3軒目 はりや(高松市)
少し前、当サイトの掲示板に「すみたに行った」という書き込みがあって、懐かしい気分になった。すみたは東京で一番うまい讃岐うどん店として評判が高く、僕も5年前に行ったことがある。あの時はかしわぶっかけを食べたっけ。九州などでは鶏肉のことを「かしわ」と言い、かしわの天ぷらがのったぶっかけを食べたのだ。
それで思い出したのである。すみたの大将と兄弟弟子だった方が高松でうどん屋をやっていて、そこでもかしわ天を食べられることを。しかも行列が絶えないお店らしい。平日なら少しは行列も短いんじゃないかと思い、向かったその店が「はりや」である。
はりやに着いた時、二人組が中に入っていって、外で待っている人はいなくなった。狙いどおり行列を避けられたなと喜び勇んで戸を開けると、そこにあったのは人の背中だった(?)。行列は店内にあったんやね。お店は厨房とカウンター席しかない細長い形をしていて、席のすぐ後ろに順番待ちの人が立っていた。
並んでいる間は手持ち無沙汰だから、どうしても視線はうどんを食べているお客さんか厨房に向いてしまう。食べているのを見るのは失礼だから厨房に目を向けると、天ぷらをひっきりなしに揚げたり、洗い物をしたり注文を聞いたりと、店員さん3人がてきぱきと動いている。でも、大将らしき方がおらんなぁ。
と、思っていると、一番若い男性店員さんが(見習いさんかな?)、「麺、お願いしまーす。」と呼びかけた。すると奥ののれんから大将が出てきた。どうやら奥で麺を打っていたようだ。で、大将は麺の茹で具合を確かめて釜から引き上げ、水で締める。締めた麺を店員さんがお皿にとりわけ、天ぷらを乗せてお客さんに渡す。大将と店員さんのチームワークで、茹で上がったばかりの麺が次々とお客さんに供される。
と書いたけど、そこに慌ただしさは微塵も感じない。大将はお客さんに話しかけたり後片付けをしたり、子供連れのお客さんに「(お子さんの)麺は熱すぎないほうがええんかな?」と言って麺の熱さを確かめる。店員さんも、空いた席にお客さんを通す際に「お待たせしてすみません。」と一言添える。その細かい気配りがええなぁ。
ちょっとした合間に店員さんと大将は楽しそうに話をしている。大将が一番若い店員さんになにやら声をかけたら、店員さんは行列客に向かって先に注文を聞いた。けど、大将がなぜか苦笑をしている。言ったこととちょっとずれとったんやろか? そんな厨房内のやりとりに、見ているこっちも微笑んで、和やかな雰囲気すら感じる。
さて、ようやく順番が来て席につき、かしわざるを注文する。麺が茹で上がるのを楽しみに待ち、ついにかしわざるとご対面だ。うわぁ、ボリュームあるなぁ。ざるの上につやつやと白く輝く麺。それにかしわ天がひぃ、ふぅ、みぃ・・・、6つもあるがな! 増井米穀店でおにぎりを食べなかったのは正解かもしれん。
うどんの写真を撮るべく大将にお伺いをたてたら、こっちを向いてピースサインをして待ち構えとる! すかさず店員さんが大将にツッコミを入れて、僕には「早う、うどんの写真撮っときぃ。」と促してくれた。ホンマに和気あいあいとした雰囲気やね。
うどんの写真も無事撮り終えて、まずは麺からいただく。コシの強さがたまらんねぇ。噛んでも噛んでも噛み応えがあって、口の中で弾んでは喉へと流れていく。その麺と絡むだしが甘い! 試しにだしを味見してみたけどやっぱり甘い。みりんでも入っとるんかな?
今度はかしわ天をいただく。6つもある上に一つ一つが大きい。甘いだしにちょっと浸して頬張ると、熱々サクサクの衣の下から、ジュワっとジューシーな鶏肉があらわれて、これは旨すぎる。これだけ持って帰ってビールのあてにしてもええなぁ。6つもあるから、麺とかしわ天を交互にいただいて、そのおいしさをじっくり楽しもうっと。
全部平らげたらすっかりお腹がふくれた。おいしいうどんと大将や店員さんの和やかな雰囲気に、行列で待たされたことなどすっかり忘れて、「いいお店だなぁ。来てよかった。」という満足感だけが残った。これなら行列が絶えないのもわかるなぁ。
・・・かしわざる 650円也 (2008/2/25)
さすがにこれ以上は食べられないくらいお腹が膨れたので、今回のうどん屋巡りはこれで終了となった。素朴なうどんから豪勢なうどんまで、多彩なメニューを楽しんだ一日だった。さぁ、もうすぐ春本番。暖かくなったらなったで、またまた渡讃しようかな。(おしまい)