めくるめくさぬきうどん

岡山東京うどん屋巡り 東京編

午前7時。今日のうどん屋巡りを共にする特別ゲストと待ち合わせをするために、僕は二子玉川にいた。実は会うのは今日が初めてなのだ。待ち合わせの目印におか泉の紙袋を持って駅に行く。東京じゃそんな奴はまぁおらんな。改札口に向かおうとすると、向こうから近づいてくる人がいる。そして「のむさんですか?」と声をかけられた。「初めまして。光樹です。」

光樹さんは相互リンクをはらせてもらっている讃岐うどんサイト「いいとこあるじゃ〜ん!」の管理人だ。香川出身、大阪在住の光樹さんは会社の研修で今月東京に滞在している。そこで「いっしょにうどん屋巡りをしませんか?」とお誘いして、今日一緒に巡ることになったのだ。

少し遅れてもう一人の特別ゲストが登場。光樹さんの友人のTさんだ。Tさんも香川出身で今は神奈川に住んでいる。地元では光樹さんとTさんとでうどん屋巡りをよくするそうだ。今日はホームページを通じて知り合ったうどん好きな方とうどん屋巡りをするという特別企画なのだ。果たして東京のうどん屋は香川県出身者を唸らせることができるのか?

イーハトーボ1軒目 イーハトーボ(寄居)

最初に目指すイーハトーボは、東京近辺の美味いうどん屋として必ず名前が挙がる店だ。ただし東京近辺と言っても場所は埼玉県の北西、寄居町にある。高速道路を使っても東京から片道1時間以上はかかる。だから、開店直後を狙うべく早朝に待ち合わせをしたのだ。二子玉川を出発し、環八通りから関越道へと進む。車中はうどんの話で盛りあがり、うどん談義に花が咲く。その模様を書きたいけど書く時間とスペースと気力が足らんので省略して、愛車イプーは花園ICを降りた(速っ!)

花園ICから県道をくねくねっと曲がって国道254号線を南下する。しばらくして左手に東武東上線の線路が寄り添ってくる。そろそろ看板があるはずだと思っていたら、光樹さんが看板を発見。国道から脇道に入り、ぐんぐん進む。周りは畑や林や山といった田園風景。なんだかこのアプローチの雰囲気が仲南町の山内っぽいぞ。そうそう、イーハトーボのご主人は山内で修行をされたんだそうだ。

進むこと数分でうどん屋の看板が見えた。ついに着いた〜。家々が立ち並ぶ中にふつうの家の形をした店構えだ。時間は9時過ぎ。うわっ、開店まで1時間近くある! だ〜れもおらへんやんけ。明らかに早く着きすぎたが、ま、一番乗りできるからええか。道の向こう側に車を止め(路駐です)店に向かう。窓が開いていたので覗いてみると、ちょうどご主人が麺を足踏みしている最中だった。それから光樹さんもTさんも僕も各々、デジカメで店の写真を撮り始める。知らん人が見たら怪しい連中に見えるやろうなぁ。

イーハトーボに着いて最初にすべきことは、店内にある紙に名前と人数を書くことだ。つまり呼ばれてから中に入る決まりだ。開店時間前の場合は、開店30分前から紙に記入できる。だからまずは9時半になるのを待ちつつ、ここでもうどん談義に花を咲かせた。しばらくすると車が一台、また一台やってきては店の前で一時停止し、Uターンして道の向こう側に車を止める。だんだんと人が増えてきた。

9時半。最初に名前と人数を書いて一番乗り当確だ。それからまた待つこと30分で開店。一番に名前を呼ばれて席につき、僕と光樹さんはひやあつと釜玉を、Tさんはひやひやと釜玉を注文した。メニューは他に生醤油やぶっかけがあり、量も大と小が選べる。店内は開店と同時に満席になった。

イーハトーボのひやあつ 先に来たのはひやあつだ。麺は強すぎず弱すぎず適度なコシがある。だしはいりこを使った本格派。さっぱりしていて美味しい。これはまさしく正統派讃岐うどん。「あれ、今は香川に居るんだっけ?」と錯覚すら覚えるぞ。光樹さんも「麺とだしのバランスがええなぁ」とご満悦だ。やがてTさんのひやひやも来た。こちらは丼ではなくガラスの器に入っていて、見た目がとっても涼しげだ。ひやひやの感想は後ほど書くとして、僕がひやあつを半分くらい食べた頃には、もう二人とも一杯食べ終わってた! 聞くと「うどんはほとんど噛まずに飲み込むなぁ」との答え。噂には聞いていたが、地元の人は喉でうどんを味わうんだな。


イーハトーボの釜玉 そして釜玉も登場。ここの釜玉はメニューに「山越の許可品」との説明が添えられている。そう、釜玉発祥の店で今や行列が絶えることのない超人気店の山越が、釜玉という名前を使うてもええと許可したのだ。ズルズルズル〜。うおっ、麺が釜あげなのにコシがあるぞ。そして熱々の麺で玉子も温まって、濃厚な味の黄身とふわふわ程度に固まった白身で、とろとろふわふわ状態。口の中が麺の歯ごたえと玉子のふわふわ感で満たされていく〜。まるで天にも昇るような心地よさ。これはめちゃめちゃ美味いぞ。「釜玉がこんなに美味いものだったなんて、今まで食べてた釜玉は一体何だったんだ?」正直そう思いました。これまでに食べた釜玉が遠くへかすんでしまうほどの感動的な味だった。さて、3人とも釜玉を食べ終えて、

光樹「ひやひやはどうやった?」
T 「凄いでぇ。ボディーブローやで。」

Tさん曰く、ひやひやの麺はガツンと来る強烈なコシがあったんだそうだ。それを聞いて光樹さんはたまらずひやひやを注文した。出されたひやひやを光樹さんが一口すすると、なぜか光樹さんの動きが固まった。そして麺をくわえたままで「凄い・・・」と一言洩らし、そして一気にズルズルズル〜っと平らげた。「参った。ここでこれほどのうどんに出会うとは思わんかった。」光樹さんもひやひやの強烈なコシにノックアウトだ。

僕ら3人ともちょっと興奮気味だった。ひやひやの衝撃と釜玉の魅惑にのみこまれて、すっかりイーハトーボの虜になっていた。「ひやあつの麺がちょうどええくらいのコシやなと思うてたら、ひやひやの麺は遙かに上回る強烈なコシやった」とか、「釜玉の麺と玉子のバランスが絶妙やな」とか、「今年食べた中で一番に美味い。いや、これ以上のうどんはそうお目にかかれん」などと3人で語る、語る。さらには「このひやひやは○○(一応店名は伏せておくか)を超えたで」とまで言いだした。僕は二人がベタ褒めするひやひやがどんなものか気になって、近いうちに絶対食べに来るぞと心に誓った

店名のイーハトーボとは宮沢賢治が理想郷として故郷に名付けた名前である。寄居の理想郷は僕らうどん食いにとって、最高に美味しいうどんが食べられる理想郷だった。イーハトーボにまだ行ったことのない方、オススメなんてもんじゃないな、これは。讃岐うどんが好きなら必ず食べに行くべし。高速代使うても「食べに来てよかった」と思える、感動モノのうどんに出会えるぞ。

・・・ひやあつの小+釜玉の小 690円也 (2003/4/20)

純手打ちうどん イーハトーボ
営業時間:平日は10:30〜14:30 土・日・祝日は10:00〜15:00
定休日:月曜日・火曜日
場所:寄居から国道254号線を東松山方向へ 看板が見えたら脇道へ入る

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