刑の対策を練る前に、まずは今まで貴女が散々虐げてきた大貴族のお歴々のチンポを咥えて貰えると助かるのですが……?」 丁寧な頼み方をしてはいるが、もしルルカが断れば、そのままギロチン台へ送られかねなかった。 「ああ、嫌ならいいんですよ? 私は別に、ねえ? いやいや、本当に。私は守銭奴ではありませんから、貴女がやりたくないというのなら、別にいいのですよ。まあしかし、やらせて欲しいというのなら、その期待に答えるのにやぶさかではありませんが?」 少女を売り物にして私腹を肥やそうとしているオイゲンが、ぬけぬけとそんなことを言ってのけた。 「い、嫌じゃないです。やらせて欲しいです……」 ルルカは屈辱に顔を歪めながら、死ぬ思いで服従の言葉を吐き出した。シクシクと弱々しくすすり泣いている少女は、独裁者の娘として好き勝手やってきた代償の大きさに今更ながら気付き、愕然とした表情を浮かべた。 |