広島に原爆を落とす日

05/01 近鉄劇場

 まずこの芝居のチケットを取ろうと思ったのはただ単に新感線のいのうえさんが演出で枯暮さん、河野さんが出ていて、気になっていた稲垣、緒川両氏が出ていたからです。それにいのうえ演出ならつか作品も見やすいかな(このときはつか作品が苦手でした)と考えたのも事実です。あと、この前の年の暮れに「めちゃイケ」で、この舞台で知り合った河野さんに光浦が告白するっていうのを見たせいもあります。

 入ってすぐにパンフを買おうとすると、そこの壁に「河野まさと、5/1、2出演」と手書きで書かれた貼り紙を発見。チケット買うとき「大阪公演には出演しないんだ・・・」と内心がっかりしていたので、それだけでものすごくうきうき気分になりました。パンフを買って、席に座っていると、会場の雰囲気がいつも私が観に行くような芝居のものとは違っていたので、ちょっとびびりモードに入ってしまうのと同時に、「吾郎ちゃんと緒川たまきさん出ているからなあ。芝居好きなものとしては公演中静かにしてキャーキャーしないで欲しいなあ」と思っていたのでした。芝居中多少浮ついた雰囲気のときもありましたが、ほとんどは杞憂ですみました。ファンの人ごめんなさい。
 芝居が実際に始まるといのうえさんらしい演出にびっくりしました。どうしてかって、実は観に行く前に小説の「ひろげん」を途中まで読んでいたからなんですね。小説ではかなり真面目で笑いなぞ一つもないので、いのうえさん独特の笑いやロックを含んだ舞台に驚いたわけです。小説を最後まで読んでから行ったら、もっとちゃんと舞台と小説を分け、なおかつ舞台の笑いに含まれた重々しさが理解できたはずなんですけど、中途半端に読んでいったせいで、その後の芝居もいまいち入り込めなくて、あやふやな気分になってしまいました。
 で、芝居に戻りますが、まず緒川さんの立ち姿の美しさ&声の大きさに目をみはりました。すごく聞き取りやすい声の質で、山崎さんや春田さんと一緒の場面でも全然声が負けてなくて、女ながら正直ほれちゃいました。舞台やっている上で立ち姿ってのは重要です、やっぱり。吾郎ちゃんはというと、いってしまっている少佐ぶりに驚きました。でも先述の通り、入り込めなかったせいもあり、少しさめた目で見てたんですよね。だから「アイドルでここまでやれるのはすごいなあ。まわりはプロの舞台役者さんばっかりなのに、よくやるよ、ほんと」ぐらいにしか思ってなかったです。なおかつ大阪公演終盤だったせいか、声が結構かすれてて、真ん中より前の席だったにも関わらず、声が聞き取りにくかったのもあって、その魅力が半減してしまったのも事実なんですよね。でも、近鉄劇場自体、音はあまりよくないという話なのでそのせいかもしれません。河野さんは新感線の本公演から移ってきたばっかりだったせいか、少しばかりちぐはぐな印象を受けてしまいました。まだ息が合ってなかったんだろうな。山崎さん、春田さんは生でみるのは初めてだったのですが、つか芝居で経験を積んでいるだけあって、落ち着いた演技をしていて、さすがの一言につきました。枯暮さんはなあ・・・いのうえさん演出でのつか作品だったから、いけたような気がします。演技が決してへたなわけじゃないのよ。むしろ上手かったですよ。ただ山崎さん、春田さんとのからみがなんかちぐはぐに見えたのは私だけだったのかなあ。

 それでよくわからないまま終わって、カーテンコールの時、スタンディング・オベイションする人がいてびっくりしました。だって小劇場系の芝居でそんなことやっている人はいませんから。たぶんその殆どが吾郎ちゃんファンの人だと思いますが・・・正直に言うと、あれはものすごくひきました。特に新感線経由で観に来た人はそう思ったのではないでしょうか。「素晴らしいと思うのだから、そうするのは当たり前」という気持ちもわかりますが、本当に小劇場系の観客にとってはこっぱずかしいことなんです。いいと思ったらアンケートに思いの丈をぶつけて書きつづりますね、だいたいは。吾郎ちゃんファンとなった今でも、それはこっぱずかしいことなので、来年が怖いです。

 観終わって何日かで小説版を読み終わって、やっと少佐のあの叫びがわかる気がしてきて、遅咲きながら徐々に舞台のあの感じがよみがえってきたんですよ。それで、「ああ、吾郎ちゃん、声はちょっとだったけど、すごくいい演技していたんだな。」とじわじわこみ上げてきまして・・・もう一度観たら印象が変わるだろうにと心底思いました。だから来年もやって欲しい芝居です。生チューも正直に言うと観たいし(そういうのって滅多にみないので)。小説を読んで、これはいのうえさんじゃなく、つかさんが演出して欲しいなと思いました。いのうえさんが悪いわけじゃないですよ。ただ、この芝居に関してはつかさんが演出することによって意味を成す作品なような気がするのです。そういうわけなので来年もぜひやって欲しいものです。

 

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