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南太平洋に浮かぶ島、ニューカレドニア(フランス領)は、
天国に一番近い島と呼ばれ、美しい海のあるところとして知られます。
ここに棲むカレドニアガラスは、道具を作って食べ物をとる天才ガラスです。
その天才ぶりをご紹介しましょう。





ニューカレドニアの位置

ニューカレドニアは、オーストラリアの東、3000キロに浮かぶ亜熱帯の島です。
日本からは直行便で8時間の距離にあります。


一番の大きな島のグランドテールは、長さが400キロほどの面積は四国と同じくらいの大きさ。ヌメアがいちばん大きな都市です。人口は全島で20万人。
カレドニアガラスは、グランテール島に棲んでいます。一部はマレ島にもいますが、これは人が放したものだそうです。
ちなみに、映画天国に一番近い島の舞台となったのは、ウベア島です

そして、サラメア、ピックニングアがカレドニアガラスの観察地です。





カレドニアガラスの道具使用の発見

カレドニアガラスが道具を使用するのを発見し、世界に発表したのは、
ニュージーランドのGavin.Hunt博士(オークランド大学)です。

NATURE VOL 379 18. JAN. 1996
「Manufacture and use of hook-tools by New Caledonian crows」
と題して発表された論文は、世界中の度肝を抜きました。
現地の人はどうやら以前からカラスが道具を使うことを知っていたようですが、科学的な発表はこの論文が初めてでした。


ハント博士(左端)と筆者(右端)ウベア島にて





カレドニアガラスの生息地

カレドニアガラスを一番容易に見られる場所のサラメア。
ヌメアから車で4時間。島のほぼ中央部の山里です。
海のイメージがあるニューカレドニアだが、山深い島でもあります。

これがカレドニアガラス。
大きさは、ハトより2まわり大きいくらい。
嘴が少しうけ口なのが特徴。
声は「クワックワッ」と鳴く。
カレドニアガラスがよく見られるククイノキの森。
英名でキャンドルナッツといい、東南アジアが原産という。
メラネシア人とともにやって来たとされる。ハワイ州の木でもあります。
ククイノキの実。
実から油が取れ、キャンドルを作る材料にします。
食用にもなり、けっこう美味しい。食べ過ぎると毒でもあります。
カレドニアガラスやハト類が大好物。
しかし、かたい殻に包まれているため、容易には食べることができません。





必殺!
これがカレドニアガラスの幼虫釣りだ

カミキリの幼虫が潜む倒木の上を歩いて、いそうな場所を探します。
どうやら幼虫のたてる音を聞いているらしい。
居場所がわかると、クチバシで穴を開け始めます。
倒木は朽ちているのでグズグズです。
道具は、ククイノキの葉の葉柄がいちばん良いらしい。
これをクチバシに沿ってまっすぐにくわえて穴に差し込み、
幼虫の大アゴに噛みつかせて釣り上げてしまいます。
カレドニアガラスが食べるカミキリの幼虫の成虫。
ニューカレドニアの固有種で、原始的なカミキリ。
かなり大きく10p近い。
道具をの棒を穴に差し込み、先で幼虫の大アゴの周りを刺激します。
すると幼虫は棒の先に噛みつきます。
カラスは微妙な力加減で幼虫が放さないように注意しながら
引き抜きます。
みごと巨大なカミキリムシの幼虫を釣り上げることができました。





なんと、棲む場所によって使う道具が違っている

カレドニアガラスは、島の山間部にパッチ状に個体群が離れて分布しています。
そして、棲んでいる場所によって使っている道具が違っているのです!
例えば、幼虫釣りをするサラメアのカラスは、ククイノキの葉柄を使った道具を使うが、その他の道具は知られていません。
ピックニングアという山の山頂付近に棲むカラスは、
フックツールというカギ型の枝やパンタナスツールというトゲトゲの葉っぱを加工した道具を使っています。

ピックニングアで撮影された
世界初のフックツールをくわえるカラス。
木枯らし紋次郎よろしく、
どこへ行くにも道具をくわえて移動すると言われています。
左の写真の拡大図。
枝先がカギ状になっています。
これはカラスが枝を加工して作ります。
このフックで昆虫などを引っかけて捕らえます。
これがカラスが作ったパンダヌス「トゲトゲツール」。
パンダヌスという植物の葉の縁を切り取って作ります。
必ず三段くびれになっています。
太い方をくわえ細い方を穴に差し込んで使用します。
トゲの向きも必ず一定で、高度な技です。
また、地域によって作られる道具の長さがほぼ同じで、まるで型があるように同じ規格で作られるといいます。
研究者は、この知能は旧石器人類と同じであると言うほど高度なものだそうでう。

パンダヌス。
和名はタコノキ。
高さ3mほどになる樹木で、
ニューカレドニアの至る所にはえています。
太い方をくわえて細い方を穴に差し込み、
トゲを虫に引っかけて捕るらしい。
自分でもやってみたが、トゲで虫なら簡単に捕れます。


カレドニアガラスによるパンダヌスツール作成の動画





まだまだあった、カレドニアガラスの知恵

新発見!照準機を使った木の実割り

ククイノキの実は、脂肪分に富んでいるの良い食べ物だが、
殻が固くて普通では食べられません。
そこでカレドニアガラスは、岩に落として割る知恵を持っています。
このくらいなら日本のハシボソもやるのでたいしたことはないと思っていたが、
調べてみると驚くべき方法で実を割っていることがわかりました。
この岩に実を落として割る。
森の中には良い岩が少なく、また森の中で飛びながら落とすことは不可能。
そこで岩の上にあるこの枝の又に実を置いて落とすのです。
枝はまさに爆弾投下の照準機です。

この行動が今回の取材(2000年)で初めて明らかになりました。
散乱する割れた殻。
いかにこの場所で頻繁に木の実割りが行われているかわかります。
カラスが実を割り出すと、
音を聞きつけてキンバトなどのハトがおこぼれをもらいにあらわれます。
カラスの知恵は、森の住人たちにも恩恵をあたえているのです。

木の実割りのスライドショー












もっとニューカレドニアのカラスのことを知りたければ
ハント博士のサイトをご覧下さい。

ハント博士のサイト


おまけ
ニューカレドニアの珍鳥

2007.11.29改訂
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