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石山寺 (いしやまでら)

日本で一番の面積を誇る琵琶湖。あまたの川から水が流れ込む一方で、自然の水の出口はただ一つ。何度も歴史的事件の舞台になった瀬田川だ。その瀬田川のほとりに、一つの古刹がある。その起源にはおそらく「岩」への信仰があった。境内にある天然記念物の珪灰岩。この巨大な「岩」こそ、「石山」の起源となった。

その「石山」の名を冠した石山寺は、奈良時代まで歴史をさかのぼることができる古刹。さすがに創建当時の建築物は残されてはいないが、それでも滋賀県で一番古い木造建築物(国宝本堂)があったり、鎌倉時代の初頭に建てられた国宝多宝塔があったりと、その古さを十分に感じさせてくれる。

石山寺は春の桜と秋の紅葉で有名。とくに紅葉は「石山」の起源となった天然記念物の岩のあるあたりが美しいと言われる。紅葉も自然の産物であるので、年によって出来不出来があるけども、去年(2004年)の紅葉は綺麗だった。

石山寺は西国三十三所の第十三番札所となっている。そのため本堂では朱印を受ける巡礼の方々で賑わっていることがしばしば。ちなみに第十二番は少し南の正法寺(岩間寺)、第十四番は三井寺である。第十一番は醍醐寺、第十六番は清水寺、などなどと、古建築めぐりはこの三十三所とも縁が深いようだ。


石山寺東大門(重要文化財)

瀬田川に面して建っている門で、石山寺の正門になる。いわゆる八脚門(やつあしもん)と呼ばれる形式の門であり、中央の柱列の手前側と向こう側に、4本ずつの柱(控柱)が計8本あるので、このように呼ばれる。入母屋造(いりもやづくり)の本瓦葺。三間一戸。

この門は八脚門にしては多少特殊系なのではと思う。まずは屋根が入母屋造である点。普通、八脚門といえば切妻造(きりづまづくり)が思い浮かぶ。それにこの東大門は軒下の組物が三手先(みてさき)となっており、いくらか手の込んだつくりになっているのだ。入母屋造といい、三手先といい、少し格を上げて(意識して)建てているように思う。まぁ、古建築は例外もたくさんあるし、現存数も限られているから、何とでも想像できてしまうのであるが…。

石山寺1
石山寺東大門。

1190年の建築であるけど、慶長年間にかなり大規模な手が加えられているとのこと。三手先という構造を選択してあることもあってか、とにかく深い軒が印象的な部分になっている。その軒下を見ていると、三手先なのに角の方向以外に尾垂木(おだるき)が出ていない。尾垂木は巨大な材であるので、あると無いとではかなり印象が変わってくる。尾垂木を用いなかったのは、やはり見た目に変化を付けたかったためだろうか。


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石山寺
石山寺の珪灰岩。

2003年10月11日作成。
2005年7月30日更新。

○撮影時期:2002年9月中旬。

○アクセス:
京都・三条京阪から、地下鉄東西線浜大津行き(京阪京津線直通電車)にて浜大津下車。浜大津で石山寺行きに乗り換え、石山寺駅にて下車。下車後、瀬田川沿いの国道を徒歩10分ほど。

JR京都駅から、JR琵琶湖線石山駅下車。石山駅からバスで10分ほど。

○関連項目○

○参考文献○
『古寺巡礼近江2 石山寺』 淡交社 1980年

○関連サイト○
石山寺(石山観光協会によるページ)


石山寺本堂(国宝)

東大門からのびるまっすぐな参道を歩いていくと、巨大な珪灰岩がある。ちょうどこの間にある石段(少し急)を登っていくと、さらに巨大な珪灰岩のある平地に出る。先に述べた天然記念物の珪灰岩で、左のほうに行くと本堂が、岩の横のある石段を登ると多宝塔がある。

滋賀県は「本堂」と名の付く古建築に恵まれていて、6棟もの国宝指定本堂がある(根本中堂(延暦寺)も入れると7棟)。石山寺の本堂は、その中でも異色の本堂。滋賀県にある国宝建築物においても、ぜひ見ておきたい建物なのである。

違う時代に建てられた二つの建物、つまり北側にある本堂と、南側にある礼堂(らいどう)を一つにつなげた建築である。本堂部分は東西七間・南北四間、礼堂部分は東西九間・南北四間、さらにそのあいだに「相の間(あいのま)」があって、そこは東西七間・南北一間。多少複雑な平面をしており、それにともなって屋根の形も多少複雑。

石山寺2
石山寺本堂北側より。

本堂部分は平安時代後期の建物で、一方礼堂部分は桃山時代の建物(豊臣秀吉の側室である淀殿の寄進による)。本堂部分は上の方で書いた通り、滋賀県内で一番古い木造建築。組物などに平安時代の建物の特徴が出ている。見た目には色んな装飾が施してある礼堂部分が楽しいかもしれないが、でも本当に面白いのはシンプルな本堂部分。両方を比べて見るのもまた面白い。

石山寺3
石山寺本堂東側。

礼堂部分は地面が大きく下がっているので、懸造(かけづくり、いわゆる舞台造)となっている。懸造だと、何といっても眺望を期待するが、本堂が谷あいに建っている上に、大きな木がたくさん植わっているので、眺めはあまりよろしくない・・・。巡礼のお寺らしい雰囲気が漂っていて、なんだか国宝建築物っぽくない雰囲気も楽しめる。

石山寺4
石山寺本堂礼堂部分。懸造になっている。



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