7月の本棚 ■なまぬるいよ、風が。
 
 
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模倣犯 日本のカエル+サンショウウオ類 増補原色日本のスミレ 一円大王
古川 ピエール瀧の!屁で空中ウクライナ

『模倣犯』◆宮部みゆき◆小学館◆  一覧に戻る

「宮部みゆき」はもうその名前だけで凄いと思われるようになってしまったのではないか。

この作品が映画化されるずっと前にこの上下巻は手元にあったのですが、あまりの重さに読めずに
いました。とにかく長すぎます。

私は宮部みゆきさんの作品の中では『火車』が一番好き。その後ドラマ化されたものも見ましたが、
小説に忠実で2時間の枠の中でずいぶん楽しめたように思います。

『理由』で直木賞を受賞したからなのか。あの作品で評価された人物の描写が『模倣犯』で
必要以上に細かくしつこく、そして多くの人物を描いてしまって、真犯人の一番大事な部分を
端折ってしまったような気がする。

彼らの犯罪や考え方は普通の人なら絶対に理解できないものだったのに、今の日本を見ると
理解は出来ないものの、そういうことも起こるかもしれないなぁと納得してしまう自分がイヤに
なった。これは危険なことだ。

映画で主役を演じたのはSMAPの中居正広。これはさんざんコマーシャルに出てきたので
本を読むにあたって、彼がどの役を演じたのかということが気になったのは仕方ないとしても
このイメージのおかげで上巻での中居正広の役が気になって気になって、ひとりだけ宙に浮いた
ような、なんだか同じ物語の上に居ないような、そんな気がして、あぁ、やっぱり映画化される
前に読むんだったと後悔。映画は観るつもりはないけどね。

『日本のカエル+サンショウウオ(山渓ハンディ図鑑9)』
◆写真・松橋利光/解説・奥山風太郎◆山と渓谷社◆  一覧に戻る

少し前にうちの掲示板でカエルの図鑑を持っているか聞かれた時に、そーいやカエルも図鑑も好き
なのに「カエルの図鑑」となると1冊も持ってないことに気づきました。
その話を何気なくダンナに話したら、なんと翌週「ほれ、みやげだケロ」とこの一冊を買ってきて
くれました。わー、すげーうれしー。

改めてカエルってのはすごい生き物だと思いました。
他のつがいが交接中だってのに後ろから別のオスがやってきて、2匹をヒッぺがそうとするんですよ。
背後でオス同士が争ってるのに、メスは知らん顔していつもと同じ行動をとってるんですね。

もうバカみたい。犬だって人間だってそこまではしないでしょう。
ますますカエルが好きになっちまったじゃないか。

『増補 原色日本のスミレ』◆浜栄助◆誠文堂新光社◆ 一覧に戻る

あー、いかんいかん。これも図鑑です。感想書けないじゃん。

この図鑑は復刊ドットコムでリクエストが出て復刻されたんですが、どうしてこうタイミングよく
復刻されるかなぁ。買っちゃったじゃないっすか。高いんですよ、結構。3万円でちょっとおつりが
くるくらい。

でもこういう図鑑を持ってるってのは気持ちのいいもんだねぇ。
布張りで角で殴ればダンナもイチコロだぁ。いや、しませんよ。本が汚れます。

著者はスミレだけのために20年以上もの歳月をかけ、この1冊を作成。
全国各地に散らばるスミレを求め、写真ではなくスケッチで綴っています。写真の図鑑もキレイ
だけど、人間の目で見て細かいところまで描かれた絵には愛情が感じられます。

なんとなーく沖縄にはスミレは自生してないような気がしてたんですが、一番最初のページに
ありました。>オキナワスミレ

スミレを探して全国を旅するのもいいかもしれないなぁ。

『一円大王』◆谷口英久◆道出版◆  一覧に戻る

会社から帰ってきたダンナがこの本を見つけて「あ、コレ、今話題になってる本じゃん」と。
なんだ、話題になってたのか、知らなかったわい。

東京で1円で買えるモノを著者が探し、領収書をもらってくるという「散歩の達人/交通新聞社」の
企画モノ。東京でなくても1円玉1枚で買えるモノ、1円と値段がついてるモノは非常に少ない。
いや、かえって東京以外の方が少ないか。著者は売り手と交渉する。

