めくるめくさぬきうどん

さぬきうどん巡りの旅 2004年春

かじまや5軒目 かじまや(観音寺市)

4時を過ぎて日も傾いてきた。来た道を戻り、琴弾公園の交差点を右折して観音寺市街から離れていく。しばらくして「サムソン」が見えてきた。「サムソンってなんのこっちゃ?」と思うだろうが、そういう名前の会社である。そのサムソンの向こうに、目指す「かじまや」が見えてきた。「恐るべきさぬきうどん」に書いてあったとおりだ。

店に入ってまず目についたのが、でかでかと貼られた「無断撮影禁止」の貼り紙。うわっ! ひょっとしてここの大将は厳しく怖い人なんだろうか。ちょっと身構えてしまう。厨房をのぞき込み、大将に「冷やしうどん」を注文した。汗ばむ陽気に温かいうどんを食べ続けていたから、冷た〜いうどんが食べたかったのだ。

「お待ちどうさまでした」と供された冷やしうどんは、ガラスの器に透明な氷が浮かべられた水の中を、麺が泳いでいるようでとっても涼しげだ。つけだしもガラスの器で、妙に量が多いな。よくみたらガラスのコップに入ってたのか。さて、写真を撮りたいけど、あの貼り紙が気になる。恐る恐る大将に聞いてみたら、「どうぞ、撮ってもええですよ。」 大将のその一言に、ホッと胸をなで下ろした。

かじまやの冷やしうどん 写真も撮ったし、うどんをいただこう。テーブルの上にうずらの卵が置いてあったので、一つ割ってだしに入れる。麺を取るとカランカランと氷のあたる涼しげな音が響いて、いい趣やねぇ。麺はキンキンに冷えていてコシが強く、口の中で弾ける。そしてなめらかな喉ごしで冷たさがさっと駆け抜けていく。あ〜うまい。

で、驚いたのはだしの味。だしの旨味の中にほのかな甘みが広がるような、今までに味わったことがない美味しさだ。後で調べて分かったんだけど、西讃ではだしに「みりん」を混ぜるそうだ。そうか、みりんが入るとこういう味になるのか。ちょっと感動すら覚えるその味に惹かれ、だしも少しずつ飲んで味わった。

大将にあの貼り紙のことを聞いてみると、他の人が食べているところを勝手に撮る人がいるから貼ったんだそうだ。そら、自分がうどんをすすっているところをパシャパシャ撮られるのは、ええ気分はしないなぁ。あの貼り紙は他人の迷惑にならないよう、気持ちよくうどんを食べられるようにとの、大将の気遣いである。「今やったら他にお客もおらんから、撮っても大丈夫。」 そう言ってくれた大将は物腰の柔らかい、とても優しい方でした。全然怖いことないです。

それにしても無断で写真を撮る人がいるのは、この店の雰囲気にあるんだろう。壁に掛けられた大皿。おにぎりの入ったガラスケース。鎮座する招き猫や福助人形。なぜか客席の脇にある流し台。使い込まれたテーブルや椅子。薄暗い店内は昭和の雰囲気が色濃く残る。そこに夕陽が差し込んで、ほのかに明るく照らされる。時がゆっくりと流れるような趣ある空間だ。

そんな雰囲気の中、さっと食べるのはもったいない気がして、ゆっくりと冷やしうどんを味わった。最後に会計を済まそうと、うずらの卵1個を申告したら大将が「うずらはサービスです。」 な〜んだ。だったら2つくらい割ればよかった。「3つくらい割る人が多いかな。あんまりたくさん割られても困るけど。」と大将が笑った。大将の人柄とこの雰囲気はええなぁ。「夕暮れ時、かじまやで冷やしうどん。」 真夏に味わいたい情景だなぁ。

・・・冷やしうどん 300円也 (2004/4/17)


ということで、初めての西讃うどん屋巡りはこれにて終了。どのお店も印象深くて、内容の濃いうどん巡りだった。まだまだ行ってみたいお店、気になるお店が西讃には山ほどある。これからは西讃へもどんどん出かけていこうっと。(おしまい)

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