Schwedenplatz なんやらな?湖国館

正福寺 (しょうふくじ)

今年は禅宗様の建物を多く見たような気がする。昨年あたり、西日本にある禅宗様建築をいくつか見たのだが、さすがは「見せる」様式である。小さな建物だと組物が繊細であるし、大きな建物だとダイナミックであるし、少し見せられるようになってしまった。そこで東日本の禅宗様も見てみようということになった。

しかしさすがに京都から東京まで行くのは難儀なことである。しかも目的が国宝建築だけというのも、どうもマニアックでよろしくない(すでに十分マニアだが…)。偶然にも東京に行かなければならない用事が出来たので、山梨県の国宝建築もついでにまわって観光旅行を兼ねようということになった。

池袋から西武線に乗って所沢へ。そこから新宿線に乗り換えて東村山まではすぐである。西武電車に乗っていて気付いたのだが、西武線は狭軌ではないか。京阪間・阪神間の私鉄は広軌である。そのためか狭軌の私鉄はめずらしいような気がする(関西にも狭軌の私鉄はあるそうだ)。

東村山市は東京都にあるので、それなりの都会(所沢のような)を想像していたのだけども、意外に静かな住宅地だった。駅から西に伸びるバス道は住宅地の中で、交通量もそんなに多くはない。連れとくだらん世間話をしながら歩いていると、正福寺の案内板が見えてきた。お盆だったので、墓参りの人が時々通っていく。


正福寺地蔵堂(国宝)

東京都唯一の国宝建築である正福寺地蔵堂は、室町時代に建てられた。ひと目みて分かるように、典型的な禅宗様建築である。三間四方に五間四方の裳階(もこし)が付く。屋根は入母屋造・こけら葺となっているが、裳階は銅板葺となっている。

正福寺1
正福寺地蔵堂。

地蔵堂はミニサイズだ。裳階が五間あるといっても、一間一間はそんなに広くなく、小ぢんまりとしている。小さいとそれぞれの部材も小さくなるので、組物も小さく作られている。細い部材で作られた詰組は繊細で美しい。

正福寺2
組物の様子。

こけら葺というと、京都の光明寺二王門のような雪深い場所の建物を想像する。でも関東平野にある地蔵堂が雪に対する備えを本気で考え、造られているとは思えない。聞くところによると、以前は茅(かや)葺だったという。それを昭和になってこけら葺にしたものだそうだ。創建当時、何を葺いていたかは知る術も無いが(専門家は知ってるかもね)、昭和になってわざわざ「こけら」にした理由は何であろうか。

それが何であれ、こけらにしたのは正解であったように思う。こけらにすると桧皮と同じように軒のラインがきれいに出る。とくに軒先を大きく反らせる禅宗様では、反りがはっきり出たほうが特徴が出てよい。茅でも個性的で面白いのであるが。

正福寺3
正福寺境内。

正福寺は自由に出入りできるようになっている。住宅地の中に仕切りも無く古いものが、しかも国宝が残っているという、少し不思議な空間だ。この雰囲気はとても新鮮なものに感じる。京都ではなかなか出会うことのない、少しうらやましい様な雰囲気である。


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2004年12月18日作成。

○撮影時期:2004年8月中旬。

○アクセス:西武新宿線東村山駅から徒歩10分くらい。


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