2009年4月
2009/4/30

 1)5:48

今朝早くWHOはブタインフルのパンデミック発生が近いと判断。パンデミック発生危険度をフェーズ5に引き上げた。
 
 ブタインフルA(H1N1)はメキシコで発見され、そして米国、カナダで見つかった。見つかってからまだ1週間足らずではある。
 数カ所で人人感染を起こしていることが確認されたならフェーズ5である。
 見つかったときには既に人人感染を起こしていたからフェーズ4であった。そして現在は、明らかにフェーズ5である。
 WHOの発表は驚くことではないが、発表の中で以下の点が重要である。
 ・ウイルスが世界中に拡大しつつあって、もうじき各国で発病者が見つかる可能性が高い。
 ・感染者の増加を防ぐために出来るだけの努力を各国、各地域、各組織はすべきである。
 
 致死的流行病が広がっているのではない。
 新型インフルエンザが広がっているのである。
 もっと正しい言い方をするならば、新しいインフルエンザウイルスによるインフルエンザが広がっているのであるが、それは必ずしも通常の季節性インフルエンザウイルス以上に病原性が高いということではない。
 これまで分かっている発病者の大多数は軽症である。
 しかし中には入院を要する患者も米国では出ている。
 ウイルスは新しいが故に、その特性が十分分かっていない。それ故、厳格な監視が必要となる。
 今はウイルスの拡大状況、その特性(毒性と感染力)を見極めることが必要なのである。
 だから監視体制と、拡大防止体制を強化する必要があるのである。
 WHOのフェーズ5への引き上げは、ウイルスが毒性を増してきたからではなく、特性の不明なウイルスの拡大が確認されたからだ。
 99%以上の発病者は軽症で終わるはずだ。また無症状で終わる感染者も多いはずである。
 スペインインフルエンザの場合だって、死者は2%であり、表現を変えると、発病した場合98%の人は自然治癒したのである(当時抗ウイルス剤はなかった)。それは抗生物質もPなく、また感染予防対策もなかった時代だ。
 スペインインフルエンザ並の新型インフルエンザが現在発生したとしても、死者の発生する率は、当時よりも四分の一程に低くなると思われる。
 なぜなら、当時の季節性インフルでの死亡者は今日よりも4倍は高かったからである。
 簡単に言うと、今日、スペインインフルエンザ並のインフルエンザが発生したとしても、今日に医療水準を加味すると、十分の一ほどの発生死者数と推定される。
 それでも数万人の死者数となるから、大変なことは間違いはない。
 しかし現在拡大しているインフルエンザウイルスの毒性は、スペイン並ではない。
 新型ウイルスだけあって、未だ未確認の部分が多い。だから警戒と感染予防が重要なのである。
 
 フェーズ5と言うことで、突然、ウイルスが危険性を増したということではない。
 特性が分からないから、要警戒なのだ。
 
 
 今日は今朝から札幌へ出かけ、昼には戻る。
 忙しい。時間がない。
 
 何人かの方々が海外情報の訳文を昨日寄せられた。
 今後もメールで送って頂けたら、掲載する。非常に助かる。

 2)16:02

世の中フェーズ5で、過激にパンデミック危機に走っている。
 
 パンデミックとは、病原体が世界に広がって世界的感染症が発生することだ。
 pan-demicとは、病原体の毒性には関係はない。
 弱い毒性のウイルスの世界的拡大から、H5N1並のインフルエンザウイルスまで幅広く、パンデミックはあり得る。
 かってインフルエンザのパンデミックは被害者を多く出した。中世、近代、そして20世紀のスペインインフルエンザとつづく。
 
 問題はパンデミックの恐ろしさを、発生当時の被害状況から、現代にそのまま当てはめてイメージすることは間違っている。
 そのような話をする人もいるが、100年前と今では、同じインフルエンザでも死亡率は四分の一と低い。これは何もしない状況での話だ。ここに抗生物質やら抗インフルエンザ薬が加わると、さらに現代のパンデミックの被害は少なくなる。
 次の図は米国CDCのものだが、ここ100年間でインフルエンザによる死者数は激減してきている。社会環境の違い、人々の栄養状態の違い、さらには生活環境の違い等で、インフルエンザの死亡率は減少している。
 スペインインフルエンザの発生した大正時代は肺炎で死亡する子供達は多かったし、それは抗生物質が無かった時代の特徴でもあった。あの宮沢賢治も肺炎で亡くなっている。
 今は肺炎で死亡するのは高齢者くらいだ。
 
 現在、たとえ、スペインンインフルエンザ並の新型インフルエンザが発生しても、被害は100年前の十分の一程度と、僕は思っている。
 そうではなくハルマゲドンだと脅す人ももちろんいる。
  しかし、今は21世紀なのだ。
 100年前と同じ結果なら、この100年間に進んだ医科学の発達はなんだったのか、ということになる。
 
 10万人あたりのインフルエンザによる死亡率。1918年はスペインインフルエンザが発生した年だ。
米国インフルエンザ死者数
 
 
2009/4/29

1)18:02

休日。快晴だ。
 
 しかし、朝からテレビで電話出演。
 WHOの会議結果などをふまえて質問された。
 う~ん、僕よりも詳しい方々が首都圏にいるのにと思う。
 僕は話は上手ではない。
 そういえば、昨夜のTBSラジオでも電話で話した。
 そういえば大阪の有名な番組出演を頼まれた、昨年12月にも出ている。
 そういえば…、もう止めよう。
 
 現在の新型インフルエンザ(ブタインフルエンザウイルス由来新型A(H1N1))の状況と、今後を想定することは難しい。
 大変であると言い切るのは簡単だ。
 でもそれじゃコメントにはならない。
 ”大変です!”、
 ”やっぱりそうですか”
 ”そうですよ、新型インフルエンザがやってきたんですよ!、大変に決まっているんじゃ無いですか”
 そう語っているのは、コメントする側としては安全だ。
 
 正しい事実を直視し、自分の考える正しいと思う意見を語るべきであるが。これは意外と難しいものだ。
 これは臨床の医師と全く同じ舞台に立っている状況だ。
 自分が責任を被らないように、状況が悪いことをオーバーに語って、相手に希望を捨ててもらうか、または状況は悪いが、確率は低いものの、相手が希望を抱くことが出来るような説明をすべきか…。
 僕は考えられる事実を全て話して、その上で、自分が抱いている可能性を話し、その可能性を相手と共有してゆくという立場をとる。これは結構辛い立場になる。
 
 新型インフルは(ブタインフルエンザウイルス由来変異A(H1N1)株によるインフルエンザ)日本の言葉である。
 WHOがフェーズ分類を上げると同時に国内の報道は、この新型インフルエンザという用語を使い出した。
 病状、感染力などから判断すると、季節性インフルエンザとほぼ等しいか、それよりもやや病原性が低い程度だ。
 問題は、これまでどの程度世界に広まっているのかである。先週から突然広まりだしたわけではない。既に1ヶ月以上も前から感染者はメキシコ国外に出ていたはずだ。
 多くの軽症例は、帰国した先で自然治癒していたはずだ。よしんば薬を飲んだとしても軽く治っていたと思う。
 
 ニューヨーク市の高校で、春休みにメキシコへ旅行した一団が戻ってから、校内を中心に感染が広がっているようだ。要するに感染リングが広がっているのだ。
 季節性インフルエンザでは当たり前のように、見られるパターンである。インフルエンザは集団内では感染しやすい。
 米国CDCは、米国内でさらに患者数は増える(見つかる)だろうと予測している。同時に死者数も増えてくると予測している。
 米国で死者が出た場合、その臨床像、経過、剖検所見等から、この新型インフルエンザの本体がもっと見えてくると思われる。
 
 いずれにしても軽症例が圧倒的に多いことは確かである。
 新型インフルエンザという言葉の持つイメージが良くない。この言葉には、H5N1鳥インフルでたたき込まれた暗黒のイメージしかない。
 恐れることはない。万が一国内で発生しても、大多数は軽症で終わる。薬を服用しなかったとしても、多くの人々は自然経過で治る。
 この1,2ヶ月、国内で感染・発病していた人も多いかも知れない。
 だって3月から4月下旬にかけてメキシコに出かけた人は結構いたはずだ、そうした人の中で帰国後にインフルエンザ様症状を出した人もいると思う。国内で流行中のインフルエンザに紛れたと思う。そした何事もなく治癒したはずだ。
 このような人々の存在がどれだけいたのか、各地の保健所は調査すべきだと思う、それが保健所の役割であり、疫学調査という。
 これはあくまでも僕の推察である。
 
 今日も取材がいくつか入るかも知れない。
 時間がない。自分が情報を収集し、状況をまとめ、そして今後を予知してゆくための時間が乏しくなっている。
 依頼原稿も増えていて、完全にパンクしそうである。
 外はますます明るくなってきた。
 睡眠時間4時間の頭は、既にエネルギーを消耗しつくしそうだ。
 
 時間が出来たら、状況をまとめ、今後の状況を予知してゆこうと思っている。
 
 連休中も情報は欠かさず発信してゆくつもりだ。
 
 海外情報を意訳、または全訳して即刻メールで送ってくれる協力者がいたなら嬉しい。
 噂話は必要はない。
 
 そういってたら早速サイエンスのコラムを担当していた塚口さんから、非常に興味ある論説の訳文が入った。
 従来のソ連型H1N1ワクチンは現在のブタインフルエンザに効くか否かというテーマだ。
 CDCの研究では無効とされているが、聖ユダ小児研究病院の世界的インフルエンザ研究者のウエブスター博士は、何らかの効果はあり得る、死ぬか軽症で済むか程度の効果はあり得るのではないか、自分なら接種すると語っているようだ。
 また注目すべきこととして、メキシコでは子供と高齢者にはワクチン接種が行われているという。死者の多くが成人層であることと何か関係があるのか、気になる。WHOによる疫学調査で、何かが見えてくるのかも知れない。
 
 夕方の情報。
 さすがである。
 英国保健省が、全家庭にブタインフルエンザの情報と、説明を書いたリーフレットを配布するという。
 公衆衛生先進国である。することが違う。もう配布されるというから、すごいと思う。
 何をするべきか知っている国と、マニュアルに従って業務を遂行する国の違いは、歴史的なものだろうか。

 2)

 米国で死者がでた。夜7時過ぎの報道だ。
 詳細は現在分かっていない。
 テキサス州で23ヶ月の幼児が死亡したとされる。
 これは少々ショッキングである。
 少なくとも今日の朝の情報ではテキサスで6人の発病者が確認されていたが、年齢は6才以上だったはずだ。
 いつから発病していたのか?
 タミフルによる治療を受けていたのだろうか?
 季節性インフルエンザでもこの年齢の幼児が死亡することは希である。
  タミフルが効果無かった?
   タミフルは効果があるとされていたはずだ。
  人人感染する間に、ウイルスの毒性が増した?
  
 治療開始が遅れたから死亡したとしたなら、やはりウイルスの毒性が気になる。季節性インフルの場合、抗インフルエンザ薬を投与しなくても、99%以上は間違いなく治癒する。

 今後米国で死者数が増すとしたなら、要警戒だ。
 しかし、すでに初夏に入る。ウイルスは不活発となってくる。感染者数は減る。
 その代わり南半球ではインフルエンザ・シーズンとなる。要警戒だ。

 う~ん、難しい状況になってきた…。
2009/4/28

 1) 19:55更新


 今日は朝から取材が続き、午後から東京。明朝の某テレビ局にニュースステーションに出演。自宅に戻るのは夜。
 ホテルからウエブの更新は出来るが、最低限の内容になる。
 多くのアクセスがあるが、十分答えられないかも知れない。
 東京行きは中止。
 
  WHOがフェーズ分類を4に引き上げた。

  これはウイルスが突然、毒性を増したことを意味するのではない。
  フェーズ3のままに留め置くには、不自然であったからだ。
  現状では、ウイルスが明らかに人人感染している。当然フェーズ3ではないに決まっている。
  
  フェーズ4になっても、これまで考えてきたフェーズ4の内容を全面的に適用することが、適切かどうかは不明である。
  これまでのフェーズ分類は、H5N1鳥インフルエンザウイルスのような毒性の高いウイルスが変異して、新型インフルエンザになったものを想定してきていた。または、SARSのような致死率の高いウイルスである。
  最大64万人死亡する可能性があると説明されてきた”新型インフルエンザ”は、あくまでもH5N1ウイルスによる、重度のインフルエンザを想定したものだった。
  現在のA(H1N1)は病原性は弱い(メキシコの一部の患者は別として、メキシコの大多数の患者や、米国、カナダ等の患者は軽症である)。
  かってのSARSの場合とは本質が異なる。
  現在発生した場合、国内で最大64万人死亡する類のインフルエンザではない。
  新規発生ウイルスに対する考え方としては基本的に同じであるが、そのウイルスも種類によって病原性が異なるから、フェーズ4にパンデミック危険度が上がったとしても、個々のウイルスの特性に従って対応が変わるべきである。

 既に日本へもウイルスが入っている可能性も高い。3月中旬頃にはメキシコで発生した可能性があるから、感染して帰国した日本人も多いと思う。しかし軽症であるから、国内で発生していたインフルエンザに紛れていた可能性も高い。
 いずれにしても自然治癒していたはずだ。

 フェーズ4になったからと言って、突然水際対策の強化を図るのも、やや違和感を覚える。
 ウイルスの特性はまだよく分かっていない。
 新型インフルエンザと呼ばれるようになったからと言って、このA(H1N1)が危険なウイルスにとして認知されたこととは違う。
 今後、このウイルスの特性が、もっと詳細に分かれば、対策内容も、このウイルスに特化した内容に変える必要がある。
 重要なことは、ウイルスが人の間で感染を繰り広げてゆく過程で毒性を高めてくることである。それは今後、厳重に監視してゆくことから早期に判断しなければならない。
 これからは夏である。ウイルスは不活発となる。
 問題は今年の秋から冬にかけて、このウイルスがどの程度の毒力をもって、パンデミックを引き起こすかということだと思う。
 パンデミックを引き起こす可能性は3~4割?
 毒性は香港インフルエンザ程度?
  僕は現在、そんな風に考えている。

 一般市民にとって、現在は、何も生活上の変化が起きたわけではない。
 周辺に集団風邪、インフルエンザ様疾患が流行していなければ、通常の生活で構わない。
 あまり不安に思う必要はない。

 今日は、朝から何かと忙しい。
 あまり当上ウエブへの記載も出来ないかも知れない。

  非常に取材が多く、時間がとれない。
 多くの情報が出ているが、本質的には何も変わっていない。
 国はフェーズ4に上がったと言うことで、行動計画のフェーズ4以後に従って行動を起こしているだけ。
 SARSやH5N1とは本質的に違う。
 現在は心配する必要はない。

 2)23:46更新

 国内で一斉に、新型インフルエンザ海外発生期(フェーズ4)の行動計画に従って、各種対策が始まった。
 WHOが、パンデミック危険度をフェーズ4に引き上げると、それに呼応して動き出したのが面白い。
 SARS並、またはH5N1鳥インフル並の病原性をもつウイルスも、そうでないウイルスも、全て対応が同じということが奇妙に感じる。人人感染を起こすようになったら、一律フェーズ4はいい。しかし対策内容まで同じというのは解さない。

 世界で60名以上の発病者が見つかっているようだ。ほとんどはメキシコ帰りである。死者はいない。みんな軽症から中等症である。
 一方、メキシコでは150名からの死者が出ている。発病者数は明確ではないが、下手すると致死率は10%近くなる。
 これは明らかに異常である。
 メキシコ内ではSARS並の致死率で、同じメキシコでウイルスを感染しても、帰国の途についたメキシコ以外の国の人々からは重症者は出てなく、死者も出ていない、メキシコ並の致死率ならば、少なくとも6人は死亡していてもいい。そして6人が死亡しているとしたなら、その5倍の30人は、”生きる、死ぬ”の重体であってもおかしくはない。
 これは同じ感染症なのか、疑問が生じる程の違いである。
 どちらがブタインフルエンザウイルス由来の新型インフルエンザA(H1N1)で発症している感染症の主体なのか分からなくなる。
 しかしながら、メキシコ外で発病している人々は、季節性インフルエンザの軽症型にも相当する症状であるのは間違いはない。
 
