ものがたり降る夜

08/01 新神戸オリエンタル劇場

 開場が珍しく開演の1時間前だったので、「なにかあるのでは」と勘ぐって早めに劇場へ。ところが「開場準備がまだできておりませんので、ロビーにてお待ちいただくことになりますがよろしいですか?」とのこと。劇場外にいても特にやることがなかったので、さっさと入場。でその足でパンフレットと「スナフキンの手紙」のビデオを購入。パンフレットを売っていたのもワークショップに参加していた若手の人でした。パンフレットの拓自さんを見ながら先輩後輩に「この人が去年一緒に写真とってくれたんですよ〜。一緒にペア組んでやったときもめっちゃ優しかったし、すっごいいい人なんですよ〜(この辺のことは98年11月下旬の日記を見るべし)かっこいいでしょう?」と言ったら、みんな「え〜?」という反応が。「実物本当にかっこいいですから〜」と念押し。本当にかっこいいんだってば。
 結局開場したのは開演30分前。こんなことなら始めっからそうすればいいのに、サードステージにしてはちょっと手際が悪い。この劇場は客席一つ一つが広めに作られているので、ゆったりしていて後ろの席でも前の人の頭に邪魔されることもなく、非常に見やすい。いい劇場だ。鴻上さんの芝居にしては珍しく幕が下りている。舞台美術見せたくないのかな?「ごあいさつ」やらなにやら読んでいると「ファンクラブ(みたいなもの。鴻上さんはそう書いてなかったけど)のご案内」が。サードステージよっぽど借金背負っているのね。まあダイレクトメール出すだけでも大変なお金になるしな〜。手紙代&その他って感じか。まあはいろっかな?
 暗闇の中ライターがついたり消えたりして、なんかちょっと幻想的。その後、しょっぱなから二人の女性のホテルのシーン。一人は中年の女性(林田和桂)。もう一人は若い女性(水本なつみ)。林田さんは若い男を買っていて、水本さんは若い男に買われてて。その二組の会話が絡め合う感じで進んで行く。林田さんの方が大きな動きでおもしろかったのでついそっちに目がいっていると、いつの間にか水本さんの方はくっついてるし。最後の方林田さんは「ばばあ!!」の言葉で、水本さんは首を絞められて気絶。そのときに二人が見る幻覚(?)が男性陣8人の踊り。山下達郎の「アトムの子」にあわせてめちゃ細の褌(というかパンツ)をはいて踊っているうちに、全員後ろ向きになってそれを脱いだ!お尻の筋肉を使っての微妙な踊りはたま〜に前を隠して前に向いたりもして、きわどいきわどい。もちろん、鴻上さんも役者なので一緒(途中抜けしたけど)。引き締まった身体はかなり目の保養になりました。割れているお腹はいいね。会場はあっけに取られてた。私は笑いをこらえるのに大変だった。
 2人のカウンセリングのシーンになって、カウンセラーとして鴻上さん(恩田先生)登場。私には素の鴻上さんにしかみえず。でもこういう人いそうな感じ。カウンセラーの師匠である湯浅実さん演ずる花田先生に紹介する。
 花田先生の家のシーンから本格的に芝居は始まる。さっきの2人、恩田先生とその助手。花田先生に民話を聞きにきた民話サークルと称する5人組(本当は宗教団体のメンバー)、人間とサルの間にできた猿男3匹(人?)とメンバー勢揃い。2人に「ものがたり」が与えられて治療開始。水本さんは「赤ずきん」。「なぜ赤ずきんちゃんの母親は狼が住んでいる森の中へ危険とわかっていてお使いに出したのか。なぜ狼は最初に出会ったときにあかずきんちゃんをたべなかったのか。なぜ赤ずきんちゃんは寄り道をしてしまったのか。なぜ赤ずきんちゃんは普通なら人目みてわかる狼とおばあちゃんを区別できなかったのか。」などと細かくつっこんでいく。そのつっこみに私は理由がわからなくて、はっとさせられてしまいました。他の童話や民話でもそのまま受け入れていたので、驚きっす。まあ、答えも「こういう考え方があるのか〜」というやつだったんだけどね。
