| |
 |
 |
|
発行所 有限会社 宙 |
<編集長プロフィール>
総合雑誌月刊「流動」編集長、長野大学理事、(社)生活文化総合研究所副理事長、季刊「雲霓(うんげい)」(加藤紘一代議士の政策雑誌)編集委員等を経て、現在、「政策動向研究会」代表。 |
 |
|
編集責任者 佐 藤 修 |
|
|
|
|
| 政策ダイジェスト第45号 (2011年9月5日) |
|
| |
|
|
|
|
|
民主制において、国民は自らのレベル以上の政治家を持つことはできない。
政治家の大きさは政治課題の大きさに比例する |
新政権が誕生した。民主党政権3人目の首相である。国民に嫌われ、野党にも官僚からもそっぽを向かれ、与党の協力も得られず、泣く泣く退陣した菅前首相。財務大臣という重要閣僚にありながら、その様子を助けるでもなく、じっと見つめ、後を襲った形の野田新首相。なぜか、鳩山元首相の退陣を待ち兼ねていたように手を上げた菅前首相にダブって見える。
さて、新首相の目下の「売り」は「どじょう好き」だそうである。泥に棲むところから「庶民性」「控えめ」「実直」等々のイメージをアピールしたいのだろうが、それは一国の指導者の属性としては、いささか見当違いというものだ。どじょう君には申し訳ないが、古すぎる、暗すぎる、躍動感に欠ける。古色蒼然、ミスマッチだ。
今の置かれている日本の状況からすれば、落ち着いた、安定した政治は望むべきところだが、それと同時に、外に向かっては外交、防衛、産業、貿易、金融等で、果敢に勇敢に、躍動的にあるいは華麗に、一国のトップとして動かなければならない。国内においても、大震災からの復旧、復興そして原発事故の収束に当たっては、強力なリーダーシップが要求されている。経済成長、景気回復、財政再建、デフレ脱却、円高対策等、政治が本来果たすべき役割、つまり法律をつくり、それを行政組織を通じて執行する、この政治・行政の基本を早急に為さなければならない。如何せん「どじょう」では、スピードが遅く、行動範囲が狭すぎる。
野田首相と新政権にその実行が果たして可能か。まだ判断材料に乏しいから、お手並み拝見というところだが、就任早々の発言では、「党内融和、挙党体制の確立が最大の課題」などと、内向き、後ろ向きの発言を繰り返えしていたところを見ると、何の新味もないし、期待するところもない。与党・民主党の挙党体制など、国民にはまったく関心もないし、興味もない。経済にも景気回復にも無関係である。どうせ、次の選挙で半減あるいは3分の1になることは目に見えているから、現有議席維持のために腐心しているとしか映らない。
田中角栄は首相になれない3つの条件を挙げた。「1.落選経験議員 2.参議院議員 3.県会議員出身」。野田新首相はこの内の2つを満たしている。だが、首相になれた。これが現実である。よく巷間、「最近は政治家の質が落ちた。大物政治家が出ない」などといわれるが、そんなことはない。といって、いまの政治家の質が高く、大物もいる、という意味ではない。昔もそんな質が高かったわけではなく、大物がごろごろいたわけではない。田中角栄、大平正芳という大物宰相が、昭和30年代に入閣した時の新聞はこう報じていた。「小型実務家内閣誕生」と。
民主制政治にあって、政治家は国民の民度・レベルを超えるものではない。才人は常に野にいるとも言う。「おちょこちょい」や「出しゃばり屋」が政治家になるものだとの揶揄は当たっていないでもない。だが、政治や政治家を軽蔑するものは、その「お調子者」以下である。それは、社会に生きるもの、暮らすものとして無責任であり、失格者だからである。
政治家の大きさというものは、所詮、時代と国民が作り上げるものだろう。その国の政治課題に比例して政治家は出現する。それは明治維新、戦後のそれを見ても明らかである。だが、政治課題が山積しているのに、それに立ち向かう政治家が不在、不足という状況も発生する。今がその時でもある。その状況をどう打開するのか。残念ながらまだ妙案は出ていない。松下政経塾などはその魁だが、編集子はそのような「プロ仕様」ではなく、ボランティアやNPO活動あるいは国際機関での活動家などから、自然発生的に浮上してくるような予感がする。
わが国は、戦後の一時期から、長い間「傑出した指導者」がなくても、何とか大過なく過ごせて来た。これからもその状態が続くことが、本当はいいことかもしれない。だがそれは国民の層が厚く、深かったことに拠る。現在、国民の層が弱くなり、政治家を輩出する基盤が弱くなっているとも思われるので、逆に、政治家の指導力により、国民の層(土壌・どじょう)を豊富にしなければならない時が来ている。その役割を民主党政権、野田政権だけで担うことは無理だろうが、そのような課題を背負った過渡期政権としての役割は、しっかり果たして欲しいものである。
|
|
|
|
|
|
|
|
|