 1~3月頃には既にメキシコ市で、この新型インフルエンザが発生していた可能性はある。カリフォルニアの子供達が発病したのは3月下旬だったからだ。
 その間、多くのメキシコ外から来た人々が、インフルエンザウイルスに感染して帰国の途についたはずだ(日本からの人々も含め)。そして母国で自然治癒していた可能性、またはA型インフルエンザとして治療を受けていたかも知れない。
 軽症であったから、周辺に多少の感染者が出ても、気付かれなかった可能性が高い。
 発病したカリフォルニアの子供達の家族も軽度のインフルエンザ症状があったという。
 要するに、この新型インフルエンザA(H1N1)は、検査をしなければ、通常のインフルエンザ、または風邪程度で終わっていた可能性がある。
 それは日本でも発生していた可能性を否定する根拠はない。
 
 一斉に水際作戦を始めた空港の映像をテレビで見ながら、僕はそんなことを考えていた。

 夜に入ってからの情報。
 米国ニューヨークの高校で、集団発生しているブタインフル。メキシコへの旅行で感染した生徒達から他の生徒達、および家族への感染が確認されたようだ。これは明確な地域内感染が発生した証拠であり、パンデミックを起こすに十分な、感染速度であるようだ。
 WHOは引き続きフェーズを5に上げるのだろうか?
 もしフェーズ5に上げるのなら、十分、現在の危険性程度を説明しなければ、日本の場合、国内はパニックに陥るかも知れない。



2009/4/27

 1)7:59更新

 ブタインフルの世界的広がりが懸念され、欧州では疑い例、オーストラリアではメキシコ帰りの学生の感染、さらにカナダでも6人の感染、米国でもニューヨーク州の高校で集団発病が報じられている。
 CDC高官は、検査が進むとさらに感染者数は増加すると語っている。
 症状は、通常のインフルエンザの軽症型と同じようだ。

 軽症型の新型インフルエンザが発生したと表現が可能である。
 欧米ではブタインフルエンザという言葉を使い続けているが、それは日本でいうところのブタインフルエンザと言う意味とは違う。
 欧米では、新型インフルエンザという表現はない。パンデミック・インフルエンザという呼称が、人の間で感染を繰り広げる新しいインフルエンザが出現したときに用いる。
 だから鳥インフルエンザが人人感染を起こしてくると、はじめてパンデミック・インフルエンザの発生と表現される。
 日本で言うところの”新型インフルエンザ”は、鳥インフルが人人感染を起こすようになったときに、使われる言葉だった。そういう意味からすると、現在のブタインフルエンザウイルス由来の、変異型A(H1N1)株は、人の間で感染を広げているのだから、まさしく新型インフルエンザなのである。そしてこのウイルスが、未だにブタに感染するのかは定かではない。
 名前は”ブタインフルエンザ”であるが、既にブタには感染せず、人間の間だけで感染するインフルエンザになっているのかも知れない。
 要するに新型インフルエンザなのである。、日本の報道が”新型インフルエンザ”という言葉を使いたがらない理由は、これまで”新型インフルエンザ”は、H5N1鳥インフルエンザウイルスが変異したもので、その病原性は非常に高く、国内で最大64万人が死亡する、というような定義でとらえてきたからだと思う。
 ある報道では、このブタインフルエンザがパンデミックを起こしてくると、新型インフルエンザになる、等と訳の分からない表現をしている。間違いである。

 現在、この新型インフルエンザA(H1N1)は、メキシコから拡大していて、検査が進むと、さらに感染者数は増えてくると考えられている。

 しかし症状は軽い。自然治癒する。
 感染していても、知らないうちに治っている場合も多い。
 何も恐れる必要はない。
 もし肺炎等の合併症を起こせば、症状は重くなるが、これまで、メキシコ以外では重症者は出ていない。また発病者から急速に周辺に感染が拡大している兆候もない。
 もしかしたなら、軽症故、周辺で感染しても自覚症状がない可能性もある。
 もちろん、日本にも既に入っている可能性があるが、軽症故分かっていなかった可能性が高い。
 単なる風邪症状かも知れない。
 米国等での感染者の症状を見ても軽い。たまたま検査で見つかった、またはメキシコ帰りだから検査されたら見つかった例が多い。

 軽症型の新型インフルエンザなら感染しておいた方が良いという考え方もあり得る。
 なぜなら、この新型ウイルスは夏には息を潜めるだろうが、また秋から冬にかけて活発に感染を広げる可能性が高い。いわゆる第2波という現象だ。このときにはウイルスは毒性を強めている可能性がある。
 スペインインフルエンザがそうだった。1918年春に北米で発生した第1波は極めて軽症で、インフルエンザが流行していることも気付かれなかった地域すらあったようだ。こうした地域で感染した人は、秋口から出てきた第2波には免疫を獲得していたせいで、感染しなかったか、しても軽症に終わっている。

 現在の新型インフルエンザは軽症であるし、また感染しても自覚症状が出ない場合もあるかも知れない。
 予防対策は重要であると思うが(それは通常の季節性インフルエンザに対しても同じである)、”ハルマゲドンクラスの新型インフルエンザが発生した”と勝手に思って、おびえる必要はない。
 日本でも検査体制が確立すると、感染者は見つかるかも知れないが、それでパニックに陥る必要はないし、実際流行状況になければ、敢えて国電の中でマスクを着用する必要もない。
 むしろ風邪症状のある人は、2~5日程度、自宅で静養するか、または人混みの中を出歩かないようにすべきだ。どうしても出席する会議などがあれば、マスクを着用すべきだろうし、会議室の空気は外気を時々入れる等の工夫も必要かも知れない。
 現在、ニューヨーク市では高校で発生したことから個人的感染予防対策を指示している。
 内容は頻回な手洗い、不要な外出を避ける、学童の自宅待機等である。
 何もパニックになる必要はないと説明されている。
 もし日本でも集団発生した場合は、同じような対策が要求されるだろうが、これまで言われてきたハルマゲドン級の新型インフルエンザを想定した対策は必要ではない。

 2) 21:44更新

 海外情報が多いが、本質的には変化はない。

 海外での検査態勢が整い、インフルエンザ様症状を呈する人々の検査が多く行われるようになると、この新型A(H1N1)インフルエンザウイルス感染者の数が増えるかも知れない。
 しかし、これまでのところ、米国やカナダ、さらにはニュージーランド(疑い)は全部メキシコ帰りである。
 多くはメキシコで感染した人々で、メキシコに行かずに感染した例は、米国で最初に確認されたカリフォルニアの子供達だけと思われるが、この地はメキシコに隣接しているので、やはりメキシコの感染者から感染したと考えることが可能である。
 となると、現在の感染者は、メキシコからの感染者が中心で、その感染者からさらに感染リングは広がっていないと考えられる。
 これは症状が軽いため、感染者がさらに発生しても検出されていない可能性もあるが、通常は1人のインフルエンザ発病者が周辺の3人に感染を広げるという事実から考えると、予想外に感染力はないとも考えられる。
 また特に強調されることは、メキシコ外で感染した人々は極めて症状が軽いことである。この事実はSARSの場合と全く次元が異なる。SARSは中国->香港->ハノイ、トロントへ拡大したが、全て病原性は高かった。
 メキシコで発生した新型ウイルスA(H1N1)の病原性は低い。通常の季節性インフルエンザよりも低い可能性がある。

 しかし、数十人の若い世代がスペインインフルエンザやH5N1鳥インフルエンザの死者のように、短期間に悪化する肺炎で死亡しているのも事実である(サイトカイン・ストーム)かも知れない。
 この説明として、メキシコではこのインフルエンザウイルスで数万人以上発病していて、ほとんどは軽症であるが、その0.5~0.8%程度が、サイトカイン・ストーム等で死亡している可能性も考えられる。軽症者は病院へゆかないだろうから、把握されていない。各戸を訪問して調査でもしない限り分からないと思う。
 メキシコの疫学的調査が進めば、さらに詳細が分かってくると思う。

 メキシコで発生したA(H1N1)株が、試験管内で遺伝子操作で人為的に作成されたものであるとの意見も出ている。理由は、あまりにも遺伝子の組み合わせが複雑で、類似した遺伝子組成はこれまで全く無かったことからである。
 元々の、北米ブタインフルエンザウイルスの遺伝子+鳥インフルエンザウイルスの遺伝子+人インフルエンザウイルスの遺伝子+ユーラシアブタインフルエンザウイルスの遺伝子から構成されている。
 全くの新型ウイルスではあるが、非常に複雑な構成なので、人為的に作成された疑いを持つ専門家もいるようだ。
 メキシコで突然発生した新型インフルエンザである。背後に何かがあるか分からない。偶然ではあるが、管理人が出版している「パンデミック追跡者第二巻」がまさしく、こうした問題を背景にストーリーが作られている。興味がある方はお読みください。

 日本のブタは大丈夫なのか?という声もあるようだ。
 しかし、この変異型A(H1N1)株は、ブタインフルエンザウイルス由来ではあるが、既に人型インフルエンザウイルスなのである。このウイルスがメキシコなどでブタの間で蔓延していて、そこから人が感染しているのではない。そのポイントがH5N1鳥インフルエンザの場合と異なるのである。
 メキシコに新型インフルエンザウイルスが突然出現した。そのウイルスはブタインフルエンザウイルス由来ではあるが、人のインフルエンザウイルスなのである。間違っても日本のブタには感染しない。一生懸命、大量のウイルスを気管内に入れたら分からないが。事実はこれだけである。

 この新型ウイルスA(H1N1)に対してワクチンを作るというアイディアもあり得る。
 しかしこれは現時点では急ぐべきではない。
 今後、この新型インフルエンザがパンデミックとなりえるのか、そして毒性が強いのか見極める必要がある。
 この1ヶ月程度でおよその状況は分かってくる。
   ウイルスの特性:感染力、致死力等。
 1976年に米国でブタインフルエンザが基地内で発生し、1人が死亡した。この時フォード大統領は、CDCのアドバイスで緊急にワクチンを作成し、数千万人に接種した。その結果い多くの副作用による被害者が出た。さらに運の悪いことに、そのブタインフルは結局拡大しなかったのである。
 焦った行動は禁物だ。また一部の専門家の意見だけに従うのも禁物だ。
そのときの状況を伝える論説を訳してあるので参考にして欲しい。 ファイル


 猛烈に取材が多く、午後はそれでつぶれた。
 
 感染者はスペインでも発見されたが、メキシコ帰りのである。
 これまでのメキシコ以外での感染者の大多数は、全てメキシコ帰りである。
 それら感染者から二次感染者はそれほど出ていない。
 しかし、ウイルスは拡大している可能性はある。

 病原性は低い。
 感染しても軽症で終わる。
 ウイルスは夏場に入る北半球では、これから不活発となる。

 問題は秋から冬にかけてであるが、第2波として毒性の高いウイルスに変異するのか、それが公衆衛生的問題である。
 現在は感染しても怖くはない。自然治癒する。

 H5N1鳥インフルエンザが変異して、人人感染を起こしだし、パンデミックとなるのとは全く異なる。
  現在のウイルスによるインフルエンザの症状は、通常の季節性インフルエンザよりも軽い。
 これが毒性を増したとしても、香港やアジアインフルエンザ並かも知れない。
 
 一般の人々は何も恐れる必要はないが、恐れるのは公衆衛生担当者のはずだと思う。

 3)22:50 更新

 本当に取材が多い。
 テレビカメラも持ち込まれた。
 ウエブの更新もままならない。

 現在の世界の状況をまとめると:
   メキシコを中心に新型インフルエンザ株A(H1N1)が流行していて、それは米国、カナダ、スペインで、メキシコ帰りの人々で発病している。
 基本的に症状は軽い。自然治癒する。
  メキシコでは死者が出る程であるが、大多数の軽症者が見逃されている可能性もある。
 人口2000万人の人口過密状態のメキシコ市で、何人が発病したのだろうか?死者が100人でたとしても、発病者が10万人いたら、致死率は0.1%にすぎない。5万人だったとしても、0.2%だ。通常の季節性インフルエンザ並の致死率となる。
 問題はどれだけの感染者がいるかである。軽症者は病院へはゆかない。各家庭を訪問して調査をしない限り分からないかも知れない。
 重症者は確かに多く、また若い成人層での死亡率が高い。それもサイトカイン・ストーム様の症状だ。
 さらに感染者全体の状況が分からなければ、これ以上は推測の領域となる。
 色々な噂が乱れ飛んでいる。
 悪魔的感染症が発生していると吹聴する人々もいる。
 しかし医学的に、疫学的に冷静に観察し、洞察することが要求される。
 
 今夜WHOの緊急会議が開かれるという。
 フェーズ分類を引き上がるのだろうか?
 あまり意味のある分類とは思えないが…。

 明日は某テレビ局の番組出演のために東京だ。
 無言になるくらい忙しい。
 執筆依頼も入っている…。

2009/4/26

曇天で寒い朝。
 昨夜は遅かったから、頭の中も曇天。
 目の報も酷使したせいか調子が良くない。

 WHOのインフルエンザ専門家による緊急会議が昨日開かれ、現在メキシコで1000人以上の感染者と60人以上の死者、そして米国でも10人を超える感染者を出している新型ブタインフルエンザに関して、国際的公衆衛生上の危機と位置づけ、各国における警戒態勢の強化と、発生時の迅速な報告を求めた。
 しかし、パンデミック発生警戒レベル(フェーズ分類)は、現状の3のままに据え置いた。
 昨日の日記に書いた通りの結果である。
 フェーズ分類を引き上げることは、政治的に多大の問題が起きる。各国の監視体制の強化が求められる。検疫体制も然り。さらにワクチンや抗インフルエンザ薬の問題も起きてくる。一部の先進国はいい。しかし全世界の国々を対象に考えると、監視体制、拡大防止体制等の強化は、国際的摩擦を生じる可能性が高い。感染症発生国に対する色々な経済的不利益も起きえる。
 しかし、パンデミックにつながる危険性があるから、十分警戒と対策を高じるように声明で求めるのは、それほど拘束力はないから、政治的には大きな問題は出ないと考えられる。
 危険ですから、注意して渡ってくださ~い!
 危険ですから、不要不急での横断は禁止しま~す!
  の差がある。

 またフェーズ分類の定義自体が、今回のブタインフルエンザを適用するのに、無理がある。
 本来動物に感染していた病原体が、人に適合して、最終的に世界中に拡大してゆく過程を段階的に区切って、警報としているものだ。それは分かりやすいが、実際にはそのような過程で全ての病原体が人の世界でパンデミックを起こすわけではない。
 SARSだって、気がついたときはパンデミック一歩手前であった。また香港&アジアインフルエンザだって、ウイルスの突然変異(ウイルス間の遺伝子再集合)で突然現れた。
 今回のブタインフルエンザA(H1N1)だって突然の出現である。フェーズ分類を適用すること自体無理なのである。
 はっきり言って現在のブタインフルエンザは、フェーズ分類で言えば、フェーズ4か5に相当するかも知れない。
 今朝の米国の報道では、カンザスで2人感染者が出ているし、ニューヨークでも高校生が集団発病している可能性があるようだ。となると完全にフェーズは4を超えているし、他の国でも見つかると5に該当する。
 このブタインフルエンザは可能性から言って3月頃からメキシコで発生していた可能性が高い。なぜならカリフォルニアのサンジエゴで発病した子供は3月下旬だからである。
 この1ヶ月前後の期間にウイルスがメキシコと米国外に拡大していない可能性は、むしろ低く、ある程度国外に広がっていると考えるのが妥当である。
 どの程度広がっているのか?
 この結論がある程度得られた段階でWHOは、フェーズ分類を再考すると思われる。

 この新型A(H1N1)株は、ブタインフルエンザウイルス由来ではあるが、人人感染を繰り広げている現在では、人の新型インフルエンザウイルスと認識される。
 すなわちメキシコ周辺で新型インフルエンザウイルスが発生したというこになる。
 しかし、発生地がメキシコなのか、それとも中南米の他の国ではないのか、等、早急に知りたい情報は多い。
 メキシコでの発病者の致死率は数パーセントに上り、発病者の年齢は25~40歳に集中し、その死因は急激に進行する肺炎のようだ。一見、スペイン・インフルエンザや、H5N1鳥インフルエンザ発病者で言われる”サイトカイン・ストーム”を思わせる。
 しかし、米国での発病者は軽症である。
 人種性、また季節性インフルエンザワクチン接種の有無、さらには病原体が異なるのでは?等という憶測もある。 
 またCDCでは、メキシコでは多くの軽症者が見逃されていて、重症者と死亡者だけが探されている可能性あると推定しているようだ。
 今後数日間に得られる知見で、さらに事態の正確な把握と、今後の状況の予知が可能となる。

