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カラスの脳は大きい

カラスは頭が良いと人はいいます。
しかし、ここで一歩立ち止まってみると、いったいどういう能力を頭が良いというのでしょうか。
記憶力がよい人
状況判断ができる人
テストができる人

こんな人を、頭が良いと普通いいます。

ではカラスではどうでしょう。

記憶力は抜群です。
カラスの仲間は、たくさんある食べ物を一度に食べてしまわないで貯えておく、
貯食という習性を持っています。
それこそ何十箇所も隠していて、それを忘れることなく覚えています。
カラス科のマツカケスは、1万カ所も隠していて覚えています。

状況判断はどうでしょうか。
ある研究では、ワタリガラスやカケスの仲間は、
貯食を誰かに見られているかどうか知っていて、
それによって隠す場所を変えたり、そのままにしたりするそうです。
つまり状況判断ができるわけです。

また、カラスを研究のために罠を仕掛けて捕らえようとします。
しかし、捕まるのは若鳥ばかりで、成鳥は捕まりません。
鳥の捕獲名人と賞される人でも、カラスの捕獲は諦めたというエピソードがあるくらいです。
危険を判断する状況判断能力があるのです。

テストはどうでしょう
宇都宮大学では、
15人の顔写真で紙のふたをしたタッパーの一つだけに好物のドックフードを入れて覚えさせ、
どのくらいの期間覚えているかのテストをしました。
なんと3週間もブランクをおいても覚えていたといいます。
これは人間でも忘れてしまう人もたくさんいるはずです。
私には自信がありません。
テストを見たい人はこちら
臭いで分かるんじゃないのという人もいるかもしれませんが、
カラスは臭いにはあまり敏感ではありません。

ということでカラスはやはり頭がよいのです。
では、なんでカラスはこれほど頭が良いのでしょう。
まず、形態から考えてみましょう。
頭が良いとなると脳です。
アインシュタインの脳は大きかったと聞きます。
カラスの脳みそはどうでしょうか。


これはハシブトガラスの脳をハ虫類と比べた図です。
一目見て、大脳が発達しているのがわかると思います。
ハ虫類とは比較にならないほど大きい。
カラス以外の鳥類と比較してみても、
カラス類は有意に大脳(終脳)が発達していることが研究で分かっています。
宇都宮大学の論文

しかしながら、大脳が大きいからといって知能が発達していると単純には言えません。
そこで内部の検討が必要になります。
宇都宮大学の研究によると、大脳の細胞がニワトリなどに比べて数が多く、
層状に分布していることがわかっています。
これは高度な処理能力を有していることを示唆すると言います。
また、慶應大学ではハシブトガラスの脳地図を作ることに成功。
大脳の中でも「巣外套」「高外套」といわれる知的活動に関係する部分が大きく、
よく発達しているとそうです。
巣外套や高外套は、
人間を含むほ乳類の大脳皮質で視覚や聴覚などの
複数の情報が交わる「連合野」と呼ばれる部分に相当すると考えられており、
複雑な情報処理を可能にしているようだということです。

このようにカラスは、脳を解剖学的に見ても知能が発達しているといえるのです。




カラスの習性が知能を発達させた?!


では、なぜカラスは大脳を発達させる進化をとげたのでしょうか。
実は、この答えはまだ明らかになっていませんが、
カラスの習性から想像できることがあります。

カラス類の多くはスカベンジャーというカテゴリーに入る生態学的な地位にいます。
スカベンジャーとは、死んだ動物の肉を食べたりするいわゆる掃除屋のことです。
たとえばハシブトガラスは、森の中を移動しながら食べられそうなものを見つけ出して生きています。
そういった資源、たとえば動物の死体などは、いつも安定してあるわけではありません。
また、あった場合は食べきれないくらいに大量にあります。
そこで貯食という行動が発生します。

しかし、貯食したからには、その場所を覚えていなければなりません。
これが記憶力を発達させた要因の一つである可能性が考えられます。
記憶力の能力が高い個体が生き残り、そうでない個体が淘汰されていったのでしょう。

また、カラスは森のどこにいつ頃美味しい木の実が実るということを知っています。
これも経験から学習したことを記憶する能力が高いからできる術です。
記憶力がなければ生き抜いていけないのでしょう。
同じような話をオランウータンの研究者からも聞いたことがあります。

次に状況判断の根拠となる観察力や洞察力はどうなのでしょうか。

ハシブトガラスを観察していると、つねに他の烏の動きをよく見ていることに気がつきます。
1羽のカラスが何かを見つけて舞い降りると、わっと別のカラスが集まってきます。
これはカラスが舞い降りる姿を他のカラスが見ていて、
「きっと何かを見つけたに違いない」と判断して行動した結果だと考えられます。

また、北極では移動するオオカミにずっとついていって、獲物を横取りするという行動もします。
似たような行動は人間相手でも見られます。
人間がいると弁当などの食い残しが出る可能性を知っていて、
それを見越してカラスが寄ってくるのも同じことです。
カラスは、行動を読むことで食べ物を得る暮らしをしているのです。

おそらくこういったカラス独特の暮らし方が、
他の鳥類よりも大脳を発達させたのではないかと想像できます。
しかし、これはあくまで仮説であり、証明されているわけではないのでご注意下さい。




カラスの知的行動例

カラス類では、知的行動と呼ばれる興味深い行動が見られます。

ハシボソガラスの貝落とし
北海道などの海岸部に棲むハシボソガラスは、巻き貝を舗装道路に落として割り食べます。
落とす高さは、貝殻の割れやすさを考慮して変えているという研究もあります。
同様の行動は、クルミでも見られ、
アメリカのヒメコバシガラスでも同じ行動が見られるそうです。


1.貝をくわえて電線に止まる。2.舞い上がる。3.空中から放り落とす。4.割れたところを食べる。


ハシボソガラスの自動車利用のくるみ割り
仙台などに棲むハシボソガラスは、
走行している自動車のタイヤにクルミをひかせ割って食べるという行動を見せます。


道路にクルミを置く

自動車が接近

割れたら急いで食べる

この行動は、1975年に仙台市内の広瀬川河川敷にある花壇自動車学校から
始まったことがわかっています。
そして、同じ行動を見せる個体が同心円状に広がりはじめ、
くるみ割りの文化が伝播していったことがわかっています。
しかし、2007年現在、この行動はあまりみられなくなってしまったといいます。
文化を引き継ぐ個体がいなくなってしまったためでしょうか。
同様の行動は、秋田、青森、新潟、北海道、富山、宮城でも観察されています。
アメリカ合衆国でもそれらしい報告がありますが、確かなことは不明です。





水道の蛇口をあけて水を飲む


北海道札幌の公園に棲むハシブトガラスとハシボソガラスは、
レバー状の蛇口をあけて水を飲む行動を見せます。
しかしながら、現在蛇口の形状が変更されてしまったため、
この行動は見られなくなってしまいました。


動画を見たい方はクリック





道具を作るカレドニアガラス

南太平洋にうかぶニューカレドニアに棲むカレドニアガラスは、
枝や葉を利用して道具を製作し使用する。

詳しくはこちらのページをご覧下さい。



2007.11.26制作

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