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学園始まって以来の天才、九条香澄のことを校内で知らない者はいない。そして彼女の姉である九条香織もまた、負けず劣らずの知名度を誇っている。だが伸二は、九条香織のことをあまりよく知らなかった。 香織は高等部に上がってからは、父親の秘書チームの一員として動き回っており、殆ど登校していないのである。高等部から入学した外部生である伸二が、一学年上の香織のことをよく知らないというのも無理のないことだった。 「で、九条香織とかいう奴は一体何なんだよ?」 放課後の屋上で、伸二は寝そべりながら香澄に聞いた。 今日久しぶりに登校してきた香織のことを、クラスメート達が教室で話題にしているのを聞いて、なんとなく気になっていたのだ。 伸二は一度だけ校内で香織を見掛けた事がある。確かに集団の中でもひと際目立つくらいの美人だったが、香澄だってそう負けてはいない筈だ。それでも中等部上がりの内部生の中には、九条香織を崇拝している者が少なくない。香澄ほど突き抜けて知能が高い訳でもないのに、なぜこれほどまでに注目されているのか。伸二にはさっぱり分からなかった。 「お姉ちゃんは、中等部で生徒会長だった頃に色々派手なことをやっていたみたいです」 香澄は伸二から数歩分離れた位置に立っていた。落下防止用の金網を掴み、グラウンドを見下ろしている。 「あー? 色々派手なことって何だよ?」 「生徒会長に就任直後、ただの雑用係になっていた生徒会を建て直して、政策チームに変貌させたんです。当時の生徒会の残した実績は、百八あった校則の過半数を超える削除及び修正に加え、放置状態だった旧校舎の部活棟としての再利用の開始、教師による体罰の禁止及び悪徳教師の左遷、などです。他にも細かいのを合わせるとキリがありません」 「ふーん……」 伸二は欠伸を噛み締めながら適当に相槌を打ち、仰向けに寝転んで目を瞑った。心地良い風に身を任せると、だんだんと眠気が訪れてくる。 「極端に保守的なこの学園の教師陣のことを考えると、お姉ちゃんの生徒会長としての実績は驚天動地と言っても良いと思います」 少しでも伸二を視界に入れたくない香澄は、グラウンドで活動しているサッカー部の練習に視線を固定していた。今にも眠りの底に落ちそうな伸二の様子にはまるで気付かずに話を続ける。 「一部の生徒の間では、お姉ちゃんの数々の改革は、親の病院から学園への多額の寄付金があってこそだと囁かれていますが、これは完全に間違いです。確かに今現在、私の父は寄付を行っていますが、それは出席日数の不足しているお姉ちゃんの卒業と、私の大学への飛び級を認めさせるために、最近になってから始めたことです。お姉ちゃんが中等部の生徒会長だった頃は、一切の寄付をしていないんです」 「…………」 「もっとも、そういう噂が飛び交うのも無理からぬところです。特に、教師の左遷を一生徒会長が成し得るなんて尋常ではないですから。これはお姉ちゃんが合法非合法問わずにかなり強引な手を使ったからなんですけど」 「…………」 全く返事が返ってこなくなり、香澄は不審に思って振り向いた。 伸二は静かな寝息をたてて眠っていた。仰向けで大の字になっている姿が、伸二の大柄な体を強調させており、香澄は僅かに恐怖感を覚えて小さく息を呑んだ。 「ん……」 香澄の萎縮が伝わり、伸二が眉を歪ませてノロノロと起き上がる。 「ふあー。なんだよ、話すのを途中で止めて良いって誰が言ったんだよ?」 「あ、え? 寝てたんじゃ……」 「寝てねーよ。ちゃんと聞いてたっつーの。……ふむ、なるほど。九条香織はイケメンをとっかえひっかえで男と寝まくっていたのか。確かに色々派手なことをやっていたみたいだな」 「全然違います!」 「冗談だ。本当に全部聞いていたぞ。俺は寝ながら話を聞く特技を持っているんだ」 「やっぱり寝てたんじゃないですか!」 先程感じた怯えの反動からか、恐ろしい脅迫者に対して突っ込みを入れる香澄だった。 「しかし、あれだな。おめえの話を聞いていると、九条香織という奴は随分と正義感に溢れたご立派な生徒会長様だったように聴こえるんだがな」 「……お姉ちゃんはそういう人ではないです。お姉ちゃんにとって学園の改革は、将来のための演習だったんです。演習というよりは実験といった方がより適切でしょうか。学園の改革なら、たとえ無茶をしてツケを取らされることになったとしても、学園内だけでの話ですからね。最悪でも退学で済みます。むしろ、改革の中には失敗前提だった政策もいくつかありました」 「悪徳教師の追放のことか?」 生徒会が学園の人事に口を出すなんて、分を弁えていないにも程がある。普通に考えれば、そんな話が通るはずはないのだ。 