 途中テントを張っている5人の中の一人に猿男が「夜這い」をかけるシーンがあるんだけど、夜這いの定義を聞いてびっくりしてしまった。本来は「交渉」するものらしい。一方が潜り込んで「私としない?」と聞いて相手がOKしたら始めてことが成り立つものだったんだって。猿男は嘘をつかないって設定だから、鴻上さん、上手く考えたな〜と思ったよ。猿男のリーダー(拓自さん)が実は童貞で、ふでおろしということで林田さんと寝るんだけど、そこで「人間はセックスをするときにいろんなしがらみをくっつけた上でするから、純粋なセックスができていない。」というセリフや、いろいろとセックスにかんするセリフがあって、色々と考えさせられました。でも「全くしがらみを持たないセックスは可能なんだろうか?」とも思ったけど。
 中盤ではキスシーン、終盤では水本さん役の旗島さんが後ろ向き全裸になって、鴻上さんお芝居にはこれまでなかった演出があって驚いてしまったよ。それにしても旗島さんの身体のラインのきれいさにはびっくりするばかり。うらやましい。
 最後は一応ハッピーエンドぽく終わったので、私は「鴻上さんが初めて救いのある話を書いた!」と驚いてしまいました。セリフの所々「あ、このセリフの言い回し「デジャヴュ」であったのような、あ、ここは「ピルグリム」ぽい」などと似た言い回しや、鴻上さんの考えそのものは変わってないような気がしたんだけど、ハッピーエンドといい、キスシーンや全裸のシーンを入れることといい、冒険し出したなと思ったよ。
 最後のシーンはかなりきれいでした。二人一組になってろうそくを灯して「ものがたり」を語っていく。幻想的でこの「ものがたり」にはふさわしい終わりかたです。ただ・・・私は最初そこまで考えなかったけど、とある人より「このときはいいけど、「ものがたり」から目覚めた彼彼女らは今よりも深い絶望に追いやられないだろうか?水本さんは自分のトラウマが母親にあるとわかって、これから先母親ときちんと向かい合っていけるのだろうか?向かい合うことができずに精神崩壊に進んでいかないだろうか?宗教から拒否された女性も死ぬことをやめた男性もこれから先どうなるのか?本当に救いはあるのだろうか」と言われ、あまり深く考えなかった私は「そっか〜」とうなずいてしまいました。でもね、トラウマの原因がわからないよりはわかった方が、のちのちよくなるような気がするんですけどねえ。どうだろう。なんかこのシーン、あとで思い出すとなんだか涙が出そうになります。なんでだろう、わからないけど。
 それにしても鴻上さん・・・やっぱり自分が出たいから台本書いただろと思わずにはいられないくらい、出番が多いのなんのって。しかも笑いを取るようなおいしい役だし。まあ、下手な分、笑いでごまかそうとするのもわかるけど。しかも「第三舞台」として書いたらその確立された役者陣の中で自分が出たら浮きまくるけど、「鴻上ネットワーク」というプロデュース形式だったら、比較的まとまってないから自分がでてもそう目立たないだろうと考えたんだろうかと勘ぐらずにはおれません。でもまあ鴻上さんめちゃくちゃ楽しそうにやっていたからなあ。よっぽど出たかったんだろうな〜。でも第三舞台で出るのはやめてね。そのほかは許すけど。
 この芝居・・・もう一回観たい(あるいは台本を読みたい)気がするけど、放送禁止用語てんこもりだったから、テレビでは絶対しないよな〜。芝居が「性」を思いっきり取り入れたものだったからなあ。せめて台本を読みたい。
 拓自さんもおいしいキャラで芝居がちょっと筧さんを彷彿させるものがあったけど、若手の中ではかなりいい線いっていた気がします。見終わったあと、みんな「実物ずっとかっこええわ。あれはいいよ」と言ってくれたし。忘れてしまった写真は、サードステージにでも今回の感想をつけて送ろうっと。

 

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