3月の本棚 ■何故こんなにホコリがたまる。
『ドリームバスター』◆宮部みゆき◆徳間書店◆ 一覧に戻る
とうとうSFモノまで手を出しましたか、宮部さん。
異世界での化学実験の失敗によって研究所にいた凶悪犯50人が人間の夢の世界に逃げ込んだ。
奴等を追うのは賞金目当てのドリームバスター。
SFモノを読みたいという人には導入部はちょっと退屈かもしれない。
宮部ワールドを楽しみたいという人には導入部はオススメ。
私は著者の作品を読みたいと思って読み始めたんでプロローグの
「JACK IN」と「First Contact」はアッという間に読み終わってしまった。
が。
現実世界を読んだ後に夢の世界を読むとですね、ちょっと違和感があるんです。
現実世界の描写がうますぎるんですよ。同じレベルで夢の世界を描き切れていないというか。
珍しく宮部作品で物足りなさを感じました。
実はこの小説、ネットでも読めるようになっているんです。そちらの値段はダウンロードして
読めば360円。PDF形式。単行本は税込みで1680円。
ネットでの小説の販売を否定するワケではないが、結局ダウンロードしてモニターで読むのは
疲れそうだ。…で、印刷するんですよね。印刷して172ページ。うーん。利用者はどのくらい
いるんだろう。
単行本には私の大好きな山田章博氏のイラスト。
このイラストがなければドリームバスターのマエストロは仙人っぽいイメージだったな。
『お眠り私の魂』◆朔立木◆光文社◆ 一覧に戻る
どんな職業についても男女の関係が生まれることは多々ある。
ただ法を裁く人間だからな、センセーショナルにみえてしまうのであって、実はこういう男って
けっこういたりするのだ。
「こういう男」というのは女ったらしというか、下半身がだらしないというか、そんな男である。
本書は判事である男が複数の女に宛てた手紙で綴られる。
法曹関係者が匿名で裁判官の裏側を描いているんですが、これ、「裁判官の言い訳」でしょうか。
裁判官はこういう閉鎖的な生活をしているからストレスがたまって男女間の事件だのなんだのを
起こしちゃうんですよって言ってるみたいで、なーんか気分が悪い。
確かに閉鎖的な社会は軋轢をうむってのはわかりますよ。でもねぇ、そりゃ裁判官だけじゃなか
ろう。どんな仕事をしてもみんなぶつかってるワケです。仕事してなくてもそう。家庭内でも
ぶつかりあって生活してるんじゃないか。おい。
それでもなんとかうまくやってるんです。あー、私はナニを怒ってんだ。
この結局殺されちゃう男、有泉靖人58歳、気持ち悪いぞー。
『BAD』◆倉阪鬼一郎◆エニックス◆ 一覧に戻る
へー。出版社、エニックスだったんだ。エニックスってゲームソフトだけじゃなかったのね。
知らなかったわい。
近未来の学園ドラマ。帯には「戦慄の近未来SFミステリホラー長編!」って長々と書いて
ありますが。
たしかに近未来的ではある。でもこんなことは既に他の作家さんが書いてることじゃないか。
さすがと言うか、相変わらずというか、これでもかってくらい人が殺されます。あぁ、そこら
へんがゲーム感覚なのかな。
しかし、そんなに残酷な殺し方をしなくても。何度も何度も。
殺人とセックスが日常化されている社会。ミステリホラーっていうよりスプラッタホラーです
なぁ。
『田舎の事件』みたいなミステリーはもう書かないんでしょうか。ってか、いくら小説の世界
だって言っても、ここまで人間を殺すことを楽しそうに描いてるんじゃもう書けないだろうな。