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雑文集
いままで採集旅行やなんやらで集めた話を書いていきます。

 

稀産標本収集の苦しみ。。

趣味をやっていて苦しみなどなんだと言われるのはもっともである。しかし、最近本気で稀産鉱物を集めるのが苦しくなってきた。

なによりも大変なのは、その信じられないくらいの手間である。まず、入手に恐ろしく手間がかかる。欲しい種類のものが標本屋で売っていることは少ない。あったとしても、質が不満か価格が高い場合が多く、日本の標本屋で無事に探していた種類のものを買うことはめったにない。もっとも、探していたものを入手できることは、海外をあたっても何年もかかることが多い。たとえば、このホームページで公開しているドイツの硫ゲルマニウム銀鉱は、欲しいと思ってから入手までに7年かかっている。欲しいものの入手には、とりあえず探す、持っていそうな人にあたる、入手できそうな人にあたるなどを繰り返しようやく入手にいたるわけである。場合によっては、持っている人や入手できそうな人が手放そうとしなそうなものもあるため、持っていそうな人、入手できそうな人が欲しがりそうなものから入手してから、交換することもある。

無事入手できたとしても終わりではない。次に始まるのは、その標本が正しく鑑定されているのか、産地が正しいのかの確認である。これまで、後で鑑定が間違っていたことが明らかになったことなど、何回ものある。ブラグ鉱という白金の硫化鉱物があるが、この鉱物については、今まで4回入手して、3回が間違いだった。4回目だって、間違いの可能性はある。また、産地すら間違っていることがある。人によっては、産地が間違っていては確認できないのではないかという疑問もあるかもしれないが、これが母岩や結晶の形などからわかってしまうことがあるのである。このホームページで公開しているルーマニア産のシルバニア鉱は、標本としてはとても立派なものであるが、買った当初からフィジー産ではないかと疑われていた。そして、最近特に多く出回ることになったフィジー産の標本と見比べるに、やっぱりフィジー産の標本と思えてきている。鑑定や産地が間違いないことが確信を持てるまで、確認は続くのである。永遠に。そうすると、未確認標本は標本を増やせば増やすほど増えてくる。そして、標本がそろえばそろうほど、確認が難しい石が増えてくるのである。こうした石は、整理もできず、手放すのも無理で、見ているだけでストレスがたまるものだ。

更に、確認作業と深く関係することであるが、情報の入手が難しいのだ。日本で産出しな稀産鉱物について、日本語で読めるものは基本的にない。そこで、外国語の情報にアクセスするのだが、これとて、入手が簡単ではない。なお、稀産鉱物について、素人でも入手でき、情報が豊富なのはドイツのLapisで、ドイツ語である。ミネラロジカルレコードは、英語で読めるのであるが、稀産鉱物の情報は少ない。また、外国語である上に地質学、鉱物学の知識のなさから情報を入手してもチンプンカンプンだったりする場合もある。また、文献が手に入ったところで、写真がなければ決定打に欠け、結局わからずじまいだったりする。

というわけで、鑑定の難しい鉱物、分析をしなければ鑑定のできない鉱物の収集は避けるようにし始めたのだが、なぜか、正体不明鉱物がたまっていくのである。。。

 

怪しまれる荷物

日経平均1万円割れの直接の引き金を引いた特攻事件の後、アメリカでは途端にセキュリティが厳しくなりました。そのため、ただでさえ税関突破ではいつも大変な思いをしてきた鉱物マニアは更に苦労をすることになります。
2004年夏のモン・サン・ティレールでの採集の帰り、物珍しさとひょっとしたら小さい稀産鉱物が付いているかもしれないという期待から、大量の岩石を運んでくることになりました。カバンの重さは30キロを越えていました。ひょっとしたら怪しまれるなあーっと思いながらカウンターでカバンを預け、大して怪しまれずもせず無事出発ゲートに来ることができほっとしておりました。
ところが、ここまできて、ついに恐れていたことが起こりました。出発ゲートのカウンターからお呼びがかかったのです。一瞬、聞こえないふりをしようかと思いましたが、そのようなことをすれば荷物が日本まで無事に着くことは絶対にありえなくなってしまいます。観念してカウンターに行くとかばんの鍵を渡すように言われ、カウンターのおばはんにしぶしぶ渡しました。しばらくすると、そのおばはんが戻ってきて、鍵を返してくれました。それからカウンターに戻り、とてもとても怪しそうに別のおばはんに話していました。「なんか石がたくさん入ってたわ。」「石がいっぱい?何のため?」「知らないわ。」 おばはんがカバンの鍵を返してくれたときの、あの不思議そうな顔は一生忘れられません。バクダンやらピストルやらクスリやらであれば、犯罪であり、悪いことで あり、間違いなく騒ぎになるのですが、どういう目的で、かばんに潜ませているかよく理解できます。ところが、石では普通のまともな人には なんのためにわざわざカバンにいれているのかわかりません。。あの時は、恐らく、テロリストなぞ問題でないくらい不審に思われていたことでしょう。。。

