ポケモン小説
9 アカネの苦悩(1) (Iwai様 著)
邪魔者の暗殺 その計画に選ばれた団員は 若くして エージェントクラスにまで上り詰めた キンとギンの金銀コンビだ この2人は 15の時ロケット団に入り 3年後に幹部の下で特命を遂行する エージェントになった 性格は ナンバー8に出たゴルゴス以上に凶悪で 任務遂行の邪魔者は片っ端から始末して行く凶悪コンビなのだ そんな2人が今回受けた指令内容をそのまま写し書きしたものがこれだ …ロケット団幹部クラス マグナムより伝達 ブラック ホワイトコンビ及びデミーダミーコンビと我が幹部ゴルゴスをブタバコにぶち込んでくれた者 矢田あき 上の者 幹部会の審査により 危険度Aに指定 早急に消すよう命令が出た なお 仲間がいる模様 邪魔及び このことを知った者も暗殺対象とする もちろん この指令書は焼却し 跡形も無いよう処分せよ… もちろんこのことは 矢田はもちろん ロケット団でさえ知るものは ボス代理と幹部会 そしてこの キンとギンのみ… 「ねえ ここどこなのよ」 キンがギンに言った 「知らねえよ 地図を見ろ地図を」 どうやら道に迷ったようだ よくこんなんでエージェントになれたな 「…アサギの港?ここアサギシティじゃない!」 ちなみにアサギシティはコガネシティとは全く別の場所だ その時無線が鳴った 「はいもしもし こちら…」 キンが言い切る前に 向こうにいるマグナムが怒鳴った 「もしもしじゃない! お前らどこほっつき歩いてやがる!なんでアサギシティになんか行ってんだ!」 それはこっちが聞きたい 「いいか!早急にターゲットを抹殺して本来の仕事に戻るんだ!わかったな! !」 そういうと ガチャンっというすさまじい音とともに無線は切れた 「まったく!仕事中になに呼び出すのかと思えば 子供の暗殺?そんなことで 一々私達を使わなくたっていいでしょ」 キンが持っていた地図を地面に投げ捨てた 「まったくだ!ガキの暗殺ぐらい ヒマな下っ端連中にでもやらせておけばい いんだよ!」 「あれ?そういえばさ ターゲットの名前ってなんだったっけ?」 おいおい 本当にあんたらエージェントか? 「えーっとたしか…和田アキコとか言ってたような…」 ちがうっつーの! 「和田アキコってあの有名人の?そんなはず無いでしょ」 そう 違う 「いや…たしかそんな感じだったぜ…いや間違い無い!」 いや だから違うって 「よし とにかくそんな感じの名前ね わかったわ」 あーあ 間違えて覚えちゃった もう知らね こいつら明日ぐらいクビになってるかもよ 「で コガネシティにはどうやって行くの?」 「えーっとまず船に乗って…」 エッ船? 「船か 私船酔いするからやだな」 いや…船に乗らなくて良いし…ていうか乗らない方が良いし… 「よーし それじゃあ船に乗り コガネへ上陸するぞ!」 …上陸とか言ってるし…島に行くんじゃないんだから…おかしいよこいつら… 「あーまた逃げおった」 「は?また逃げたん?」 「もう!今日はお客が来るからジムにいてくださいよって言っといたのに…」 「とにかく探しましょう!」 「ええ 皆協力して」 何やら騒々しいが 何があったのだろうか 時間を戻して説明しよう 昨日の夕方 いつもジムを閉める時間だが その時も今以上に騒々しかった 「えー 何でそんなんかってに決めるんや」 アカネの声が響いた 念のため言っておくがアカネはこのジム つまりコガネジムのジムリーダーだ 「いややわ 絶対いやや!」 ちなみに何をいやがってるかというのは後ほど明らかにする 「そんなん言ってももう決まったことですやん だいいちその時遊びに行って たアカネさんがいけないんでしょう」 「だって…あん時は…」 「だってもさってもありません いやならいやってその時はっきり言ってくれ れば良かったじゃないですか」 この口論に無意味さを感じ始めたのかアカネはこう言った 「…わかったわ…もうええ…」 そう言い残しアカネはベッドに入った……はずだった しかし今どこを見てもアカネの姿はどこにも無い 「ええな アカネサンの行動範囲はこの街の中や それより外には出れんはずや」 そう言ってるのは アカネの次に強く 副ジムリーダーとして活躍している ハマチ アカネと喧嘩していた人だ 今朝の9時 例の客が来るのは午後の3時 残り12時間 H探偵団は 今休業中 ばらばらにすごしていた 烏丸と斎藤はポケモンを捕まえに自然公園へ アリスは図書館へ行っていた そして矢田は することが無いので公園をブラブラしていた その時不意に声を掛けられたビックリして飛び上がった 「なあなあ 悪いけど図書館ってどっちやったっけ?」 