2月の本棚 ■なに慌ててんだ。
 
 
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職員会議に出たクロ わたしのグランパ 黒蜥蜴 中国怪食紀行

 
『職員会議に出たクロ』◆藤岡改造◆WAC BUNKO◆ 一覧に戻る

1998年に郷土出版社から刊行された『職員会議に出た犬・クロ』を改題、若干の手直しをして
2003年2月にワック社で文庫化。

長野県にある松本深志高校に、いつの頃からか姿を見せるようになった野良犬・クロ。
運動会の出し物“世界の銅像めぐり”の中で西郷隆盛と一緒に登場する張り子の犬の代わりに
リヤカーに乗って堂々と校庭を一周したことによって、野良犬クロは学校の一員として迎えられ、
それから12年もの間、在籍することになる。

クロは職員名簿にも名前が載っていたし、毎日の夜警もきちんとこなしていて、ボーナスまで
支給されていた。何匹も仔犬を産み、天寿をまっとうした時には校長自ら弔辞を読んだという。

テレビや新聞等で取り上げられたこともあり、当時はクロのために使ってくれと現金を同封した
ファンレターが全国各地から届いたそうだ。

なんとも日本人が好きそうな話である。
深志高校に現れた頃から人に危害を加えることもなく、みんなから可愛がられていたということから
みれば、クロはもともとは誰かに飼われていた犬。その犬が捨てられたか逃げて来たのかは
わからないが生きる手段として、この高校を選んだのである。

様々な偶然が重なり、晴れてクロは高校の職員として悠々自適の生活を手に入れることが出来たの
だが、なんというか、あの多摩川に現れたアザラシに住民票を発行するなんつーバカげたことと
重なってしまってどうも素直にいい話だなぁと思えないのである。

映画化、今年の夏公開予定。

『わたしのグランパ』◆筒井康隆◆文藝春秋◆ 一覧に戻る

あれ?この本、平成11年発刊ではないですか。なんで今まで気づかなかったんだろ。
こんなにきれいで目立つ装丁なのに、本屋さんで気づいていたらその場で買ってただろうから
私が単に気づかなかっただけなのか、それとも棚の目立たない奥の方に押し込められていたのか…。
…あぁ、この本も今年映画化か。それで出てきたんだな。

両親と祖母と暮らす珠子は中学生。祖父も健在だが、珠子が物心ついた時から家にいなかった。
はて、祖父はどこにいるんだろうと大人に聞いても南米にいるだの台湾にいるだのと言って、
そのたびにはぐらかされてしまう。

8歳になった珠子は父親の日記に「父は囹圄の人であり」という文字を見つける。
そして五年生になった時にふと思いついて国語辞典を引いてみた。
そこには「れいご 囹圄 ろうや。獄舎▽正しくは『れいぎょ』」の文字が。

その祖父が十五年の刑期を終え、珠子の家に戻ってきた。

この祖父、グランパがとーってもかっこいいんだなぁ。
十五年の刑期ってことは人を殺してしまったりしているワケなんだが、地元の人たちからは
妙に慕われていて、珠子もどんどんグランパを信頼し、好きになっていくのである。

グランパの行動が凄すぎて、そりゃあり得ないでしょって部分は多々あるのですが、
娯楽小説としては十分楽しめました。あまり深く読まず、サラッと読んで、スカッと爽快って
ところでしょうか。

映画ではこのすごいグランパを菅原文太氏が演じるそうで。
劇場に足を運ぶほどではないけど(もともと映画館には滅多に行かないんです、私)
菅原文太演じるグランパ、観てみたいですね。

『黒蜥蜴 他一編』◆江戸川乱歩◆春陽堂◆ 一覧に戻る

3月中旬に美輪明宏の舞台を観に行くので予習のために読みました。
江戸川乱歩は中学生の頃にたくさん読んだのですが、この作品は未読でした。

怪奇なとかげの刺青をもつ世紀の女賊「黒蜥蜴」と名探偵明智小五郎の対決。
えーっ、これ、舞台でどうなっちゃうんだー?あぁ、すごくワクワクしてきた。

で、感想ですな。
舞台より先に読んでおいて良かったというのが一番の感想。
江戸川乱歩はしばらく読んでなかったんですが、他のも読みたくなってきました。
未読の小説も、昔読んだ小説も。

春陽堂の本、今まで読んだことなかったんですが、ちゃんと「江戸川乱歩文庫」として
たくさん出てるんですねぇ。多賀新氏のエロチックな銅版画も江戸川乱歩にぴったり。
活字もかなり小さいです。昔の作品は小さい文字で読むと雰囲気がより伝わるような
気がします。

他に『湖畔亭事件』も収録されていますが、読む前に舞台を一緒に観にいくERAさんに貸して
しまったので感想はまた後ほど。
『中国怪食紀行』◆小泉武夫◆光文社知恵の森文庫◆ 一覧に戻る

サブタイトルに“我が輩は「冒険する舌」である”とあるように、どの食材、料理をみても
冒険としか思えないような食べ物がいっぱい。
日本人から見ればみんなゲテモノの部類に入るんでしょうねぇ。

食前に読んだら食欲減退する方もいらっしゃるでしょうが、私の場合逆でした。
気が遠くなるようなアンモニア臭のするエイ、豚や牛の血を使って作る血豆腐、1〜2年
竹筒に入れて発酵させたお茶の葉、マムシの卵黄の串焼き。著者が撮影した写真を見ながら
文章を読んでいくうちに、あぁ、私も食べてみたい!中国に行きたい!その前にパスポート
取らなくちゃ!と興奮してきました。

日本にいればたいていのものはお金を出せば食べることが出来ます。
でも高ければ高いほど、それは日本人のクチに合うように姿を変えてしまうのです。
それじゃあ今までその土地の人たちが大事にしてきた食文化を感じることが出来なくなって
しまうんです。はぁはぁ。

ところでこの本、2003年2月15日初版なんですが、中島らも氏の解説付きでございます。
まえがきから解説まですべてにおいて楽しめた1冊でした。