2001年の秋、週末に
『城崎温泉街で温泉とビール』自分の場合、旅行経験は少ない方だと思う。見知らぬ土地で、パンツ一枚の自分が親に抱かれた写真をみせられて、「昔はここにも行っただろう」などと聴かされても、記憶にないんだからしょうがない。
もういい年だから、温泉地をめざして旅行してもイイじゃないか。
みんなの都合が合う日、10月6日に決定したが、場所はどこがいいだろう。
「温泉でゆっくりしたい」
おいしい料理と疲れをいやせる風呂、そして寝床も確保できる、旅人にとってこれ以上ありがたい場所はないと言い切れる。
バイクに乗りたいヤツが(ひとりだけ)いる。うまい飯を食いたいヤツもいれば、酒さえあればOKなヤツもいる。
どこに出かけてもアイスを食う野郎どもと、うまい極上のアイスクリームを求めて出発しようか。(笑)
土曜、日曜を利用して兵庫県城崎町にある温泉街を楽しむことにした。
城崎温泉については、ネットで調べてみて、検索すればなんか引っかかります。
歩いても、店に入っても他の温泉街とはひと味違う雰囲気を楽しめる、そんな場所かな、たぶん。
旅行参加者は、日頃からよく遊んでる仲間が5名、もちろん健康優良男児が5名だ。車で乗り合わせて3名、元気にバイクで2名という、ちょっと変わった組み合わせだ。
車とバイクの連絡手段はトランシーバーを使う予定だったけど、バイク2台分の機器しか用意できず、車とバイク間は通信手段を持たぬまま移動することになった。
どこか道のはずれにでも止めりゃ話は出来るし、バイクはペース上げて走るだろうから、これでいいのだ。
不幸というのは突然やってくる。出発日の二日前のこと、同じ町内会のひとが交通事故に遭い、他界した。まだ若く、消防ボランティア活動(消防団と呼ぶ)でもお世話になっていた人だ。
お別れはしっかりやっとかなければならない。旅行の日と葬式の日が重なって、僕にとってハードな日になったのだった。
僕を除いた4名は、車とバイクに分かれて朝から出発してもらい、僕は午後からはじまる葬式に出席した後、追いかけることにした。
葬儀に出席した後、心も重いまま午後3時にエンジンに火を入れ出発準備を始める。出発前に不安を打ち消すように、独り言を言った。
「今から出発するとなると、高速道路使って19:00時に間に合わないかもな。」
楽しみにしてた旅行だっし、宿を予約するのに口を挟んだ責任もあり、宿をキャンセルしなかった。
兵庫県の北、もちろん今まで一度も行ったことはない。バイクで移動するのにためらいは無かったが、どの位時間がかかるのか、それだけが不安だった。
旅行計画段階で高速道路だけの距離を調べておいた、(山陽道)福山市東〜和田山(播磨連絡道)間は約200qとなる。
普通に走っていれば2時間もかからない距離じゃないか、一般道路で2時間使っても間に合うと計算していた。・・・・・していた。
焦りと、心身の疲労があったのか。食事を手のひらサイズのゼリーで済ませたのがまずかったのか、ちょっとした失敗をしてしまった。
高速道路とリッターバイクの組み合わせは、なかなか快適なクルージングが出来る。軽い車体が一番影響してるんだろう、シフトチェンジする必要もなく、アクセルだけで意のままの鋭い加速が可能。よって、アクセル開けておけば、
「あらよっ」
っとずぼらに目的地に到着できる。なんだか文章に表現能力が足りないが、ツッコミは御遠慮下さい。
ちょうど高速に乗って一つ目のPAを過ぎたあたりで、ガソリン警告灯が点灯した、
『あぁー、そうなのかガスがねぇのか。ガソリン残量×15km/hで計算して、え〜45qか。』
と考えながら、高速を快調に飛ばしていく、ずぼらに。
焦るあまり思考が鈍っている、浮かぶことはとにかく距離を縮めること。そんなせいで、ガソリン残量警告灯に気づくのが遅かった、山陽道と瀬戸中央自動車道の分かれ目でバイクが停止、あの4車線くらいあるところで。
高速道路でガス欠するのは初めてだ、これって犯罪だったっけ、ヤバいな。
