5月の本棚 たまには壁紙がないのもよかろう。
『装丁』◆南伸坊◆フレーベル館◆ 一覧に戻る
おぉぉぉ!表紙の南伸坊、かっちょい〜。
「こちとら、装丁です。」だぜ。装丁デザイナーとか装丁家とか言うのが立派すぎるという理由で
「装丁」と名乗ってらっしゃるのですが、著者が手がけてきた作品を総天然色で紹介。
装丁の本というより、私は「本屋で見かけたことはあるけど読んだことない本」や「過去に表紙に
惚れて買った本」などの「書評」として楽しめました。
自分が読んで面白いと思った本や、大好きな作家の本の装丁を頼まれた時の著者がすごく楽しそう
なんである。いいなぁ、私も他人の給料ばっか計算してないでこういう仕事を一度でいいからして
みたいなぁ、とそんな気にさせる一冊。
『海ちゃん、おはよう』◆椎名誠◆朝日新聞社◆ 一覧に戻る
ホントに久しぶりに椎名さんの本を読みました。
好きなんだけど『アドバード』の厚さを見てからおののいちゃって、それから薄い本が出ても
「きっとナニかある」と敬遠しておりました。すみません、椎名さん。
『海ちゃん、おはよう』は椎名さんの子育ての経験をもとに書かれた小説。
小説って言っても、たぶん、出てくる人の名前が違うだけで椎名さんの日記なんだろうな。
子供が出来たと妻に知らされる場面で若い夫が狼狽える。
妻は出産してから強くなったというんだけど、夫もちゃんと強くなってる。
いい話じゃないですか。
ちょうどこの本を読み終わった直後に実家の母から電話があって、私の妹が無事出産したとのこと。
子供が嫌いとか言いながら、私、きっと可愛がっちゃうんだろうなぁ。
『豆腐屋の女房』◆馬場當◆アーティストハウス◆ 一覧に戻る
な、なにぃーっ。この著者、70過ぎてんのーっ?
帯で映画監督の篠田正浩氏も驚いてるけど、読んだら私も驚きました。
なんて新鮮で気持ちのいい作品なんでしょう。
製薬会社でまむしドリンクを作ってて、ある日、その工場から5匹のまむしが逃亡することから
この物語は始まります。まむし捜しのバイトを始めたぼくがまず向かった場所は…。
人物もさることながら、まむしの気持ち(?)や風景がよ〜くわかります。
こういうエロチックな場面の描き方もいいですねぇ。
さすがシナリオライター。映画化も決定してるようです。
私としては豆腐屋の女房には鈴木京香さん(キレイ過ぎるか?)で、主人公の映画青年のぼくは
筒井道隆くん。靴フェチの変態男には奥田瑛二あたりがいいんじゃないかなぁと思うんですが、
なんか変態っていうと最近奥田さんばっか引合いにだしちゃってスミマセン。
この本にはあともう1篇『ギター』という作品も収録されています。
こちらの作品は未読なのでまた別の機会に。
『ぶらんこ乗り』◆いしいしんじ◆理論社◆ 一覧に戻る
事故で声を失った弟の残したノートに描かれた物語と絵。
2月に読んだ『アムステルダムの犬』で著者を知ったのがまずかったかも。
『アムステルダムの犬』は著者がアムステルダムを旅して、悩み事などなく、なんとかなるさと
描いた絵日記。
こちらはまるっきり正反対の物語でした。
弟は天才で小学校にあがる前に自分で物語を作ってはノートに描きためていたのですが、姉の方はと
言えばごく普通の女の子。たぶん、弟に対してコンプレックスを持っていたはず。
弟のあまりの天才っぷりになんだか怖くなってしまいました。
こういう少年が私の弟だったら、先に私がいなくなってしまうんではないかと。
結局弟はいなくなってしまうのですが、本当は最初から存在しなかったような気もします。
姉の想像の中だけで存在していたような気もします。
長編小説でひらがなが多いってのはちょっと疲れるなぁ。
この著者はあっけらかんとして、すらすら読めるような日記がいいな。
『もう一人の私』◆北川歩実◆集英社◆ 一覧に戻る
読み始めた当初はてっきり長編のミステリーかと思ってたんですが、短編集でした。
どうりで途中から一気にたたみかけるような展開になったワケだ。
私は本当に私なのか?という疑問を持った私たちのミステリーですが、これ、短編だと説得力がなぁ。
面白いのも何篇かあったのですが、その作品だけをせめて中編小説で読みたかったな、と。
短編にしたことで起承転結の結の部分がどうにもこうにもバタバタしちゃってる。もったいない。
「小説すばる」に1996年から1999年にかけて発表された作品集。
テーマは同じだから連作集っていうのかな。
…で、この著者がまだ性別・年齢不詳。覆面作家さんなんですか?それとも私が知らないだけ?
おーし、北川歩実って人がどんな人か判明するまで、この人の作品読むぞ。
いくつかの短編の中で面白かったのがネットの世界を舞台にした「月の輝く夜」。
どーにもこーにも面倒くさくなって読み飛ばしたのがクローン人間が題材の「冷たい夜明け」。
読み飛ばしてるようじゃ著者のことなんかわからねぇって。