弁護士倫理規定

平成2年32日 日本弁護士連合会 臨時総会決議

改正平成6年11月22日
平成17年4月1日廃止


 目次

第1章 倫理綱領 (第1条〜第9条)

第2章 一般規律 (第10条〜第17条)

第3章 依頼者との関係における規律 (第18条〜第42条)

第4章 他の弁護士との関係における規律(第43条〜第50条)

第5章 事件の相手方との関係における規律(第51条・第52条)

第6章 裁判関係における規律(第53条〜第57条)

第7章 弁護士会との関係における規律(第58条・第59条)

第8章 官公庁との関係における規律(第60条・第61条)


 弁護士は、基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする。

 その使命達成のために、弁謹士には職務の自由と独立が要請され、高度のの自治が保障されている。

 弁護士は、その使命にふさわしい倫理を自覚し、自らの行動を規律する社会責任を負う。

 よって、ここに弁謹士の職務に閲する倫理を宣明する。


 第1章 倫理綱領

第1条(使命の自覚)

:弁護士は、その使命が基本的人権の擁護と祉会正義の実現にあることを自覚し、その使命の達成に努める。

第2条(自由と独立)

:弁護士は、職務の目由と独立を重んじる。

第3条(司法独立の擁護)

:弁護士は、司法の独立を擁護し、司法制度の健全な発展に寄与するように努める。

第4条(信義誠実)

:弁護士は、信義に従い、誠実かつ公正に職務を行う。

第5条(信用の維持)

:弁護士は、名誉を重んじ、信用を雄持するとともに、常に品位を高め教養を深めるように努める。

第6条(法令等の精通)

:弁護士は、法令及び法律事務に精通しなければならない。

第7条(真実の発見)

:弁護士は、勝敗にとらわれて真実の発見をゆるがせにしてはならない。

第8条(廉潔の保持)

:弁護士は、廉潔を保持するように努める。

第9条(刑事弁護の心構え)

:弁護士は、被疑者及び被告人の正当な利益と権利を擁護するため、常に最善の弁護活動に努める。

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 第2章 一般規律
第10条(広告宣伝)

:弁護士は、品位をそこなう広告・宣伝をしてはならない。

第11条(依頼の勧誘)

:弁護士は、不当な目的のため、又は品位・信用をそこなう方法により、事件の依頼を勧誘し又は事件を誘発してはならない。

第12条(非弁護士との提携)

:弁護士は、弁護士法に違反して法律事務を取り扱い又は事件を周旋することを業とする者から事件の紹介を受け、これらの者を利用し、又はこれらの者に自己の名を利用させてはならない。

第13条(依頼者紹介の対価)

:弁護士は、依頼者の紹介を受けたことに対する謝礼その他の対価を支払ってはならない。

第14条(違法行為の助長)

:弁護士は、詐欺的商取引、暴力その他これに類する違法又は不正な行為を助長し、又はこれらの行為を利用してはならない。

第15条(品位をそこなう事業への参加)

:弁護士は、公序良俗に反する事業その他品位をそこなう事業を営み、若しくはこれに加わり、又はこれらの事業に自己の名を利用させてはならない。

第16条(係争目的物の譲受)

:弁護士は、係争の目的物を譲り受けてはならない。

第17条(事務従事者の指導監督)

:弁護士は、その法律事務所の業務に関し、事務に従事する者が違法又は不当な行為に及ぶことのないように指導・監督しなければならない。

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 第3章 依頼者との関係における規律

第18条(依頼者との関係における自由と独立)

:弁護士は、事件の受任及び処理にあたって、自由かつ独立の立場を保持するように努めなければならない。

第19条(正当な利益の実現)

:弁護士は、良心に従い、依頼者の正当な利益を実現するように努めなければならない。

第20条(秘密の保持)

:弁護士は、依頼者について職務上知り得た秘密を正当な事由なく他に漏らし、又は利用してはならない。同一の法律事務所で執務する他の弁護士又は同一の場所で執務する外国法事務弁護士の依頼者について執務上知り得た秘密についても同様である。