 これからは夏であるから、万が一、パンデミックウイルスの誕生だとしても、それほど活発に感染を繰り広げないと考えられる。問題は秋から冬である。
 スペインインフルエンザの際も春から初夏にかけて最初の発生(第1波)があり、その後秋口から本格的第2波があった。第1波は北米で単なる風邪程度の流行だったようだ。

 厚労省の動きは速く、相談電話を昨日開設した。
 さらに各自治体にも相談窓口を開設するように指示をだした。
 問題は保健行政担当者がどこまで知識を持っているかである。
 たぶん多くの担当者は国からの情報に基づいて、事務的判断に終始する可能性がある。
 それが心配である。
 現在、全ては断定的に捉えることは出来ない。
 一定の条件が与えられ、それを応用問題を解くように判断してゆくのである。
 日本のお役所ではもっとも不得手な業務である。

2009/4/25

 昨日から、パンデミック発生前夜のごとき忙しさだ。
 欧米から情報が次々と出てくる。

 午前中までは、米国カリフォルニア州南部のブタインフルエンザA(H1N1)が人人感染を起こし、それが拡大し出している可能性と、ウイルス遺伝子が、ブタ、鳥、人のインフルエンザ遺伝子の混在したもので、さらにそこにユーラシアのブタインフルエンザウイルス遺伝子も紛れ込んでいるという、非常に複雑な遺伝子構成となていることがCDCから発表されたニュースが中心であった。要するに人人感染する新型ブタインフルエンザA(H1N1)株の発生である。

 そこにメキシコで謎の呼吸器感染症、それも致死率が数パーセント以上という脅威の感染症が発生している情報が被さった。そして夕方には、メキシコの致死的呼吸器感染症は、米国のウイルスと同じようであるという、CDCやWHOの報道があり、パンデミック発生の可能性が否定できない状況となった。
 その後シナリオは、メキシコでブタインフルエンザA(H1N1)が発生していて(1000人以上、死者は60人以上)、そのウイルスが米国へ拡大していることに変わった。
 米国のカリフォルニアで8人が発病しているが、当初からメキシコからウイルスが拡大してきたことが推定されていたにも関わらず、迅速なメキシコ側との連携がとれなかったのは、メキシコ側が米国CDCへ情報を昨日まで提供していなかったからのようだ。メキシコ側は数日前にはカナダに状況を報告し、調査の支援を依頼していた。
 昨日、米国CDCではメキシコの検体から、カリフォルニアで分離されたブタインフルエンザウイルスA(H1N1)と同型ウイルスを分離している。
 WHOの報告によるとメキシコの患者から分離された12検体は米国のウイルスと同型とされる。
 
 メキシコで1000人を超えるA(H1N1)ウイルスで致死的呼吸器感染症に罹患した患者が発生し、致死率は数パーセントを超える。
 これは正しくパンデミック・インフルエンザ発生の可能性を示唆している。
 なお重要なこととして、元来はブタインフルエンザウイルスA(H1N1)ではあるが、それが完全に変異して人人感染を起こしているなら、それはブタインフルエンザウイルスと呼ぶべきではなく、新型A(H1N1)ウイルスと呼ぶべきである。

 WHOではパンデミック宣言の予定はないとされるが、専門委員会の開催等、慌ただしい動きが始まっている。
 これまでの症例を集約すると以下の通りである。
 1)患者の多くは若い成人で、年齢は25歳から40歳が中心である。
 2)高熱、咳、全身倦怠感、発病して5日以内に重篤な呼吸障害。レスピレーターを必要とする患者も多い。
 3)致死率は数%から10%。

 
 以上の所見は、スペインインフルエンザ、およびH5N1鳥インフルエンザ発病者の特性に類似している。
 症状の急速な進展は”サイトカイン・ストーム”を想定させる。

 現在、メキシコ内、および隣接する米国のカリフォルニアとテキサスでの疫学的調査が精力的に行われているが、可能性から言って、WHOからパンデミック発生の危険性が発表されると思う。
 さらに各国におけるインフルエンザ様症状を呈する集団発生の迅速な調査、また検疫所における監視体制が強化されると思う。

 日本国内での体制も引き締める必要がある。問題は以下の点。
 ・責任者が不明瞭である。
 ・情報をどこまで収集し、集約し、解析しているか不明。情報は迅速に公開しなければならない。
 ・迅速に集約した情報を、迅速に分析し、そこから何が起きえるのか予知しなければならない。
 ・予知した問題に対する対策を迅速に実行しなければならない。

 急ぐことは、今冬のワクチン株に現在のA(H1N1)株を加えるかどうかである。
 さらに備蓄中の抗インフルエンザ薬を、どのように使用するか決定し、使用場所で迅速に使用できる体制が必要だ。

 各自治体の担当者は、連休に備えてウキウキしているかも知れないが、今後1ヶ月間は、保健行政担当者には休みがなくなる可能性がある。
 新型インフルエンザ発生に備えて、保健師達の学習と実技訓練を急ぐ必要がある。

 希望的観測:人のH1N1ワクチンがある程度効果をもつ。
         これまで季節性インフルエンザワクチンを接種してきた人々は軽症化する。
         暑い夏場に入り、ウイルスの感染力が弱まる。(この場合、秋に一斉に広がる可能性が高い)。


2009/4/24

 今日は快晴だ。
 確か日本の西部は天気が悪かったように思う。テレビの天気予防で、九州が雨マークだらけだった?

 今日も札幌だ。朝7:30には家を出る。
 その前に朝のウエブ更新を完結する必要がある。どんなに短くても、海外のウエブを閲覧し出してから、情報を選択し、それらを訳し、そしてウエブに掲載し終わるまで2時間は要する。有名紙で長い論説が出ているときは、超特急での翻訳となる。
 現在は新ウエブと旧ウエブの両方を維持しているから大変この上ない。
 将来は、もしかしたら失明するのではないかと思うくらい目を酷使している。

 米国のブタインフルエンザ発病者は合計7人まで増えている。テキサスでも2人見つかったが、それはサンジエゴの発病した少年が旅行した際に感染を広げたものかどうかは分からないが、CDCでは精力的に感染者の調査を行っている。WHOやメキシコとも相談しているようだ。

 エジプトでまた若い女性がH5N1鳥インフルを発病したようだ。発熱した当日には病院で加療開始となっている。状態は安定しているようだ。

 上記2事件に関する国内報道(日本語報道)は全くと言っていいくらいない。
 だから多くの人々は関心がないし、当ウエブを見ている人々の多くも、その重大性は感じていない。
 これは医学的に重大性が感じられる情報なのだが…。
 僕は医師だから、オレ、知らないとは言えない。
 このあたりは、小説「パンデミック追跡者第一巻」に似てきた。

 今日の報道から:

 1) 米国のブタインフルエエンザに関する情報は、1昨日のワシントンポスト紙で取り上げられ、昨日から今日にかけて世界の多くのメディアも報道している。今日はCNNが比較的長い論説を伝えている。
 現在発病者は7人であるが、これは氷山の一角で10倍以上の発病者がいると考えられ、さらにメキシコにも多くの発病者がいるかも知れない。米国CDCはメキシコ当局とも色々と相談して調査をしているようだ。
 アトランタの専門家によると、ブタインフルエンザが、人のパンデミック・インフルエンザには発展しないと思うと語っているが、ある程度人の間に広がっても、限定的に拡大は収まっている過去の事例から、そのようなコメントをしているようだ。
 過去の有名な事例:
 ブタインフルエンザの人人感染は通常では起きないが、前例はある。最も有名な事例は1976年に、ニュージャージーのFort Dixの軍隊基地で新兵の間で発生したものである。当初4人が発病し、1人が死亡した。人人感染が確認された。1ヶ月後に流行は終息したが、現在、その株はA/New Jersey/76(Hsw1N1)と呼ばれているが、どこから感染してきたのか明らかにはなっていない。1988年には、妊婦が死亡した。後にそれがブタインフルエンザによるものあることが判明したが、女性は発病4日前に郡のブタ展示会に出かけていた。出品者の76%がウイルスに対する血中抗体が産生され、患者と接触した数人の医療関係者が中等度のインフルエンザ様症状を呈した。これらの医療関係者は回復した後、やはり血中に抗体が産生された。 

 2) エジプトで若い女性が発病した。今年17人目の発病者であり、今月に入ってから8人目となる。多くは幼児であったが、最近は成人例も見られる。今回の事例は早期に病院でタミフルによる治療が開始され、状態は安定しているようだ。
 エジプトの異常な状況は、先日、ニューヨーク・タイムズで長い論説として取り上げられていた。
 今後、そのような展開を見せるか、警戒が必要だ。
2009/4/23

 今日は札幌へ出かける木曜日。
 週2回午前中だけの仕事と言っても、朝からバスに乗って仕事場所に出かける習慣がなかった身には、結構辛いものがある。
 自分一人の仕事なら、30分前後の時間的ずれは許される。
 しかし、組織の中で働くとなると、目に見えない縛りがある。
 とは言っても、本当に優遇されているが。

 今日も曇天。
 天気図をみると日本西部はいつも太陽マークだ。羨ましい限り。

 今日の海外報道は少ない。
 昨日、エジプトで新規患者がさらに出たニュースも重大であったが、それよりも新型ブタインフルエンザウイルスが発生して、カリフォルニアで2人の子供が感染して発病したニュースは重大だ。これは人人感染を起こしていると思われ、CDCを中心に周辺の人々の感染の有無の調査を行っている。状況からは家族内感染も起きている。
 重体者は出ていないが、パンデミック・インフルエンザとして拡大する可能性は否定できない。ニューラミニダーゼ阻害薬であるタミフルとリレンザに対する感受性が調べられている。
 エジプトのウイルスと言い、米国のブタインフルエンザウイルスと言い、いつ我々の周辺に拡大してきて、時季外れのインフルエンザとなるか分からない。

 各地で作成されている自治体の「新型インフルエンザ行動計画」及び訓練などは、相変わらず定義の不明な”仮想感染症”を相手にしているようだ。
 企業の作成するBCPも同じだ。相手とする新型インフルエンザの定義がない。なんとなくスペインインフルエンザ並のものを想定していたり、中には酷いものもあって、”新型インフルエンザ”は、H5N1ウイルスが変異して起こるものと考えている場合もある。
 確かにH5N1鳥インフルエンザは恐く、2006年を頂点に、人人感染を起こすようなウイルスに変異し、そしてパンデミックとなることが懸念されていた。
 パンデミック・インフルエンザは要警戒である。その中でもH5N1ウイルス変異によるものは、特に重大な被害を発生させる可能性がある。これが2007年頃までの世界の考え方だった。
 しかし現在は、H5N1ウイルス変異によるパンデミックの可能性を警戒する声は、WHOを中心としてトーンダウンしている。
 ここで誤解されるのだけど、トーンダウンしているのはH5N1によるハルマゲドンクラスのパンデミック・インフルエンザに対してであり、パンデミック・インフルエンザ、そのものに対してではない。
 
 エジプトでH5N1ウイルスは変化して弱毒化してきた可能性がある。成人での発病例が少なくなっている。そうなると無症状感染者が増え、知らないうちにウイルスは周辺に拡大してゆく。ウイルスが変異しても直ぐには気づかれない。パンデミックの予兆の一つと表現している報道もある。
 米国で発生した新型ブタインフルエンザウイルスは、2人の子供を発病させ、家族にも感染したようだ。2人の子供達はブタから感染はしてないから、感染した人からウイルス感染を起こしたことは明らかだ。
 このウイルスはどの程度広がっているのかは不明だ。
 もしかしたなら日本へも持ち込まれているかも知れない。
 鼻腔や咽頭の粘液検査をするとA型インフルエンザとの結果は出る。しかし株の検査ではH3N2でも、H1N1でも、さらにはH5N1でもない(米国ではここまで地方の検査所では調べている)。ブタ型A(H1N1)を想定して検査しなければ分からない。
 日本でも現在インフルエンザが再燃している。多くはB型である可能性が高いが、もしA型も流行することがあるなら、ブタA(H1N1)も調べなければならない。この株がパンデミックを起こす、起こしつつある可能性は現在の処、否定出来ないのだ。
 日本でのインフルエンザウイルスのチェック体制はどうなっているのだろう?
 謎だ?

 本日の報道から:

 1) エジプトで25歳女性が死亡した。
 18日に発病が報じられたカイロの女性と考えられる。発病当初からレスピレーターにつながれていて、重体とされていた。多数の無症状感染者がいる成人の中での氷山の一角なのかも知れない。すなわち下図のパターンBである。
 エジプトの状況が明確になるまで、”エジプト株”によるパンデミック発生のリスクは継続する。


 
2009/4/22

 曇天。
 ここ2日間は天気が悪い。
 雨粒も時々落ちてくる。一昨日はミゾレになるかと思った。
 この湿りがちな天気が回復すると、緑が一層映えてくるのだろう。
 
 色々と忙しく、小説「パンデミック追跡者第三巻」が進まない。まだ三分の一程度だ。なんとか5月初旬には完成させたい。
 第二巻の反響が今のところあまりない。発売されて1週間足らずではあるが、やや意気消沈気味ではある。H5N1鳥インフルに関する年表も付属し、ある程度勉強になる構成になっているが、出版社も含めて、その意義付けが分かっていない可能性がある。
 第三巻で終了としたいが、現在進行中の問題ではあるから、どのような終末にしようか決めていない。

 エジプトでさらに男児が発病した。
 また3月末に発病し、入院していた6歳少年が死亡した。今年度初の死亡者である。
 米国で変異ブタインフルエンザウイルスで2人の子供が発病した。人人感染している疑いが強い。

 本日の報道から:

 1) エジプトで3月末に発病して治療中であった6歳少年が死亡したことが、同国の保健省から発表された。
 また同時に4歳男児が発病して、入院したことも発表された。
 同国のH5N1鳥インフル発病者の内訳は、上方に表にしてある。
 本年度16人が発病し、1人が死亡している。
 16人中、13人が6歳以下であり、11人が2歳以下である。死亡は1人。
 明らかに従来のH5N1発病者の年齢構成と死亡率と異なる。
 環境から来ているのか、ウイルス変異からきているのか判別しなければならないが、WHOはウイルス変異を否定しているようだ。
 しかし、エジプトのこの状況を明確に誰も説明出来ていない。
 昨日の、ニューヨーク・タイムズが論説として取り上げ、掲載している。
 当ウエブでも何度もエジプトの異常な状況を伝え、まとめ、そして一昨日アラート第2報を発行している。

 なぜかエジプトにおけるH5N1鳥インフル発生状況は、国内マスコミは取り上げていない。
 昨年末には、あれだけ大騒ぎして”新型インフル発生間近か!”と報じたマスコミが春になってから、新型インフルエンザ問題に背を向けたようだ。旬が去ったかのようだ。
 国内での対策に関する情報は取り上げてはいる。しかし、国や自治体の発表に従った記事に過ぎない。
 かって、”ペンは強し!”といった時代が懐かしい。
 マスコミは、新型インフルエンザ問題を真剣に考えているのだろうか?
 独自に分析しているのだろうか?

