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『聖(さとし)の青春』◆大崎善生◆講談社◆ 一覧に戻る
1週間かけてじっくり読みました。
本を読んでホロッとすることはあっても号泣なんてことは今までありませんでした。
将棋の世界の最高位「名人」をひたすら目指した村山聖の魂をこめた一生。
彼は平成10年8月8日にその生涯を閉じました。享年29歳。
子供の頃からの病気ネフローゼとの戦い。自分の命がそんなに長くはないと知っていた彼は病に
苦しみながらも情熱を将棋に注ぎ込みます。
ネフローゼから癌告知。
彼のひとつひとつの言葉が心にしみる。
家族との絆、師匠との愛を超えたなにか。
命のあるものにはいつか必ず終わりが来る。…でも。
生涯を閉じたその年の将棋年鑑のアンケートに彼はこう答える。
「今年の目標は?」
「土に還る」
「行ってみたい場所は?」
「宇宙以前」
真夜中、私は思いきり泣いた。
体が震え、涙が止まらない。
作者の大崎氏は「将棋世界」編集長。私の知らなかった世界を描いてくれた作者に感謝。
それからこの本の存在を教えてくれた「本の雑誌5月号」の茶木則雄さんに感謝。
『毒草を食べてみた』◆植松黎◆文春文庫◆ 一覧に戻る
「毒草を食べてみた」ってあんた、食べるなよって感じですが。タイトルに惹かれて購入。
しかし、これ、読み出したら止まらないじゃないっすか!
こういうタイプ(「自殺マニュアル」のような)の本って読む人によっては犯罪に繋がったり
して、あとで大変なことになっちゃうんだろうけど、ほれ、私はしばらくダンナにはきちんと
働いて稼いでもらおうと思ってますし、最近私が作ったものは私が先に口に入れてから食べる
なんていう失礼極まりないことしてますからね、ダンナは。ちょっとやそっとの毒を盛ったって
効果ないでしょう。ふむ。
この1冊の中に44種類の毒草が紹介されてます。
どひゃー。スイートピーって毒あんの?スイートピーですよ、スイートピー。卒業式の季節に
なるとみんな持ってますよね、あのスイートピー。足腰が立たなくなっちゃうんだとー。
怖いですねぇ。ん?わかってて「はい、先輩」なんて言ってほくそ笑みながら贈ってるのか?
くくく。
しかし、今は毒草と認識されてはいるものの、一番最初は誰かが食べて中毒を起こしたり死んだり
したから毒草だってわかったんでしょ。その時代に生まれてなくてよかった。だって、私、どの
時代に生まれ変わっても絶対食い意地はってるだろうから真っ先に死んでるぞ、きっと。
植物の写真はモノクロ。一種の植物図鑑なんだからカラーの方がいいんじゃないかって買った時は
思ったんだけど、モノクロの方が危険な感じがしてこの本にはぴったり。
『スクランブル』◆若竹七海◆集英社◆ 一覧に戻る
はぁ〜。なんだかワケがわからなくなってしまいそうだったので徹夜して一気に読んでしまい
ました。
1980年1月22日名門女子高校で起きた殺人事件。
そして15年たった1995年1月22日、謎が解き明かされる。
登場人物はみんな読書好き。
作者の若竹さんは自分の高校時代を重ねて描きたかったんでしょう。
でも、なんだか時代設定を1980年にした意味がないような…。
16歳の少女が31歳の女性に変わった年月は確かに必要だったけど、それにしてもねぇ。
私も1980年に高校生だった。
同世代の作家が書いたものだったし、帯にも「80年代を背景に描く渾身の学園ミステリ」と
あったので期待しすぎてしまったのかもしれません。
「小説すばる」に6回に渡って連載された連作ミステリ。私は「小説すばる」を読んだことが
ないから、今回一冊の本にまとまったモノを一気に読んだからなんとかついていけました。
これ、「小説すばる」で次の作品が発表されるまで待った読者はエライ。
私はそこまで待てない。
せっかく時期を限定して書いたのに(…ってか、それを売りにしてるのに)時代的な背景が弱い。
文体にクセがあるのかな。じっくり注意深く読まないと人間関係や時間の流れがわからなくなって
しまいます。私に読む力が足りなかったのか。作者の80年代と私の80年代が違いすぎていた
のか。期待していた懐かしいという感情は最後まで出てきませんでした。
年代を無視して学園ミステリとして読むにも、もうちょい。
登場人物はそれぞれ個性があっていいなぁ。いいんですよ、ホントに。でもナニカが足りない。
それがなんなのかわからないところが一番のミステリーかもしれない。
『イギリス式いたずらの天才』◆ティム・ハンキン◆太田出版◆ 一覧に戻る
