髑髏城の七人

2004/10/16 日生劇場 1階H列39番


 7年前、今は無き中座に観に行った作品です。

 春アカ秋アオと2バージョンあったこのお芝居。アカは忍法帖での古田さんのあまりの色気の減少に思わず観に行くのをやめちゃったんですね。それに高田さんや粟根さんも出てなかったし。なので、アオしか観てない私の感想はアカアオ両方観た人とは変わると思います。どっちがいいかなんて言えません。'97バージョンのときと今回とを合わせて書きます、たぶん。

 実はこの髑髏城、私にはそれほど思い入れのある作品ではありません。中座に観に行ったときも新感線のおぽんち系以外で生で観たのは初めてだったせいか、妙な違和感を感じたまま観終わってましたし。それが大きいのは初演の配役を聞いていて、沙霧役はみっちょんより高田さんのほうが合うし、極楽太夫のイメージは高田さんじゃないよな〜(初演:羽野さん)と思っていたのがネックになっていたからだと思います(このころの高田さんはまだ男っぽい女役をやるイメージが残っていた)。それと蘭兵衛。皮肉屋で秀才っぽい役どころの粟根さんが好きな私にとっては、この役は「え〜っと、どこが森蘭丸なんじゃ〜!!」とつっこみを入れたくなるくらいビジュアル的に合わなかったんですね。ちなみに演技そのものはとてもよくて、合う合わないを超越していましたよ。殺陣はおいといて。
あとで思い返してみると、それ以前にやっていた「スサノオ」シリーズよりは受け入れることができたし、お笑い部分とシリアス部分がいい具合に混ざり合っていて、バランスいい芝居だったな〜と思えるようになりました。だから新感線にとってこれが転機だったというのは分かる気がします。

 この芝居の感想を一言で言うと、おもしろかったです。あの無駄にお金をかけてそうな趣味の悪い衣装も私は好き。あのどぎつい衣装にすることでお祭り感が増大して派手でよかったんじゃないでしょうか。お祭り感が増えた分だけ人物が軽くなってしまったのはしょうがないような気がします。「ザ・お芝居」という感じで3時間40分楽しめました。
 ちょっとな〜と思うところを細かく挙げると、まず一つが見切れ。中程上手側の席だったのですが、下手袖の奥にある、楽屋への出入りに使われるドアがときどき見えるんですね。しかもそのドアの向こうは(当たり前ながら)廊下で普通に蛍光灯がついているから、役者が出ていくのが見えるんです。それはちょっと舞台に集中できなくなるからなんとかして欲しいと思いました。つか、いのうえさん、見切れを意識して演出してほしい。
 第二に首。才蔵の首は出さなくても・・・。最後の天魔王の首は必要性があるけれども、才蔵のときはそうでなくてもよかったのに。首が出てきて思わず素に戻ってつっこみを入れてしまいましたよ。
 第三に蘭の多用。アカで使って好評だったらしいけど、効果的に使ってこその小道具なので、あんなに頻繁に出さないほうがよかったのでは。

 役者について。
 まず染さま。古田捨との大きな違いはその爽やかさでした。古田さんはねちっこいホントにHな捨之介で古田さん得意なキャラ作りだけれども、染さまはHをネタにはするけれども実際は爽やか好青年。「女が好きだからこそ優しい」というよりも真からのフェミニストという感じがしました。どっちもありでしょ。んでもって天魔王。歌舞伎で鍛えた発声なのか、低い威圧感のある声は天魔王ぴったりで驚きでした。染さまって優男というイメージがあったので、あそこまで天魔王がはまるとは思ってもみなかったんですね。すいません、みくびってました。

