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女捜査官、SMクラブ潜入 第三話・地獄の初調教


 朝の身体検査が終わり、M嬢達は次々にスタッフルームを出て、自分の担当するSM部屋へと向かった。そこで彼女達は、変態性欲を持て余す男どもの相手をするのである。
 まだ客を取るレベルに達していない順子は、一人だけその場に残って、千鶴から調教を受けなければならなかった。
 準子の職務である内偵を進めるためには、まず客の相手を任されるようになりそれなりの信用を得て、ある程度自由に動けなければ話にならない。そのためには、千鶴の調教を大人しく受け入れて、SMに対する順応性を示す必要があった。
 M嬢達が出て行き、広々としたスタッフルームには、準子と千鶴の他には見張りであろう黒服のヤクザが数人周りにいるだけになった。
 準子は全裸のまま、額に脂汗を浮かべながら直立不動で立っていた。先ほど注入された五本のイチジク浣腸が効いてきて、強烈な腹痛に襲われているのだ。便意は肛門の出口直前まで迫っており、常に気を配っていないといつ決壊してもおかしくはない。
 準子の目の前では、黒い皮製のボンテージスーツを着た千鶴が、パイプ椅子に足を組んで腰掛けていた。準子の苦悶の表情を興味深げに眺めている。
「さて、いつまで我慢していられるかしら? あと一時間くらい頑張れる?」
 とてもではないが無理だ。準子は「無理に決まっているでしょ!」と怒鳴りつけたかったが、なんとか耐えて、慎重に口を開く。
「も、申し訳ありません、千鶴様。すでに我慢の限界です。お願いします、トイレに行かせて下さい」
 いくらなんでも、まさかここでお漏らしなんてさせる気はないはずだ。そう思っていた準子に、千鶴は非情な言葉を投げ掛ける。
「ふうん。もう我慢出来ないんだ。じゃあ、そのまま漏らせば?」
「そ、そんな……」
「一時間したらトイレに行かせてあげるから、それくらい我慢しなさい」
「む、無理です。お願いです、千鶴様……。お許しください」
 こんなところで脱糞の危機に襲われるなんて、準子は夢にも思わなかった。SM行為を甘く見ていたと、そう言わざるを得ない。ただ漠然と、SMというのは肉体的に痛めつけるだけのものだと思っていたのだが、先程の身体検査といい、どうやら恥辱を与える精神的な責めも重要な要素らしい。
「しょうがないなあ。初日だし、今日は許してあげようかな……」
 何の気まぐれか、千鶴が思いも寄らぬ事を言い出した。準子は藁にもすがる想いで飛び付いた。
「お願いします! 千鶴様! お願いします!」
 ジィッと見つめてくる千鶴を、準子は直立不動のまま涙目で見返した。
「なんでもいいんだけど、さ。お前、何この私を見下ろしてるわけ?」
 今まで必死に便意を堪えていた為に考えが及ばなかったが、言われて初めて気が付いた。平均女性の身長よりも僅かに背が高い準子は、パイプ椅子に腰掛けている千鶴を見下ろしている格好になっていた。
「あの……」
 正座でもすればいいのかと聞こうとしたら、千鶴が声を張り上げた。
「なに御主人様を見下ろしているの!? 早く床に這いなさい!」
「え……」
「さっさと四つん這いになれって言ってるの!」
「は、はい」
 準子は慌てて床に這い蹲り、千鶴を見上げた。急な動きのせいで腹痛が酷くなったような気がした。
「そうよ。お前みたいなメス豚は、そうやって床を這いずり回るのがお似合いよ」
「…………」
 年下の女子高生の足元に平伏する屈辱に、準子は総身がカッと熱くなるのを感じた。周りのヤクザにも見られていると思うと、恥辱で顔が赤くなってくる。
「指……」
 準子を見下ろしている千鶴がポツリと呟いた。
「……え?」
「足の指を舐めさせてあげるわ」
「そん……あ、いえ、分かりました」
 文句を言いたいところを抑えて、準子は千鶴のつま先に顔を近付けた。足を捧げ持ち、舌を出して恐る恐る親指に触れようとすると、いきなり足が動いた。