飛行機から撮ったJFK空港(手前)とニューヨーク市 飛行機が飛び立ってこれでもう安心でした。。。

 

我が祖国の鉱物

日本の鉱物マニアには日本産にしか興味を示さない人が多いように感じる。が、別にこれは日本に限ったことではない。もちろん、自分の国から産出した鉱物に特別の愛着を示すことは普通のことである。私はあまりそういう傾向はないが。。。
ドイツは鉱物趣味が盛んな国であるが、ドイツの鉱物マニアにも自分の国の鉱物のみに興味を示す人がいる。フライベルクの銀鉱物は見事だし、クララ鉱山の稀産出鉱物も興味深い。しかし、これから紹介する話はいくらなんでもと思う。
ミュンヘンショーで、「この石は1945年以前に採集されたのか?」という質問をしつこくしていたコレクターがいたらしい。なんでそんなこと聞くのかと聞き返したところ、「1945年以前はここはドイツだった。1945年以前に採集されたなら、ドイツ産だが1945年以後に採集されたならドイツ産でない。」とのことだったそうだ。。。

 

ポトシの豚とサンホセ鉱山のずり

ボリビア ポトシ市にはセロリコという世界的に有名な鉱山がある。ここにはたくさんの豚が変われている。おそるべしことにこの豚たちは水洗トイレの代わりなのである。。。
ボリビアは決して豊かではなく、セロリコは近代的な設備はトイレも含め何も持っていない。そこで、鉱山で働く人たちはそこらじゅうの適当な場所で用事を足す。その結果を豚が食べるのだという。。。
ポトシからバスで8時間の場所にオルロ市がある。オルロ市の鉱山はポトシと同じくスペイン人が開発したものである。フランケ鉱やアンドール鉱で有名なサンホセ鉱山があり、膨大な量のズリが残されている。もちろん、そのズリには興味深い鉱物がたくさんある。しかし、A氏はそこで採集したくないようだ。なぜなら、最近の都市化によりズリの上に家を建てて住む人が増えてきた。残念ながらトイレはない。。。。。あとはもう書きたくない。。。

セロリコのブタ。なにやらかぎまわっている様子

 

海外での収集のリスク

私は海外で鉱物を収集するのが好きである。買うにしても採集するにしても日本では見ることができないものが手に入る。6年越しで手にいれたドイツの硫ゲルマニウム銀鉱などは、海外で収集しなければコレクションに加えることはできなかったであろう。
時間と費用の問題はもちろんある。今までは、学生であったから時間をとることができたし、国内での採集と標本の購入を徹底的に切り詰めたのと、海外にすばらしい友人を持つことができたがゆえに費用もなんとかなった。今後は時間の問題は今後は乗り越えねばならない障壁になろう。まあ、これは個人的なことで本題ではない。
まず最初に海外での購入による収集の最大のリスクとは「にせもの」をつかまされることである。確かに日本で売られている標本もラベルの間違いはたまにはある。しかし、ラベルの間違いは極めて例外的なものであるし、仮に見つけても返品に応じてくれることの方が多いであろう。
こういったことは常識的なことに感じるが、海外では必ずしも常識ではないようだ。ラベルの間違いはかなり多い。そもそも売っている人がまともな知識がなく、前の持ち主がそういうラベルをつけていただとかだれかがそういっただとかいうことを信じていることが多い。また、ラベルの正確さにまったく気をとめない人も少なくない。自分で売っているもののラベルが70%くらいの正確さだと公言している人もいる。つまり、彼にとっては三つにひとつが間違っていてもいいわけである。また、信じられないことにラベル捏造、修理したことを隠しての販売、挙句の果てにはありもしない鉱物を作り出す人もいる。これもラベルを信じるとすれば間違いが発見できないものである。
海外で偽物をつかまされても距離的に遠い上に、返品に抵抗される場合もある。こういったことを防ぐためには、買おうとする鉱物に対して十分な知識を持つことと(本来は自分の知らない鉱物を知るために標本を買うのでおかしい話なのだが、、、、、)、標本を手に入れた経緯、その鉱物について、どのようにその石の種類を判断したかなどをしつこく質問し、果たして信頼できる売り手かどうか確かめることである。
次にぼられるリスクがある。すでに不景気になって久しいが、日本人は金持ちと思われている。まあ、海外に収集に出かけるくらいなのだから、世界標準から見ると金持ちであるには違いない。そのためにぼられるリスクがある。本当に適切な価格であるかをじっくり考え、そうでなければ調子に乗らせないためにほしくても買わないということが必要である。
海外にで収集すれば確かにいい標本に出会う機会は広がる。しかし、海外で収集することに対するリスクがあることを知らなければそういった機会を生かせるかは微妙なところである