 国内の専門家や関係者はほとんど無関心のように見える。
 WHOが発表すれば動くのだろうか?
 WHOは、そこまで力を持っているのだろうか?
 ふと疑問になる。

 2) 米国CDCから新型ブタインフルエンザウイルスに2人の小児が、カリフォルニアで感染したことを発表した。ブタインフルエンザウイルスA(H1N1)が分離されたが、ニューラミニダーゼと器質タンパクをコードしている遺伝子が、それまでの米国内で発生していたウイルスとは異なっているいう。
 2人の小児は互いに関連はなく、さらにブタとの接触も無かったことから、他の感染者からウイルス感染を受けた可能性が高いという。また2人の家族の中にもインフルエンザ様症状を呈した人が複数以上存在し、ウイルスが人人感染を起こしている可能性も高い。現在接触者調査がCDCを中心に進められている。
 人の新型インフルエンザとして世界に広がる可能性もあり、要警戒すべき情報である。

 2) 長野県の諏訪地方でインフルエンザが流行し、2小学校で学級閉鎖が起きている。
 報道を見ると、ウイルスは同定されていないようだ。3月に発生したB型インフルエンザが再燃しているのだろうか等と書かれている。
 ”県健康づくり支援課によると、県内では昨季、4月以降の学級・学年閉鎖はゼロだったが、今季はすでに7校に上っている。3月中旬から流行しているB型ウイルスの存在もあり、「新学期で集団生活が再開し、感染が拡大した可能性がある」と同課。「冬のインフルエンザと同様、手洗いやうがいの徹底、マスク着用で予防に努めてほしい」と求めている。”。
 季節外れのインフルエンザ様疾患は早急にウイルス株の同定が必要である。
 新型インフルエンザ対策の初期対応として重要な作業である。
 WHOが何も言ってないから、大丈夫です~、誰も死んでいないから新型インフルエンザであるはずはないね!等という説明ででは、プロフェショナルとは言えない。
 上記の米国のように繊細な対応が必要だ。
 真剣に、”新型インフルエンザ”対策に向かう必要がある。
 {新型インフルエンザ=H5N1鳥インフルの変異型}ではないのだ。
 我々の健康危機をもたらす敵はいつ、どのような装いで現れるのか分からないのだ。

 
2009/4/21


 何となくどんよりとした空。
 やや遅く目覚めた。
 昨夜、某リスク管理系の会社から、エジプトにおける危険性の度合いを尋ねるメールが入った。
 このような反応があると、ウエブサイトで情報を流している意義が感じられる。
 春になり、新型インフルエンザに関する関心は薄れてきている。

 1) ニューヨーク・タイムズが、今朝、エジプト状況に関する論説を掲載した。
 タイトルは、”エジプトにおける鳥インフルエンザ発生状況は警鐘を鳴らしている”。
 さすがにタイムリーな論説だ。
 ウ~ン、と呻きながら、1時間半を要して全訳した。
 朝の翻訳ははっきり言って、猛烈に頭を消耗する。
 疲れたの一言。
 海外報道に全訳文は掲載しているが、その要点は下方で記す。

 2) ニューヨーク・タイムズの論説でも「エジプト状況」は取り上げられたが、我が国のマスメディアは全く報じない。
 はっきり言って、エジプトのH5N1ウイルスはおかしいのである。結果的にウイルス変異は起きていないのかも知れないが、疫学的観点からは危険な状況にあるのは間違いはない。危険性を予知して、それを排除するか、または精査して危険性のないことを明らかにするのが危機管理の鉄則である。
 そうした意味では、今やWHOは機能していない。世界の人々に何ら情報を提供する役割を担っていない。それは国連機能が弱体化してきているのと同じであるのかも知れない。
 

 1)
 ・ エジプトで今年度、15例の鳥インフルエンザ発病者が出ているが、全て生存していて、そのほとんどは幼児である。
 ・軽症化してきていることから、成人での無症状感染者が出てきていることが懸念されている。
 ・もし無症状感染者が出てきているなら、それはウイルスの人への適合が進んでいることが意味され、非常に危険であるが、それを示すデータは示されていないという、世界的権威のウエブスター博士の談話。
 ・WHOは、エジプトでの幼児を中心とした鳥インフルエンザ発生と、その軽症化に関して、エジプト政府に調査をするように伝えた。すなわち家きんにおける鳥インフル発生時に、症状を呈さなかった健康人の血液を調べて、抗体産生の有無をチェックする。
 ・エジプトにおける生存率の高さは、発生地がカイロへ移動しやすい地域であることも一因。
 ・エジプト保健省は、地方の医師達へのタミフルの迅速な投与と、国立病院への転送を指導。病院での治療費は無料。
 ・エジプトのウイルスは変異している可能性が高く、2007年にケナで軽症感患者が発生していて、低病原性H5N1ウイルスが出てきている可能性が高い。軽症患者、または無症状患者が出ている可能性が高いとする、インフルエンザ・ウイルスの遺伝子変化を追っているヘンリー・ナイマン博士の談話を引用。
 ・ これまでも各国で無症状感染者に関する調査は行われているが、実際に周辺で抗体陽性者が見つかることは極めて少ないという、米国CDCの専門家の談話。
 
 以上であるが、非常に良くまとめられた論説である。
 世界のメディアの頂点である、ニューヨーク・タイムズの論説は、さすがに専門家にも一読んP価値がある。

 以上はこれまでの事実に基づいた話であるが、現在、そしてこれからのエジプトではどうなのか?
 たぶん、エジプトのウイルスは何らかの変化をしていることは間違いはないと思う。
 それはこれからの患者の発生状況、またはウイルス分析結果で分かってくると思うが、変異ウイルスが知らぬまに世界に拡大するのは防ぎたい。

 詳細は昨日発行したパンデミック・インフルエンザ・アラート第2報の方が詳しいかも知れない。これは自慢ではなく。

 2) WHOは国連組織の中で公衆衛生学的役割を担っているのであろうが、多くのスタッフがいる割には、世界的存在感が乏しい。地道な業務を続けているのは間違いはないだろうが、世界の公衆衛生をリードするだけの力はない。ましてや危機管理対策ではあまりにもパワーは非力だ。優秀な人材を世界中から集め、世界の健康問題を先進的に論じ、実行してゆく機関に変わるべきだと思う。(単に僕がそう思っているだけだけど)。WHOが役所化してしまうと、それはもはや終焉が近い組織である。

 3) 我が国のマスメディアが世界の情報を国内に伝えない原因として、我が国の公衆衛生専門家が弱体化していることがあげられるかも知れない。パンデミック・インフルエンザの危険性に関して、たぶん、公衆衛生専門家は何ら社会的発言はしてこなかっただろうし、そこまでの識者は極めて少ないと思われる。  
 保健所長の中には鳥インフルエンザを全く知らなくても、国の専門家委員会の席に座っている人もいるし、ある所長は、情報は感染研で十分出しているではないですかとも語っていた。
 そうしたローカル色豊かな公衆衛生専門家が多い我が国で、マスコミが公衆衛生学的危機に関して話題性を感じることは少ないと思われる。
 マスコミの得る情報の多くは国の発表による。

 昨日、プレパンデミックワクチンに関する専門家会議が開かれ、某テレビの目立たない時間帯のニュースで報道されていた。
 多くの専門家と言われる人々が居並ぶ中で、何が検討されているのだろうか?
 はっきり言ってベトナムやインドネシアで分離されたH5N1ウイルスで作成したプレパンデミックワクチンなるものが、どれだけ意義があるか分からない。でもある程度は備蓄は必要だ。なぜならそれらの変異株を用いたバイオテロもあり得るからだ。
 しかし、事前接種は???
 こうしたテーマで会議を開いている光景は本当に平穏である。
 まさしく、いつか起きるかも知れない(早急に心配する必要はない)新型インフルエンザ対策といったイメージだ。
 しかし、その一方でエジプト問題を、ニューヨーク・タイムズは取り上げ、米国内に多数いる世界的公衆衛生専門家やウイルス専門家の意見を集約している。
 新年には、米国とカナダの大手新聞が、H5N1ウイルスによるパンデミックの可能性に関して、同様に数人の専門家の意見を集約している。
 何か日本は変だと思う。
 他の先進国と同じ場所に存在しているのだろうか?
 妙に足下が気になる。


2009/4/20



2009/4/19

 やや薄い雲がかかっているが空は明るい。
 太陽が地球に近いことが実感される。
 
 来週の講演は、病院関係者が対象だ。
 医療関係者への講演は数回しかない。
 新型インフルエンザがテーマの講演は、3ヶ月毎に見直す必要がある。状況で内容を変えなければならない。
 少なくとも1年前の内容は、現在では不向きだ。
 H5N1鳥インフルエンザの歴史が中心の場合は、意外と楽だ。歴史的事実をまとめて説明してゆけば良い。
 しかし、新型インフルエンザがテーマとなると、色々と重要なポイントが出てくる。

 今日は、朝の海外報道がないことから、新型インフルエンザに関する問題点を整理してみた。
 今後の自分の講演の内容の整理でもある。

 現時点における新型インフルエンザを取り巻く問題点。

 ・新型インフルエンザとは何なのか?海外にはないこの概念の説明。
 ・新型インフルエンザの源となる鳥インフルエンザの説明。
 ・鳥インフルエンザの中でも、最も新型インフルエンザに移行しうると考えられてきたH5N1鳥インフルエンザの説明。
 ・H5N1鳥インフルエンザから移行した新型インフルエンザに対する対策
  医療的、医学的、社会的、政策的
 ・H5N1鳥インフルエンザから新型インフルエンザが発生する可能性について、過去、現在、将来
 ・H5N1ウイルスに特化しない新型インフルエンザ一般について
 ・新型インフルエンザの病原性程度による区分とそれに従った対策
 ・新型インフルエンザに対する対策の進歩
  非薬学的アプローチ
   社会的隔離対策の意義とその準備、新型インフルエンザに対する正しい社会的認識への啓発
  薬学的アプローチ
   ワクチン開発の著しい進歩 (プレパンデミック・ワクチンからパンデミック・ワクチンへ焦点の移行)
   多くの抗インフルエンザ薬の開発と実用化
   治療薬としてのモノクローナル抗体とその大量製造
  等

 これまでの日本ではH5N1ウイルスが変異して新型インフルエンザウイルスに変わり、スペインインフルエンザと同程度の病原性もったインフルエンザが発生するという単純な仮説に従ってきた。
 しかし、昨年のスペインインフルエンザ発生90周年を記念した、米国やカナダ等での研究を境に、スペインインフルエンザに対する見方が変わりつつある。
 すなわち、その死因の多くは細菌性肺炎だったこと。
 急速なウイルス変異と拡大は、第一次世界大戦のために、多くの兵士が集団で移動、および集団で兵舎内での生活をしていたという特殊な環境が主たる理由であること。
 若い成人層で感染者と死亡者が多かったことは、1890年以前に生まれた年齢層では免疫を持っていた可能性があること。
 等である。
 すなわち、現在、スペインインフルエンザ並の新型インフルエンザが発生したとしても、当時と同程度の被害は発生せず、被害程度は遙かに低いと想定することも可能となってきている。
 さらに僕の見方では、当時のインフルエンザによる死亡率は現在の4倍程度はあった。それから考えると、現在、スペインインフルエンザが起きても、当時の死者の四分の一程度と考えられるし、当時に比べて現在は抗生物質を初めとして多くの予防・治療方法がある。被害は果てしなく小さいのではないか、というのが、僕の考え方だ。

 H5N1ウイルスに関して言えば、いきなり変異して人の間にハルマゲドンクラスの新型インフルエンザを発生するという考え方が、これまで広がっていた。
 しかし、そうした恐怖に基づいた仮説は段々と陰を潜めだしている。なぜならH5N1ウイルスによる発病者数と死者数が減ってきているからだ。
 それよりも今は、H5N1ウイルスの人に対する弱毒化が懸念されており、それがエジプトの株で起きている可能性がある。この弱毒化はパンデミック発生の予兆の一つとされる。
 すなわち、エジプトでは、幼児を中心とした発病で、全員が回復している。なぜ成人ではの発病は少ないのか?
 WHOを初めとして専門家は、エジプト株が弱毒化して、成人の間で無症状感染者が発生している可能性を危惧しだしている。
 すなわち、無症状感染者が多くなると、抗インフルエンザ薬でウイルスが体内から駆除される率が下がり、それだけ体内で変異する可能性が高まる。同時にウイルスは周辺に撒き散らされる。ウイルスが変異して人に感染するようになっていないうちは、人へのウイルス拡大は起きないが、無症状であるかぎり、変異して人の間に広がりだしても早期の検出は難しい。

 無症状感染者が増えた場合、確率的に低いと言っても発病者は出てくる。そして死者も出てくる。
 監視態勢が強化され、それらの早期発見がなされるならば、迅速な対策は講じられるが、現在のように”集団発生で新型インフルエンザが発生するという断定的見解”がある限り、対策は時間的に相当遅れる可能性がある。

 これまでのH5N1ウイルス感染者の内訳を分類すると下図に示した3通りになる。
 何となくパターンAを考えがちであるが、発病者は氷山の一角とするパターンB、そしてほとんどは発病しているが、中には軽症、または無症状者もいるとする考え方もあり得る。 
 一番恐いのはパターンBであり、その無症状感染者の中でウイルスが変異を起こし、人人感染が知らないうちに起きて、多くは軽症、無症状であり、数%が死亡するというパターンだ。多くの研究でそれを示唆しているものもあるが、否定的意見もある。
 こパターンで、100人ウイルスに感染し、20人が発病し、その15人は軽症で、5人が重症、そして2人が死亡するとした場合、これはスペインインフルエンザと同程度の被害となる。
 恐いのは、この状況がある地域で起きるのではなく、徐々に世界各地で同時進行することだ。
 我が国も含めてである。
 なお下図は転載は控えて欲しい。
 
      
2009/4/18

 早起きの僕としても早すぎる時間帯に目を覚ました。
 少し仕事をして、またなんとか1時間半程度のウツラウツラは行えた。
 色々としなければならない仕事が頭の中に浮かぶ。
 やむなく起きあがり、またパソコンの前に向かう。
 窓からの光線は強く、今日も晴れている感じだ。
 かっては、ジョギング、サイクリングで汗を流した時間帯だ。
 恨めしい気持ちで窓から見える、残雪が日増しに消えてゆく山々の連なりに視線を向ける。
 自然の大きさと素晴らしさを、今更ながら感じ入る。
 突然、ラベルのピアノ曲を聴きたくなった。
 意味を持たない言葉の羅列が欲しくなったのだ。

 小説「パンデミック追跡者第二巻」の配本が終わったという。
 どれだけ全国で出るか、あまり期待はしない。
 第三巻をとりあえず書き終えて、別のテーマで小説を書きたくなっている。
 もしそうなると、このウエブの維持が時間的に難しくなる。
 自分の役割は何なのだろうか?、と、ふと思う。
 「新型インフルエンザ危機」の伝道師のつもりになってきた自分が今、何となく、独りよがりの思いを抱いていたような気がしだしている。

 この春の日射しの中で、多くの人々が自分達の輝きを求めて歩き出している中、自分の歩いてきた”轍(わだち)”を振り返りだしている。

 今日はエジプトでまた女性が発病したニュースが飛び込んでいる。


 今日の報道から:

 1) エジプトの25歳女性が発病した。感染した家きんに接触したことが原因とされる。エジプトでは500万世帯を超える家庭で家きんを飼育している。家庭の食料と家計の足しにする。家きんの世話をするのは主婦とい若い娘達である。だから彼女達のウイルスに感染する機会が増す。今回発病した女性は重体で、レスピレーターにつながっているとされる。11日に発熱で発症したようだ。
 今月に入って5人目の事例で、本年度14人目となる。その多くは幼児で、全て回復していることから、エジプトのウイルスは変異してきている可能性が示唆されている。成人で無症状感染者が発生している可能性があり、今回のような成人での発病者は、ウイルス感染者のほんの一部(氷山の一角)の可能性がある。
 多くの軽症幼児と無症状感染者がいて、その中から特徴ある症状で発病した患者だけが、鳥インフルエンザとして識別されている可能性もありえる。発生患者の詳細は、各種情報に掲載してある。

2) バングラデシュで鶏での鳥インフル発生頻度が激減したようだ。昨年処分した鶏数が165万羽で、今年は2万羽に過ぎないという。
 インドでの発生数も、昨年に比較して格段に少ないようだ。家きん飼育と農民への啓発が効を奏してきたのだろう。
 春を迎えて家きんでの発生状況は減ってきているように思われる。
 問題はウイルス側の変化だ。
 ”エジプト株”が一番気になる。
 続いて中国、インドネシアとなる。
 H5N1ウイルスの変異、またはそれらウイルスの遺伝子の断片が、従来のインフルエンザウイルスの遺伝子と入れ替わっていないか気になる。
2009/4/17

 快晴の朝だ。
 一気に緑が増えそうだ。

 春は若い世代が色づく。子供も青少年も。
 中高齢者はどうであろうか?
 色づきはしない。

 精神的に活性化されると色づく。
 中高齢者は、春になっても精神的に活性化されないのだろうか?
 太陽光が強くなっても、それにホルモン系が反応することが出来なくなるのだろうか?