10分くらいどうするか考えて、高速には専用の緊急電話があることを思い出した。200s以上の重量物を押して歩く高速道路は怖い。
進路変更レーンを、猛スピードで走り去る車のとぎれた瞬間を狙って、バイクを押して横切るのも怖かった。
・・・なんかこう書いてると、オレってバカだなと改めて思うし、元気だなとも思う。みんな危険なことは真似しちゃダメだよ。
300b(meter)ほど移動したら電話があった、さらりとJAF呼んで、ガソリン10g(liter)に約1万円を払って解決、この間1時間くらい時間をロスしたが、焦りは禁物と自分に言い聞かせる事が出来た、高い授業料を払って午後5時目的地に向かって再出発した。
その後、順調に播磨道へ入る、よく整備された山陽道とくらべると規模は小さい。この道ってほぼ片側一車線で追い抜きポイントが少ない、適度に曲がりくねっていて4輪のペースも落ち着いていた。この辺もまた計算違いで、思ったように距離が稼げずに時間が過ぎてゆくばかり、早くバイクのペースを上げたいんだが、こころの焦りだけが増していった。
和田山町に付く頃には日も落ち始め、時間どおりに到着するのは無理と判断した。ドライブインで仲間に遅れる旨を連絡し、河沿いの道を北に進んだ。高速道路の通る街をはずれると、外灯などの明かりが全くない道もあり、おまけに交通量もまばらだったりして、これまた怖さを助長する要因だった、それでも走る。
そして、19:30時に賑やかな街灯と川を挟み立ち並ぶ旅館の景色が暖かい、城崎温泉に到着した。
またせている友人達には、すでに宴会を始めてもらっていた。晩飯マニアに悪いし、旅館にも片付けの都合もあるし。とりあえずバイクを旅館の前に止めさせてもらい、さっそくビールを頂いた。みんな、すでに食事が終わりかけていた、すまんね待っててくれて。
旅館で一番嬉しいのは、食事でも布団でもないのかも、
「無事到着できて良かったね」
と言われるのが嬉しかった。そうか、こんな一言でも嬉しいんだな。
お酒を飲みながら、朝から出発してた仲間達に道中の話を聞かせてもらい、オレは今日の出来事を話したが、話は尽きそうもないので、温泉街を満喫するために外に出ることにした。
玄関を出ると下駄の音が響いている、非日常ムード満点です。並んでいる店で興味深かったのが射的屋だった、たぶん温泉街にしか似合わない貴重な存在だ。
そんな街並みを楽しみながら、それぞれ思いの外湯に入り疲れを癒した、全ての湯を制覇したいヤツとか、名前や外観で気に入った風呂を選んで楽しんだりする、たった一泊で『温泉街』を楽しむにはどうするのか、ここらにへんに個性ってのが滲み出てきて楽しいところです。そんななかオレは、風呂上がりにピッタリの店をみつけた。
一杯500円の生ビールを一口飲む、夕食では濃厚な味のビールを飲んでいたので、このすっきりキレるにがみが一発で今日の旅行を満足させてくれた。
夜も深くなり旅館に戻りと、みんなで机を囲んで談笑の続きだ。こういう時間は気持ちを整理できる重要な時間だと思った、旅行は面白い。
ほどよく酒の入った身体を目覚めさせるのは、まずは朝日の仕事。布団からでて一番に思うのは「あぁ、はらへった」である、ライディングは想像以上に体力が要ります、ご飯を何杯もおかわりをしてビックリされつつ、美味しい朝食を食べ終えたあと、帰り支度をするため、駐車場に行ってみてビックリ。バイクのタイヤがパンクしていた。
昨夜、旅館から駐車場までバイクを押して歩いてるとき、やたらとバイクが重かったのはこのせいか。てっきり、オレが疲れてるからだと思ったんだけど、違った。
後輪タイヤがもうすり減ってたのを忘れていた、ギリギリまで使ってたからちょっとした金属片を踏んだんだろう、空気が抜けていた。路面との唯一の接点であるタイヤの管理はマメにしないとね。
城崎温泉で待っていたのは、気持ちいい温泉とうまいビール。
そして、ツーリングの愉しさを教えてくれる、いい時間だった。