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法隆寺西院伽藍 (ほうりゅうじ・さいいんがらん) その1 法隆寺。だれもがその名を耳にしたことがあると思いますし、また実際に訪れたことのある方も多いでしょう。日本で初めてユネスコの世界遺産に指定された法隆寺ですけども、国宝・重要文化財に指定されたものだけでも、なんと190件以上に及ぶ宝物が伝えられています。うち国宝指定建造物は18件(国宝指定建造物件数で1位)でありまして、東大寺の8件(2位)や京都・醍醐寺の6件(3位)を足しても上回っています。 世界遺産や国宝云々というよりも、古建築に興味のある者ならぜひ見ておきたい場所ではないでしょうか。世界最古の木造建築があるということで、古さばかり強調されがちですけども、すこし時代が下った平安時代の大講堂や鎌倉時代の西円堂、さらに下って室町時代の南大門など、各時代の建物を一度に見ることができます。 法隆寺の歴史についてはあまりにも多くの本が出ていますので、ここであえて言及することはないかと思いますが、年号などを少しだけ書いておきましょう。もともと聖徳太子が用明(ようめい)天皇の病気平癒を祈願して、お寺を建てることを発願されたのがはじまりといいます。しかしこれが実現する前に用明天皇は崩御。その後、推古(すいこ)天皇と聖徳太子が607年に完成させたお寺が、法隆寺であると伝えています。 古代史のテーマで有名なものとして、法隆寺再建論争があります。日本書紀のある条に、(670年に)法隆寺が焼失したという記述がなされていることから、明治時代より続いている論争です。最近になって五重塔の年輪測定から、再建説が確定的になっているという報道を耳にしたことがあります。 この再建論が確定的ならば、当然現在の伽藍は670年以降に再建されていったということになります。金堂から再建が着手され、五重塔や中門が再建されたのだそうです(同じような様式でも、金堂と五重塔には微妙な差がある)。このあたりのことは、これからもどんどん勉強していきたいと思う部分です。 |
2003年8月20日作成。 ○撮影時期:2003年1月上旬。 ○アクセス:JR法隆寺駅より徒歩20分ほど。南大門前までバスの便あり。 |
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法隆寺中門(国宝) この中門に至ると、なんというか、法隆寺らしい建物と対面することになります。法隆寺らしい建物とは何か・・・。私が思っているところでは、雲斗きょう(木へんに共の文字)やエンタシスといった斑鳩(いかるが)でしか見られないような様式をもっている建物。もともとはほかの場所にもあったのかも知れませんが、現在は斑鳩にしか残っていませんし・・・。 中門は法隆寺中枢への正門であります。中門から左右にのびる回廊によって囲まれたこの一角は、法隆寺1400年の歴史を示す場所であると同時に、外界とは違う何かが存在している場所でもあるように思えます。その中へ入るには、現在では中門からではなく、回廊の西南角からになっています。
中門を通りぬけることがないので気付きにくいところなのですが、この門は中心線上に柱が存在します。東西の平面が四間ですので、柱が真ん中にきてしまう訳です。門という建物は桁行を奇数間として、中心線は通路にするのが普通です。その点でこの法隆寺の中門は極めてめずらしい型であります。
また南北も三間となっていて、これもめずらしい点です。普通、門の梁間(奥行き)は二間。これは東大寺南大門や京都・知恩院三門といった巨大な門でも当てはまります。東西が四間に南北が三間となりますので、奥行きが深くなり独特な感じになります。 軒下には雲斗きょう、すなわち雲斗・雲肘木を見ることができます。しかし内側は普通の三ツ斗。回廊の内側からは力強いエンタシスの柱を認めることができます。正面の石段下から見上げたり、回廊の内側から見てみたり、色々な表情があって面白い建築物です。
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法隆寺回廊(国宝) 法隆寺には国の文化財指定の回廊が2つあります。一つは東院伽藍の回廊(重要文化財)。もう一つがこの西院伽藍の回廊(国宝)。中門の左右から東西にのびて共に北に折れ曲がり、しばらくして内側に少し折れ曲がった後、経蔵(西)・鐘楼(東)に接続します。それから再び北側にのびて内側に折れ曲がり、大講堂へと接続。上から見るとちょうど凸の字型をしています。
構造的には結構シンプルなものですが、エンタシスの柱がずらりと並ぶ様子は美しいものがあります。エンタシスとはいっても、金堂や中門のものほどふくらみは大きくありません。大きな連子窓(れんじまど)が柱間にならぶ様子も印象的。
当初は凸型ではなくて長方形型をしていたようです。復元の伽藍図をみていますと講堂、それに経蔵・鐘楼も回廊の外側にあります。現在の大講堂は平安時代の再建ですが、どうやらその時に現状になったようです。大講堂の前に銅製の灯篭があり、大体そのあたりに回廊があったと思われます。 |
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法隆寺五重塔(国宝) 回廊の南西側から入ると、初めに目に入ってくるのがこの現存最古の五重塔です。法隆寺の五重塔は逓減率が大きいことで知られていて、上層に行くほど平面が小さくなり、ちょうど二等辺三角形のような形になります。そのため見ている者に大きな安定感を感じさせることになります。
