←図書室へ
つめたいよるに

書名:つめたいよるに
著者:江國 香織
出版社:新潮文庫
価格:定価400円

推薦文
珠玉の短編集。21篇もの短編が収まれています。ファンタジーチックなものから、日常のほんのちょっとした素敵な場面を切りぬいた作品など、短いなかに濃密な世界が広がってます。
感想

出掛け先にまたしても本を持って行くの忘れてしまって、青山の小さな小さなの本屋で探し出した。この本屋の陳列が雑然としてて、本当に探しにくい。でも、これと言って目的の本もなかったので逆にこの方が都合がよかったりする

良い。良いのよぉ。どの短編も。すごく短い10、12ページとか。この短さでこれだけの世界を表現出来るってのがすごい。どれもこれもすごく、大切にしたいって感じ。

これだけだよあれなんで、この中でぼくの好きな短編ベスト3!

1:「晴れた空の下」
本書は他にもたくさんのおじいちゃん、おばあちゃんを主人公にした物語が収録されているのだが、その中でもこの作品の作りだす雰囲気が好きである。ボケてしまっていても、自分の中ではしっかりしてるというおじいちゃんがすごくいとおしく感じる。

2:「コスモスの咲く庭」
たまの休日、昔望んでいた家に誰もいない休日を迎えたお父さんの一日。すこし感傷的になりながらも、それを楽しむ。ほんのちょっとしたことではあるのだけど、そこに楽しみや、思い入れが伝わってきて良い。

3:「デューク」
愛犬のデュークが死に、翌日ハンサムな男の子と出会う。まるでデュークのように落語を好んだり、キスがうまかったりする。ありがちなストーリーではあるものの、無駄のない短さが良い。

本当はどれも好きなんだけど。あとがきで川本三郎(知らないけど)も書いてるが、好きなものってのがたくさん出てくる。「デューク」ではたまご料理と梨と落語が好きなデュークだったり、氷すいが好きなおばあちゃんだったり。

ぼくはこだわりを持つ人が好きである。だが、こだわりがあるとキライなものが増えたりもする。うけつけないのだ。「○○はキライだ」とかそういう描写の多い作品もある。こだわりといえばこだわりなのだが、ぼくとしては「好き」な部分を見せて欲しい。そういった意味で本書では「好きなもの」がたくさん出て来てすごく気がやすまるというか、好きである。(2001/3/9)


 


←図書室へ