第21条(受任の諾否の通知)

:弁護士は、事件の依頼に対し、その諾否を速やかに通知しなければならない。

第22条(見込みがない事件の受任)

:弁護士は、依頼者の期待するような見込みがないことが明らかであるのに、あたかもあるように装って事件を受任してはならない。

第23条(有利な結果の請負)

:弁護士は、事件について、依頼者に有利な結果となることを請け負い、又は保証してはならない。

第24条(不当な事件の受任)

:弁護士は、依頼の目的又は手段・方法において不当な事件を受任してはならない。

第25条(特別関係の告知)

:弁護士は、相手方と特別な関係があって、依頼者との信頼関係をそこなうおそれがあるときは、依頼者に対し、その事情を告げなければならない。

第26条(職務を行い得ない事件)

:弁護士は、左(下)に掲げる事件については、職務を行ってはならない。ただし、第三号及び第四号に掲げる事件については、受任している事件の依頼者の同意がある場合は、この限りでない。

 一 事件の協議を受け、その程度及び方法が信頼関係に基づくときは、その協議をした  者を相手方とするその事件

 二 受任している事件と利害相反する事件

 三 受任している事件の依頼者を相手方とする他の事件

 四 受任している事件の相手方からの依頼による他の事件

 五 公務員若しくは法令により公務に従事する者又は仲裁人として職務上取り扱った事  件

第27条(他の弁護士又はその依頼者との関係において職務を行い得ない事件)

:弁護士は、同一の法律事務所で執務する他の弁護士若しくは同一の場所で執務する外国法事務弁護士又はそれぞれの依頼者との関係において、職務の公正を保ち得ない事由のある事件については、職務を行ってはならない。

第28条(着手後に知ったとき)

:弁護士は、職務に着手した後に前条に該当する事由があることを知ったときは、依頼者に対し速やかにその事情を告げ、事案に応じた適切な処置をとらなければならない。

第29条(受任の趣旨の明確化)

:弁護士は、受任の趣旨、内容及び範囲を明確にして事件を受忍するように努めなければならない。

第30条(事件の処理)

:弁護士は、事件を受任したときは、速やかに着手し、遅滞なく処理するように努めなければならない。

第31条(事件処理の報告)

:弁護士は、依頼者に対し、事件の経過及びその帰趨に影響を及ぼす事項を必要に応じ報告し、事件の結果を遅滞なく報告しなければならない。

第32条(利害衝突のおそれのあるとき)

:弁護士は、同一の事件につき依頼者が二人以上あり、その相互間に利害の衝突が生ずるおそれがあるときは、各依頼者に対しその事情を告げなければならない。

第33条(受任弁護士間の意見不一致のとき)

:弁護士は、同一事件を受忍する他の弁護士との間に事件の処理について意見の不一致があって、依頼者に不利益を及ぼすおそれがあるときは、依頼者に対しその事情を告げなければならない。

第34条(依頼者との信頼関係が失われたとき)

:弁護士は、事件に関し依頼者との間に信頼関係が失われかつその回復が著しく困難なときは、その依頼関係の継続に固執してはならない。

第35条(法律扶助制度等の教示)

:弁護士は、事案に応じ、法律扶助・訴訟救助制度を教示するなど、依頼者の裁判を受ける権利を護るように努めなければならない。

第36条(報酬の明示)

:弁護士は、依頼者に対し、受任に際して、その報酬の金額又は算定方法を明示するように努めなければならない。

第37条(報酬の妥当性)

:弁護士は、事案の実情に応じ、適正・妥当な報酬を定めなければならない。

第38条(国選弁護事件における報酬)

:弁護士は、国選弁護事件について、被告人その他の関係者から、名目のいかんを問わず、報酬その他の対価を受領してはならない。

第39条(私選弁護への切替)

:弁護士は、国選弁護人に選任されたときは、その事件の私選弁護人に選任するように働きかけてはならない。

第40条(金品の清算)

