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大仏様(だいぶつよう)
大仏様は「だいぶつさま」とも読めますけども、ここでは「だいぶつよう」と読んでください。平家による南都焼き討ちの後、東大寺の伽藍が再建されることになったのですが、東大寺・大勧進職(だいかんじんしき)に就任した僧・重源(ちょうげん)は、大陸の建築様式を取り入れて再建にのぞみます。
その建築様式を大仏様と呼んでいます。ひと昔前までは、天竺様(てんじくよう)と呼ぶのが普通だったようです。でも現在では大仏様の方が使われています。大仏様というのは、やはり大仏殿の再建に使われた様式だということでしょう。重源の再建した大仏殿は、その後再び兵火に遭って、残念ながら焼失しています。

浄土寺阿弥陀堂(兵庫・国宝)。
現存する大仏様の代表的遺構は、東大寺南大門と兵庫県の浄土寺阿弥陀堂(浄土堂、上の写真)です。この項目では浄土寺の阿弥陀堂に登場願いまして、大仏様というものを簡単に見ていきましょう。
○1、挿肘木(さしひじき)。
肘木とは、屋根や軒を支える構造材の一つなのですが、大仏様においては柱に挿し込まれています。大仏様以外の様式では、肘木は柱の上に載るか、柱の上の大斗(だいと)の上に載ったりします。柱から突き出てくる挿肘木は、異様な感じすら与えます。

左:白い矢印のところから、手前に3本の挿肘木が出ている。
右:挿肘木の上に載っている巻斗(まきと)。
矢印のところが少し膨らんでいて(皿板)、皿斗(さらと)と呼ばれる(大仏様の特徴)。
○2、木鼻(きばな)の繰型(くりがた)。
木鼻とは木の端(はな)ということで、水平材の先端部分を指します。大仏様が導入されるまでは、この木鼻に何らかの彫刻を施すといったことは無かったようなのですけども、大仏様建築では肘木や貫の先端に簡単な装飾(繰型)がみられます。

左:大仏様の木鼻。上側に繰型が付いている。
右:大仏様の肘木。下側に繰型が付いている。左奥の白い壁のところにも見られる。
○3、遊離尾垂木(ゆうりおだるぎ)。
尾垂木とは、軒下の組物から斜め下方に突き出ている構造材です。大仏様の場合は組物から出ておらず、組物(挿肘木が使われている場所)と組物の間に離れて存在しています。
○4、扇垂木(おうぎたるぎ)。
軒下にはたくさんの材(垂木)が並んでいますが、大仏様では軒の角部分の垂木が放射状(扇形)に配置されています。それまでの様式の建築ですと、ほとんどの場合、角部分でも軒下の垂木は平行に並びます。

左:浄土寺阿弥陀堂の遊離尾垂木。柱と柱の間の真ん中にある。
右:扇垂木。扇形に軒下の垂木が並んでいる。
○5、鼻隠板(はなかくしいた)。
これは写真を見てもらうと分かりやすいと思うのですが、軒下の垂木の先端に板が取り付けてあります。先端、つまり鼻を隠してあるので、鼻隠板というわけです。横から建物を見ると、垂木がまず見えないので、ちょっとシンプルな感じもしますかね。

左:細長い板状のものが鼻隠板(矢印)。扇垂木も見えている。
右:同じく鼻隠板。瓦の下にあって、垂木の鼻(端)を隠している。
○6、桟唐戸(さんからど)と藁座(わらざ)。
框(かまち、枠とでもいいましょうか)の中に桟を組んで、薄板やら連子(れんじ)やらをはめ込んだ扉のことを桟唐戸といいます。その扉の軸をうけているのが藁座。浄土寺阿弥陀堂の場合は、東・南・北の三面にみられます。西側は三間とも蔀(しとみ)戸です。

左:東側中央の桟唐戸。矢印のところに藁座が付いている。
藁座は扉一枚に付き上下2つ、両開きだと計4つ。
右:藁座を拡大。写真は下に付いているもの。
大仏様には他にもいくつかの特徴があるのですが、それらは建物内部にて見ることができます。具体的には、貫などの水平材の多用、断面が円形の虹梁(こうりょう)、虹梁上の円形断面の束(柱の省略)などが挙げられます。
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