向井から仏の平


上野市に転勤になって5年、通勤途中ずっと気になっていた山がありました。関トンネルの横、名阪国道向井のインターから見える格好の良い山です。反対側には、名の知れた錫杖が岳があり、ちょうど錫杖と向かい合わせになっています。
錫杖は、多くの登山者に知られ、休日の山頂はまるで満員電車のような混雑ですが、向かい合うこの山は、名前も知られず、登路も知られず、おまけに稜線を中電の伊勢幹線が通っていて踏んだり蹴ったりの山です。
しかし、この鉄塔が目印になって低山なのに遠くからでもよくわかります。
亀山の自宅からもよく見えています。
「あの山の名前は何だろう」「登路はどこかな」等と、仕事に向かう途中気がかりでした。仕事に行ってもストレスばかり。おまけに、表面的にいいことばかり言って、腹の底はまったくみえない。そんな人間関係が嫌になって、そんな人間関係しか作れなかった自分が嫌になって、そんな自分を、その山に重ねていました。
仕事を早退きして、これぞという尾根を強引に登ったこともありましたが、1998年の台風は尾根上の木々を根こそぎ倒していったようで、やせ尾根の上に風倒木が朽ちている状態では藪こぎもままならず、あきらめたこともあります。


県立図書館で「鈴鹿の山と谷6」を何気なく見ていたらこの山のこと載っていました。さすが西尾先生。
山の名は「仏の平」(ひらかだいらか不明)、そして、東につながる山は「寒風」。
何ともステキな名前です。

山行日  2000年12月 9日 晴れ 微風
コース  坊谷から中電鉄塔巡視路〜仏の平
パーティー 単独

風邪が全然治らない。喉が痒いような感触と大きな咳の連続。体調は良くないが天気は良い。朝、せき込んだふとんの中で、山行を決めた。

9:00  坊谷近くの広場に駐車。霜が朝日に暖められて蒸気がたつ。幻想的な光景。104番鉄塔の横から登る。
 霜が融けて立ち上る蒸気

植林帯だがこの時期は一面のフユイチゴが迎えてくれ、華やかな道になっている。

道は、良く整備され何の不安もない。沢を渡る時は丈夫な鉄製の橋、傾斜がきつくなると階段状に板が埋めてある。道はやがて谷から離れ、尾根伝いに続くようになる。とたんに急登だ。
ところで、電力会社の鉄塔巡視路や水力発電所の取水口の監視路などはすごいところにすごい道がつけてあって、景色も水場も関係なく、ひたすら急登が続く事が多い。社員のみなさまご苦労様。ちょっぴりうらやましい。






9:30 105番鉄塔広場 大般若経跡
急登にうんざりした頃あたりが開けるとそこは105番鉄塔広場。錫杖が端正な姿を見せる。鉄塔の下は草が刈ってあって、のんびりと寝ころびたいが500万Vの影響はいかがなものだろうか。よく見れば鉄塔の下は鳥のふんだらけ。寝ころばなくて良かった。
大般若経云々と言う石碑あり。山名の由来につながるのだろうな。

ここからは、傾斜が緩やかになって、楽しい尾根歩きになる。道は整備されていて、両側は植林されているので怖くないが、切り立った相当のやせ尾根である。






9:40 106番鉄塔
尾根道からはほとんど展望か利かないが、鉄塔の下からは展望が良く利く。錫杖が見える。伊勢方面がかすんでいる。


向いに見えるは錫杖

9:55 107番鉄塔
寒風への分岐があるはずなので注意しながらいくがよくわからないまま107鉄塔に出る。山頂の間近にあって紅白に塗られているので遠くからでもよく目立つ鉄塔。急傾斜地に立っていて、鉄塔の斜面の下に寒風への分岐がありそうな気がする。だが今日は風邪気味なのであきらめる。
左  107番鉄塔の脚と寒風、伊勢平野の展望右  山頂








10:00 ぴったり10時、山頂。展望は利かない。「仏が平」という名前は経が峰などの名前と同じく山頂に教典を埋めた山という意味らしい。この山らしい地味な山頂。下山開始。12時までに家に帰らなければ。長男のスイミングの日だった。

10:50 車に戻る。誰にも会わない、ただただしみじみとした山行であった。

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