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東大寺南大門

純粋な大仏様(だいぶつよう)建築は全国に2棟しか現存しておりません。ここではそのうちのひとつ、東大寺南大門に登場して頂きまして、大仏様の特徴を見てまいりましょう。東大寺南大門は建築の規模が格段に大きいですので、大仏様の圧倒的な迫力を感じ取ることができるでしょう。

東大寺南大門
東大寺南大門(奈良・国宝)。

○1、挿肘木(さしひじき)。
東大寺の南大門では軒の重量を支えるために、挿肘木が何段にも重なって手前にせり出してきています。段々に6回せり出してきますので、六手先(むてさき)と呼ばれます。斗尻(とじり、斗の底の部分)には皿板が付けられていて、この斗のことを皿斗といいます。

挿肘木 皿斗
左:黒い矢印のところから、左方向へ挿肘木が出ていて、それが上へ重なっている。
右:矢印の四角い材が皿斗(さらと)。上下の水平材は挿肘木。

○2、木鼻(きばな)の繰型(くりがた)。
大仏様建築の東大寺南大門では木鼻には繰型が付けられています。建物が大きいので軒下までの距離もあり、色合いもだいぶ褪せて見にくくなっていますから、あんまり目立ちませんね。

繰型1 繰型2
左:画像では実に分かりにくいが、矢印の三箇所に繰型がついている。
右:大仏様肘木。下面に簡単な波型模様がつく。

○3、遊離尾垂木(ゆうりおだるぎ)。
ちょいと分かりにくいのですが、上の屋根の組物の間に遊離尾垂木が見えています。東大寺南大門の内部は天井が張ってありませんので、内側を見上げてみると屋根裏に遊離尾垂木を確認できます。暗くて見えにくいですけど。

○4、扇垂木(おうぎたるぎ)。
上下の屋根共に、角の垂木は扇垂木となっています。建物の大きさの割には、規模の小さな扇垂木です。禅宗の普及と共に広がっていった禅宗様(ぜんしゅうよう)とよばれる様式では、この扇垂木がぐっと大規模なものとなります。それと区別して、大仏様の扇垂木は「隅扇(すみおうぎ)」とも呼びます。

遊離尾垂木 扇垂木
左:見分けがつきにくいが、矢印の先が遊離尾垂木の先端あたり。
右:屋根の隅だけが扇形の垂木配置。いわゆる「隅扇」。

○5、鼻隠板(はなかくしいた)。
上下の屋根両方に、鼻隠板が付けられています。東大寺南大門の場合は高さがあって、たいてい軒下を見上げる格好になりますので、鼻隠板では垂木がなかなか隠れないために、同じ大仏様建築である浄土寺阿弥陀堂のものほど印象的ではないですかね。

鼻隠板 扇垂木
左:矢印の先の板が、鼻隠板。矢印の左右に少し見えてるのが垂木。
右:上下の屋根とも鼻隠板が付いている。ついでに上下の屋根とも扇垂木になる。

○6、桟唐戸(さんからど)と藁座(わらざ)。
南大門にも扉が付いていたようなのですが、現在ははずされています。藁座が残っているのですが、上側だけ。下側の藁座は傷んでしまったのでしょうか。取り付けられていた跡だけが残されています。

○7、貫など水平材の多用。
遊離尾垂木のところで、南大門には天井が張っていないと書きましたが、天井を張っていないということは、内部の構造がよく見えるということです。ぜひ観察してみてください。印象的なのは屋根裏まで延びていく巨大な柱と、柱同士をつないでいる無数の貫。大仏様建築は水平材を多用することで、水平にかかる力に対して(例えば地震など)強くしています。

藁座 内部の様子
左:東大寺南大門の藁座。扉の軸がはまっていた穴がある。
右:南大門内部の様子。屋根裏まで見上げることができる。
矢印のところに遊離尾垂木が見えているのだが、画像では分かりにくい。


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2003年1月12日作成。
2004年2月15日資料館より移転。
2004年2月29日更新。

○関連項目○
東大寺(主な古建築紹介)
東大寺鐘楼(建築細部)
東大寺法華堂(建築細部?)


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