桜飛沫

2006/02/18 世田谷パブリックシアター  1階C列12番 


 

 「休憩込み3時間強のお芝居で時代劇」ということしか知らずに行ったら、一部・二部とで基本は違う役柄のお芝居だったので、長丁場の芝居にもかかわらず楽しんで観ることができました。

 一部「蟒蛇如」は悪徳武家が支配する村の話。
 「一家に4人以上の子を持つと死罪」というおふれがあり、いかにもな悪徳ぶり。しかも兄二人は悪いことこの上ないけど、三男は比較的全うな意見を持つ人。童話や芝居でもそうですが、どうして弟の方が賢くて優しいことが多いんでしょ?
 そんな弟、「自分に子供ができれば兄たちは殺略をやめるかも」という安易な考えのもと、精のつく蛇を無理矢理食べ、前から密かに恋いこがれていた産婆(といっても20代設定だと思う)のタネを襲ってしまいます。もみ合った末に殺されてしまう弟。
 下手人はわからないものの村人の仕業だと、弟を殺されてしまった兄たちはいよいよと殺略を繰り返すように。
 以前から村に住み着き、村人に避妊を推奨していた医者の徳市。実は昔かなりの悪だったが、仲間に家族を殺されてしまってからはひっそりと暮らしていた。彼を訪ねてきた旅人によって彼の正体を知った村人たちは悪徳武家を退治して欲しいと頼む。最初は断っていた彼だが、殺略のひどさに絶えかねて手を貸してしまい、またそのことで封印していた家族の恨みもあふれ出し、昔の仲間の元へ去っていく。

 話そのものは分かりやすい話で(多少突っ込みどころはあるけど)、役も分かりやすい設定だな〜と思いました。さくさくと観ることができたし。
 ただ、避妊を題材にしているとどうしても「法王庁の避妊法」を思い出してしまう自分がいました。江戸と近代と時代は若干違うけれども、「子供ができすぎて悩む」という意味では同じだし、両方妊婦さん着物だったし。

徳市役のじゅんさん。最初の妙にとぼけた感じから昔の雰囲気に変わる瞬間がぞくっとするくらいよかったです。大分あご周りがたぷたぷになっていたのには驚きましたが、「医者徳市」としてはそういうものかもしれません。やっぱかっこいい。

 対照的だったのが水野美紀さん。せっかくの時代劇で彼女が出るんだから、殺陣もやってほしかった〜というのが本音です。あの役じゃ水野さんの意味がないしもったいない。あ、本人が悪かったわけじゃないですよ、もちろん。

 サカエ役の吉本さんは12月の「無理矢理」に続いて観たのですが、この人、こんなに若いのにお母さん役似合います。結構かわいいのに。特徴的な声で?

 二部「桜飛沫」は徳市の敵であり元仲間である佐久間中心の話。

 足を怪我した佐久間がたどりついた場所は盗賊が支配する宿場。町の人々は盗賊のおこぼれで生活しつつも、彼らの抑圧的な支配には嫌気がさしている。
 人々は佐久間を使って彼らを退治しようとし、そして次第に狂乱してくる。

 一部は分かりやすい勧善懲悪に近いものがありましたが、二部は人々が暴走していくさまを書いていて、鈍いいや〜な感じが漂います。スパイダース本公演は初見ですが、長塚さんの持ち味はそのいや〜なところだろうなと想像します。どちらもよかったんじゃないかと。二部は特に山本さんが一人でかっさらっていけるすごさを目の当たり。山本ファンはしびれたに違いない。

 二部はなんといってもラストにつきるでしょ。個人的にはじゅんさんと山本さんの殺陣勝負が観たい気もしましたが、山本さんの足が完治してないから仕方がありません。それにすぐ桜を吹雪かせて終わらしたことでかっこいいラストになったと思います。若干尻切れトンボっぽい感じもしたけど、あの二人の迫力が観られただけでも万々歳です。
 あと、徳市に向かう佐久間に「さくま〜、バイバイ」と言った、峯村さんのすごさ!このたった一言でハートはわしづかみ!峯村さん最高!

 個人的には二部の山内&前田カップルが。前田さん、お芝居そのものはそれほど上手いとは思えないけど、「オレは一途っす」という、なんか犬のようにまっすぐと主人を見ているさまが母性本能をくすぐるかわいさです。すぐに死んでしまうのがもったいないくらい。
 それに対し、山内さんは今回ちょっと難しかったのかな〜と感じました。遊びの部分でもちょっとすべっている感があったし、佐久間ラブ!という複雑な感情も見ててわかりにくい(というか表面で演じているように思えた)。特に山本さんと絡むから仕方なかったのかな。

 ちょっと、ん?と思うところはあるものの、じゅんさん&山本さんの「男の生き様」を見ることができただけでもよかったかなと思います。長塚さんもそれが最も書きたかったことのような気がします。

 それにしても長塚圭史、同い年には思えない〜。

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