「70年代、全英を唸らせた伝説の<いたずら指南書、遂に日本に上陸。あなたの常識を、
ひっくり返せ!!」(帯より)
…ですと。すごいぞ、イギリス人のレベル。これと同じような本、私だいぶ昔に見た気がします。
なんの本だったかなぁ。…あ、『小学3年生』あたりかな。しかも付録。
これって笑うために書かれた本なんかな、それとも学べってことかな。
どうしよう、この本。
つまらんつまらんと思いつつ、101個のイタズラを全てきちんと読んでしまった。
780円かぁ…。はぁぁぁ。買った私が悪いのか。
「遂に日本に上陸」に弱いもんなぁ、私。←スーパーモデル御用達の「馬シャン」も買った。
『よい子への道』◆おかべりか◆福音館書店◆ 一覧に戻る
インターネットの仲良し・あぶく嬢から貰った絵本。
本をもらうのってけっこうアタリハズレがあるんですね。あぶくとは仲良しなだけに「もし私に
合わない本だったらどうしよう…」という不安がありました。
結構ずけずけ言うくせに心臓が小さかったりするのだ。わはは。
「よい子」になるために子供達はなにをしてはいけないのか。
よい子になるためにはこうしなさい、あ〜しなさいじゃないのね。してはいけないこと25箇条。
お客さまが来たら「みんなでにおいをかぐ」のはいけない。
台所で「ゆですいか」を作ってはいけない。
電車の中で「知らないひとになぞなぞ」をしてはいけない。
あぁ、画像で紹介出来ないのがもどかしいっ!絵がとってもうまいっ!どんな小物でも丁寧に
調べて正しい形を描いてます。見ないで描いてるならすごすぎる。
子供の表情がこれまたいいのだ。運動会で勉強もいっしょにやらされちゃってるガキのツラ!
「よい子への道」の他に、怪獣のリュックの中身、おばさんの買い物袋の中身を解明する「これが
真相だ!」。あと「おまけまんがげきじょう」がついてます。セリフがないの。でもみんなの声や
息づかいが聞こえてきそう。
大いに笑わせていただきました。ダンナと一緒に読みました。ダンナはよい子になってくれる
かな?ホントにいい本をありがとう!>あぶく
『葛橋(かずらばし)』◆坂東眞砂子◆角川書店◆ 一覧に戻る
坂東眞砂子さんの描く世界って好きなんだけどねぇ。でも何故か読み終わったあとに
「あぁ、文庫になるまで待てばよかった…」と思ってしまいます。
ホラーというより日本の怪奇。『葛橋』は3編から成る中編小説集。
●一本樒 いっぽんしきみ
偶然にも直前に読んだ本に「樒(しきみ)」のことが詳しく書いてあったんで、タイトルを見た
時から展開がわかってしまい、ラストシーンも「まぁこんなもんか」とため息をついてしまった
ワケですわ。物語としても過去にどっかで読んだことあるような…。よく出来た姉の夫を妹が
ふんだくっちゃうって話。うまいのは確かなんですけど…。
●恵比寿
漁師の奥さんが海辺で拾った不思議なモノが実は高価なモノだとわかった時。
二兎を追う者は一兎をも得ず。こういうことって結構あります。本当は二兎も追うつもりなんか
なかったのに、いつの間にか周囲に踊らされて二兎を追っている。気づいた時にはもう遅い。
この中編小説集の中では一番現実に近くて怖い物語でした。
●葛橋 かずらばし
全国どこにでもある葛ですが昔、奈良の国栖(くず)がその産地だったことでこの名がついたと
言われてます。今も奈良の吉野地方では葛粉が生産されているそうです。
葛の生命力は強く、線路沿いや土手の斜面にごそっと生えています。抜いても抜いても出てくる
んだと。帯の「もっと、もっと、硬くなるのよ。硬く、熱く。」はこの作品のことでして、そう、
私の好きなジャンル、エロチックなホラー。エロがはいってれば何でもいいって噂もあります。
ふふ。
さて「葛」のどこがエロなのか。こんなんでも男はイケるもんなんでしょうか?ねぇ、みなさん。
『サーチエンジン・システムクラッシュ』◆宮沢章夫◆文藝春秋◆ 一覧に戻る
「生きているのか、死んでいるのかわからない。その曖昧さに耐えられるのか?」
殺人事件を起こした犯人は主人公の僕はその犯人が大学の同じ「虚学ゼミ」にいた首藤だと知る。
首藤は警察で女を殺した時の状況を淡々と語る。「で、次の日になって気がついたんだけど、手の
ここが痛いんですよ。なんだろうと思ったんだけど、筋肉痛ですよ。」…首藤はきつく閉まって
あかなくなった瓶の蓋を力を込めてあけるように女を絞め殺した。
僕は首藤に関する記憶を辿り始める。しかし、記憶はすべてがぼんやりしているのだ。どこまでが
正しい記憶なのか。そもそも正しい記憶なんてあるのか?
