めくるめくさぬきうどん

さぬきうどん巡りの旅 2002年秋

池上6軒目 池上(高松市)

5軒目の山下で初日のプランは無事遂行完了。高松に向けて車を走らせる。途中でふと「そうだ。池上の下見をしよう」と思った。池上は明日行く予定をしているうどん屋だ。香東川の土手の近くの分かりにくいところにあるらしく、とっても明るいおばあちゃんが麺を打つらしい。しかもうどんが一杯65円という激安の店。「恐るべきさぬきうどん第5巻」では池上を「高松のうどんの文化財」と褒め称えていた。これは絶対行かねばなるまい。

しかしこの池上、営業時間が非常に短くて昼前の50分間と夕方の20分間しかやっていない。しかも駐車場がない。明日の夕方に行こうと狙いをつけてはいるが、場所が分からなかったり、車を止める場所を探すのに手間取って営業時間をはずしたとなれば一生後悔するだろう。だから今日のうちに下見することにしたのだ。

恐らく池上に一番近いと思われるスーパー「マルヨシセンター鶴市店」に車を止めた。ちょうど買いたいものもあったので買い物を済ませ、「買い物したんだからちょっとくらい車を止めといてもええやろ」と思いながら店を出る。

「とりあえず土手を目指すか。」スーパーのすぐ横、土手に出るのに一番近そうな細い道を歩く。車が通るには難儀しそうだ。まだ土手は見えてこないが、一軒の民家を通り過ぎた時に何かがふと目に入った。戻ってみると開け放った戸の向こうで、おばあちゃんが麺の生地を足で踏んでいるではないか。もしかしてと思って家の横手に回ると「池上 営業時間・・・」の張り紙を発見。あっけなく着いてしまった。

時刻は4時20分。夕方の営業開始まであと20分。今日は既に5杯のうどんを食べてお腹は一杯だけど、あと一杯くらいは入りそうだな。それに今生地を踏んでいるのなら。打ちたて茹でたてのうどんが食べられる。せっかく店まで来たんだし今日食べてしまおうかな。いろいろ考えて僕はその時「あと20分くらいで食べられますか」と、表の張り紙を見れば分かるようなことを質問した。ちょっと興奮していたのかもしれない。するとおばあちゃんが

「はい、あと20分、いや、15分くらいで食べられるけんな」

と〜っても明るい返事だった。本に書いてあったとおり明るいおばあちゃんだった。その返事を聞いてすっかりうどんを食べる気になっていた。土手まで歩いて時間を潰し、ふたたび店に行くとサラリーマン2人組が入っていったので、僕も続いて入った。

ちょうど麺が茹で上がるところだった。先にサラリーマン2人組が注文して、僕も「温いのの小」を注文する。と、おばあちゃんが「お兄ちゃんが先に来てくれてたから、お兄ちゃんの分から先にだしてあげるけんな」と言って、サラリーマン2人組より先に麺の入った丼を差し出してくれた。おばあちゃん、ええ人やなぁ。おばあちゃんの明るさと優しさに心が温まる。

さて、うどんについてだが、ここでの注文は温いか冷たいか、それと量を言う。すると丼の入った麺を差し出される、と同時にお金を払う。うどん代はさっきも書いたとおり一玉65円という激安だ。で、だしはどこを探してもない。店の中に一つだけあるテーブルに薬味と醤油がおいてある。ここでは薬味をのせて醤油をかけて食べるのが基本だ。

じゃあ応用は?と言うと、店の中の冷蔵庫には生卵が入っている。その卵を割って入れ、醤油をかけてかき混ぜて食べる「卵かけごはんのうどん版」が楽しめる。卵のうどんの代金と一緒に払えばよい。卵は一個30円。うどんが一玉65円だから卵とうどんを足しても100円でお釣りが来る。なんちゅう安さだ!

温いの小+卵 僕も卵を割って、醤油をかけてよ〜くかき混ぜる。ちょっと慌ててねぎの入った器の蓋(皿)を滑らせてテーブルの上に落として大きな音がしたもんだから、おばあちゃんが「大丈夫な。怪我でもしたら大変や。怪我せえへんかった?」と心配してくれて、かえって恐縮してしまった。さぁて、ずるずるずるっ。う、美味いっす。麺はもちもちっとした食感としっかりした腰がある。それに加えてとろとろの生卵が麺にからんできてほっぺたが落ちそうになった。麺だけでも美味いのに卵と組み合わせでさらに美味しくなるなんて。あまりの美味しさに私、参りました。降参です。

おばあちゃんの人柄と、うどんの美味しさに大満足して、密かな思いを胸に池上を後にした。「明日も食べに来るぞ。」

・・・温いの小+卵 95円也 (2002/9/27)

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