「うぐっ……」
 額にトゥーキックを受けて、驚きの声を上げる。大して痛くはなかったが、思わず千鶴の顔を見上げてキッと睨み付けてしまう。
「なによ? 言いたいことがあるなら言ってみなさいよ」
「い、いえ……」
「私が舐めさせてあげるって言ってるのに、ちゃんと返事をしないお前が悪いんでしょうが」
「……はい」
「わざわざ説明しなきゃ分かんないの? このバカ豚」
「も、申し訳ありません」
 準子はあまりの怒りに頭がクラクラした。いつかこの屈辱を直接返してやる。そう心に刻むことで、なんとか自分を抑える。
「お礼は?」
「え?」
「この私がお前みたいなメス豚に足で指導してやったでしょう!? 感謝の気持ちを込めてお礼を言うのが当然じゃないの!?」
 千鶴がいきなり怒鳴り出した。準子の見る限り、言い掛かりで難癖をつけているという訳ではなく、どうも本気で怒っているらしい。極度に誇大化した自尊心が、彼女の思考回路を歪めてしまったようだった。
 こんな根性の捻じ曲がった子供に頭を下げなければならない悔しさで、準子の目に涙が溜まっていった。
「どうもありがとうございました」
 四つん這いのまま、血を吐く想いで頭をカクンと下げお礼の言葉を口にすると、またもやつま先で、今度は頭頂部を小突かれた。
「お礼を言うときは土下座に決まっているでしょう! 何でそんなことも分かんないの!」
「……はい」
 膝を着き尻を下ろして頭を下げると、千鶴が後頭部を踏みつけてきて、額が床にゴツッと当たった。
「いっ……!」
「何でお前の汚いデコを地面に擦り付けないの!? 何様のつまりだよ、お前は!?」
 お前が何様のつもりだと言いたかったが、準子の口から出たのは別の言葉だった。
「も、申し訳ありません……」
「ふん」
 後頭部から足が離された。顔を上げると、千鶴のつま先が目の前にあった。
「な、舐めさせて頂いてよろしいでしょうか……?」
「いいわよ。舐めたいなら、舐めれば?」
「……はい」
 準子は、ここでこの糞生意気な女子高生を殴り飛ばしたらどうなるだろうと考えてみた。まず、周りにいるヤクザ数人が駆け寄って来るだろう。五人以下ならば制圧できる自信がある。しかし次の段階で、続々と腕自慢のヤクザが馳せ参じて来て、こちらが組み伏せられてしまう。それだけで全てが終わりだ。後に待っているのは、拷問か死か、どちらにしても碌な者ではない。隙を見て逃げ出そうとしたところで、同じようなことになるだろう。
 そこまで考えたところで、ふと思った。自分は、任務のためにこんな屈辱に耐えているはずではなかったのか、と。それがいつの間にか、脱出不可能な現状のために仕方なく従う、という思考に変わっていたのである。
 もしいつでも逃げ出せるのなら、今頃は千鶴をブン殴って警視庁に戻っているかも知れない。それほどまでに、かつてない屈辱が耐え難いほどのものになっていた。またそれ以上に、あまりにも辛い状況から逃げ出したくて仕方がない。頭の中には、任務の達成のことなんかよりも、腹の中を暴れまわる薬剤を排出することと、楽になった後、千鶴の機嫌を損ねてまた浣腸されたりしないよう、注意しなくてはいけないことで一杯だった。
 自分の心情を自覚して、準子は深く暗い絶望に囚われた。SMクラブのM嬢という姿は仮の姿であるのだが、自分の意思で終わらせることは出来ないのである。
 もはや準子は、任務を放棄してでもこの地獄から抜け出したかった。しかしそれには、三日後の定時連絡の時しかチャンスはない。客としてやってくる予定の課長に、助けを求めるのである。
 あの課長にギブアップを宣言するのは気が進まないが、こんなところにいつまでもいたら気が狂ってしまう。悔しいが、「この任務は自分には無理だから下ろさせてください」と言うしかない。