香澄は小さくコクンと頷いて肯定した。 「はい。それと体罰の禁止ですね。この二つは特に、保守派が大半を占める教師陣の猛反発にあったようです。結果はお姉ちゃんの奇跡の勝利に終わっていますが」 「合法非合法問わずの強引な手段によって、か……」 奇跡の体現者の妹を毎日のように犯している伸二としては、排除された悪徳教師のことを他人事とは思えなかった。 九条香織。このまま野放しにしておくには危険すぎる女だ。 (潰すなら先制攻撃が一番だな。幸いこちら側には優秀な参謀がいるし……) 伸二は香澄を見てニヤリと笑った。 「九条香織の脱糞姿を撮ってこい」 伸二にそう言われても、香澄は全く動じることなく素直に頷いた。姉の話題が出た時点から、こういう流れになることは予測できていた。 それに香澄にしてみれば、悪い話ではない。姉も伸二の毒牙に掛かって陵辱されるようになれば、そのぶんだけ香澄へ手出しすることが少なくなるに違いないのだ。 「おいおい、血を分けた姉を盗撮することに何の抵抗もないのかよ?」 「構いません。可能ならば、念のためにお姉ちゃんの部屋も撮りたいと思うのですが、いいですか?」 「ん? あ、ああ。頼んます」 「はい、分かりました」 香澄としては、伸二が返り討ちに遭うようなことになっては困るのだ。そうなれば、冷酷非情の九条香織は、伸二だけでなく香澄のことも決して許さないだろう。伸二と共に妹を簀巻きにして東京湾に沈めることすら厭わないに違いない。 「しっかし、おめえ、姉ちゃんとは仲悪いのか?」 「いえ、別に。私もお姉ちゃんも忙しい身なので、最近はほとんど話をしてません。だから、仲が良いという訳ではないですけど、別に険悪という訳でもないです」 呆れ果てている伸二に対して、香澄は平然と答えた。 実際ここ数年ほど、香澄は学校が終わった後は大学の医学部に通い詰めで、香織の方は父の傍らで仕事のサポートをしてばかりだった。まともに挨拶をすることすら年に数えるほどしかない。 「ただ、私はお姉ちゃんのことなんてどうでもいい存在としか思っていないんですが、お姉ちゃんの方が私のことをどう思っているかはよく分かりません。何しろ私は、空前絶後の頭脳を持った医学界の至宝ですから、妬みや警戒の対象になっている可能性はあります」 「そうか……」 伸二はそれだけ言って軽く流しつつ、自分のカバンから黒い皮製のアナルストッパーを取り出した。 「な、なんですか、それ」 怯え出す香澄に、伸二はこれ見よがしにアナルストッパーを眼前に突きつける。内側から小さなアナルバイブが生えており、香澄は蒼褪めながらそれを見ていた。 「見りゃ分かんだろ。これでおめえのケツの穴を塞いでやる。香織を盗撮できるまでな。少なくとも香織が脱糞するまで、おめえもクソできねえってわけだ。せいぜい香織が便秘じゃないことを祈るんだな」 「そ、そんなことしなくても、私、ちゃんとやります」 「あん? おめえ、俺のやることに文句があるのか?」 「あ、いえ……。すみません。そういう訳じゃ、ないですけど……」 「だったらさっさとケツを出せ!」 焦れた伸二が突然声を荒げた。香澄はビクッと硬直した後、慌てて震える身体を動かし伸二に背を向けた。ショーツを膝まで引き下ろし、スカートを捲り上げる。 「なんですぐに言う通りに出来ねえんだよ、おめえは!?」 怒鳴りつけながら伸二は剥き出しになっている香澄の尻たぶを平手打ちした。 「す、すみません……」 「ほらあ! もっとケツを突き出せよ!」 「は、はい」 香澄が上体を屈めて足を広げた。手はウエストの辺りでスカートを束ねて押さえている。 突き出された尻を伸二がまたバシッと叩いた。 「おい! 言うことがあんだろうがよお!」 「す、すみません。伸二先輩、私にアナルストッパーを着けて下さい」 「遅せえんだよ、馬鹿が。罰としてローションなしでバイブを埋め込んでやるよ」 「そ、そんな……」 「ああ?」 「い、いえ、お願いします、伸二先輩」 香澄が言い終わるや否や、伸二は一気に内側のアナルバイブを根元まで埋め込んで鍵を掛け、ストッパーを固定する。 ![]() 「あ、ぐ……」 肛門から出血してから一週間以上経ち、ほぼ傷が癒えているとはいえ、いきなりアヌスにバイブを咥え込まされるのはかなりきつかった。ジンジンと痛みを訴える尻の穴を気遣いながら、香澄はスカートを下ろしてゆっくりとショーツを履き直した。 「ああう……」 「お礼の言葉がねえなあ!」 「あ、伸二先輩、アナルストッパーを着けてくれて有難うございました」 「いやいや、どう致しまして。ああ、そうだ。脅迫方法も考えておけ。なにしろ相手は九条香織だからな。綿密な作戦を考えておけよ」 「はい……」 アナルストッパーの違和感に顔を顰めながら、香澄はコクリと頷いた。 |