 週2回朝に札幌へ出向くが、朝のバスの中、通りを急ぐ人々に表情はない。
 かって、サイモン&ガーファンクルが”サイレント・オブ・サイレンス”を歌い、世界的に共感がもたれたことがあったが、今は、”無表情の中の感情”なのだろうか。

 今日の朝は、特記すべき海外情報はないが、国内情報では引っかかるものがる。


 1) 静岡県からの報道。
 新型インフルエンザ流行の際、発症者の搬送で市民の“命綱役”となる救急隊員。静岡市は県内の自治体でいち早く、救急隊員自身を病原菌から守るゴーグルやマスクなどの感染防護資器材の配備を終えたという。
 「今は鳥インフルエンザで鳥から人への感染が確認されている段階だが、いつ静岡で発生するか分からない」。市消防防災局救急課統括主幹の辻泰・消防司令は危機感を募らせる。 国内外で人から人への感染が確認された時点で、市内の6本署1分室16出張所に速やかに資器材が分配されることになっている。
 このような準備を急ぐことは正しいが、何のために準備するのかが、明確にされてない。すなわち”新型インフルエンザ”の定義だ。”新型インフルエンザ”という言葉は、日本にしかないのだから、この定義が曖昧だと、中身の持つ意味が不明瞭となる。
 地震に対する対策と発想を同じにしているのだろうか。マグニチュード*以上の地震を想定した対策は論理的だ。ではこの新型インフルエンザ対策は、どのような”重度(病原性)”の新型インフルエンザを想定しているのだろうか?相変わらずハルマゲドン的”仮想感染症”なのだろうか?それとも”香港インフルエンザクラス”なのだろうか?

 2)山形県内の今冬のインフルエンザ患者数が過去10年間で最多となったことが、県衛生研究所の調べで分かった、とされる。
 僕は昨年秋から、今冬(正しくは昨シーズン)のインフルエンザ流行は過去数年来のものになると予想し、当日記でもそのようにコメントしてきた。
 理由は、ここ数年、国内の季節性インフルエンザの流行程度は低く、そろそろ大流行の可能性があったことと、欧州では香港株のブリスベン型が大流行の可能性があったし、米国ではタミフル耐性株のソ連型が流行すると考えられていたからだ。
 結果的に厳冬期には香港型とソ連型、冬期後半にはB型が中程度の流行を起こした。
 ソ連型はタミフル耐性変異株と香港株であったが、香港株の十分な分析が行われなかったせいか、欧州で流行したブリスベン型香港株がどの程度流行したのか不明だった。
 もし過ぎ去ったシーズンでブリスベン型香港株が流行していなかったとしたなら、来シーズンは警戒する必要が出てくる。オーストラリアでも米国でも多くの肺炎と死者を出したと言われる、香港株としては久しぶりの悪性型であった。
 冬場に出てくるインフルエンザ株の迅速な分析を行わなければ、新型株の早期発見は出来ない。
 今年の冬はインフルエンザが再流行とマスコミは伝えたが、新型インフルエンザとの関連で報道をした社は少ない。
 季節性インフルエンザと新型インフルエンザはどのようにして区別するのか、その初動体制が詳細に書かれた新型インフルエンザ行動計画、またはマニュアルは見たことがない。
 WHOが発表したときなのだろうか?
 新型インフルエンザは(H5N1変異型だけの話ではなく)、いつ、どのような特性を持って出現するのか誰も分からない。
 だから対策は重要であるのだ。

2009/4/16

 今日は分厚い雲が降りてきている。
 雨が時々降るのかも知れない。
 肌寒い。
 忙しさもあるが、何となく気分は低調だ。
 メールでの質問が舞い込む。
 多くは匿名でホットメールだ。
 半数ほどはお礼のメールが入るが、残りは反応はない。納得したかどうかは分からない。企業関係者か行政関係者かも知れない。
 エジプトでの軽症患者発生の意味に関する質問が多い。マスコミが全く取り上げていないから、解釈が難しいのかも知れない。
 本日も33歳女性発病の報道が各通信社から世界中に流れている。
 我が国のマスコミは無反応だ。

 今日の報道から:

 1) エジプトで33歳女性が発病した。重体のようだ。本年度エジプトで発病した患者としては初めてレスピレーターにつながったようだ。
 死亡した家きんに接触してから1週間以上経ってから発病したという。
 体内で相当ウイルスが増えていた時期だ。
 症状が現れるまで(潜伏期間)1週間以上経過したということが気になる。
 ベトナムやインドネシアでの記録をみても、潜伏期間の長い例はある。もちろん死亡している。
 多分こうした例は、症状が出ていても気がついていなかった例か、調査の不具合から来ている可能性がある。
 しかしこのエジプトの例は、ウイルスの特性から症状が出にくかったことも考えられる。すなわち当初の無症状期間(潜伏期間)が長いということは、ウイルスの毒性の低下から来ている可能性もある。もちろん状況からの推測だ。このまま無症状で経過している例もあるかも知れない。
 本年13例目で、今月4例目となる。
 詳細は上部コラムの表に示している。

 2) 佐賀県は今年初めて取り組んだ「インフルエンザ半減キャンペーン」の結果をまとめた。全国的な流行に伴い、県内の患者数は昨季より増えたが、増加率は全国平均の2・13倍に対して県内は1・48倍にとどまった。県は「一定の効果があった」として、今後も継続する。
 このように報道されている。
 素晴らしい取り組みであることは間違いなく、世界でも初の部類に入ると考えられる。
 周辺からいくらでもウイルスが流れ込む状況下での、これらの結果は評価に値する。
 全国で一斉に取り組んだとしたなら、どのような結果になるか興味がある。
 ”ウダウダ”と色々なことを考えたり研究したり(国電の乗車率と感染率等)するよりも、国が率先して佐賀県のような取り組みを、この冬のインフルエンザシーズンに行うべきだった。
 その結果により新型対策を変更したり強化したりする。
 
 現実的には、新型インフルエンザ予防対策よりも経済政策が優先される。
 そうであるから経済効果につながる新型対策は話題には上る。
 経済とは無関係な新型対策は、ほとんど主流にはならない。
 残念ながら。
 これには公衆衛生学専門家のふがいなさ、または社会的無責任さも関係している。
 
2009/4/15

 今日も朝から雨。
 昨日も朝は降っていたが、直ぐに青空に変わった。
 今日の天気は回復しそうもない。
 我が家のペット達には憂鬱な一日になりそうだ。

 夕べ、久しぶりにある主婦の方からメールが入った。
 簡単に紹介する。
 ”いつも徒然日記を拝読しております。
 今日、近所の小学生のお母さんから、県内の小学校1年生がインフルエンザで3日間学年閉鎖になったと聞きました。
 身近(隣町)で起こっている事が公共の伝達手段を通して伝わってこない事に不安を覚えました。
 どのように表現したら良いか判りませんが、先生のサイトは一般庶民でも「真実」と「最新の情報」を知る事ができます。ありがとうございます。”

 僕の返事は以下の通り。
 ”全国でインフルエンザが再燃していますが、多くはB型インフルエンザです。
 このインフルエンザは暖かくなってきてから流行するのが特徴で、通常2月下旬から3月末まで流行します。
 今年は流行期間が遅れています。このB型インフルエンザは鳥インフルエンザとは関係は無く、人間だけのインフルエンザで病原性も強くはありません。
 新型インフルエンザは全てA型インフルエンザから出てきます。A型インフルエンザウイルスは、全て鳥のインフルエンザウイルス、またはそこから変異してきたものです。
 現在、B型インフルエンザに混じってA型インフルエンザも流行しているようです。
 たぶん、冬期間に流行ったA型インフルエンザの名残りとは思いますが、新型インフルエンザではないことを確認するためにも、流行しているA型インフルエンザの株を分析する必要はあると思っています。
 国や都道府県の関係者の目を覚まさせるためにも、今後もがんばってゆきたいと思っています。

 なお、万が一、新型インフルエンザが発生してきても、映画等で言われるようなハルマゲドンのような状況にはなりませんから、ご安心ください。”

 この返信は、この主婦の方だけではなく、このページを見ているだろう、全国の一般市民に対する僕からのメッセージでもある。

 今日の報道から:

 1) 企業における新型インフルエンザ対策を支援するサービスが増えてきている。
 今日報道されているのは、法律、医学、危機管理の専門企業が共同で支援するサービスだ。
 この支援サービスは4日間にわたるワークショップと、危機管理手順書・BCP(事業継続計画)の机上演習で構成する。ワークショップは定員20人の集合研修形式で、場所は東京都内を予定。第1~4回のテーマはそれぞれ、感染予防教育、危機管理手順書設計、事業継続計画設計、法的問題の解決――である。必要な“回”だけを受講することも可能だ。

 ”仮想感染症”相手の危機管理は難しい。対策には多くの選択肢が必要だ。そこには未だ解明できていない医学的問題や対策が無数に存在している。
 最大級のハルマゲドン・クラスの新型インフルエンザだけを想定した対策は容易だ。脅せばいい。そして、映画「感染列島」とか、SFパニック映画を題材にすれば良い。みんな納得してBCP作成にとりかかる。
 これは戦略ゲームだ。未知のインフルエンザウイルスを敵とした戦略ゲームだ。頭脳の優れた策士がいたなら勝てるゲームである。
 現在行われている対策は、過去の事実、想定、医学手段を背景にしている。
 世界の事実も、医学的手段も、そして人々の感性も日々変化してゆく。策士は鋭敏なアンテナと、そこで集積される情報、そしてその解析と、そこから発想される戦略を毎日熟考する必要がある。
 これは明らかに他の自然災害対策とは異なる。
 感染症対策は、病原体という明らかな敵を相手の戦争なのだ。策士は医師でなければならない。それも病原体が敵として襲いかかっている臨床の場で、日々熟考している医師だ。
 優秀な感染症専門医は、予防対策にも秀でている。院内という場を、地域、国内、そして地球に置き換えて発想出来る優秀な臨床医が必要だ。
 
 2) 全国各地でインフルエンザが再燃している。
 上記のメール返信内容のように僕は捉えている。
 マスコミの中には、厳寒期はA型インフルエンザウイルスが活躍する時期で、気候が温暖化しだす2月から3月頃までがB型ウイルスの活動期であることを知らない記者が多いようだ。厳寒期にはB型も一緒に流行はしているが、それが主人公となるのは少し気温が上がってからだ。
 B型は人に感染するだけのインフルエンザウイルスだ。A型とは本質的に違う。
 新型インフルエンザはA型ウイルスから発生する。この基本が分かってないマスコミが多い。

 A型インフルエンザの発生は、どんな場合でも新型インフルエンザを予知しなければならない。その確率が低いから、状況から考えてもそれはあり得ないから、海外では発生していないから、等の理由で株の早期分析をしないのなら、いつそうした作業を行うというのだろうか? 全国の保健所長の中には、そのような脳天気がな人も多い。
 WHOが、出ましたよ~、皆様!と連絡をくれたときに、初めてその辺で発生するA型インフルエンザのウイルス株の分析を始めるのだろうか? 
 社会的役割を認識している優秀な臨床医が各地に多くいれば、季節外れのA型インフルエンザ発生を認めた場合、ウイルス株分析の迅速なる検査の必要性は認識できる。でもその検査を行う行政所属の検査機関が迅速に動かなければ、検体は冷凍庫に保存されるだけに終わる。
 状況は近くにある”某大国”と同じかも知れない。でもその国の指導者達は危機意識は十分持ち合わせていて、組織の下に向かって、十分行うように指示しているようだ。そうしなければ働かないからだ。
 我が国では基本的に主体的に働くことになっている。そしてその内容は公文書として、各組織(国や自治体)の中で定められている。素晴らしい社会主義国家だ。
 ただ問題は公文書で定められていないことは、絶対に近いほどしないことだ。
 
 エジプトでのウイルス変異の可能性、または発病様式の変化に警戒感をもっている保健行政関係者は、今、国内にどれだけいるのだろうか?
 マスコミは?

 H5N1ウイルスが毒性を減じ、エジプトの幼児の間で、成人の間で無症候性感染者が増えているとしたなら、どうなるのだろうか?我々はどのように警戒するば良いのだろうか?
 これは健康危機管理の第一歩である。
 知っているだろうか?
 昨年2月にバングラデシュで1人の少年がH5N1鳥インフルエンザに感染した。
 でも少年は通常のインフルエンザと同じ症状と経過で、簡単に治癒していた。少年がH5N1ウイルスに感染していたことは、後で、インフルエンザ・サーベイランスで分析されて分かった。
 多分、軽症の鳥インフルエンザ発病者は多くいるのかも知れない。
 こうした人々が感染した、毒性を減じたH5N1ウイルスが知らないうちに拡大し、他のインフルエンザウイルスと遺伝子組み換え(遺伝子再集合)を起こして、人の間で容易に感染し出すことが、一番恐いことと、僕は思っている。
 日本ではインドネシアや中国のH5N1ウイルスにしか警戒感はない。
 それらの国からH5N1ウイルスが、”変異しましたよ~!”と、オリンピックの入場式のパレードのように、プラカードを掲げて、意気揚々と現れるのを待っているだけなのだ。
 エジプトの状況も、日本で散発的に発生するA型インフレルエンザにも多くの関係者は無関心だ。

 ”いつ新型インフエンザは発生するか分からない!”と、マスコミは判を作っているのだから、警戒すべき疫学情報と、その分析記事を絶えず載せるべき、と僕は思っている。また強制的に視聴料を徴収しているテレビ局もである。ある日突然、”**を攻撃しました!”、とトップでの放送や記事は避けて欲しい。

2009/4/14

 雨。
 春の雨はイメージが膨らまない。
 しかし北海道の春には必要だ。
 半年間、雪の中に溜まって、そして顔を出した道の汚れを洗い流し、自然の緑を育む。
 雨が降るたびに路面の汚れは消え、無機的色彩の自然は色づいてゆく。

 昨日、パンデミック追跡者第二巻が出版社から届いた。
 知り合いに今日発送する。結構な仕事量だ。
 6月中に発行予定の第三巻は、まだ数十枚レベルだ。
 新型インフルエンザの行方が現在混沌としているので、ストーリーの組み立てが難しい。
 SF的といっても、他の作家のように無責任な発想でのストーリーは作れない。

 今朝、新ウエブのサーバーが落ちていた。
 旧ウエブはしばらく続ける必要はありそうだ。
 現在は旧ウエブを更新してから、新ウエブにその内容を転載している。
 新ウエブは内容をコピーするだけで更新出来るから簡単ではあるけど、出張先でノートパソコンで作業を行うのは結構辛いかも知れない。
 15インチくらいの画面のノートだと作業はしやすいが、重量は結構ある。
 最近手に入れた東芝のダイナブックSSは、1キロ前後と軽量だが、画面は12インチと小さめだ。しかしCPUは高性能で、メモリーも4ギガまで積める。もっとも利用できる容量は3ギガちょいであるが。

 昨日の海外報道で2つばかり、エジプトの状況が論じられていた。最近懸念されているようにウイルスの毒性が減じてきて、無症状感染者が成人で出現してきている可能性を論じている。ある論説では、ウイルスの弱毒化は、パンデミック発生の予兆の一つと考えられると表現している。
 ウイルスの毒性が低下して、今年、発病した幼児全員が回復している。成人での発病は1人だけだ。 
 もしかしたなら幼児でも無症状感染者、もしくは風邪様症状で治癒している例が多くなっていないのか気になる。そうだとしたなら、H5N1鳥インフルエンザ発病者の総体が、把握出来なくなる可能性が高い。
 H5N1ウイルス感染者が同定されなくなると、ウイルスは知らないうちに世界に拡大する。そしてその過程で人への毒性を高めてゆく可能性も示唆される。
 いずれにしてもパンデミック発生の可能性が以前よりも高まった可能性がある。それはインドネシアからではなく、エジプトからだ。
 またはエジプトから漏れ出たウイルスがどこかの地で定着して、そこから拡大、または世界各地に広がってから、少しずつ病原性を高めてゆくこともあり得る。H5N1という抗原性のままかどうかは分からないが。
 恐いのはこの速度が、数週間レベルの可能性があるということだ。

 昨日の国内報道で気になるものがあった。
 新型インフルエンザが国内で流行した際、通勤電車の乗車率を平常時の20%に抑えて乗客同士の間隔を2メートル以上確保すれば、首都圏では流行ピーク時の患者数を26分の1に抑えられるとの試算を国立感染症研究所が13日まとめた、というものである。
 この理論は正しいのだろうが、問題はここで言う”新型インフルエンザ”は、どんなインフルエンザなのかということが説明されてないことだ。
 季節性インフルエンザでは、このような予防対策をとらない国土交通省であるが、改めて感染率の低下を講じようとしているインフルエンザは、どんな内容のものなのだろうか。これがもっとも重要な事項である。
 最近、米国でも記載されるようになった”高重度(severe grade)のインフルエンザ(病原性の高いインフルエンザ)”を対象にしているのか、または単に”新しく発生するインフルエンザ”を対象にしているのか明記されていない。
 致死率0.1~0.3%程度の新型インフルエンザが発生しても、そのような対策を講じるのだろうか?
 新型インフルエンザではあっても、香港インフルエンザやアジアインフルエンザでの致死率は、通常の季節性インフルエンザよりも低かったとする研究結果が米国から出されている。
 日本ではいまだ{新型インフルエンザ=H5N1鳥インフルエンザの変異株によりもたらされるハルマゲドン}で終始しているのだろうか?それも国が先導(煽動?)しているのだろうか?

