4月の本棚 ■なにもかも花粉がいかんのだ。
 
 
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悪いうさぎ 寝姿山の告発 かっこいいスキヤキ 豆炭とパソコン

『悪いうさぎ』◆若竹七海◆文藝春秋◆  一覧に戻る

長谷川探偵調査所とフリー契約している葉村晶は家出した女子高生ミチルを連れ戻す仕事を引き受ける。
ミチルは連れ戻したものの、ミチルの友人も行方不明になっていると知った葉村は引き続き調査を始める。

私が読む女探偵・葉村晶シリーズはこれで3作目。
プレゼント』の葉村にはたいして興味はわかなかったものの、『依頼人は死んだ』でガシッと私の心を
掴み、この『悪いうさぎ』で忘れられない存在になりました。

女探偵と言っても、葉村晶は生身の人間。踏まれたり蹴られたり殴られたり監禁されたりすれば
へこみもします。実はそんなに強くはないんだというところが映画の「バットマン」にちょっと
似ています。

それにしても今回の葉村晶は痛い目に遭いすぎ。自分が生み出したヒロインをこんなにボコボコに
するなんて、若竹七海さん、なにかあったんでしょうか。私が葉村晶だったら死んでますよ。
ミステリーとしてはそんなにハッとする展開ではないのですが、そこがまたいいのかも。

『寝姿山の告発』◆太田蘭三◆光文社文庫◆  一覧に戻る

わー、すごいよ、この本。本というか太田蘭三。
なにがすごいかって、もう全部。
釣部渓三郎を主人公にした作品は15冊ほど出ているようなんですが、みんなこんな感じなのかなぁ。

奥多摩で友人の蟹沢刑事と釣りを楽しんでいますと、まず釣部渓三郎が死体を釣り上げてしまうんです。
まぁ、そこから事件に巻き込まれていくんですが、この釣部さんって人はレジャーライターという仕事を
しているんだけど、山や渓谷を舞台にした推理小説も書いてるんですな。
蟹沢刑事と仲がいいってだけで、警察の内部情報をがんがん仕入れて、なんとなく事件を解決しちゃうん
ですよ。いや、小説だからね、そこらへんはいいの。面白かったし。

途中濡れ場もあったりして、なかなか楽しめます。でも山に放り出された死体を見て「股間の黒い茂みは
薄かった」なんて。あーた、ドコ見てんだよ、こら。

キオスクでサッと買って通勤電車の中で読むのが正しい読み方ではないでしょうか。
難しいことは考えず、おい、おっさん、やりすぎ!とか突っ込みながら読むと面白さ倍増。
『かっこいいスキヤキ 改訂版』◆泉昌之◆青林堂◆  一覧に戻る

新新・凡子の地獄極楽日記」の凡子さんが店長をつとめる「凡々書店」で見つけたコミックです。
面白そうだなぁと思って、いざ注文しようとしたら絶版。あらためてEasySeekで探して入手することが
出来ました。

注文した時は気づかなかったんですが、これ、改訂版なんですね。
調べてみたら収録されているウルトラマンのパロディ漫画に円谷プロからクレームがついたからだそうで。
えぇー。こんなことならちょっとくらい高くても改訂前のを買うんだった。
でもこれはあとから知った情報だし、いつか古本屋さんでひょっこり見つかるかもしれないから、今後の
お楽しみってことにしときましょう。

他人から見れば、なーんでそんなくだらないことにこだわるんだ?ということはよくあります。
冒頭の「夜行」でニヒルでダンディな男は駅弁にこだわります。駅弁ひとつ食べるのに脳みそフル回転で
挑みます。そう、この男にとって駅弁を食べるということは旅のほんのひとときというワケにはいかない
のです。

そこまで大袈裟ではないにしても、食べ物に対してこだわりを持つ人は少なくない。
「あ、私のあの行動にはこんなに深い意味があったのか」と気づいてしまったり。

「花粉」でもこの男はこだわります。20年前の作品だからかな、まだ花粉症という言葉は出てきませんが
明らかにこの男は花粉症。ニヒルなくせに花粉症。私もこの男と同じような経験をしたことがあるので
ニヤニヤしながらもちょっと切なくなってしまいました。

ウルトラマンのパロディはどの作品を改訂したんだろう。
改定後でも十分クレームつきそうな気がするんだけどなぁ。


『豆炭とパソコン』◆糸井重里◆世界文化社◆  一覧に戻る

あまりにも有名なサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」で連載されていた“80代からのインターネット入門”が
一冊の本になりました。なりましたと言っても2000年11月初版なんですが。

連載当時から、この連載は好きでいつも読んでいました。
著者である糸井重里さんの実のお母さんである「ミーちゃん」に糸井さんのほんの気まぐれでiMacを
送ったことから、この連載は始まりました。

お母さんと言ってももう80歳に手が届くお年頃。今までパソコンのパの字も知らないミーちゃんが
あちこちのサイトを見て、メールをやりとりするためには誰か教える人がいないといけません。
そこで糸井さんは「ほぼ日」で先生を募集します。その募集でとってもいい先生が見つかり、ミーちゃんは
確実にiMacを自分のモノにしていきます。

初めて電源を入れた時のこと、初めて自分のアドレスにメールを書いたこと、「猿股!」を公開した時のこと、
掲示板に知らない人から初めて書き込みがあった時のことを思い出しました。それはいつも私にとって、
ちょっとした感動でもありました。

本の中ではミーちゃんが基本的な操作を覚えるまでと、その後の日記が掲載されています。
そして驚いたことに今でもミーちゃんの日記は続いていて「ミーちゃんの縁側」というタイトルで公開されて
います。

タイトルの『豆炭とパソコン』は、ミーちゃんは冬になれば豆炭は使うけど、豆炭が好きで好きでたまらない
というわけではなく、豆炭があることによってミーちゃんの生活にちょっとした変化があって、ミーちゃんは
その変化を楽しんでいる、パソコンもそんなモノ、ということでつけられたそうです。

いいなぁ、こういうのって。私がタイトルをつけるとしたら「パソコンとパソコン」になってしまいそうだわ。