:弁護士は、事件に関する金品の清算及び引渡し並びに預かり品の返還を遅滞なく行わなければならない。

第41条(依頼者との金銭貸借)

:弁護士は、特別の事情がない限り、依頼者と金銭の貸借をし、又は依頼者の債務についての保証人となってはならない。

第42条(依頼者との紛議)

:弁護士は、依頼者との信頼関係を保持し紛議が生じないように努め、紛議が生じたときはできる限り所属弁護士会の紛議調停により解決するように努めなければならない。

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 第4章 他の弁護士との関係における規律
第43条(名誉の尊重)

:弁護士は、相互に名誉と信義を重んじ、みだりに他の弁護士を誹ぼう・中傷してはならない。

第44条(弁護士に対する不利益行為)

:弁護士は、正当な職務慣行又は信義に反して他の弁護士を不利益に陥れてはならない。

第45条(依頼者の関係の尊重)

:弁護士は、他の弁護士が受任している事件の処理に協力するとき又は他の弁護士から事件の受任を求められたときは、その弁護士がその事件の依頼者との間において有する信頼関係を尊重するように努めなければならない。

第46条(受任弁護士間の協調)

:弁護士は、同一事件を受忍する弁護士が他にもあるときは、その事件の処理に関し、互いに協調するように努めなければならない。

第47条(他の弁護士の参加)

:弁護士は、事件について依頼者が他の弁護士の参加を希望するときは、正当な理由なくこれに反対してはならない。

第48条(他の事件への介入)

:弁護士は、他の弁護士が受任している事件に介入しようと策してはならない。

第49条(相手方本人との直接交渉)

:弁護士は、相手方に弁護士である代理人があるときは、特別の事情がない限り、その代理人の了承を得ないで直接相手方本人と交渉してはならない。

第50条(弁護士間の紛議)

:弁護士は、弁護士間の紛議については、協議又は弁護士会の紛議調停による円満な解決に努めなければならない。

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 第5章 事件の相手方との関係における規律

第51条(相手方からの利益供与)

:弁護士は、事件に関し、相手方から利益の供与若しくは供応を受け、又はこれを要求し、若しくはその約束をしてはならない。

第52条(相手方代理人に対する利益の供与)

:弁護士は、事件に関し、相手方代理人に対し、利益の供与若しくは供応をし、又はその約束をしてはならない。

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 第6章 裁判関係における規律
第53条(裁判の公正と適正手続)

:弁護士は、裁判の公正及び適正手続の実現に努めなければならない。

第54条(偽証のそそのかし)

:弁護士は、偽証若しくは偽証の陳述をそそのかし、又は偽証の証拠を提出してはならない。

第55条(裁判手続の遅延)

:弁護士は、怠慢により、又は不当な目的のため、裁判手続を遅延させてはならない。

第56条(裁判官との私的交渉)

:弁護士は、事件に関し、裁判官、検察官等と私的関係を利用して交渉してはならない。

第57条(私的関係の宣伝)

:弁護士は、その職務に関し、裁判官、検察官等との縁故その他の私的関係があることを宣伝してはならない。

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 第7章 弁護士会との関係における規律
第58条(弁護士法等の遵守)

:弁護士は、弁護士法、日本弁護士連合会及び所属弁護士会の会則、会規及び規則を遵守しなければならない。

第59条(委嘱事項の処理)

:弁護士は、日本弁護士連合会、所属弁護士会及び所属弁護士会が所属する弁護士会連合会から委嘱された事項を誠実に処理しなければならない。

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 第8章 官公庁との関係における規律
第60条(官公庁からの委嘱)

:弁護士は、正当な理由なく、法令により官公庁から委嘱された事項を行うことを拒絶してはならない。

第61条(委嘱受託の制限)

:弁護士は、法令により官公庁から委嘱された事項について、職務の公正を保ち得ない事由があるときは、その委嘱を受けてはならない。


 附則(平成6年11月22日改正)

 :第20条及び第27条の改正規定は、平成7年1月1日から施行する。


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