参考資料





2009/4/13

 明るい朝だ。
 ベランダを開けてみるが、まだ空気は冷たい。
 我が家の長男こと、ミニチュアシュナウザーがベランダに出て、通りを見下ろしながら時々吠え声をあげる。
 いつものように1日が始まった。

 月曜日は海外情報は少ないが、今日は全くない。
 インド、ネパール、バングラデシュ等、家きんでの発生は完全に終息したのだろうか。
 ウイルスがいたとしても、相当不活発になっているのは間違いはない。
 インドネシア情報もないか、途絶えている。

 あぁ、レッド・チャイナはどうなっているのだろう?
 青海湖に行きたい!あの青い空と青い湖面。
 あそこでH5N1ウイルスの変異株が2005年5月に見つかったなんて、誰が想像できようか…。

 鳥にとって強毒型のH5N1鳥インフルエンザが、ウイルス変異により人でも高病原性のインフルエンザを発生させるのかは定かではない。そもそも人のインフルエンザには、高病原性とか低病原性なんて分類はない。強いて言えば、低病原性インフルエンザしかない。
 でも、現在のエジプトのようにH5N1ウイルスが変異して人に感染しやすくなり、通常の人のインフルエンザとしての病原性の範囲内で、世界にパンデミックを発生させる可能性はある。

 そもそも”インフルエンザ”という感染症の定義はどうなっているのだろうか、とふと考えた。
 ”インフルエンザウイルス”で発病する感染症だとしても、鳥にとってのインフルエンザと人におけるインフルエンザは全く別の感染症である可能性もある。
 致死的H5N1ウイルスに感染すると、鶏などの家きんは100%死亡する。それは、人のインフルエンザという疾病の病態生理の範囲を超えている。ごく希に発病してきている人でのH5N1インフルエンザは確かにそうだ。
 だから恐いと言うべきなのか。それとも、人ではそのような感染症が一般化することはあり得ないと考えるべきなのだろうか。
 もし起こりえるとしたなら、それはインフルエンザウイルスで発病はするが、インフルエンザという疾病ではなく、全く新しい疾病と考えるべきなのかも知れない。世界史上、初めて出現する悪魔の病気だ。

 話は難しくなるが、以上はH5N1鳥インフルエンザが人に感染するようになった場合の話だ。
 それとは別にパンデミック・インフルエンザ発生の問題がある。
 それは1968年を最後に、未だ発生していない。既に40年経過している。
 新しいインフルエンザが出てくる可能性は高い。

 この”新しいインフルエンザ”を”新型インフルエンザ”と呼び、さらにある人々や国の関係者が、”新型インフルエンザ”を、H5N1ウイルスの変異株で起きると、半ばいい加減に定義してきたから、日本では話は面倒になっている。多くのマスコミ関係者も保健行政関係者も、誤解している。

 世界共通の考え方は以下の通りだ。
 a)パンデミック・インフルエンザは数十年毎に起きている。それはそろそろ起きえる。対策を急ごう。
 b)近年世界中に蔓延しているH5N1鳥インフルエンザウイルスが、人の間で感染するように変異したなら、世界では相当数の犠牲者が出る。このウイルスが人の間でパンデミックを起こす可能性が高い。世界で数千万人死亡する可能性がある。このウイルスへの対策を急ごう。

 a)とb)はイコールではないが、b)の事態が差し迫っているとWHOが警告し続けたから、両者は混同されてしまった傾向にある。そして、b)が簡単に発生しないと分かってくると、a)も一緒に意識から遠のいてしまったのだ。これはWHOやCDC長官のいうところの、”鳥インフル疲労”、または”パンデミック疲労”である。WHOの啓発方法が間違っていたことも理由として上げられる。

 正しくは以下の通りだと、僕は思っている。
パンデミック・インルエンザに備えよう
  その原因ウイルスにはH5N1ウイルスがある。そのほかにも多数ある。どのような強さの症状で発生するのかは、発生しなければ分からない。

だからパンデミック対策は難しいのだ。

 
2009/4/12

 久しぶりに早くに目が覚めた。
 4時半ではあるが、既に明るくなってきている。
 裏から見える丘~山の色彩は未だない。葉をつけていない黒い木々とその間を埋める残雪。
 山から流れ出てくる雪解け水が、川から大量に海へ吐き出されている。

 今日も海外情報はない。
 春に入ったせいで全般的に鳥インフル情報は少なくなっているが、それでもある日、突然予期せぬ情報が飛び込むから予断は許されない。
 飛び込む情報の重要性を判断、またはその孕む危険性を予知しなければならない。
 それが危機管理というものだ。
 船、車、航空機で事故が起きる可能性がどの程度なら気にしないで済むだろうか?
 1%以下だろうか?1%としたなら、これは大変な数値であり、自分が毎日乗ったなら、3ヶ月以内には事故に出会うことになる。この数値は果てしなくゼロに近くなくてはならない。
 すなわち危機管理対策として、ありとあらゆるリスクを考えて、その発生確率をゼロにする努力が要求される。

 パンデミックインフルエンザ対策も同じである。
 発生リスクをゼロにするべく努力が必要だ。しかし上記のような人為的操作がからんで発生する事故と異なり、自然が大きく関与している事件、災害の発生を阻止することは一見難しく考えられる。
 でもそれは必ずしも正しくはない。
 パンデミック・インフルエンザの発生には、人為的自然環境の変化が大きく関与している。かってWHOの専門委員会が発表したが、世界の湿地帯等、野鳥の棲む環境が破壊されてきた結果、鳥インフルエンザウイルスを保有する野鳥が、家きんを飼育している人間世界に棲む場を広げてきて、家きんに鳥インフルエンザウイルスがもたらされるようになったことが指摘されている。それは他の新興感染症でも同じことだ。東南アジアで流行しているデング熱が代表的だ。
 これまで裏庭で放し飼いにされていた途上国の家きんが、衛生管理が施された閉鎖的飼育場で飼育することが現在推し進められているが、これは破壊または開発された自然は元に戻すことは出来ないから、人間社会側が、ウイルスの存在空間を広げてきた自然からの自衛策に他ならない。
 このようなパンデミック対策には相当な時間が費やされるが、同時にそれは地球温暖化問題等の他の環境問題と本質を共有している。

 短期的に考えた場合、パンデミックの発生を早期に予知する態勢が非常に重要である。
 予知には、その質、規模、発生被害程度を予測することが含まれる。同時に背景には、準備すべき対策も含まれてくる。
 新しく発生してくるインフルエンザは、以下のように病原性に多様性がある。
 しかし過去に発生した新型インフルエンザも、未だ十分に理解されていない面もある。
 香港インフルエンザの致死率は、季節性インフルエンザよりも低かったという最近の研究報告があるようだ。すなわちこの程度の新型インフルエンザは、現代発生してもそれほどの被害はでないと考えられる。
 またスペインインフルエンザの異常に大きかった被害は、戦争中であったため、軍隊の基地内、移動の艦船内、列車内に集団で存在していた多くの兵士が感染したことが上げられている。実際当時の記録を見ても、多くの兵士が宿営している基地内で、疾風のごとくインフルエンザが駆けめぐったようだ。抗生物質もなかった時代だ。感染予防策として、可能な限り集団生活を避けるという知識もなかった時代だ。

 パンデミック・インフルエンザは、発生しても最小の被害で追い払うことが出来ると、僕は考えている。
 正しくは、パンデミック対策を十分講じておき、それから発生するパンデミックを早期に予知して迎え撃つ”戦略”が必要なのである。
 敵の正体を正しく知らなければならない。敵は未だ、”仮想敵”に過ぎないのだ。



 正しいパンデミック対策を早急に考える必要がある。
 プレパンデミック・ワクチンの備蓄とか事前接種、感染予防装具の備蓄、食料品の備蓄等、なぜ必要なのか医科学的に考慮されているのだろうか?
 世界でもっとも医科学が進んでいる我が国で、なぜ、パンデミック対策が歪(いびつ)なのか、気がついている人々は多いと思うが、その方向性は未だ変わってこない。

  僕は、パンデミックインフルエンザと新型インフルエンザの意味が異なることから、日本の対策は歪になってしまったと思っている。

2009/4/11

 快晴に近い朝。
 風はやや冷たい。
 昨日のテレビでは関東周辺では一気に桜の花が開いたようだ。
 明るい空もいいが、やはり空気も温かい方がいい。

 土曜日だから、街中は何となく賑わう。
 ウィークデイは人が少ないので、街中は歩きやすいし、買い物もしやすい。
 しかし周辺に人が少ないと、舗道を歩いていても、何となく寂しく感じるから妙なものだ。

 今日は国内外の情報は少ない。
 春になると、全体的に新型インフルエンザ、パンデミックインフルエンザの話題が減ってくる。
 季節と新型インフルエンザ対策は直接関係はないと思うけど、マスコミ等の反応はそのようだ。
 特に対策に関しては、インフルエンザ発生のリスクが低いと思われる時期に急ぐのが正しい、と僕は思う。

 以下はこれまで世界で発生してきたH5N1鳥インフルエンザ感染者数の発生数と、今後の発生数の推移である。緑は各月における最大発生数を追ったもので、赤は発生数平均値を追ったものである。緑の直線を追うと、2012年冬にはH5N1ウイルスは封じ込まれるが、これはOIEの予測に似ている。事務局長コメント


 
 発生数は、確かに6月から8月頃までの真夏は少ないが、それでも5月は結構多い。
 今月から来月いっぱいは要注意と言える。

 下記は大正7年ら9年にかけて国内20県における月別患者発生数である。
 初夏に入ると患者数は激減している。夏場はインフルエンザウイルスは不活発となる。




2009/4/10

 朝起きると猛烈な風。
 前線が移動中なのだろうか?
 札幌へバスで向かう途中、高速でひっくり返るのではと思うほどの強さだ。
 空を塞いでいる雲は厚い。

 今日は特記すべき海外情報はない代わりに、気になる国内報道があった。
 宇都宮の警察学校でインフルエンザの集団発生があり、しばらく閉鎖したということだ。
 これは新型インフルエンザ監視体制からすると、基本的には非常に警戒すべき事件である。

 今日の報道から:

 1) 栃木県警は9日、(全寮制の)警察学校の初任科入校生189人のうち70人がインフルエンザなどに感染したため、10日と、13日から17日までの計6日間の授業取りやめを決めた、と発表した。
 県警によると、検査で陽性反応を示すなどしてインフルエンザと診断されたのは18-32歳の52人(うち女性が5人)。残る18人は発熱や腹痛を訴えたが、インフルエンザではなく腸炎や風邪と診断されたという。入校式前日の6日に9人が発熱した。入校生は3棟の寮に分かれて生活していたが、感染者は自宅待機などの措置がとられている。

 以上の事件であるが、この時期で流行するインフルエンザはB型が主であり、他地域でもB型インフルエンザが流行していると聞くから、この栃木県の例もB型インフルエンザと推定される。
 しかし、これがA型インフルエンザであるとしたなら、早急に株を分析してH3およびH1以外の新型株でないことを確認しなければならない。
 季節外れの集団風邪(インフルエンザ様疾患)は、要注意である。
 新型インフルエンザの出現に警戒しなければならない。なぜなら、いつ発生してもおかしくはないと言われ続けてきたのだから。
 新型インフルエンザをH5N1鳥インフルエンザウイルスの変異株で起きるものと誤解している人が日本には多く(マスコミ関係者も)、またそれが東南アジアで発生するものと二重誤解している人々もいる。
 そうではない。新型インフルエンザは、H5N1ウイルスに由来する場合もあるし、他のウイルス由来の場合もあり得る。
 例えば従来の季節性インフルエンザウイルス(H3N2とH1N1)と、他の鳥インフルエンザウイルスのハイブリッド(遺伝子組み換えを起こしたもの)、それらウイルスが大きく突然変異したもの、さらにH5N1ウイルスが変異して病原性を弱め、知らないうちに感染を広めている、等もありえるのだ。
 スペイン・インフルエンザは1918年の春に第一波が北米で発生したが、病原性は弱かったため、流行していることすら気づかれなかった地域もあるくらいだ。

 新型インルエンザ対策が講じられている日本ではあるが、初動体制として、国内における不審なインフルエンザ様疾患の早期診断は最も重要である。
 今回の宇都宮の警察学校で発生のインフルエンザは、ある意味では新型インフルエンザの模擬訓練に等しい。スペイン・インフルエンザでは軍隊の基地、軍艦内で一気に広がった。
 警察学校で広がったという事実は以下のことを示唆している。
 ・若い成人に免疫のないインフルエンザウイルスである。
 ・寮内の構造、または生活様式がインフルエンザ感染を助長する状況にある。

 報道機関は以上の問題点に気づき、取材と報道内容をレベルアップすべきと思う。
 もしA型インフルエンザであるなら、要警戒である。

 世界ではいつ新型インフルエンザが発生しても、不思議ではない時期にきているのである。

 新型インフルエンザの拡大様式を念のためまとめておく。
 
 1) SARS型拡大様式: 特定地域で新型インフルエンザウイルスが誕生して、その周辺から拡大し始め、その後世界に広がる。
 2) インフルエンザ型拡大様式: 特定地域でウイルスが誕生するが、病原性が低いため、気づかれないうちに世界に広まり、広まってゆく過程で病原性が高まってゆく(変異続けながら)。スペインインフルエンザ他、多くのパンデミック・インフルエンザと言われるものは、このような拡大の仕方だったと思われる。

 新型インフルエンザをSARSのような拡大様式を辿ると考えて、そのような予防対策を講じていても、知らないうちに新型インフルエンザは世界の(国内の)至る所で同時期に気づかれこともありえる。



2009/4/9

 今日も快晴で完全に春に突入した北海道だ。
 札幌へ行かなければならないから、多少の焦りを感じながらのウエブの更新だ。
 今日は小説「パンデミック追跡者第二巻」が印刷会社から出版社に発送される。僕の所には同時に何部か送られてくる。
 この第二巻は初版発行部数が増やされた。前回、十分配本出来なかったのかも知れない。
 この第二巻が並ぶと、第一巻の注文もさらに増える可能性が高い。
 このウエブをまとめる知識と小説を書く上での知識は共有されたものだが、発想は小説を書くときの方が遙かに広く、その分楽しい。
 ウエブの場合は正しい情報と、間違いのない論理での展開が要求されるから、疲れる。
 たまたまウエブにやってきて読んでゆく人は疲れないかも知れないが…。

 今日はエジプトの状況に関してWHOの判断がかいま見られる情報が出ていた。
 エジプトで、無症状感染者が出ていて、そうした人々の体内でウイルスが変異する可能性がある懸念である。

