第73回公演
「そのとき、ココロは決まった−谷川岳・凹状岩壁−」
2008年6月上旬
(群馬県)
烏帽子沢奥壁にあって、中央カンテ・変形チムニ−と人気を分かつ凹状岩壁。 近年の地震による上部の崩壊や落石の集中しやすい地形など不確定要素の強い、まさにアルパインを代表するル−トといえる。
顛末
一ノ倉・凹状岩壁に行った。
結果は落石によるロ−プの破断で敗退。人的被害なし。
無事が何よりであった。
起床、外は弱い雨。コレではと、二度寝を決める。
霧雨。しばらくゴロゴロして過す。
雨上がる。太陽が出るが一の倉はガスに包まれている。
ガスが上がり始め、衝立の頭が見えてきた。道端の石や舗装も幾分乾いてきたので出発を決める。
出発・テ−ルリッジは乾いていたり、濡れていたり。
中央稜取りつき・装備の装着
凹状取りつき。登攀開始。
核心
@ピッチ・フォロ−・特に問題なし。
Aピッチ・リ−ド・特に問題なし。
Bピッチ・フォロ−・特に問題なし。
Cピッチ・<凹状の核心とされるピッチ>リ−ド
この辺りから染み出しが多く、快適とはいいがたい。しかし、フリクションはまずまず。
浮き石が多いとの情報もあり、慎重に。相方にはラクの危険があるからと注意。 登攀中にガスが出てくる。
切断
Cピッチ。フォロ−を向かえる。
次が迷いやすいとあったので、休憩がてらに道読み。
正面の立った凹状に古いフィックスロ−プ。これが迷い込みやすいところだろう。 右目のチッコイ凸。あれが右のカンテだろうとあたりをつける。 もし、そのカンテを超えて右上にハングがあれば間違いないねと送り出す。
ガスは晴れない。
Dピッチ・フォロ−
相方のリ−ド中、カンテのところで、その先にハングが見えるか確認。ガスで不明瞭だが、「多分、あります」との言。 そこから先、姿は見えないが、ロ−プは伸びる。
25m(半分の印)を送り出すころ、急にロ−プが伸びなくなる。急かすのもなんだからと、しばらく耐える。
しびれを切らし、状況確認。「浮いてて悪いです」との回答。 「無理そうだったら途中で切っていいよ」と伝える。
その後、いくつか小さな落石。いずれもフォ−ルラインが幾分ずれており、跳ね返りだけ気をつけて落石には 背を向ける。
再度、状況確認。「何とか右にトラバ−スでいけそうです。支点もあります」との回答
その直後、大きな落石。
フォ−ルラインは判っていたので壁に身を寄せ落石に背を向ける。
相方もバランスを崩すことなく無事。直前にランナ−も取れていたらしい。
落石が落ち着いた後、おそらくル−トが違うからそこでピッチを切って、セルフビレイをとるよう指示、確認。
直後、青ロ−プがダランとしているのを発見。手元の青ロ−プを手繰り、切断を確認。
そのとき、ココロは決まった。
撤退
相方に「ロ−プが切れたので撤退」を伝える。
ここからは脱出行となる。頭を切り替えていかねばならない。
相方から、赤ロ−プをフィックスし下降するとの申し出。しかし、撤退を考えると、ロ−プは出来る限り回収 したい。お互いの距離はロ−プの中間印から約25〜6mと捕捉出来ていたので、 まずはそこから切れていない赤ロ−プを使って懸垂下降を指示。
そのため、さかぼうはスリングでセルフをとって、赤ロ−プを解き、ザイルアップ。
しかし、赤ロ−プも破損が発覚。中心付近なのでこれを切断し、結んで懸垂するとの申し出。
支点がリングのみなので、ハ−ケンをいくつか打つ。
ここで落ちると互いに致命的なので、お互い声をかけながら時間は掛かっても安全確実を心がける。
支点工作後、ザイルダウン。何とかギリギリ届く。24mと26mといったところ。
相方、懸垂下降。Dピッチスタ−トまで戻る。お互いの無事を確認。ここまでの健闘をねぎらう。 切断確認からこの瞬間までが特に緊迫した時間であった。
互いのロ−プを確認。赤は約26mと24m、青は約30mと20m。お互い長いほうを懸垂下降セット。 使わないのはザックにしまう。
帰着
ロ−プの長さが判れば、ル−ト図を見ながら下降が出来る。 長めのピッチは途中で支点を作れば良い。
核心のCピッチは25mなので、安心して降りる。実際には30cmくらい赤が短かった。
Bピッチは2ピッチに分ける。この頃からガスが晴れる。途中のピナクルに良い支点があったので利用。
Aピッチも2ピッチに分ける。途中に古いスリング支点。スリングを足す。
@ピッチも2ピッチに分ける。取りつきへのトラバ−スをせずに屈曲点にハ−ケンで支点工作。 烏帽子スラブのバンドまで懸垂下降。
バンドでザイルをしまいながら行動食。
中央稜取りつきまでいって一休み。クレッタ−のまま下降。
テ−ルリッジ末端で靴とアイゼン。
出合着
自他共に人的被害がなかった幸運に感謝したい。