落語を1円分、米屋で1円分、眉毛カットを1円分、1円分の靴みがき…とまぁ、いろんな1円分の
買い物を試みるんですな。もちろん全てが交渉成立となるワケではない。
著者にしてみれば長い時間をかけて必死の思いで交渉したり、交渉するに至らない時もある。
しかしそれは雑誌の連載、誌面が限られている。

限られたスペースの中で、その(著者にとっては)果てしなく長い時間を読者に伝えなくてはならない。
伝わっているか。…残念ながら「あぁ、端折ってるなぁ」という感じが否めないのである。
連載を書くというのはこういうことなんだなぁ。

もともと著者は伊豆大島の本格焼酎の蔵元であり、作家である。
企画は非常に面白い。(…と思ったら、これ、元は赤瀬川原平の考えた罰ゲームらしい)
もう少し著者と担当編集者の「押し」が強かったら、もっと面白い本になっていたのではないか。

ちなみにこの本、税抜きで1,111円。装丁と推薦文は南伸坊。

『古川』◆吉永達彦◆角川書店◆  一覧に戻る

第8回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作。

あーーー、惜しいっ。これがホラーでなく純文学であったなら、間違いなく私の大好きな作品だ。
1960年代の下町の川と長屋が舞台。この描写がとってもいいのだ。それなのにホラーの部分が
出てくると、ただ読者を恐がらせるために文字を羅列しているに過ぎない。<いいのか、言い切って。

表題の「古川」の主人公・真理は小学2年生。大阪のある長屋で両親と言葉に障害のある弟と幸せに
暮らしている。この真理がとってもいい子なんだなぁ。家族思いの長屋の住人思いのホントにいい子
なんですよ。長屋の音や温度が伝わってきます。

それがある台風の日、川が氾濫したことからホラーの世界にどんどん引きずり込まれてしまうのですが

前半の普通の生活の部分とホラーの部分に差がありすぎて、なんだか別の小説を読んでいるような気に
なってしまいます。

私は大賞を受賞した「古川」よりももう一篇の「冥(くら)い沼」の方がよかった。
こちらはホラー色は薄い。小学生の太一とお父さんと銭湯で出会ったヤクザのお兄さんとの絡み、
太一の小学校の田代先生、太一の友人たち、もう登場人物だけで満足してしまったくらいだ。

この著者はこの後もホラーを書き続けるのだろうか。出来ればホラーではなく、懐かしい時代の小説を
書いてほしい。

『ピエール瀧の!屁で空中ウクライナ』◆ピエール瀧◆太田出版◆  一覧に戻る

テレビブロスの大好評連載単行本化。
うちは新聞を取ってないので、テレビ番組のチェックのためにテレビブロスを買っているように思われ
ているが(<誰に)、実はテレビはいつもテキトーにチャンネルを合わせて見ているだけなんである。

テレビブロスは番組表よりもコラムが面白いんですよ。その中でもピエール瀧のコラムと清水ミチコの
コラムは毎回楽しみにしていて、単行本になったら絶対買おうと決めていました。

…で、単行本化。ばんざーい。連載当時はモノクロ写真だったのが単行本化でカラーになり、ますます
くだらな〜い感じが倍増。いいぞ、瀧。

どういう内容かと申しますと、ピエール瀧がぶらっとあちこちに行って取材するいわゆる旅日記という
ヤツです。普通のツラして写ってる写真が一枚もないのであります。ホント、バカでいいなぁ。

装丁が変わってまして、誰もが使ったことのある大学ノートと同じ形態。大きさは違いますが。
そのノートの表紙にペンでイタヅラ書き。うっかり捨てないように。1480円。