肉の味は香りにありG          TOKYO X物語 TOPへ
 味の良い豚肉の味覚は当初、ある種のたんぱく質であろうと考えていた。そしてその構成要素のアミノ酸を分析すれば簡単にわかると考え文献をさがした。しかし、肉の味はそう単純なものではなかった。

 肉質の論文は欧米の研究者のものがやはり多いが、うま味の研究では日本がむしろ先行している。

 食肉については伊藤ハムの伊藤記念財団が研究に力を注ぎ、多くの実験成果が出されている。

 肉の味覚で、うま味はアミノ酸系のグルタミン酸と核酸系のイノシン酸によるもので、両方が一緒になると、相乗作用により強く豊かなうま味を感じると言われている。

 食肉は処理後、冷蔵室に保管するとイノシン酸が徐々に増える。最も多くなるには、牛肉で10日、豚肉で4日、鶏肉で1日とされている。肉はこの時が食べごろと言うことになる。すなわち、熟成(じゅくせい)でうま味が増すわけで、と畜処理したばかりの新鮮肉が美味しい肉ではないのだ。
                都立立川短大による食味試験
 改良は遺伝的な体質の違いを見つけることから始まる。味覚の指標として、肉中の遊離アミノ酸を候補とし、3品種で比較したが、ほとんど違いがみつからない。まして、個体差はなかった。次に肉色や硬さ、筋線維数、脂肪酸組成なども考えたが、どれも選抜に使える適当なものがない。

 そんな時、日本獣医畜産大学の沖谷明紘先生の講演を聞く機会があった。裏付けのある実験結果を示しながら肉の味の決め手は「香り」であると言われた時、これまで味覚しか考えていなかったので、まさに目からうろこであった。食肉は口から鼻に抜ける特有の芳香(ほうこう)が味を左右する一つであることを教えられた。

 肉の香りは肉中の脂肪から出るもので、赤み肉と一緒に食べて味わえるとされる。つまり、筋肉内脂肪(霜降り)が香りに、そして味に大きく影響していることになる。

 こうして、選抜形質に霜降り形質を取り上げることにした。この選択がX豚成功の鍵となった。以来、沖谷先生には指導をうけることが出来た。

 肉質判定の食味検査には必ず香りの項目を付けて実施した。その結果、X豚に特有の脂肪の品質を持たせることが出来たと考えている。
 
 
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