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長寿寺 (ちょうじゅじ)

琵琶湖の南側に位置するから湖南市。甲賀郡に属していた石部町と甲西町が平成の合併により誕生した都市だ。長寿寺はその旧石部町の町域にある。「甲賀」といえば忍者の里として知られていようか。信楽焼で有名な信楽町(現在は甲賀市)も旧甲賀郡である。また石部は東海道の五十一番目の宿場町(いわゆる東海道53次の51番目)でもあり、何かと歴史のあるところだ。

旧石部町には常楽寺というお寺もある。長寿寺はその常楽寺との位置関係から、東寺とも呼ばれてる(実際の方角は南のほう。常楽寺は西寺とも呼ばれる)。長寿寺も常楽寺も国宝建造物があり、その方面に詳しいの人々には知られているが、やはりマイナーなお寺。訪れたときはだいたい他に参拝者もおらず、静かな境内をゆっくりと散策できた。

聞くところによると、長寿寺は聖武天皇の勅願によって建てられたのが始まりとされているようだ。後の時代に天台宗のお寺となって現在に至っている。

中世密教寺院ということで、かつてこの長寿寺にも三重塔が建っていた。現在では見当たらないが、時の権力者、織田信長によって安土に移築されたからである。安土にあるハ見寺三重塔がその塔だと言われている。本堂脇の階段を上がって、さらに山道を少し登ると、三重塔跡の礎石が残っている。


長寿寺本堂(国宝)

小さな門をくぐってまっすぐに伸びる参道を歩いていく。木々が左右から枝を伸ばしているので、緑のトンネルを歩いていくような感じだ。その参道を突き当りまでいくと、国宝の本堂が建ってる。周りの自然と調和した感じ。自然と調和できるのが日本古建築のすごいところのように思える。

長寿寺1
長寿寺本堂。

正面五間・側面五間で、正面には三間の向拝が付く。桧皮葺(ひわだぶき)で寄棟造(よせむねづくり)。なだらかな桧皮葺の屋根はとても優美だ。屋根が低く見えるので、こちらの視線を軽く受け流すような感じ。急斜面の屋根であれば屋根が高くなって、こうはいかないだろう。

長寿寺2
向拝付近の様子。

建立時期は鎌倉時代初期と考えられている。正面の桟唐戸は当時のものであろうか。だとしたら、新様式をいち早く取り入れたことになる。内部はいわゆる密教本堂の形式であり、なかでもこの建物は古い形を伝えているそうだ。その内部をぜひ見たいところであるが、あらかじめ申し込んでおく必要があるようだ。

長寿寺3
正面の扉は桟唐戸。
鎌倉時代に始まる、いわゆる新様式のもの。

長寿寺4
おや、向拝には小さな手挟(たばさみ)が付いている。
鎌倉時代以降に発達していく装飾材。

長寿寺5
組物は三ツ斗。質素な雰囲気に合う。
巻斗の高さが高めなのも、建てられた時代を反映してか。


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長寿寺8
長寿寺の門。

2003年9月14日作成。
2005年5月5日更新。

○撮影時期:
2002年8月中旬。
2005年3月上旬。

○アクセス:
JR草津線石部駅までは、京都駅から琵琶湖線草津駅で乗り換え。所要30〜40分くらい。

JR草津線石部駅からは旧石部町内を循環する市内バスがあり、それに乗って長寿寺で下車するとよい。

○関連項目○

○参考文献○

○関連サイト○
湖南市(公式ホームページ)
※上記の市内バスの時刻表と路線図のページがある。湖南市域の観光情報も簡単に載せてある。


長寿寺弁天堂(重要文化財)

国宝本堂に向かって右手にある池の中に、小さなお堂が建っている。これが弁天堂。一間四方の建物で、入母屋造の桧皮葺(ひわだぶき)。正面には、軒唐破風(のきからはふ)が付いている。1550年に建てられたもの。

長寿寺6
長寿寺弁天堂。



白山神社拝殿(重要文化財)

弁天堂とは反対側、本堂に向かって左手の高台に、白山神社拝殿が建っている。組物は舟肘木(ふなひじき)に、軒下の一軒疎割りの垂木はとてもシンプルな印象だ。三間四方の建物で、入母屋造の桧皮葺(ひわだぶき)。四方の柱の間に、格子戸がはまっているのは珍しいそうだ。室町時代の建物と考えられている。

長寿寺7
白山神社拝殿。



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