11月の本棚 ■落葉が肩に。
 
 
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メキシコガイコツ祭り 工夫癖 パパのカノジョは 昭和恋々

『メキシコガイコツ祭り』◆緒川たまき◆ピエ・ブックス◆  一覧に戻る

何年か前にパルコのフリーペーパーに緒川たまきさんが写真付きのコラムを連載していて、
毎回楽しみにしていたのですが、いつのまにか連載が終わってしまい、そのうちテレビでも
ご本人を見かけることがなくなってしまいました。緒川たまきさんは好きな女優さんでもあるし、
彼女の写真は温かみがあって好きだったので、残念に思っていました。

最近知ったサイト「象をたべた蛇」で本書が紹介されていて、早速購入。

メキシコには死んだ人の霊が帰るという「死者の日」があり、著者はある日偶然見かけた
ガイコツ祭りの写真に興味を持ち、実際に自分の目でガイコツ祭りを見ようとメキシコに
旅立ちます。

街中にあふれかえる色とりどりのガイコツ、センバスチ(マリーゴールドの原種)の花々、
お墓、棺、十字架。これらは私が今まで抱いていた「死」のイメージとはかけ離れている。
日本のお盆と同じ意味を持つお祭りだと信じられないほど、明るくキュートでポップなの
である。

特に祭壇の飾りに使われているガイコツの砂糖菓子。メキシコには行ったことがないけど、
このガイコツの色こそ、メキシコの色なんだろうなぁ。

去年読んだ『幸福になるメキシコ/水木しげる』とはまた違ったメキシコが見えてきました。
装丁も写真も文章も素晴らしい。
『工夫癖』◆久住昌之◆双葉社◆  一覧に戻る

小学生の頃に毎月買っていた雑誌に読者が考えた発明品を投稿するというドラえもんの
コーナーがありまして、私も何度か応募しました。今から考えると一生懸命考えたワリには
実際にこんなモンが出来たら使えねーだろってモノばかり。最初に投稿したのは大きな財布に
そろばんをくっつけて、これならいつでも計算しながら買い物が出来る!というシロモノでした。

私は暗算が苦手だったので、駄菓子屋さんに行って買い物をして、いざ会計しようとすると
お金が足りないということが何度かあって、それでこんなモノを考えたんだと思うんですが、
そもそも私はそろばんを使えないし、お金が足りなかったら商品を戻せばいいだけの話で、
結局私の投稿はボツになってしまったのですが、大人になった時に財布に小さな電卓がついた
商品を見つけ、うわー、同じようなこと考えてる人っているんだなーと笑ってしまいました。

財布も計算機もこの世には普通に存在するモノで、これをくっつけたというのは発明ではなく
工夫なんですね。生活していく上でこれがこういうふうになったらちょっと便利かもという
発想。寝室の電気のスイッチにひもを繋いで寝たまま消せるようにするってのも工夫ですな。

さて『工夫癖』。ここに登場する(というか晒し者?)オジハル氏、実は久住さんの実の父親
でして、実家に帰るたび久住さんはオジハル氏の作り出した不思議なモノを発見するのです。
パンツをおろさなくても用が足せるファスナー付きジャージとか。ジャージの本来の機能を
まったく無視した作品に仕上がってます。ジャージに金具がついてたら運動する時に危ない
と思うのですが、オジハル氏にとってジャージは家でくつろぐための服でしかないので、そ
れならもっと生活しやすいようにと前をじょきじょきと切り、開いたままだとちょっと困るから
ファスナーをつけてみましょうということのようですが、パンツおろす手間ってそんなに大変
なんでしょうか。

「オジハルCG」ではオジハル氏がワープロで描いたイラストが紹介されています。
どんどん上達していく過程を黙ってひとりで見ていることが出来なくなり、寝ているダンナを
起こして、夜中にゲラゲラ笑ってしまいましたよ。

「オジハル看板」は街の工夫を凝らした看板を写真付きで紹介してるんですが、私の実家の
近所の「ネバー・ダイ」という不動産屋の看板も出てまして、ちょっと嬉しくなりました。
『パパのカノジョは』◆ジャニス・レヴィ作・クリス・モンロー絵/もん訳◆岩崎書店◆  一覧に戻る

この本も「象をたべた蛇」で紹介されていて気になったので購入。
枕元にはたくさん未読の本が積んであるんだけどなぁ、本は買ったらすぐに読まないと
ダメですわ。時間がたつと積んでいるだけで満足しちゃって読む気が薄れてしまいます。

『パパのカノジョは』はちょっと意味深なタイトル。パパにはもう奥さんはいないし、
カノジョがいたって、別に悪いことでもなんでもないんだけど、やっぱりパパの娘としては
カノジョが出来ると気になるし、素直に受け入れることが出来ないんですな。

パパの新しいカノジョはかっこわるいと思っていたけど、それはママとも他のカノジョとも
違うってだけで、本当はかっこいいじゃんって気づくまで。少し時間がかかったけど、なん
だか、このカノジョとはうまくやっていけそう。この先、パパのカノジョが家族になるのに
そんなに時間はかからないはず。でもパパのカノジョがママになった時、ふたりの関係は
どうなっていくんだろ。
『昭和恋々』◆山本夏彦・久世光彦◆清流出版◆  一覧に戻る

大正4年生まれの山本夏彦氏と昭和10年生まれの久世光彦氏。
私は昭和39年生まれだから、彼らの過ごしてきた“あの頃”とは時代に差があるものの、
平成の今となっては懐かしいもの、後世に残しておきたいものは共通しています。

本書は三部構成になっており、第1部が山本夏彦氏の「戦前を見に行く」、
第2部が久世光彦氏の「過ぎ行く季節の中で」、そして第3部がふたりの対談。

平成の世の中でひっそり息づく「戦前」を探しに行く。
質屋、蕎麦屋、アパート、駄菓子屋。戦前の建物とは言え、私が子供の頃、目にしていた風景が
そこにありました。

「過ぎ行く季節の中で」は私の両親の世代から見た“あの頃”ですが、これがまた、私にとっても
懐かしい写真と文章で、もちろん戦時中の防空演習は体験したことはないのですが、子供の頃に
両親から聞いたことがあったのでしょう、防空頭巾をかぶりバケツを持って走る姿にさえ、
懐かしさを覚えました。

母の足踏みミシンを漕ぐ姿(当時の私には足踏みミシンが走り出しそうに見えた)、
物干し台にたらいを出して行水をしたことや、露地で樽に厚い布を張って回したベーゴマ、
デパートの屋上で10円を入れて割りばしをくるくる回して作った綿菓子。
千葉の海で地引き網にかかった小さい魚を海水でちょっと洗って、頭からパクッと食べて
「うまいねぇ」と言った父の顔。今まで思い出すこともなかった数々の風景が蘇ってきました。