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佐々木俊尚 Toshinao Sasaki


 (1)ブロッグ(blog)とはウェブログ(web log)の略語。直訳すれば「ウェブ日記」という意味になる。
 (2)しかし、日本でも以前流行した日記サイトとはおもむきはかなり異なる。その大半はウォー(戦争)ブロッグと呼ばれ、日本語で言えば「個人ニュースサイト」といった訳語が的確かも。
 (3)日本ではまだ萌芽の段階だが、少しずつ登場してきているようだ。

 ブロッグという新しいメディアが、インターネットを大席巻している。米ニューズウィーク(NW)誌が今春、「ブロッグはオールドメディアを葬るか?」という扇情的な見出しの記事を掲載したほどだ。
 ブロッグが急に勢力を伸ばしはじめたのは、昨年の9月以降。そう、あの同時多発テロが米国民の政治意識を急に高め、ネットの新たなメディアを産み出したのだ。ブロッグのテーマは、テロ戦争から政治、宗教、思想とあくまで硬派。ネットのニュースサイトに掲載されているさまざまな記事のリンクを貼り付け、それらの記事へのコメントや論評、批判を書き加える。熱心なサイトになると、毎日数十件もの記事を引き、それにいちいちコメントを加えているのだからたいへんな労力だ。運営者は過激な民族派から市民運動家まで幅広い。
 ブロッグが注目されている理由は、いくつかある。
 まず第一に、ブロッグは読者にとって、自分だけの特別なメディアになりうる。ネタの選択とコメントが秀逸で、さらに自分と志向が似ているブロッグがあれば、わざわざ複数の大手メディアを巡回して読む必要がなくなるというわけだ。第二に、ブロッグは大手メディアを批評する能力を高めてくれる。大手メディアって、実は他のメディアを批判することは少ないから、何気なく記事を読んでいるだけでは、メディア批判のスキルはいつまで経っても身につかない。それをブロッグが助けてくれるというわけだ。
 しかし大手メディアはブロッグには批判的。冒頭に挙げたNW誌も、結論は「ブロッグは大手メディアの敵にはならない。やっぱり読者の多くは大手メディアを読み続ける」と切って捨てている。確かに、インターネットが登場した時だって「ネットの登場でオールドメディアはなくなる!」と大騒ぎしていたのを思い出せば、NW誌の指摘はごもっとも。
 しかしインターネットが文字、印刷に次ぐ第三の発明だとか言われているわりに、何だかいまだにメディア産業に躍らされ続けているような昨今、ここらでもう一度、ネットに新たな地平が登場してほしいと思うのだ。ブロッグはその起爆剤にならないだろうか?