舞台は池袋。赤いチョーク。せっぱつまった青年。転がった500円玉。電信柱の足下の貼り紙。
小説だ、これは架空の出来事なんだと思っても妙にリアルに迫ってくる。
劇作家宮沢章夫、小説デビュー。彼の脱力エッセイばっか読んでいたのでヤラレタ〜って感じ
です。99年芥川賞候補になったんですね。今後の作品が楽しみです。
『行きそで行かないとこへ行こう』◆大槻ケンヂ◆学習研究社◆ 一覧に戻る
オーケンの小説は面白いんだけどなぁ…。絵が下手なんだもの。92年に発行されたモンを今さら
読んでる私も悪いんだけどさー。そうか、この当時はオーバーオールが流行ってたんか。あれ、
うっかりするとトイレで肩のヒモが大変なことになっちゃうんだよね〜。びしょびしょ。
どうも椎名誠さんの文体を思い出してしまう。
↑椎名さんは好きだけど似てる文体の人はあんまり好きじゃないんだよー。
小説だと「こりゃオーケン!」って感じですらすら読めるのに。
行きそで行かないその場所も「面白そう(もしくはつまらなそう)だから行ってみよう」って気に
ならないしなぁ。
巻頭カラー写真の「なぐり川」の集合写真がすごいぞ。
なんじゃこいつら〜と思ってダンナに見せたら「あんたはこれより酷かった」と言われてしまい
ましたわ。そーいや相模湖のバンガローでインチキ結婚式挙げたんだっけか。おほほ。
この本、1333円もしたんだよ。いつも行く本屋さんの新刊の棚にあったから
つい買っちゃった。帰りに古本屋に寄ったら300円で売ってやんの。ちくしょ。
『月の裏側』◆恩田陸◆幻冬舎◆ 一覧に戻る
久しぶりの恩田陸作品。
私はこの作家が好き。ちょっととっつきにくいところもあるけど、じっくり読めば読むほど暗い
闇に引きずり込まれてしまいます。
しかし。
幻冬舎さん、今回は失敗しましたな。帯に情報がありすぎて思いきり期待しすぎたじゃないの。
う〜。それに恩田さんも。
98年8月から99年10月まで「ポンツーン(ごめんなさい。どんな雑誌か知りません)」に
連載されていた作品に加筆修正したものなんですがねぇ。どうも小野不由美さんの98年9月に
発表された某ホラー小説と重なってしまうんですわ。
舞台は水郷都市・箭納倉。桐山白秋という名の詩人の出身地ということになってますが、これは
まぁ、誰が見ても北原白秋の故郷柳川であることは歴然としてます。やっぱ失踪事件を扱った作品
だからかな、箭納倉にしたのは。でもその地名と白秋の名前が出てくるたび小説の世界から現実の
世界に…。
本好きの方なら読んだことがあるかもしれませんが、どうやらこの作品はジャック・フィニィ
『盗まれた街』の恩田版ということみたいです。(翻訳モノなんでこれも読んでないのです。)
本文中にもこの作品のタイトルが出てきます。ほら、こういうところはキチッと書いてるの。
でも「君は、童子の顔をしている」と言われた多聞さんや白雨(はくう)という猫はとっても
魅力的に描かれていたし、なんだか得体の知れない恐怖の描写は素晴らしいのです。
これ、映画化されそうだな。見に行かないと思うけど。
『熊谷守一画文集 ひとりたのしむ』◆熊谷守一◆求龍堂◆ 一覧に戻る
四月に読んだ『へたも絵のうち』の作者・熊谷守一さんの画文集です。
『へたも絵のうち』を読んだときも思ったのですが、熊谷守一さんの発した言葉というのは
すべてが絵になってしまうのです。
地面に頬杖つきながら蟻の歩き方を幾年も見ていてわかったんですが
蟻は左の二番目の足から歩き出すんです。
これは96歳の時の言葉です。蟻がどの足から歩き始めるのかなんて、考えたことも疑問に思った
こともなかったんで驚いてしまいました。私も96歳まで生きていればこんなことを考えるように
なるのかもしれません。
巻末に守一の娘であり、熊谷守一美術館主でもある熊谷榧(くまがいかや)さんによる
「もの語り年譜」が掲載されているのですが、1880年から1985年までの父親の生涯を
愛情をもって見つめています。
娘さんって言っても1929年生まれですからね。70歳超えてます。
榧さん自らもメールアドレスを持ち、HPを開設してらっしゃいます。
守一さんの絵もココで見ることが出来ます。→熊谷守一美術館
『蛙の消滅』◆宮澤賢治・作/小林敏也・画◆パロル舎◆ 一覧に戻る
ひえ〜。どうなってんじゃ〜。こんな展開ってありなんっすか〜?