 今日の報道から:

 1) カイロのWHO新興感染症専門家のジョン・ジャボウル氏が、無症状感染者が発生しているか、エジプト政府が調査をする計画があることを発表した。
 昨年度とはエジプトにおける鳥インフル発病者の発生状況は全く異なり、ほとんどは3歳以下の幼児で、全例生存している。幼児における軽症化が成人でも見られ、無症状感染者が出ている可能性が懸念される。
 そのようにジャボウル氏は語り、来月からエジプト政府が、感染した家きんと接触して、なお無症状な人々の血液を調べ、実際に感染していないの、確認する予定という。
 同氏は、明らかにエジプトの状況は変わっていて、その原因として何かがある、と言っているが、人人感染や、ウイルス変異が起きている証拠はないと言う。

 このページで最近僕が述べている疑念と同質である。
 このWHOの心配の底には、エジプトで軽症鳥インフルが発生しだし、そのウイルスが知らないうちに世界に広がる危険性がある。
 それを、最近、僕は懸念している。

2009/4/8 7:50:22

 非常に天気が良い。快晴に近い。
 本州の西部は1日快晴のようだ。首都圏から東北は午後から曇り。
 北海道は午後遅くから雨。
 要するに東部にかけて、低気圧が広がっているということだ。

 小説「パンデミック第二巻」が明日、印刷会社から出版社へ送られる。僕の所にも届く。
 第一巻のテーマがどこまで理解されたか分からないが、第二巻は遺伝子操作と生物兵器疑惑がテーマとなっている。これまでのH5N1鳥インフルに関する水面下から顔を出した事実を元にした創作とも言える。
 若干の発生事件の年表を付属しているが、取次店や書店でそれをどこまで付加価値として評価してくれるか疑問だ。
 第一巻よりもサスペンス的であり、背景はSARS以降に広がっているH5N1鳥インフルの世界であるが、発端は2009年5月に発生した北海道R島での変異H5N1ウイルスによる新型インフルエンザである。
 WHO、米国、中国、そして日本国内と舞台はクイックに動く。
 新型インフルエンザの問題点を、若干の好奇心と共に理解し、そして関心をもってもらうことを目的に書き上げた。多分、多くの読者に当方の思いは通じると考えている。

 春になり、新型インフルエンザは完全に世間の興味の中心から去った。
 取材数もめっきりと減った。
 何か事件があれば取材は増える。でもそのときの取材者は何も勉強してなく、押っ取り刀でやってくるから、掘り下げのない表面的記事しか書けない。これは日本の平均的マスコミの姿だ。
 昨年がそうだった。4月下旬から5月にかけて秋田県、青森県、そして北海道でH5N1に感染した白鳥が相次いで死亡した。そうした事例が起きることを僕は4月の上旬からここで警告していたが、誰も注意を向けなかった。

 どこかで僕を”新型インフルエンザ・ライター”に起用してくれないかとも思う。
 新型インフルエンザには、本当は旬はないのだ。
 WHOが言ったように、いつ起きても不思議ではない。
 何度も言うが、”いつ起きても不思議ではない”という意味は、それはH5N1鳥インフルエンザが発生してきたからではなく、最終的に発生した新型インフルエンザは1968年の香港インフルエンザであって、それからすでに40年経過しているからだ。新型インフルエンザは世紀に3回以上は現れる。
 スペイン・インフルエンザが発生して、次の新型インフルエンザが発生した1957年までは比較的期間は長かったが、それでも40年である。
 下方に18世紀から世界で流行した新型インフルエンザの主なものを表にまとめてある。
 今日の夕方に、明朝に起きるかも知れない。または一昨日既に起きているのかも知れない。
 我々はそれを科学的に判断して、科学的に対策を練る必要があるのだ。
 
 ケンタッキーの農場でH7亜型による鳥インフルエンザが発生したようだ。高病原性のH7N7ではないようだ。
 鳥インフルエンザウイルスもH5N1だけでなく、他の型も活発化してきたのだろうか?
 そのうち新型ウイルスが誕生するのだろうが、どのような遺伝子の組み合わせになるのか、学問的には興味がある。
 

近年発生した新型インフルエンザによるパンデミック
  2008年         現在
  
  1968年         香港・インフルエンザ  100万人死亡
  1957年         アジア・インフルエンザ 400万人死亡
  1918年~1919年  スペイン・インフルエンザ
 5000万人~1億人死亡

  1889年~1890年  世界中に流行。インド、アフリカで多数死亡。
  1836年~1837年  世界中、ロンドンで1日千人以上の死者
                 多くの有名な芸術家が死んでいる。
  1802年~1803年  ロシア、フランス、イタリアを中心に多数死亡。
                (日本;享和3年 アンポン風


  1788年~1789年  欧州等西半球
                (日本;寛政7年 御猪狩風
  1781年~1783年  世界中、英国では人口の80%が罹患、
                (日本;天明4年 谷風
  1729年~1733年 世界中
                (日本;享保15年~18年)

 

 表で分かるとおり、新型インフルエンザは間違いなく出るのである。
 それはH5N1ではないかと言われてきたが、必ずしもそうとは言えない。他の株、またはH5N1と従来の季節性インフルエンザとのハイブリッドもありえるのだ。
 妙な集団風邪の発生が、新型インフルエンザの初期ということもあり得る。
 当初は病原性が低く、夏風邪程度に思われていて、その後(いわゆる第二波)に明確なインフルエンザ様流行となってくることもあり得る。スペインインフルエンザがそうだった。
 必ずしも一定地域で新型インフルエンザとしての装いが完成してから、世界に広がるという保証はないのだ。装いが完成する前に、ウイルスは世界に飛び立つ可能性も高い。そしてゆく先々で、本格的に武装してゆく。
 中国南部に限定して存在していたSARSコロナウイルスとは違う。
 新型インフルエンザウイルスの元となるウイルスは、世界中に存在していると言っても過言ではない。
 SARSをモデルに対策を講じているなら間違いである。
 
 
2009/4/7

 朝起きても、気分的に優れない。
 やることが溜まっていると、気分は憂鬱のど真ん中だ。

 朝起きてのウエブ更新が、ものすごく大儀になってきている。
 日中家でネットにつながったパソコンの前で色々と仕事をしていると、絶えずネットに入ったり、メールのチェックが出来るため、海外情報チェックとウエブ更新の頻度が増える。またメールが入ると即返事を返す習慣となってきた。
 時間がある割には、時間に追われだしている。小説書きに向かう時間がなかなか取れない。

 パンデミック・インフルエンザ情報は減っているが、対策に関する情報もチェックする必要がある。これは概してナショナル・プラン(国家行動計画)という形で報告されている。
 でも海外におけるナショナル・プランの作成や更新頻度も大幅に減っている。3年前の勢いはない。
 そうした中、日本では時季外れの田植えのように、各地で行動計画作りや模擬訓練が始まりだしている。
 黒船をちらっと垣間見て、慌てて竹槍を削っているという案配かも知れない。
 黒船の正体と、その危険性を見極める偵察隊を送り出すのが先決なのだが…。
 対策は会議場でのテーマでしかないようだ。(もっとも会議場ではダンスは開かれてはいなが)。
   *少々文学的比喩を多用しすぎたか?
 日本では冬期間のインフルエンザ対策は、新型インフルエンザ対策とは無関係なため、インフルエンザ関連企業のPR的煽動に近いものがあった。色々とグッズが売り込まれた。しかし出回った割には、順調にインフルエンザは蔓延した。
 そして、新型インフルエンザ発生初期には重要となる、流行しだした株の迅速診断や、その統計、そして社会への発表などは為されず、新型インフルエンザ会議だけはスケジュール通りこなされていた。
  #季節性インフルエンザは、季節と同じように到来するもので、改めて対策はない。
  #でも新型は違う、被害が大きいから対策案を立てる必要がある。
 このような誤った社会通念があるかぎり、新型インフルエンザ対策は進まない。

 今日はプレパンデミックワクチンに関して、国内外から興味ある情報が出ている。

 今日の報道から:

 1) ポーランドで医師とナースが、季節性インフルエンザに対するワクチンと偽って、H5N1鳥インフルに対するワクチンの接種実験を行っていて、計9人が告訴された。製薬企業からの依頼だろうが、酷いことをするものだ。196人の患者の内訳は貧しい家庭の人々か、ホームレスである。ワクチン接種を受けると協力金が支払われていた。この実験で10人程死者がでた様に記憶しているが、調べてみたがファイルが見つからない。
 告訴されたスタッフは、最高で10年の懲役となる可能性があるようだ。

2) 日本の話題であるが、厚生労働省研究班が6日、新型インフルエンザの発生に備えて強毒性鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)をもとに製造したプレパンデミック(大流行前)ワクチンの臨床研究結果を発表した。現在ある3種類のワクチンのうち2種類を期間を置いて接種すれば、通常のインフルエンザワクチンと同様に重症化を防ぐ効果が見込めるとの結果が出た。厚労省は、国民への事前接種の方法や時期について「年内に結論を出す」としている。
 さらに、会見した研究代表者の庵原(いはら)俊昭・国立病院機構三重病院院長によると、ベトナムで鳥から人に感染したウイルス株を使ったワクチンを3年前に接種した治験者210人に対し、インドネシアや中国で得られた別のウイルス株によるワクチンを追加接種。その結果、接種していないもう一つのウイルスに対しても、3週間後には約67~96%の人に免疫ができる交叉(こうさ)免疫性と呼ばれる効果が確認できた。事前接種しておくと、追加接種により1週間後には十分な免疫ができることも分かった。
 以上の内容だ。
 このような話は海外では2年前には研究で確かめられており、今更、”オニュー”な話のように語っても意義は薄い。海外大手の企業が作成してきたプレパンデミック・ワクチンのほとんどは、ベトナム株で作成しており、その接種でインドネシア株に対する抗体も産生され、これらH5N1ウイルスで作成されるプレパンデミックワクチンには交差免疫があるというのは周知の事実なのだ。
 ただ抗体が出来るということだけであって、本当に臨床的に効果があるのかは定かではない。実験動物では効果を認めているが、それは死ぬか、死なないかの判定であるので、人間の場合も死亡率を減らす効果はあるのではないかという、言い方を、今回の研究班でもしている。
 背着る抗体にも液性抗体(免疫グロブリン)と細胞性抗体(細胞障害性Tリンパ球)がある。実際に体内で重要な働きをするのは後者と考えられているが、測定が難しいので今回はやられてないようだ。海外の一部の研究では為されている。
 
 報道機関があまりにも未熟な解釈しか出来ていないので、ここで敢えて追加のコメントをくわえる。
 今回の研究結果で一番重要なのは、一度接種しておけば、実際にH5N1鳥インフルがパンデミックを起こしたさいに、1回の再接種で抗体が産生されるという事実である。通常は4週間の間隔で2回接種し、その2週間後に抗体価の上昇を見る。すなわち事前接種しておくと緊急の事態には、1週間で感染予防が出来るということだ。このことに関しては以前に優秀な論文が世界の雑誌にでていた。
 H5亜型ウイルスによるワクチンなら、H5N1ウイルスに対しても効果があるという。要するにH5亜型内での交差免疫があるからだ。さらに数年経過しても効果があるから、今、事前接種しておけば、もしかしたなら10年後にH5N1ウイルスによるパンデミックが発生した時に、何らかのH5亜型ウイルスで作成されたワクチンを投与すれば良いということになる。しかし他のウイルスだと効果は期待できない。例えばH7、H9, H6等。
 英国チームによる発表

 3) 農水省はこのたび、新型インフルエンザ流行に備え「家庭用食料品備蓄ガイド」を作成したという。これは新型インフルエンザの大流行により外出困難となった場合を想定し、国民へ向けられた提案。内容は4人家族(両親、息子13歳、娘9歳)を例に設定し、2週間の生活に必要な食料品を示したものだ。
 例に挙げた家族の場合、2週間に10kg以上の米が必要だとしている。米は保存性に優れ、栄養的にもエネルギー源として効率が良いことから備蓄の柱として推進。健康面などを考え、野菜や缶詰、調味料などの備蓄も必要とされる。
 仮に新型インフルエンザが流行しても、災害とは異なりライフラインの不都合は考えられていないため、普段から備蓄分を意識した家庭での食料品の管理や買い物の仕方がポイントだ。ガイドには現在の備蓄量や日持ちがチェックできるリストを設けた工夫がされており、備蓄の実施を促している。
 ガイドは、間もなく同省のホームページに掲載され、誰でもダウンロード出来るという。
 内容的には納得出来るが、どれだけの国民が感心を持つかが問題だ。その為にはマスコミの協力が必要であるが…。

2009/4/6

 月曜日。
 空がどんよりと曇っている。
 週初めに天気が悪いと、出勤も気合いが入らない(僕の経験ではあるが)。
  
 昨日は手持ちのパソコンにメモリーを増やした。XPは2ギガ、ヴィスタは3ギガに増量した。パーツメーカーでのバルク製品は極めて安くなっている。2ギガのノート用メモリーが2200円程度だ。通常のメーカー品だと1万円近くする。バルク品とは産地直送製品のようなもので、余計な流通コストがかかってないが、製品にばらつきがある可能性がある。しかし僕はパソコンのパーツはバルク品しか買ったことは無いが、不都合があった製品の記憶はない。
 ノート3台、デスクトップ2台が転がっている仕事部屋は、初めて訪れた取材の記者さん達には、パソコンショップの事務所の感がするようだ。

 今日もエジプトから発病者の情報が出た
 今回は6歳少年で、治療が発病から1週間経ってから開始されたせいか重体でレスピレーターにつながっている。
 今年に入って12人目である。
 エジプトは要警戒だ。

 今日の報道から:

 1) 6歳の少年がエジプトで発病した。本年12人目である。異常に増加している。
 3月に5人、4月にはいってから既に3人目である。
 現在の状況で進むと今月は10人を超えるかも知れない。2006年3月から7月頃のインドネシアを思わせる。ピーク時には、毎週2人前後の発病者が出ていた。
 しかし、現在のエジプトとインドネシアの違いは、エジプトでは幼児が圧倒的に多く、かつ死亡者が少ないことだ。
 今回発表された6歳少年は治療開始が遅すぎるが、もしかしたならそれでも回復するのではないかという期待感がある。エジプトのウイルスは、かってのインドネシアのウイルスに比較し毒性が低いからだ。これは僕だけの希望的観測かも知れないが…。
 しかし、今年は明らかにH5N1鳥インフルエンザの状況は変わってきている。
 エジプトで大量発生。それも幼児に多く、重症例が少ない。
 昨年まではインドネシアがH5N1パンデミックの震源地と考えられていた。
 現在はそこにエジプトが加わり、少しずつ予断が許されない状況になっている。
 
 中国新華社でも、エジプトの発病例をいち早く報道している。ロイター以上に詳細な内容だ。
 同国での状況も、海外報道と等しく伝えて欲しいと思うが。

 エジプトの情報をふまえて、今日、パンデミック・アラート情報を出した。

 2) 夜に厚労省研究班(研究代表者=庵原俊昭・国立病院機構三重病院長)から、新型インフルエンザに備えて政府が備蓄しているプレパンデミック(大流行前)ワクチンの効果や安全性に関する大規模臨床研究の結果に関しての報道があった。
 色々とおかしな記述が相変わらずある。”新型インフルエンザに備えて政府が備蓄しているプレパンデミックワクチン”。これは鳥インフル(H5N1)が新型インフルエンザに変わった場合を想定して、政府が…”が正しい。新型インフルエンザ=H5N1ウイルスによるインフルエンザという定義はない。だから、”新型インフルに変異する可能性が高いとされる「H5N1型」鳥インフルエンザウイルス”という表現も同じ報道の中に見られる。
 現在H5N1ウイルスに対するプレパンデミックワクチンを事前接種しようとしている国はない。備蓄はしているが、事前接種はしない。パンデミックインフルエンザがH5N1ウイルスで発生するという可能性は、以前よりも低くなっているからだ。またプレパンデミックワクチンの副作用は予知できないものがあり得る。だから実際にパンデミックインフルエンザが発生したとき、その病原性の高さを考慮した上で、使用するかどうかを考えるのが常識だ。しかし、日本ではパンデミック発生前に事前接種しようと考えている。
 ・パンデミックはH5N1ウイルスで起きる。
 ・パンデミックは重度の高いインフルエンザとして発生する。
 上記2点が日本では検証されないまま、プレパンデミックワクチンの事前接種が検討されようとしている。
 なぜだろうか?

