千葉県東金市、山武町、成東町、松尾町の台地部及び谷津田から台地にいたる斜面の森林は山武林業地帯と呼ばれている。
17世紀(江戸時代初期)から木材の売買が行われ、江戸と九十九里の漁業地帯への一大木材供給地であった。
江戸へは、木材や建具として、九十九里(当時は、イワシ漁が盛んで、イワシを利用して「ほしか」−綿花栽培に利用するイワシを煮込んで作る肥料−を生産していた)へは、船材、漁師納屋の材料や、ほしかの燃料として、スギ、マツなどが運ばれた。
明治時代、当地域の農林業指導者であった蕨真一郎は、山武町睦岡に私費で農林学校を設立し、地域の教育にあたった。このことは、当時山武地域で林業が盛んであったことを裏付けていよう。
山武地域は他の有名林業地域と比べ降水量が少ない。
そのような環境の中で、比較的に乾燥に強いマツを植栽し、10〜20年以上たって林内が乾燥しにくくなってからスギを植えて育てた。
現在、松くい虫の被害でマツはほとんど残っていないが、台地上の平坦地にスギ林が多くみられる。
山武地域では17世紀後半には挿し木が行われたと言われ、関東地方においてきわめて早くから挿し木林業が成立し品種の選抜も進んできた。
サンブスギはそのような過程で生まれた品種で、通直で枝が細く、心材が赤いなど多くの優秀な性質を持ち、県内外に盛んに植えられてきた。ただし、非赤枯性溝腐に罹りやすい短所がある。
なお、この地域全体に植えられているスギの総称を指す場合もある。
この地域は昔から大径木を育てる所有者が多く、樹齢200〜300年と思われるスギ林もある。
また、樹齢70〜80年でよく管理されている(間伐、枝打ちが十分に行われた)スギ林は、太さ(直径)30〜40cmくらいでそろって、しかも通直(まっすぐ)成長しており、美林と呼ぶにふさわしい景観を呈している。