 2chで批判が多い池内蘭。殺陣がダメとかいろいろ言われてたので、覚悟して観たら、そうでもなくて一安心。つか彼は今回初舞台なのに、あそこまでやれる方が私はすごいと思いましたよ。声が粟根さんにそっくりだったのには寒気が走りました。これじゃあ比べられて批判されてしまうかも。ビジュアル的には粟根さんよりは似合っているし、7年前の粟根さんの殺陣もそう大したものでもなかったように思うんですけどって書いたらファンに殺されるかしら。池内さんは顔が整っていてキレイなので、遠目からでもかっこいいんですよ。顔も小さく背は高いと外見的には恵まれているし、声も響くいい声だったと思うので、伸びていってほしいな〜と。内面的にはこの役が難しいからか試行錯誤しているのが見え隠れしてしまっているけど、楽日までにはどうにか彼なりを蘭をつかんでほしい。とまあ、ここまで書いている文からも分かるように、今回一番やられてしまったのが実は池内さんです。役がどうこうはあまり関係なく、外見でかも(^^;;濃い系は得意じゃないのにおかしいな。ジョニー・ヘイワードなのに。自分でも不思議なんですけどね。

 高田さん。色気が増しています。ガーターよりもその胸の谷間に目がいってしまいました。女性として熟れた極楽太夫が若造の忠馬をころがしているという設定がはまりまくっています。旦那である高杉さんとのカラミが少しあるのですが、きっちりそこでネタを仕込まれていて笑わしてくれます。色気少しもらいたいよ〜。

 粟根さん。今回は初演時の小田切渡京です。今でこそこんな役は河野さん(ときには成志さん)の十八番ですが、元々は粟根さん、こういう役多かったんですよね、そういえば。私はビジュアル系な粟根さんより計算高い皮肉屋な粟根さんが好きなので、こういう役は大歓迎です。今回は高田さんと粟根さんを目当てに行ったにも関わらず、途中から粟根さんに目が行ってませんでした。そうです。池内蘭ばかり観てしまっていたんです。あ〜ホントいかんいかん。

 三宅さん。これぞ飛び道具!という役です。おかしすぎる。第一「タナカ」って。こんなすばらしいネタを考えた人はえらい!三宅さんのちょっと情けない顔がマッチしてて、めちゃくちゃ楽しめました。三宅ファンには大満足だったのではないかな?

 逆木さん。公演がまだ始まっていないときに三宅さんが贋鉄斎らしいと聞いて「じゃ逆木さんは?」と思っていたら、三宅さんは弟子で逆木さんは贋鉄斎。よかった〜と思ったのもつかの間、すぐに死んで弟子にバトンタッチするし。今回は服部半蔵もやっていたので、いいのかな?

 杏ちゃん。童顔だから14,5くらいに見える。それでいて「赤針斎」って・・・とちらっと思ったのですが、一芸に秀でた人ってモーツアルトのように、小さいときから大人を凌駕するっていうし、きっと沙霧は天才だったに違いないと納得して観てました。杏ちゃんだったからこそ、染さまの捨とお似合いだったんだろうな、と思います。これが古田捨だったら犯罪になっていたに違いない。もしくは親子とか。どちらにせよ古田捨とは合わなかったのでは。

 村木よし子さん。久しぶりに観ることができてうれしい〜。歌のうまさは相変わらずだし。これからもぜひ出続けてほしい。

 鬼龍丸。なんであんなに弱いんだ。あれでどうして髑髏党の幹部になっているのか不思議です。この役を高杉さんがやるからそのギャップがおもしろいんですけどね。

 ラサールさん。早朝の情報番組をやりながら毎日あんな長い舞台に出ているなんてそれだけでも脱帽ものです。狸オヤジの時はあのひょうひょうとした声がぴったりだけれど、家康とばれてからはちょっと厳しかった。元々高めの声だからこればっかりはなんともならないですよね。でもあまりラサール石井として観ることなく芝居を観ることができたので、役作りとしては成功しているんだと思います。

 あっくん。名前も変わっているとはいえ、ポジション的にじゅんさんの部分だから難しかったと思います。じゅんさんには出せない、血気盛んな若者という感じがあふれ出ていたので、よかったんじゃないでしょうか。年上の女に惚れて成長していく男という図ができていて、髑髏城としての新しい役柄が生まれたように思います。

 他にも小村さんや山中さん、川原和久さん、前田さんに川原さんなどいい役者をいい感じで使っていて贅沢な芝居だな〜と思いました。

 見終わったあと、アカも観に行けばよかったと痛烈に後悔しました。終わったものをあれこれ言っても仕方がないので、早くDVD化されないかな〜と思っています。年末くらいならうれしいけど、きっと年明けなんでしょうね。  

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