平野くんから貰った何十冊かのうちの一冊。どうも彼の所持してるものは短編集が多い気がするし、彼の好みなのかたいてい主人公が中高生であることが多い。まぁそれはさておき。
10篇くらいなので、それぞれについて感想を書こうと思う。
「図書館は遠い」
これ一番好きかもしれないです。拾ったサイフの中に自分の感動した作者の名前を書いたメモを見つけて、いろんな想像や期待をして会ってみたら、単なる女子高生の遊び。
この社会人の主人公の気持がなんとなくわかってしまうあたり、ぼくは説教クサイオヤジになってしまいそうだ。
「今朝のスープ、清潔なテーブル・クロス」
潔癖性のそれほどかわいくない嫁さんと結婚した男のお話。わからないでもない作品。女性に安らぎを求めたり、刺激を求めたり。完成された綺麗なものでなく、少しくずれたものにひかれてしまったり、そんな感情がなるほどといった感じ。あまり好きじゃない。
「波の音がきこえたら私は…」
明確な表記はないが、同性愛者と思われる男女の偶然の出会いのお話。なんかこれも好きじゃない。こんなじゃ感想にならないんだけど、好きじゃない。でも、飴を舐めながらのエッチでベトベトするのが好きってのはなんか良かった。
「ロリータ」
下宿先の近所の小学生の女の子に恋をしてしまい、あらぬ事を妄想してしまったりしたりする高校生のお話。なんかすごく主人公の気持ちがよくわかってしまった。下宿先の同級生の息子が彼女に悪戯した事を聞き揺らぐ心。ぼくの家の隣りにもずっと昔から知ってる3つくらい下の女の子がいる。性的な興味などもうとうなかったので、なんとも思わなかったが一緒に風呂入ってたりして、今考えると悪くなかったなぁ〜なんていかがわしい想い出をほりおこしてしまった。オチがちょっとダークだった。
「パールホワイトのキャミソール」
キャミソールを巡って二人の女性が出会う作品。キャミソールを売ってしまった店の店員が、不倫相手に手切れ金を渡されてしまって衝動買いをしてる女性を追って、買い物に付合わされたりして打ち解けていく。なぜかこういう女性の作品が結構好きである。女性の友情というか、そういうの。
「神宮で始まる空の高い夏」
作者が広島ファンって事で、カープの試合で知り合った男女二人のお話。筋としてはありがちな、男の方が年上で大学に入って彼女が出来ちゃって別れ、なんだけども、ここに野球が絡んでくる。球場で始まって球場で終わる恋といいますか。出来過ぎな気もしないでもないけど、結構好きな作品。
「ぼくは学校へ行く」
どもってしまう高校生の主人公とボケてしまったおばちゃんの触れ合いのお話。ぼく自身高齢者の介護とは無縁の生活を送ってきているので、主人公のおばあちゃんに対する態度をすごく尊敬してしまう。下手にいたわるのではなく、ちゃんと対等に接してる気がして、そんな好感触な作品。
「サボテン」
奇妙な旅館で過ごす、微妙な関係の家族の物語。あまり心に残るものはなかったです。旅館の女将さんが病気なのにがんばってきりもりしてるっていう舞台はすごく気に入った。
「女優と犬と赤い鼻」
嘘をつくと鼻に赤いおできが出来てしまうお話。「ロリータ」でもそうだったのだが、この作者男のイヤらしい心をみすかすので、なんとも気恥ずかしくなってくる。ここでは主人公がたいして好きでもない体目当てと言えるような女の子に対して嘘をついていて鼻にオデキが出来てしまうのだが、これが本当なら結構怖い話しである。ってぼくには心当たりはないけども。
「青い家の一人娘」
過去に犯罪を犯してしまった頑固な金庫職人のオヤジとその娘、執着心の強い刑事とのお話。オヤジの頑固さとか、そういうのが気に入ったけども、なんか刑事の人柄の深さがあまりなく面白みにかけた気がする。(2001/3/13)