 昨年プレパンデミックワクチンの事前接種が開始される前の報道集をリンクする。
 国の言っていることが微妙に変化してきていることが分かる。 参考
2009/4/5

 今日も天気は悪くない。
 気温も上がってきている。
 窓から見える道路の残雪もほとんど消えかかっている。
 次の季節の変化の兆候は、まだ無機的な木々の枝の彩色の開始だ。
 
 海外は週末のせいもあって、情報量が少ない。
 メジャーでない報道機関が、エジプトの男児の発病を未だ伝えている。
 そうした中、気になる報道もが一つあった。
 エジプトの61例目の、4月2日に報道された男児が、入院後間もなく死亡している、というものだ。
 英国系の小さな報道の論説の一部に、そのような表現があった。
 僕の解釈では、今年に入ってからのエジプトの発病者は全例生存している。
 発生時の報道はあるが、個々の事例のその後のフォロー記事は出ないから、当方の解釈が間違っている可能性も否定できない。
 ただこの事例は、他報道でも確認したが、死亡という表現は見つかっていない。
 僕がなぜこの事例が死亡したかどうかこだわるかと言うと、昨日も見解を述べたが、エジプトのウイルスが毒性を減じている可能性があると僕は考えていて、その理由として今年に入ってからエジプトでは、全例死亡していないことを上げてきているからだ。

 エジプトで、今後、幼児の間で発病が相次ぎ、かつ死亡率が低い場合は、新型インフルエンザウイルスの誕生を警戒すべきだし、その可能性があるとしたなら、それは極めて近い将来と僕は考えている。
 上記の表を見ても分かるとおり、今年に入ってからの発病者は低年齢層に限定され、かつ死亡率が低いのだ。もっとも僕の得ている情報がほぼ全てとした場合の話である。

 日本のアライグマで、H5N1鳥インフルウイルスの抗体が見つかった研究報告に関して、日本の大手報道も伝えている。
 国内のアライグマは野鳥等を食べてウイルスに感染したのは間違いはない。日本にはH5N1ウイルスが野鳥等を介して広がっている可能性があるということだ。
 昨年秋の米国での調査研究では、同じようにアライグマには各種鳥インフルウイルスに対する抗体が見つかっているが、H5N1ウイルスに対する抗体は見つかっていない。すなわち北米大陸にはH5N1ウイルスは野鳥で運ばれてきていないことが裏付けされている。
 アライグマは米国の研究で裏付けられているとおり、人と鳥のインフルエンザウイルス両者に対するリセプターを気道の細胞が保有している。これは非常に重大なことで、ブタでも同じである。

2009/4/4

 明らかに蝦夷地にも春の光線が根付きだしたような朝だ。
 過疎が進むこの地も数十年後には本来の自然が蘇るのだろうか。
 小樽周辺の野山には近くの札幌以上に素晴らしい自然が残っていて、先人達が残した遊歩道、山道が多く残されている。
 しかし、そうした自然をこの地の恵みと感じている地域の住民は少ない。
 未だ列島改造論の時代がそのまま居残りを続けている。
 古いものを壊し、新しいものに作り替えることが町の発展につながると、幼稚な幻想を抱いているリーダー達が多すぎる。
 古い時代の文化を求めて若干の観光客が訪れるが、多くは作られた観光都市にツアーで短時間の滞在を楽しみにやってくる。そこには何も文化はないのを知らずに。
 文化がなければ全ては消え去る。
 小樽運河周辺には季節がないのは、そこには文化がないからだ。自然と歴史と一体化した、かっての文化が消え去ったからだ。

 今日は驚くべき情報がエジプトから入っている。
 また幼児が感染したのだ。そして様態は安定している。今年に入って11例目であるが、10例は3歳以下の幼児で、1例の成人例を含めて全例回復している(または回復に向かっている)。
 WHOは先月、エジプトでの発病者の多くが幼児てある理由を調査・研究するように求めたようだ。

 今日の報道から:

 1)北部エジプトのベヘイラ県で1歳9ヶ月の男児がH5N1鳥インフルを発病したが、状態は極めて安定していて、現在タミフルによる治療を受けていることが保健省から発表された。
 今年度に入ってから11例目の発病者となったが、今週、2例目の事例でもある。また10例は3歳以下の幼児であり、他の1例の成人例も含めて全例回復している。
 AFPによると先月WHOは、エジプトで幼児が多く発病している理由を調査するように求めたようだ。
 エジプトでなぜ幼児が多く感染しているかという見方よりも、エジプトではなぜ幼児しか感染しないのか、かつ重症化しないのかと疑問を抱く方が正しいと僕は思っている。
 感染している最低年齢は1歳半である。最高年齢は2歳8ヶ月である(1例の成人例を除き)。要するに歩き出してから2年ほどの幼児ばかりである。歩けない乳児では発病例はない。
 これは何を意味しているのだろう?
 幼児の間での感染が広がっていて、その大部分は(風邪と区別出来なく発見されていない)軽症である可能性が否定できない。
 かっては家庭の家きんの世話をする若い娘や主婦が発病者の大多数を占めたが、今年に入ってからは主婦の発病例は1人のみだ。
 なぜ幼児しか感染しなくなったのか?
 幼児に特有の感染症となったのだろうか?
  一般的に幼児に特有の感染症は、成人層には免疫が出来ているウイルス感染症が多い。
  麻疹、風疹、水痘、手足口病、伝染性紅班…。
 H5N1鳥インフルエンザがエジプトで幼児に特有の感染症となってきたとしたなら、それはウイルス変異が理由とし思えない。
 幼児以降の年齢層には抗体のあるウイルスだ。
 そうしたウイルスが突然現れたとしたなら、それは既存のインフルエンザウイルスとの間で遺伝子組み替えが起き(遺伝子再集合)、新しく誕生したウイルスの抗原に既存のインフルエンザウイルスの抗原の一部が表現されたとしか思えない。
 それともウイルスは同じ株であるが、環境の中で偶々幼児にしか感染していないのだろうか?
 それは絶対あり得ない話だ。インドネシアやベトナムでも幼児の発病例は少ない。中国でもそうだ。
 11例発病し、そのうち10例が幼児である確率は、これまでのH5N1ウイルスの人への感染状況から考えてゼロである。
 すなわちエジプトのH5N1ウイルスは明らかに変わったのだ。そうでなければ報告が虚偽としか思われない。
 それが自然経過で変わってきたのか、人為的操作により変わったのか不明だ。
 でも重症化せず、成人では発病させない変異ウイルスなら、生ワクチンとして利用できそうだ。
 または毒性が減じたH5N1ウイルスがエジプトで誕生し、それが新型インフルエンザウイルスとして蔓延し出している可能性も否定できない。
 軽症でしかないから、ウイルスが広がりだしていても、スペインインフルエンザの第一波(3月から5月頃)のように、気づかれないで終わっている可能性もありえる。
 エジプトのウイルスの分析結果が重要だ。本当に家きんに感染している株と同じなのだろうか?
 水面下では色々な協議と調査が行われていると希望的推測をしているが…。

 以上は僕自身の勝手な憶測に基づくものではあるが、現在のエジプトは明らかに変なのだ。

2009/4/3

 木曜日と金曜日は午前中札幌に出向く為に、朝の自由時間は乏しい。
 久しく時間に縛られた業務から解放されていたから、結構辛いものがある。
 バスの中で、MP3プレーヤーでのんびりとミュージックに耽ることが出来ることはいいが。
 今日は天気が昨日と同じようにいい。光線に輝きが出てきている。
 このような光を浴びると心身共に、どこかに隠れていたエネルギーが呼び起こされてくるように感じる。
 
 今日は海外ニュースで特記すべきものはない。ケニアの湖が渡り鳥が集まることから鳥インフルエンザ感染のリスクが高いとか、インドの木からタミフル製造の原料となる物質がとれる事が見いだされたというような小さな情報だけだ。特に訳してはいない。
 そうした中、国内報道で国内のアライグマからH5N1ウイルスに対する抗体が見つかり、国内に存在するアライグマが鳥などの野生動物を食べてウイルスに感染していることが示されたという、学会報道を紹介している。
 これは大変重要な問題であるが、報道の方も充分それを把握出来ていないようだ。

 昨年の11月に、既に米国の研究チームが米国内のアライグマの血液を調べ、その多くから鳥インフルエンザウイルスの抗体を見いだしている。ウイルスの種類は地域によって異なるが数系統の鳥インフルエンザウイルスとされているが、H5N1ウイルスは米国内の野鳥には感染していないので含まれてはいない。アライグマが地域にいる野鳥を食べ、そして鳥インフルエンザウイルスに感染しているという事実は、大変重大であるが、同時期にオランダの研究チームが野生のキツネでも類似の研究結果を出している。すなわち野生の哺乳動物が鳥からウイルスの感染を受けているという事実である。
 しかし米国の研究チームはさらにアライグマの気道の細胞を調べ、そこには人と鳥のインフルエンザウイルス両者に対するリセプター(HAに対する)があることも確認している。要するにブタと同じように、鳥インフルエンザにも人インフルエンザにも感染するということである。そこで何が示唆されるかというと、両ウイルスがアライグマに感染すると、アライグマの体内で両ウイルス遺伝子の組み換え(再集合)が起き、新型インフルエンザウイルスが誕生する可能性があるということである。

 今回の日本の研究チームの発表は米国チームのそれよりも、さらに恐ろしい事実を確認している。すなわち日本の野鳥、またはアライグマが食べている野生動物の体内にH5N1ウイルスが存在しているという事実である。
 知らないうちに日本国内の自然の中にH5N1ウイルスが侵入し広がっている可能性がある。
 昨年の東北と北海道での白鳥のH5N1鳥インフル死亡事例は、そうした事実を支持している。
 環境省がどれだけ重大視しているか分からないが、この事実は重大だと、僕は思う。

 夕方、朝鮮新報から北朝鮮における鳥インフル対策が垣間見られるような情報が出ていた。
 「東、西海岸と北部国境地帯をはじめ各地の渡り鳥監視所では、渡り鳥を常時監視しており家禽工場では家禽の血清学的な検査も定期的に行っている」とされる。
 こういう記述は嘘を考えて書くとは思わないから、ある程度は実態に即していると思う。
 家禽工場で家禽の血清学的検査が本当に、定期的に行われているとしたなら、脱帽する。

2009/4/2

 今日から札幌へ週2回の業務で出かける。
 午前中2時間程の内容だから、それほど時間的に費やされることはなさそうに思うが、朝早く(といっても普通の勤務者と同じ程度)に出かけ、自宅に戻るのが正午過ぎだから、このウエブの更新には多少の不自由さが生じる。
 せっかくユニシスとユニアデックスのサポートが得られるようになったのだから、内容も充実させてゆこうと思っているが、これまでの様に全てを早朝に仕上げるのは難しいかも知れない。
 このユニアデックスのNeXtCommonsは、これまでのようにビルダーをP立ち上げてウエブを管理する必要はなく、ブログと同じようにページにoginして、そこで操作ができるから、出先でも、出張先でも容易に行える。eMobileとミニノートを使うと町中のカフェーでも可能だ。
 超小型のミニノートも、軽量型のダイナブックも持っているから、これからは町中に出たときも情報をチェックし、必要とあらば、ウエブの内容を更新しようと思っている。
 
 今日の情報はなんと言ってもエジプトで男児が発病したことだ。何と今年度10例の幼児が発病し、1人の成人例も入れて死者の発生はないもようだ。
 報告内容からして、軽症~中等症かも知れない。
 幼児が発病し重症化しないとしたなら見逃される可能性もある。
 発熱して多少の咳がつく感冒なら幼児で多い。
 意外とエジプトでは幼児の間でH5N1鳥インフルエンザウイルスの感染症が、報告以上に発生しているのかも知れない。
 なせ成人は罹患しないのか?
 変異してきたH5N1ウイルスの抗原の一部に、過去に流行した、または現在流行することのあるインフルエンザウイルスの抗原の一部が、混ざって発現されてきているのかも知れない。要するに遺伝子の交雑だ。これは単なる推論にすぎない。
 
 いかに本年度エジプトで確認された事例をまとめた。
 

エジプトのH5N1ウイルスが変異の可能性?
乳児が感染、重症化傾向はなし
4月2日 2歳男児 安定
3月27日 2歳半女児 安定
3月18日 38歳女性 安定
3月11日 1歳半女児 安定
3月5日 2歳8ヶ月男児 容態安定
3月2日 2歳男児 生存中
2月9日 18ヶ月男児 回復
2月5日 2歳男児 回復
1月26日 2歳女児 回復
1月13日 21ヶ月女児 回復


2009/4/1 7:53:35

 昨日とは打って変わって天気が良い。快晴に近い。
 天気が良い快晴の4月1日ともなると、気分の上からも新年度が実感される。
 4月から新年度が開始する仕組みは、季節感からすると理にかなっている。
 秋口から新年度が始まる仕組みだと北海道では最悪だ。
 新年度が暗い、落ち込んだ雰囲気の中で始まる可能性がある。
 自然は葉を落とし、肌寒い乾いた風が顔に当たり、アノラックを着始める頃に、新しい感性で仕事に取りかかることは難しい。
 春は、全くその逆だ。

 今日からユニアデックス社の"NeXtCommons"システムに乗ったウエブとなっている。全面的に同社からの提供だ。ウエブデザインも良く、使いこなせたら、自分なりにサイトのデザインも変えることが出来そうだ。

 今日の報道から:

 1) インドネシアで豚から分離されたH5N1鳥インフルエンザウイルスが、マウスへの感染実験で病原性を減じていることが分かった。インドネシアと日本の研究者による研究であるが、豚に感染していたH5N1ウイルス3株と鶏に感染していた2株について検討したものだ。鶏から分離されたウイルスは当然のように毒性が高くマウスを殺してしまうが、豚から分離されたものは毒性を減じていた。
 研究者達は、H5N1ウイルスが豚に感染した後、豚への適合性を高めた結果、病原性が減じたと考えている。豚への適合性は人への適合性に通じる。豚の気管支の細胞は、豚と人のインフルエンザウイルス、両者に対するリセプターを保有している(両ウイルスが感染できる)のだ。
 豚の体内で変異したウイルスが人のインフルエンザウイルスとして、さらに容易に変異する可能性があるとされる。また、豚に感染した鳥インフルエンザと人インフルエンザのウイルスが、感染した細胞内で遺伝子組み換え(遺伝子再集合)を起こし、新型ウイルスを誕生させる可能性もある。
 香港インフルエンザとアジアインフルエンザは、人と鳥のウイルス間での遺伝子組み換えにより起きたと考えられているが、その際に豚が関与したかは定かではない。
 豚以外でもアライグマが両ウイルスに感染することが最近明らかになっている。
 人の新型インフルエンザウイルス誕生のメカニズムは複雑であるが、少しずつ、氷塊が周辺から溶け出すように明らかになってくる。もっとも氷塊は冷蔵庫に入る程度の大きさか、それとも氷山のような大きさかは誰にも分かってはいない。

 適合することで病原性が源弱することは興味深い。それは逆に適合してない状態で感染すると非常に病原性として高く現れる可能性を示唆している。
 通常は鳥にしか感染しない病原体が、何等かの理由で人に感染する状態は、自然の摂理を超えた感染とも考えられる。そこでは人の感染症では起きえない病態像が展開されても不思議ではないのかも知れない。
 しかし鳥のウイルスであるH5N1ウイルスが、なぜ、どういう場合に人に感染し、発病させるのかについてはよく分かってはいない。
 H5N1鳥インフルエンザと引き合いに出されるSARSコロナウイルスは、見つかったときから人のウイルスであった。H5N1は未だに鳥のウイルスであるが、それが本当に人のウイルスとなるのかが謎のままだ。
 今回の研究は、その謎の一部を解明したということなのかも知れない。
 研究結果は、ウイルス学専門雑誌であるArchives of Virologyに掲載された(国際的には、中程度の学術雑誌ではなる)。

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