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2004/12/03 紀伊国屋ホール J列20番 初NYLON100℃です。ケラさんのお芝居は何回か観たことあったのですが、本公演は観たことなかったので、楽しみにしてました。役者も少数精鋭ですし。ちなみに八嶋さんだけが初見です。・・・と書いたところで見返してみたら、八嶋さんは2回目、初見じゃないと思っていたみのすけさん、犬山さんが初見でした(^^;;記憶って・・・ ネットで公演時間が2時間45分と聞いて「6人芝居で!?」と思わず叫んでしまいました。「SLAP STICKS」で真ん中だれたのでちょっぴり心配になってしまったのですが、今回は時間を気にする気にすることなく、あっという間に終わってしまいました。そのくらいこの話に引き寄せられました。
観終わったあと、なんと言ったらいいかわからない自分がいました。気持ちはそれほど沈んでいるわけでもなく、かといって何も感じなかったのかと言われれば、そういうわけでもなく。こんな不思議な感覚にとらわれたのは初めてです。言葉で言い表すのは難しいのですが、絶望的な話なのに、なんか心が暖かく感じたのですね。言い表せないもやもやが私の中で未だにくすぶっています。 冒頭から大倉・みのすけ(チャズ・スタン)兄弟にはなんかあるな、ということが話の端々から分かり、先の予測がある程度はできるので話の筋はつかみやすい。みのすけさんがかわいい!ハーフパンツ姿は39歳とは思えない。微妙な声の軽さ具合がちょっとした危うい感じを醸し出していていい。舞台上の設定の39,34歳兄弟には正直見えないのだけれども、それは観ているうちに気にならなくなりました。
この話はみんながみんな何かしら思っているのに、それがうまくいかなかったり過去のことで胸にくさびが入ったまんまだったり、とします。チャズは小さいときに自分が間違って落として殺してしまった弟に対する思いから、(いつ頃作ったのかはわからないけれど)ロボット(だと思う)の弟をもぐりの三宅さん扮するドーネンに頼んで作ってもらって2人で永遠にいたいと願っている。だから弟の幸せを願いながらも二度と失いたくないという気持ちが強くて、弟と両思いになった女性を次々と殺し、そして弟の記憶をいじって振られたと思われるようにする。弟も弟でいい年してブラコン一直線なもんだから「スワンレイクさんにプロポーズされたけど、お兄ちゃんが一番大事なんだ。」なんて言葉を兄に向かってやってしまう。ある種の共依存が成立しているわけで。その発言のためにスワンレイクさんについての記憶を消されてしまった弟はスワンレイクさんに冷たい態度をとってしまうんですよね。スタンによって過去の傷から癒されつつあったスワンレイクさんのショックはかなり大きかったけど、それでもやっぱりスタンが好きでだからこそ、スタンが国家警察(?)の情報員である八嶋さん扮するジャックに何かされると思って逃がそうとして殺されてしまう。
役一人一人について 大倉さん演じるチャズ。小さいときに誤って弟と落として殺してしまったことから、(おそらく両親離婚後?)三宅さん演じるドーネンに頼んで作ってもらったスタン。弟の幸せを望みつつも二度と失いたくないという気持ちが強くて、弟と両思いになった女性を次々と殺し、そして弟の記憶をいじって振られたように書き換えている。彼にとっての消失は「家族」これにつきるかなと。最後はほころびが出てきて、八嶋さん演じる情報員(ジャック)にばれてしまい、行き場を失った彼は自殺してしまうのですが、彼の深い深い絶望が見えてしまって圧倒されてしまいました。 三宅さん演じるドーネン。最初はもぐりの医者?と思わせておいて、実はもぐりのアンドロイド(?)作成者。おそらく彼の息子も本物は戦争中の爆撃かなにかで亡くなっていて、アンドロイドを育てています。たぶん。途中まではおばか全開、でも息子に対する愛情は並じゃないぜ!というキャラだったのが、後半、ホンのちょっとまで繋がっていた家への電話が爆撃によって全く繋がらなくなってから半狂乱になります。そこからの三宅さんの演技がすごくてすごくて。真っ先に殺されてしまうのですが、心に残ります。 犬山さん演じるスワンレイクさん(なぜだか「さん」までつけてしまう)。スワンレイクさんが貝アレルギーだということを知らずに、一生懸命貝入りのソースを作ってしまったスタンに対し、一時は嫌悪感まで抱きます。幼いころ男の子にやられた心の傷が原因で、なかなかスタンを許せなかったのですが、チャズのおかげでなんとか誤解もとけ、スタンと急速にラブラブに。途中のキスシーンは妙にリアルで観ているこっちが恥ずかしくなるくらい。でも結局チャズのせいでスタンに忘れ去られたスワンレイクさんはそれでもスタンのことを愛して逃がそうとしてジャックに撃たれてしまうんですよね。ある意味一番きつい役です。私は今回、人の死ぬシーンではなく、スタンに忘れ去られたとしった時のスワンレイクさんを観ていて涙があふれそうになりました。 松永さん演じるエミリア。この兄弟の家に間借りしようとやってきたため、事件に巻き込まれてしまう人です。エミリアの旦那は第二の月に行ってしまって戻ってこれなくなった人で、またスワンレイクさんの心の傷の原因にもなった人で。政府のせいで旦那を失い、そしてその政府の人とは知らずにジャックに協力してしまったが故に3人も殺されてしまう。知らなかったとはいえ、その絶望はあまりにも大きかっただろうと。彼女は生き残り組ですが、この先どうするんだろうと考えてしまいます。 八嶋さん演じるジャック。最初はガス屋だと偽って入り「実は探偵で、彼らの周りで行方不明になった女達について調べている」といってエミリアに協力を依頼してたら、実は探偵でもなく国の情報員だったという設定。任務遂行後事務所に連絡すると、「戦争が始まった(ドーネン家の爆撃が伏線)からこの件はどうでもいい」と言われたあげく首になってしまいます。任務遂行のために人を3人も殺したのに、どうでもいいだなんて・・・とやらなくてよかった殺人を犯してしまった彼の絶望は想像を絶します。あの絶望では一歩も動けなくなる感じがするのですが、どうしたのでしょう。 静かに壊れていっているスタンとエミリア、ジャック。この3人で幕が下ります。絶望からはい上がることはできるのだろうか?それともそのままで時が過ぎていってしまうのか。3人に残された道はけして明るいものではないだろうけど。などと考えてしまいます。とはいえ見終わったときはそんなことすら考えられず、ただぼーっとしてしまったのでした。 終演後、「男性の好きなスポーツ」と共にDVDを申し込んでしまいました。日がたつにつれてどんどん、もう一度観たい衝動に駆られています。私が大阪にSHIROHを観に行くときはもう終わっているので無理だよな〜と思っているんですけどね。どうなることやら。 |