Schwedenplatz なんやらな?資料館

蟇股のちがい

蟇股という項目で、簡単に蟇股(かえるまた)のうつり変わりを書いたのですが、こちらの項目では実際に蟇股の違いを少し比べてみようかと思います。登場していただく建物は、法隆寺の鐘楼と経蔵。建物の外観はよく似ていますし(南北三間・東西二間、切妻造・本瓦葺の楼造)、すぐ近く同士ですので、実際に行って見比べてみるのも簡単です。

法隆寺経蔵 法隆寺鐘楼
左が法隆寺経蔵(国宝)で、左が法隆寺鐘楼(国宝)。
ほんとうによく似ていますな・・・。

切妻造(きりづまづくり)の建物には、上部側面に妻飾(つまかざり)といわれる装飾があります。法隆寺経蔵と鐘楼の場合、妻飾は二重虹梁蟇股(にじゅうこうりょうかえるまた)と呼ばれるもので、大きな梁の上に二つの蟇股を配置して、その上に短めの梁、さらにもう一つ蟇股を配置したものです。

鐘楼二重虹梁蟇股
二重虹梁蟇股。画像は法隆寺鐘楼のもの。

それで、これら二つの建物の蟇股をよく見てみますと、同じ板蟇股ではありますが、明らかな形のちがいがあります。経蔵の蟇股は、ズボンを架けるハンガーのような形で、平べったいシンプルなデザイン。一方の鐘楼の蟇股は、少し背が高くなって波型の縁となり、経蔵のと比べると意匠的。

経蔵蟇股 鐘楼蟇股
左が経蔵の蟇股で、右が鐘楼の蟇股。

この違いはどこから出てくるのかといえば、建てられた年代の差。経蔵は奈良時代のものですが、鐘楼は一度失われていて、平安時代の再建になります。同じように楼造の建物をたてて、同じように二重虹梁蟇股の妻飾を採用しても、時代が変われば多かれ少なかれ細部に違いが出てきます。経蔵と鐘楼では、蟇股の上下にある虹梁のラインにも違いが表れています。

経蔵二重虹梁蟇股
二重虹梁蟇股。画像は法隆寺経蔵のもの。
上の鐘楼のものよりも、虹梁のカーブが大きい感じ。

この、時代で細部に違いがでるという事を利用して(もちろん他の点も総合して)、専門家の先生方は建てられた年代を特定していく訳です。もちろん私のような素人にはそう簡単にできることではないのですが、蟇股のちがい一つからでも、色んな事を想像してみれば、古建築を見る楽しみが増えるわけでして・・・。


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2003年2月9日作成。
2003年8月20日更新。

※法隆寺経蔵と法隆寺鐘楼につきましては、法隆寺西院伽藍その1(なんやらな?別館)にも載せております。


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