ラインの黄金

ラインの黄金と(Das Rheingold)は、ワーグナーのオペラ「ニーベルングの指輪」四部作の最初の物語の名前です。ニーベルンゲンの指輪全体がライン河のそこに沈む黄金から作られた指輪をめぐる話で す。 あらすじはめんどいので省略しますが、ラインの黄金でできた指輪は世界を支配する力を得られる一方で、とてもとても呪われています。そのいい方だけが見えてしまうため、指輪の奪い合いなるのですが、指輪をゲットした登場人物は例外なく非業の死を遂げてしまいます(一方で、指輪をゲットして幸せになる人は一人も出てきません。)。最期に、指輪がライン河に戻って無事おしまいなのですが、話がどろどろしているのと、全部で16時間もあるのと、作曲者がかなりヤバイ人だったので、コアなファンは熱烈に好きなのですが、良識ある大多数の方々には作曲者も含めキワモノ扱いされています。

このラインの黄金ですが、あくまでもお話と思いきや、なんと、ライン河で砂金が採れるのです。このようにネタになる標本というのは、ぜひ欲しかったので、デンバーで手に入れた時は、一瞬呪われるかもしれないと思いましたが、感動しました。しかし、この片栗粉のような粉末状の砂金は、ネタ的にはおもしろいものの、鉱物標本としての面白さはなく、ワグナーにもニーベルンゲンの指輪にも興味のない人にとっては、みみっちー金の粉でしかありませんが。

こんなネタ的におもしろいものは、周りの人にも楽しんでもらえると思いました。そこでいろんな人に自慢してみました。

クラッシック音楽を愛聴するここで名前を言えば知っている人も多いかと思われる某氏に自慢してみました。
 反応 「ワグナーなんて聞かないよ。」の一言。。。。。

ドイツ人、それも、ワーグナーの音楽祭が開かれるバイロイトがあるドイツのバイエルン州出身のドイツ人に自慢してみました。
 反応 「ワーグナーは世界一ダサい音楽家の一人だ。16時間もあるオペラ(まさしくニーベルンゲンの指輪のこと)なんて聞いてられるかよ。」

一応ドイツ人のA氏に自慢してみました。
 反応 「私の専門のひとつは砂鉱だ。ライン河の金には白金族が含まれている。」
ようやく興味を示してくれたと思ったら、ワグナーとか指輪とかはどーでもいいみたいで、ただ、砂白金に興味があったのです。

さて、こんな冷たい反応にさらされるラインの黄金とはどんなもんでしょう。下の写真を見てください。写真をとるのはとても大変でした。この写真はライン河中流域のバーデン・ヴュルテンベルク州のものです。相当遠くまで流れているような雰囲気の粉です。こんな砂金であれば、日本でも十分採取できる大きさかと思いきや、逆にここまで金を細かくするだけの長さの川が日本にはないのではないかと思われます。この産地、昔から付近の人々の副業で採掘されてきました。戦争中に、その名も”ラインの黄金”と名づけられた砂金回収機構付き浚渫船で金の採掘がされました。しかし、資源が渇望していた戦争中ですら、効率の悪さにやってられなくなり、敗戦よりずっと前にやめてしまいました。ちなみに、このとき採掘された金で、ナチスの高官だったゲーリングという人が指輪を作ったそうです。この人は、ナチスのナンバー2まで出世した人です。ナチスが戦争に負けちゃったことを見ると、やっぱりラインの黄金は呪われているんでしょうか。。。

食塩の粒より小さい。

↑ドイツ、オーバールアウフ デス ライン付近のライン河産ラインの黄金

このラインの黄金ですが、どっから流れてきたものでしょうか?実は、後にもっと大粒のラインの黄金をゲットしました。ドイツとスイスの国境にあるボーデン湖よりもさらに上流にあり、イタリアと接しているスイス、グラウビュンデン州のルクマニーア渓谷の金です。ラインの黄金の供給源の一つはこの近くの石英脈だそうです。

一つ2mmくらいはある

↑スイス、ルクマニーア渓谷産ラインの黄金。ちなみにこの内2つは私のものではなくなりました。

ルクマニーア渓谷のものは、ドイツのものに比べると圧倒的に大きいのですが、片栗粉と小麦粉の差なので、鉱物標本としてはイマイチです。鉱物を集め、ワグナーを聞くという例外的な中でまた更に例外的な人だけに受け入れられる標本でしょう。。。

   

ニーベルンゲンの指輪全曲CD

ニーベルンゲンの指輪全曲が堪能できます。12時間くらいかかりますが、全曲聞いたなら達成感があるでしょう。相当好きでないと途中で飽きると思います。

   

ラインの黄金全曲CD

ニーベルンゲンの指輪全曲を聴くのが荷が思いと感じられる方はラインの黄金だけでも聴くことができるようになっています。ニーベルンゲンの指輪は「ラインの黄金」、「ヴァルキューレ」、「ジークフリート」、「神々の黄昏」の4作ですが、この内ラインの黄金がCD2枚、あとは4枚に分れているのが普通です。一番気軽に聞けるのがラインの黄金です。

 

 

ニーベルングの指輪DVD

なぜかCDより安くニーベルングの指輪全曲が楽しめます。全部で12時間くらいです。

 


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