 全面降伏すれば、いくら自分を嫌っている課長でも、助けてはくれるだろう。その時、課長はこれ以上ないほど得意気な顔をするだろうことは想像に難くないが、年下の女子高生にこれから先も苛め抜かれるよりは遥かにマシだ。
 今後の処遇にも大きく響くだろうが、それは感受するしかない。もしこの任務中に自分が千鶴に屈服してしまったら、あの課長のことだから、そのまま自分を切り捨てることも、有り得ないとは言い切れない。
 万が一にもそうなったら、三十歳までここでM嬢として扱き使われ、その後はおそらくまた他の売春宿でまた働かせられる。他のM嬢達のように瞳から光を失い、一生、ヤクザの食い物にされるのだ。そんなことは絶対に嫌だった。
 唯一の希望は、あのいけ好かない課長だけ。だがそれも、三日後の定期連絡のために課長が客として訪れた際の話である。
 準子は、あと三日も調教を受けなければいけないのかと絶望すると同時に、あと三日しかないのかと焦りもした。課長が来店するその時までに、準子がM嬢としてデビューしていなければ、課長も指名することが出来ず、接触のしようがないのだ。
 たった三日で、M嬢として売り出せるようになった、と千鶴に思わせなければならないのである。


 準子は猛烈な腹痛を堪えながら、目の前の千鶴の足指に舌を伸ばした。根元から先端付近まで、親指の裏をペロンと舐め上げる。
 塩辛い味が舌先に走り、準子は思わず顔を顰めた。
「なによ、その嫌そうな顔は。そんなにやりたくないのなら、やめれば?」
 全裸で四つん這いになっている準子は、その言葉にビクリと反応して千鶴を見上げた。椅子に踏ん反り返っている千鶴が、面白くなさそうな顔で準子を見下ろしている。
「い、いえ。舐めさせてください」
「なんで舐めたいの?」
 思わぬ問いに、準子はいくらか逡巡したあと口を開いた。
「……千鶴様に満足して頂いて、トイレの許可を頂きたいのです」
「ふうん。一生懸命に舐めないと、私は満足しないわよ?」
「は、はい。分かりました」
 どうにか千鶴の機嫌を損ねないで済んだことに安堵して、準子は再び舌を出した。もう一度、先程と同じ親指を舐め上げてから、隣に並んでいる指も順々に舐め上げていく。
「犬みたいにただ舐めていれば良いってもんじゃないのよ。チンポを咥えるみたいにフェラチオしなさいよ。指フェラね。今まで何本のチンポを咥えてきたのか知らないけど、まさか二十四にもなって処女ってこともないでしょう?」
「…………」
 返事をしない準子を見て、千鶴は訝しげな顔をした。
「なによ? 過去の男のことなんて思い出したくないとでも言うの? そういう感情はね、普通の女が持つものなの。お前みたいなメス豚には必要ないものよ」
「……は、はい」
「で、今まで何本のチンポを咥えてきたの?」
「え、えっと……」
 無難なところで、千鶴は「二人です」と答えた。
「私は何本のチンポかと聞いているのよ。いつ誰が、人数で答えるような質問をしたっていうの?」
「も、申し訳ありません。二本です」
「二本、ね。意外に少ないと言えば少ないし、そんなもんかと思うとそんなもんかと思える、無難な本数ね」
 何やら意味有り気に呟く千鶴を、準子は戸惑いながら見つめた。
 まさか処女だと感付いているのだろうか……。
 調教師としての腕もそれなりらしい千鶴ならば、有り得ないことではないように思える。
 不安に襲われている準子に向かって、千鶴は得々と語り始めた。
「まあ、一本だろうが二本だろうが、たとえゼロ本だろうが、何でもいいんだけどね。どの道、素人同士の優しいセックスなんて、ここじゃあ何の役にも立たないし。フェラチオだって、私が一から教えてあげるからね。教育するにはむしろ、処女だった方が都合が良いくらいよ。変な癖とか付いてないし。しかもねえ……」
 そこで千鶴は一旦言葉を切って、一呼吸置いた。十分に間を取ってから、言葉を続ける。
「ウチはマンコを一切使わない超本格的なSMクラブだから、処女は処女のまま調教されるの。実はね、お前と一緒に朝の身体検査を受けたM嬢達の中にも、処女が結構いるのよ。何人いると思う?」
