3月の本棚 ■黒棒名門がうまい。
『知識人99人の死に方』◆監修=荒俣宏◆角川ソフィア文庫◆ 一覧に戻る
平成6年12月に角川書店より刊行された単行本に加筆、訂正し文庫化。
人間が99人いたら99通りの死に方がある。たとえば新聞の訃報欄に「心筋梗塞」とあっても
死に際の状況は人それぞれである。
私は和辻哲郎という人を知らなかったのだが、71歳で心筋梗塞で亡くなるその日、彼が看病
していた妻の手を握り、あかぎれで血が滲んでいるのを見て、丁寧に5本の指に繃帯を巻いて
やり、「痛いだろう、可哀想に」と声をかけたという。彼は自分が死ぬことを知っていたの
だろうか。その光景を思い浮かべると、なんとも切なくなってくるのである。
鮎川信夫氏の死の場合、本人も未だに自分が死んだということに気づいてないのではないかと
思われるような死に方をしている。甥っ子の家に届いた郵便物を取りに行き、家族と談笑し、
ゲームのスーパーマリオブラザーズに熱中していて、そのままバタッと倒れ込み、病院に搬送
されてから1時間で亡くなってしまった。
どこかの誰かが残してくれた死。
自分がどんな死を迎えるかわからないにしても、いろんな人間の死を頭の隅に入れて、準備して
おくのもいいかもしれない。
『セクシーボイスアンドロボ#2』◆黒田硫黄◆小学館◆ 一覧に戻る
前作を読んだのはもう1年近く前のことなんだなぁ。やっと出たよ、黒田硫黄。
今回はスパイを目指す中学生「ニコ」よりも「ロボ」がすごーくいい味を出してます。
作者の黒田硫黄氏はこの作品で「第6回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞」を受賞。
連載中の作品でも選出の対象になるんだね。この賞を受賞したことによって、黒田氏が今まで
以上にガシガシ描いてくれるといいんだけどなーって思うけど、きっとこの人は自分のペースを
崩さずコンスタントにいい作品を描いていくんだろうな。
ペンではなく、毛筆ってとこがいいんですよ。混沌とした都会の日常を描くには毛筆の力強い
タッチが一番。いや、どの漫画家さんも毛筆使えばいい作品が生み出せるってワケじゃないっす
よ。黒田硫黄だからこそ!です。
ニコにはこれからもずーっとこのままでいてほしいなぁ。
でも普通の女の子に戻してあげたい気もするなぁ。
『puque_00』◆フモ◆サイドワインダーレコーズ◆ 一覧に戻る
私が密かに愛しているサイト「吉祥寺サイドワインダー」の管理人・フモさんが、プクーと
いう名のミニコミ誌を発刊。B4の紙にカラーコピー。折りたたんで手のひらサイズにした
ものが郵送されてきました。
小さなミニコミ誌の中には、どれも私が読みたかった情報ばかり。テンポのいい文章。
「ひとり暮らしの手帖」は今まで気づかなかったこと、気づいても言葉に表せなかったことを
さらっと書いていて、今さらながらさすがだなぁと感心してしまうのであります。
商品テストのコーナーでは「食パン」の食べ比べ。都内で入手しやすい普通の食パンを、
サイズ・色・食感・香り・密度・耳・味の面からするどくチェックしています。じっくり食べ
比べたことで「昨日まで好物だったのに…」というコメントも出てきたりして。今まで何気なく
買っていた食パンですが、明日からちょっと違うメーカーの食パンも食べてみようかなって
気にさせられました。
ミニコミ誌「puque_00」は予想していた以上のものでした。
小さなスペースを無駄なく使い、どの記事も何度読んでも飽きません。
ネットでも注文出来ますが、在庫が少なくなってきているようです。税込みで200円+送料
80円。読んでみたい方はお早めに。