ツユクサの下にカン蛙。楢の木の下にブン蛙。ススキの影にベン蛙。
この3匹はいつもそろって人間の花見や月見のように「雲見」というのをしてました。
ある日、カン蛙が人間のゴム靴を手に入れたことから、その3匹の関係が変化していきます。
3匹とも同じような姿形をしているのにカン蛙がゴム靴を履いていたことから、お婿さん探しを
していた美しいてんとう虫に見初められます。
実はこの物語は『蛙のゴム靴』の初期形として書かれたものだそうです。
『蛙のゴム靴』の方はカエルのお嬢さんと結婚してハッピーエンドになるのですが『蛙の消滅』
では人間世界でもよくありそうな、でも実際にあったらイヤ〜な感じ〜の展開になってます。
蛙の絵本はたくさん出てますが、なかなか気に入った蛙が見つかりません。
でもこの3匹の蛙、シンプルで「きゃー、可愛いっ!」ってほどでもなく、消しゴム削って
スタンプにしたら結構使えます。
『宇宙船VOL.92』◆朝日ソノラマ◆ 一覧に戻る
えへへへ。買っちゃった。
普段はこういう雑誌って買わないんですけど。
「特撮」ばっかの雑誌であります。特撮はダンナの領域なんで汚してくれるなと前から言われてた
のですが私の大好きなオダギリジョーさんのロングインタビューが掲載されてたんでダンナの
承諾を得て購入。
あぁ、オダギリジョーってホントに可愛いなぁ。にやにやしながらページめくるのやめろと
ダンナに叱られても、サイン色紙3名様プレゼントの応募ハガキ書いて「バカか、あんたは」って
罵られても、もうそんなことはどーでもいいんじゃ。もう私のことは放っておいてくれ。
モノクロページの中の分室仮面ライダークウガ応援ページの「グブゲガ」は葛山信吾のイラスト
だらけ。みんな語ってるなぁ。変身前の仮面ライダークウガが好きなだけじゃテレビ見ては
いけない気になってきたぞ。
うわっ。仮面ライダークウガレプリカヘッド38万円!!!やばい。ダンナに見せないでおこう。
◆団鬼六師匠の本も出してる「朝日ソノラマホームページ」
『影の肖像』◆北川歩実◆祥伝社◆ 一覧に戻る
うーん。最近読後に唸ることが多いような気がするぞ。
若葉の季節、通勤電車の中で読むにはちょっと重すぎました。
医療ミステリー。
ページをめくって一瞬ひるんでしまいました。登場人物が17人も書いてある〜。
登場人物が先に紹介されちゃうと新しい人物が出てくるたびに一番前のページに戻って確認
しちゃうんだよなぁ。なかなか先に進めないよぉ。
あららら。同じような感想を過去にも2度ココで書いてるわ、私。
『僕を殺した女』『透明な一日』
だからと言ってつまらなかったというワケではありません。
途中こむずかしい最先端科学の何ページかは読み飛ばしたものの、後半の展開は楽しめました。
医療の進歩は人間にとって吉と出るか凶と出るか。
愛する人のためにどこまでが許されて、自分のためにどこまでが許されるのか。
タイトルの『影の肖像』。なんでこのタイトルをつけたのか読みとれなかった。悔しい。