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世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド(上・下)

書名:世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド(上・下)
著者:村上 春樹
出版社:新潮文庫
価格:上巻590円、下巻552円(税別)

推薦文
ぼくが推薦する必要もない気がしますけども。奇妙なタイトルに戸惑いますが、その通り「世界の終わり」という高い壁に囲まれた不思議な世界の物語と「ハードボイルド・ワンダーランド」という情報戦争に巻き込まれる主人公を描いた一風変わったサスペンス。その二つの物語が同時進行しながら絡みあう不思議な作品。
感想

ネットの知り合いsachiからの推薦。他に何冊か推薦本を聞いたのだが、どれもこれも分厚いか、上下巻だった。んでタイトルの奇妙さから本書を選んだ。

実は村上春樹の作品を読むのはこれが初めて。周りに熱狂的なファンがいるわけでもないが、でもファンが多いのはよく知ってる。こうしたメジャーな作品ってのは自分から手にとらなくてもいずれ読む事になるのであまり自ら進んで読まなかった。

さて、まずは率直な感想。面白い!さすがだなぁ〜と思った。まずはその表現がすごく気に入った。どの作品でもそうなのか分からないが、主人公の人柄のせいなのか知らないが、とにかくその物事の捉え方や描き方の細かさが好きである。特に本書ではやたら細かい描写が多い。シーン、シーンで思いつく限りの描写をしてるようで、初めのうちはうざったっかったのだが、その描写がいつの間にかクセになってしまった。

そして本書は「世界の終わり」というファンタジー小説に近い物語と、「ハードボイルド・ワンダーランド」というある種サスペンス的な作品が交互に並んでいる。初め「ん??」と思って、片方ずつ一気に読むのかと思ったのだが、同時に読み進めていくと所々に話しの共通項が見えてくる。

前半部はその曖昧さがおもしろかったのだが、後半になり話しが急展開していくと、どうもあからさまな気がしていただけなかった。おそらくそれだけ作品に愛着を持ってしまったという事だろう。

「世界の終わり」の方は、それは素朴なファンタジー小説としてだけでも充分楽しめて、主人公と切り離されたその影の関係を思うといろいろと考えさせられる。心のありようとか、不自然な完全な世界。
心がなければ完全になれる。すごく辛い時や、悲しい時、怒りを感じた時なんか、ふとそんな事を思う。なんで心なんてあるんだろうなんて思う。その心のせいで勉強が手につかなくなったり、仕事が手につかなったりする。そんな不便で、不完全な心でも、映画を観て、本を読んで、音楽を聴いて感動したり、好きな人が出来たりすると、やはりあった方がいいもんだと思える。

「ハードボイルド・ワンダーランド」こちらはこちらで一種変わった世界観なのだが、リアルな世界。この主人公の視点がすごく好き。ごくごく細かい事からどこまで想像力を働かせていく。また、作者がジャズ好きだというのは以前から耳にしてましたが、作中にもたくさんのアーティスト名が出てくる、半分もわかればいいほうなのかもしれないが、そこらへんがまた良い。手に汗握るようなスピード感もある中に、ふと間の抜けた描写が入ってきて笑ってしまう部分もあった。

まぁ、とにもかくにも面白かった。良い作品だった。一気に読んでしまった。(2001/2/22)


 


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