銀座の朝といえば「カラス」。
すっかりマスコミで有名になった常套句です。
日本一の繁華街の早朝は、カラスの声で始まります。
2000年3月末に撮影した写真で構成をしてみました。


午前3時半の銀座4丁目の和光の時計。
喧噪の夜が終わり、日本一の繁華街が眠る。
大人の街「銀座」は、早朝のほんのひととき、
眠りにつく。昼間の銀座の賑わいからは
全く想像できない一瞬だ。
現在、銀座ではカラス対策の一つとして、
カラスが来る前の夜間にゴミを収集するところもある。
この袋がそれに参加しているものだ。
夜間収集の業者の車が疾走する。
業者は契約ししたゴミだけを収集して回る。
しかし、夜間収集に参加している店舗は、それほど多くない。
多くがこのように依然と同じように置かれている。
とくにカラス問題やゴミ問題に関心がない店は参加して
いない。しかしながら、カラスに一番ねらわれるのは、
このようなゴミなので、悪循環だ。
銀座の空が白み始めた。
このときは3月末だったので、6時少し前に明るくなり始めた。
白みはじめると、どこからともなくカラスの声が聞こえ出す。
次第にそのボリュームが大きくなり、
やがてビルの屋上に姿を現す。
早朝の銀座は、ほとんど人通りがない。
この静けさがカラスには好都合なのだろう。
警戒心の強いカラスは、すぐに地上に降りることはない。
はじめはビルの上から、次に看板の上、そして街路樹の上と
次第に高さを低くしつつ、安全を確かめながら、
確実にゴミへ向かって下りてくる。
ではどうやって安全を確かめているのだろうか?
それは生け贄を使う戦術である。
我慢できなくなった個体が、地上に降りるのを待つのである。
そして、一羽が地上に降りて何もなければ、安全であるという
ことになり、一斉にたくさんのカラスが舞い降りる。
しかし、油断は出来ない。銀座にはたくさんのネコが住んでいる。
ここではネコは野良であるが、人によって餌を与えられたりしている
ので、個体数が多い。よくカラスがネコを攻撃すると言われるが、
それは子猫までで、さすがに大人のネコにはやられてしまう。
カラスが一番頻繁に訪れる日の出頃のときにも、
相変わらず業者によるゴミ収集が続いている。
ゴミは一軒一軒が個別に契約するので、一つのゴミ置き場には
普通複数の業者のゴミが出されている。そのため、数個ずつしか
ゴミは収集されていかない。そのため、かなりの長い時間、
その場所にゴミが滞留するのである。何という非効率なのだろう。
ちなみに取材時の段階では、この地区に来る業者は10社だそうだ。
人間の様々な事情をうまく利用するようにカラスは生きている。
高カロリー食物が多い生ゴミは、一日に必要量をこの朝だけで
まかなうことができるといわれている。
カラスはこの一瞬にかけているのである。
ゴミに集まったカラスは、何の関係もない集団だ。
まさに「烏合の衆」。よくリーダーがいるなんて言われるが、
そんなものはない。
強いものの順で食べられるだけ喉の袋に詰め込んでいく。
力の弱い個体は遠巻きにしてスキを待っているので、
これが見張り役と解釈されることがある。
銀座の魅力的なゴミには、人間も引きつける。
ホームレスの人たちは、カラスと同じように視覚で食べ物を探す。
そしてこのあと、袋の口や閉めないので、カラスにとってはより食べ物が
取りやすくなるというメリットもある。
6時過ぎ、ビルの管理をしている人がやってきて、
ゴミにネットをかける。ゴミネットはカラスを食べ物から遮断する
のに手軽で最も有効な方法だ。
しかし、少しでも使い方がまちがっていると効果なし。
ここでもネットから袋がはみ出している。
ルーズな人間をカラスはねらう。
東京都では本来は、飲食店のゴミはこのようにポリバケツで
出すのが正式らしい。半透明のゴミ袋でも出していいということ
なのだが、実際に世の中には正しく伝わっていなく、多くの人は
袋で出さなければいけないと思っている。
ポリバケツならば、カラスもお手上げである。
でもホームレスが来て開けっ放しにしておくと効果はない。
カラスが食べた後はドバトもやってくる。
ドバトは面白いことに、人が撮影している足下で
食べる。
やはりカラスに対してかなり警戒しているのである。
7時から8時頃、ようやく区の収集が来る。
ゴミ置き場には、3月末の頃だと2時間はゴミが滞留している
ことになる。さっと4時頃にすべてなくなればいいのだが、
ここにも人間の都合によって、なかなかカラス対策の効果が
あがらないことがわかる。


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