「あ それならさっき行きましたよ 道は…」 そこまで行ってようやく声をかけてきたのがアカネだということに気付いた 「あ!あなたは…」 大声で叫ぼうとした矢田の口をアカネは素早くふさいだ 「しー しずかに!」 アカネは小声で矢田にそう言った 矢田は直感的に悟った 「あのー 誰かに追われているんですか?」 小声でそう聞いた アカネの答えは「うん」であった 「あのー 誰に追われてるんですか もしかしてストーカーとか…」 矢田は違うなと思った ストーカーは確かにいそうだが それくらいならアカネの実力なら簡単に追い払える わざわざ逃げ回らなくてもいい あまり詮索されるのを恐れたのか アカネはこう言い放った 「あのなあ 他人のことに口出しせんといてくれる?うちは今いそが…」 そこまで言って矢田の顔が曇っているのに気付いた 素早く謝って言いなおした 「いや…その…ごめんごめん!ちょっと気がたっとったんや ごめんな 言いすぎたわ」 「じゃあ話してくれます?」 矢田は笑いながらそう聞いた 「…このこ…はめおったな」 矢田が顔を曇らせたのは縁起だったらしい アカネは昨日のことを話し始めた そこで強引に決められた いやなことも話した 「いやなこと」というのは 負ければバツゲームという「勝てば天国負ければ地獄」というクイズ番組のことだ この番組は出場者が3人1組で参加し 2チームで争い 最終的に得点が低かった方に過酷なバツゲームをさせるという番組だ この番組は負ければバツゲームが与えられるが 勝てば名前の通り嬉しい賞品がついてくるという (ルーレットなので外れることもある)名前の通りの番組だ アカネがいやなのは その中のバツゲームの一つ 60メートルバンジーだ (もっとも好きなバツゲームなど有りはしないのだが)そのことでアカネは喧嘩していたのだ なお今日来る客というのは このことには関係無いが ジムの視察にくるコガネ市長のことだ 視察現場にリーダーがいないのでは問題になる そのためハマチたちは血眼になってアカネを探していたのだ 「でもそれだったら早くジムに戻らないと…」 矢田はそう言ったがアカネは首を横に振った 「…あの番組のバツゲームがいやっていうのもあるけど…一番の理由はそれを 勝手に決めたことや 確かにあの時遊びに行ってたうちも悪いかもしれん せやけど何の連絡も無しに勝手に決めるのはひどすぎるやろ…そやから…」 そこでアカネは黙り込んでしまった 「あのーアカネさん 余計なことかもしれませんけど…いいですか?勝手に決めたハマチさんも悪いですけど それを言わずに勝手に出てきてみんなを困らせてるアカネさんも悪いと思いますよ… 自分が言いたいことははっきり言わないと他人には伝わりませんよ…」 そう言われたアカネは しばらく下を向いて考え込んでいたが しばらくして 急にテンションを上げて言った 「そやな ワガママなうちの方がいけないわな 悪かったな こんな話しに付き合わせて…そうや うちに一喝いれてくれたお礼や うちのミルタンクのミルクご馳走したるわ!ちょっと取って来るから待っとき」 そう言うとアカネはジムの方へ帰っていった しかし その途中 誰かに呼びとめられた 「あのー すいません」 男はそう言いながら警察手帳を見せた 「警察の人がうちに何の用ですか?」 アカネの質問に男はさらっと答えた 「ハマチさん…知ってますよね」 当然 自分のジムのトレーナーの名前くらいわかる しかもついさっきまで喧嘩していた者の名だ 「ハマチはんが…なにか?」 「実はついさっきハマチさんが通り魔に刺されたって連絡がありまして でも ジムリーダーのあなたが行方不明って聞くじゃないですか そこで皆さんから探して病院に連れてきてくれと言われましてね お連れに参ったのです」 え?刺された?刺されたの意味を理解するのに数秒かかった 「さあ早く みんな待ってますよ」 せかされたアカネは矢田のことを思い出した このまま待たせていては気の毒だ 「あの 刑事はん?ちょっと向こうで待たせてる友達に病院に行って来るって言って来ますわ」 少し冷静に戻ったアカネはこう言った しかしその瞬間男の態度が豹変した 「…乗れ」 男は拳銃を取りだしこう言った 「は?刑事はん何の真似…」 我慢の限界に来たのか男はさらに口調を荒げた 「乗れって言ってんだよ!」 そう叫ぶと男は強引にアカネを車の中へ押し込んだ この叫びに気付いて矢田が近づいてきた 「よし 出せ」 男がそう言うと車は急発進した 公園から出てきた矢田と車の中のアカネの目が一瞬会った 「え?