「え……?」
 千鶴の言葉に、準子は呆然となった。
「なに、どうしたの?」
「い、いえ……。何でもありません……」
 準子はそう言いながらも、ワナワナと身体が震えだすのを抑える事が出来なかった。課長が「処女では不自然」だと言うから、自分で処女膜を貫いたというのに、どうも別に処女でも大して問題ないらしい。事前調査を統括している課長がこのことを知らないはずがない。つまり、課長のあの言葉は完全にただの嫌がらせだったのだ。
 頭にカッと血が上り、目には悔し涙が浮かぶ。それでも準子は、三日後にやってくる課長に頭を下げるため、千鶴に服従しなければならなかった。


 はむ、と千鶴の足の親指を咥え込むと、口中に酸っぱい味が広がった。胃から吐き気が込み上げてきたが、なんとか堪える。
「むぐ、むぐぐ……」
 顔を前後させ、チュプチュプと音を立ててしゃぶり上げる。
 セックス経験のない準子ではあるが、伊達に二十四年間も処女でいた訳ではない。実践したことはもちろんないが、フェラチオのやり方など本やビデオでとっくに学習済みだった。バナナでフェラチオの真似事をしたこともある準子にとって、小さな足の指を舐めしゃぶる行為自体は難しくはないのだ。
「何よ、やれば出来るじゃないの」
 千鶴は光悦とした表情を浮かべていた。
「ん、んん……。もっと、もっと早くしなさいよ」
 その言葉を受けて、準子は短い髪を振りたくって顔を前後させた。口から出たり入ったりする千鶴の親指の味が薄れてくるにつれて、抵抗感も無くなってきた。それよりも、腹を襲い続ける激痛に、だんだん頭がボーッとしてくる。


 溢れた涎が顎まで流れているのにも拘らず、一心不乱に指舐めを続ける準子を、千鶴は満足気に見下ろしていた。
 準子に気付かれないようにこっそりと鞭を振り上げ、背中をビシィッと打ち据える。
「んぐうっ!」
 指を口に含んだままの準子は、くぐもった悲鳴を上げて指を吐き出した。
「ああ……」
 突然の鞭打ちに、千鶴を見上げる準子の目には、強い恨みが篭っていた。それを敏感に感じ取った千鶴は、もう一度準子の背中を鞭打った。
「はうっ……!」
「お前の唾液で私の足がベトベトじゃないの。どうしてくれるの?」
「そ、そん――」
 言い訳をしようとする準子の背中に、また鞭を入れる。
「あぐうっ!」
 何度も鞭で打たれて、スタイル抜群の引き締まった準子の背中には、幾筋ものミミズ腫れが走っていた。
 準子は苦渋に満ちた声を上げる。
「も、申し訳ありませんでした……」
「他に言うことはないの?」
「え……?」
「お前が汚したんだから、お前が舐めて綺麗にするのは当然でしょ!? 女子高生の私でも分かるわよそれくらい! 社会に出て何を学んできたの!? 二十四歳のくせに!」
「……申し訳ありません。舐めて綺麗にさせて頂いてもよろしいでしょうか?」
 理不尽な叱責をされながらも、準子はあくまで平身低頭している。
「さっさと綺麗にしなさいよ」
「はい」
 犬のように従順な態度でペロペロと自分の唾液を舐め取っていく準子の背中に、千鶴は鞭の先をヒョイッと載せた。
「ひっ……」
「あははははっ!」
 驚いて息を呑む準子を、千鶴が子供っぽさの残る声で笑う。
 千鶴は椅子から立ち上がって、四つん這いになっている準子の目の前に膝を着いた。準子の顎を鞭の柄でグイッと持ち上げて、苦痛に歪んでいる準子の顔に自分の顔を近づける。
「そろそろ、お腹が限界なんじゃない?」
「あ、ああ、はい」
 汗に塗れた準子の顔を見れば、それだけでいつ糞便を噴出してもおかしくないことが分かる。
 持ってあと数分ってところか、と千鶴は今までの経験から見当を付けた。よく我慢してはいるが、この辺が限度だろう。あとは、どう脱糞させるか。そこが思案のしどころだった。



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