この逓減率というのは、塔の印象にとても大きく影響します。古い塔は逓減率が大きく造られていますので、近くにある法起寺三重塔、奈良市の薬師寺三重塔など安定感が抜群です。しかし時代が下るにしたがって、逓減率は小さくなる傾向があるため、ひょろ長くあるいはスマートに感じます。このあたりどちらを好むかは個人によりけりですが、私は逓減率があるほうがどちらかといえば好きです。 逓減率が大きいため、最上層を三間四方にすることが出来なかったようで、二間四方になっています。高さは32メートルほどあるのですが、うち三分の一が相輪の高さ。軒下には中門と同じ雲斗きょうが見られ、他の五重塔では見られない独特な雰囲気を醸し出しています。最上層の屋根は近世になって修理・改造されて、当初のものよりも幾分高くなっています。
塔の初重には裳階が付けられています。初重は常時扉が開けられていて、内部を見ることができるようになっています。内部の国宝の塑像塔本四面具は奈良時代のもの。東西南北の四面とも異なる場面を表しており、たくさんの塑像が安置されています。 |
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法隆寺金堂(国宝) 金堂は五重塔の右側に建っています。古代寺院の伽藍配置にはいくつか種類があるようで、法隆寺の西院伽藍はもちろん、法隆寺式の伽藍配置となります。つまり右に金堂、左に五重塔。そして回廊でそれらを囲み、その背後に講堂が建てられ、左右には僧坊が配置されます。回廊の形が変化して講堂へと接続しているなど変わった点もありますが、法隆寺は昔の伽藍配置を維持してきています。 中門や五重塔などの古い木造建築物が建ち並ぶ法隆寺の中でも一番古い、しかも世界最古の木造建築物といわれているのがこの金堂です。東西五間・南北四間の二重、入母屋造・本瓦葺で、初層に裳階(もこし)付き。
裳階によって建物の様子は外から見えませんが、裳階の中に入ることができますので是非入ってみてください。初層の柱は強いエンタシスを持っていますので、なにか強力なエネルギーを感じるほどです。こんなに古い建築物からこれほどのエネルギーを感じるとは思ってもいませんでしたから、かなり驚きでした。 中門や五重塔と同様に、雲斗きょうが使われています。ただよく見てみますと、金堂の場合は輪郭に沿って波型に彫られています。金堂以外には見られないものでして、すこし時代が下るといわれている中門や五重塔では省略されてしまったのでしょう。人字型割束や卍崩しの高欄など、細かな部分にも注目しておきたいところです。
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法隆寺大講堂(国宝) 五重塔や金堂の北側にある建物で、東西九間・南北四間の大規模なもの。もともと法隆寺には講堂と呼ばれる建物がありましたが、925年に焼失しています。その後990年に再建されたものが現在の大講堂です。この再建のときに、回廊が大講堂に接続されるように建てなおされました。
平安時代に建てられたものだけあって、金堂や中門とはだいぶ異なる印象を持っています。三ツ斗による簡素な建物であることも大きいでしょう。内部は広大な空間を持っていまして、同時期に作られた薬師三尊像(国宝)などが安置されています。
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法隆寺経蔵(国宝) 法隆寺は古い伽藍配置を残していますので、再建されながらも経蔵と鐘楼をセットで現存しています。何度も書いてきましたが、回廊が凸の字型に一部立て直されていますので、もともと回廊の外側にあった経蔵と鐘楼は回廊の一部のようになっています。 大講堂の基壇の上から見て、右手に見えている重層の建物が経蔵になります。南北三間・東西二間、切妻造の本瓦葺。奈良時代に建てられたものです。747年以前のものと考えられているようです。妻飾は二重虹梁蟇股(にじゅうこうりょうかえるまた)。
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法隆寺鐘楼(国宝) 経蔵の反対側にある建物です。経蔵と見た目はよく似た建物で、南北三間・東西二間、切妻造の本瓦葺。しかし建てられた時期はだいぶ新しく、大講堂と同じ時期でないかと言われています。妻飾も経蔵と同じ二重虹梁蟇股ですが、時代による細部の違いが見られ、面白いところ。
法隆寺には東院伽藍にも国宝の鐘楼があります。同じ楼造でもかなり異なる形になっています。同じ南北三間・東西二間の平面を持っているんですけどねぇ。上層に吊られている梵鐘は無銘ではありますが、かなり古いものと考えられています。こちらは重要文化財となっています。 |
※経蔵と鐘楼の二重虹梁蟇股については、蟇股のちがい(なんやらな?資料館)にも掲載しています。 |
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法隆寺上御堂(重要文化財) 上御堂(かみのみどう)は、大講堂の背後の少し高くなったところにある建物です。東西七間・南北4間の入母屋造・本瓦葺。鎌倉時代の建物です。普段は公開されておらず、毎年11月1日〜3日に特別開扉されるそうですが、私も行ったことがないので見に行きたいところです。
内部には国宝の釈迦三尊坐像が安置されています。 |
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