アカネさ…」 矢田がそう言う前に車は猛スピードで去って行った それを矢田はしばらく呆然と見つめていたが しばらくして状況を理解した 「え…アカネさんが…大変だ!」 矢田は慌ててどこかへと走って行く 図書館にいるアリスに向かっているのだ そのあとすぐ烏丸と斎藤も集まった ジムにも連絡をした しかし今アカネを探しに行って誰もいない 仕方ないので先に警察へ通報した 今午前11時 「ちょっと これ何のまね…」 再びアカネはそう言ったが 男たちは拳銃を突きつけて黙るよう促した アカネは確かに強いが ポケモンを出せなければただのそこらへんの姉ちゃんと大差ない 車の中は狭すぎるし のどもとに拳銃を付きつけられては動きようが無い 「…あのさあ 分かったからこの銃どけてくれんか」 そう言われた男達は 拳銃を引っ込めた…かに見えたが銃口はまだアカネのほうを向いている 一方コガネジムではやっと探しに言っていた人が全員戻ってきた 「え?ほんまですか?」 ハマチがそう言うとそこにいた刑事は頷いた もちろんアカネが連れ去られたということだ 「…そんな…アカネさんが…」 愕然とした ちょうどその時、ジムに備え付けられている電話が鳴った 警察の逆探知の準備ができ ハマチが受話器を取った 「…コガネジムの…人か?」 電話の男はそう言ってきた ハマチは頷きながら「はい」といった 「…もう分かってるようだが そちらのジムのリーダーさんのことを思うなら 俺の話しをよく聞くんだな…いいか一度しか言わないからよく聞け」 緊張が走る 「えーっとまずね ポケモン以外の趣味も一つくらい持ったほうがいいよ 趣味って言うのは意外と大事なものでね ボケ防止に役立つらしいんだ だからポケモン以外にもう一つくらい趣味を持ったほうがいいとボクは思うよ」 拍子抜けするような返答だ 「どうだ リーダーさんのためになっただろ」 「………はあ…」 辺りは静まり返った 「…それで あなた一体何なの?なんかのセールス?」 ハマチがそう聞くと何かよく聞き取りづらい単語を口にして早口に何か言い出した 「あの 今取り込み中なんで 失礼します あとその商品はいりません」 ハマチがそう言うと電話は切れた 「兄貴 準備はできやしたぜ」 アカネの隣りに座っている小柄な男が運転している男に言った 「よし 電話だ」 小男は素早く携帯電話を取りだし素早く電話番号を押した さっきのセールスに拍子抜けしていたジムに再び電話がなった 再び緊張が走る 「もしもし そちらのリーダーさん預からせてもらっているものです」 今度は間違い無い はっきりとアカネを預かっている…そう言った 「いいか一度しか言わないからよく聞け 要求額は…1000万」 1000万 それはクロスの懸賞金の額に等しく 矢田家の借金の2倍の額に当たる 「日時は今日の3時 場所は 後に指定する」 1000万を残り3時間(この時時計は12時を回っている)で集める…コガネジムにこれだけの資金があるのか 「ちょっちょっと待ってください リーダ…いやアカネさんの声を聞かせてください」 男はアカネに電話を代わった アカネはちょっとみまわしてからこう言った 「ハマチはん!今マロ九の前の通りや それから…」 マロ九というのはとあるスーパーの名前だ アカネが現在地を言おうとしてい るのに気付いた男が携帯の電源を切った 通話はきられた 逆探知も失敗に終わった 「ふざけやがって!このガキ!この場で撃ち殺してやろうか」 男は拳銃をアカネに付きつけた 「おいやめろ 死体とドライブしてえのか」 運転手が止めるよう言った 男は拳銃をもとの場所に戻した 「それに…場所ならいくらでも変えることが出きる 無駄なことだ」 そう言うと運転手はスピードを上げた 「それに…アカネさん 今のは自殺行為ですよ」 アカネには意味がわからなかった しかし しばらく進んで行くとその言葉の意味がわかった …スーパーマロ九は移転していたのだ しかも街の全く逆に…しかもマロ九は 広いコガネシティには3店もある 特定するのは困難だ 目印としては不適当な店だったが目印になりそうなものも 数年前にハマチと一緒に行ったマロ九の前にあった見覚えある通りだけだったのだ… それにしてもいつの間に移転なんか…アカネはそう思った 最近はジムのことで手一杯になってこの店に来ることも数年前ハマチと来たのが最後だったからだ 車は無情にもこの街育ちのアカネにもわからない郊外へと出て行った…続く ナンバー9 終わり ナンバー10へ続く