東雨乞から七人山 秋の雪中山行 

もうすぐ山頂のはずだが、風雪とガスと眼鏡のくもりのせいで視界がきかない。あまりにも早い雪の訪れに面食らいながら、よろよろと雪原を高みに向かって歩いているのだった。

西高東低、寒波襲来、先週からぐっと気温が下がり、紅葉は一段と鮮やかさを増したはず。ゆったりとした樹林の紅葉を見に行こうと選んだコースは昨年秋に歩いた雨乞郡界尾根。ところが待っていたのは紅葉ではなく雪景色。錦の衣じゃなく白無垢を纏った山々を堪能しました。
山行日 2002年 11月2日(土) 雪 霙
コース 武平峠8:00---沢谷峠8:45---1014P9:50---東雨乞P10:50---
七人山コル11:20---七人山11:30---武平峠13:10

スカイラインから沢谷峠まで

 家を出たときは朝日が眩しかった。307号線を北上するにつれて雲が多くなり、スカイラインに入ると雨が降っている。しょうがないよな、冬型だもんな、と思っていたが武平トンネルを越えると、とたんに薄暗くなり、雪が舞っている。山の上方は雲がかかっていてよく見えないが、かなり積雪があるようだ。
沢谷峠 鎌が端正に見えるはずだが
トンネル西500mの駐車場に停めて支度する。車載の外気温計では0度。雪がかなり激しく降っている。靴は軽登山靴しか持ってこなかったぞ。軽くて履き心地がいいのでこのところこればかり使っていたが、雪には弱い。仕方がない、スパッツつけて合羽を上下着用。帽子もかぶってこれで良し。あれ、地形図が無い。エリアマップしかない。まあいいか、去年登ったルートだし。
 登り口のガードレールは新しくなっていた。前はマジックで登山口が書いてあった。沢を渡り植林帯をジグザグに登り尾根に乗る。尾根からは急登。ぐんぐん高度が上がる。上がるにつれて雪がある。それも、雪と水の中間の状態。踏んだとたんに溶けて安物靴を通り抜けてくる。急登が一段落して歩く易くなったら左側に注意しよう。郡界尾根が左側下方から派生している。この尾根を降りたら沢谷峠。今日は雪だらけ。天気が良いと鎌がとてもりりしく見えるのだが。

郡界尾根を行く

 水気をたっぷりと吸った土の上に湿った葉っぱ、さらにその上に湿った雪。少し斜面が急になるとずるずる滑る。このルートは清々しい樹林のルート、つまり、下草が無く(滑りやすい)、木と木の間隔は適度に開いていて(つかまることができない)キックステップ風で登っていく。
薄雪のいいなのコバ
 967Pから南西に伸びる尾根に入り込んでしまった。何となく左に曲がってしまったのだ。木の間からスカイラインが見えたので間違いに気づく。もう一度戻って正しい尾根を行く。ピンクのテープがうるさいほどだ。しばらく降りて登り返すと「いいなのコバ」そして三人山。オクムラ氏の標識があった。薄雪のブナ林がまた良い風情。ぐるぐると歩き回る。終わりかけた紅葉に雪がついている。ここで二人組の登山者に出会った。「ルートをはずしている足跡があって、、」それは私です。そして、コースの間違いを正していただいた。東へ向かう尾根に行きかけていた。「コンパス持ってますよね。」と心配していただきました。ありがとうございました。(でも、地形図持ってないのです。)とにかく北へ伸びる尾根にのって東雨乞のピークを目指す。鞍部までは楽しい雪上歩きだが鞍部を過ぎると急登が始まる。尾根の中心をはずさないように登る。

東雨乞Pから七人山

どんどん雪が増えてくる 東雨乞山頂 真冬の様
 頂上へ向かう尾根を行く。高度がぐんぐん上がり、積雪の量も増えてくる。笹の中につま先を蹴り込みスリップを防ぎながら少しずつ登る。もうすぐ山頂のはずだが風雪とガスと眼鏡のくもりのせいで視界がきかない。あまりにも早い雪の訪れに面食らいながらよろよろと雪原を高みに向かって歩いているのだった。
 突然、前が開けて山頂に着いた。風が冷たく写真を撮っている間に、手袋が凍っていた。足跡が一組。本峰に向かっている。真っ白であたりは何にも見えない。七人山に向かって笹原を滑り落ちていく。笹トンネルは雪の重みで低くなって歩きにくいこと。何組かが山頂を目指していたが皆さん悪戦苦闘していた。笹トンネルは低くなってちょうど首のあたりに笹の上の雪があたる。首から雪が入ってくる。ササの間を走り抜けるようにして七人山コル、そしてそのまま七人山へ。
静寂の七人山
 七人山へは誰も来ていなかった。足跡もなかった。雨乞のピークに比べが、この山頂のこの穏やかさは何だろう。この山に来るといつもほっとする。雨乞に登る人は多いがここへ来る人は少ない。コルから10分もかからないのに。突然の秋の雪に覆われて、いっそう静かになった二次林でしばらくひとりごちた。雪に覆われているが下は色とりどりの落ち葉でいっぱいなのだろう。散りあぐねた葉っぱには湿雪がのる。早く木から離れて、散ってしまえと。いつまでここに座っていたら、この樹林に同化してしまえるのだろうか。そんなことをとりとめなく考えていたら、突然一陣の風が林の中を駆け抜けた。無数の葉っぱが木から離れて乱舞した。風がおさまると元のように静寂が訪れる。しかし、冬が始まったことを告げるように、さっきまで真っ白だった雪面には、落ち葉が散らばっているのだった。
 武平峠までの長い道、一瞬だけ雲が切れて光が射し込んだ。その時、盛りとなった紅葉は、晩秋の光を得て壮絶なまでに輝くのだった。

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