第72話
カイツブリ

みくにだより2011年10月号より転載

先月、日本鳥学会の研究発表を聞くために、大阪に行ってきました。
そのついでに、一度は行って見たいと思っていた琵琶湖博物館に立ち寄りました。
日本最大の湖である琵琶湖は、淡水魚の宝庫。
そのほとりにある博物館は淡水魚ファンにはたまらない場所なのです。
期待通り淡水魚はすばらしく、なんと4時間半も滞在してしまいました。
また、予想外に面白かったのは、カイツブリを飼育展示してある水槽でした。

 カイツブリと聞いて、ああ、あの生き物かと思った方は、かなり動物に詳しい方。
一般にはあまり知られていないと思いますが、ちょうど手のひらに乗るほどの小さな水鳥です。
カモといっしょに泳いでいると、あんまり小さいので「カモの子供よ」― なんて間違えられたりします。
潜水が得意で、頻繁に水にもぐり小魚やエビをとらえます。
琵琶湖博物館の水槽では、
一日に数回、小魚を与えてカイツブリの魚捕りのようすを見ることができるのですが、
これが面白くて2回も見てしまいました。



 博物館がある琵琶湖は、むかしは「におのうみ」と呼ばれていました。
「にお」とはカイツブリの古名で、おそらく湖にたくさんいたのでそう呼ばれたのでしょう。
琵琶湖となったのは、江戸時代からだそうで、測量の技術が発達して湖の形がわかり、
楽器の琵琶に似ていることから、「におのうみ」から「琵琶湖」に呼び方が変わったのだと言われています。

 さて、このカイツブリは琵琶湖だけにすんでいる鳥ではありません。
日本全国の湖沼に生息していて、手賀沼でもけっこうたくさん見られます。
湖岸の自転車道路を進んでいると、
沼のほうから「キリキリキリキリ」とするどく鳴くカイツブリの声が聞こえてきますが、
まあ、ほとんどの人は気がついていない様子です。
手賀沼には一年中いますが、夏と冬では色が違います。
図は夏の姿で、くちばしのつけ根の黄色が目立ち、
遠くから見るとなんだか口角に歯磨き粉の泡がついている顔を思い浮かべてしまうのは、私だけでしょうか。

 ところで、カイツブリは鳥ですからもちろん飛ぶことができます。
なのに私は大空を飛んでいるカイツブリを一度も見たことがありません。
大空を見上げて「ごらんあれがカイツブリだよ」なんていうのはないのです。
いや、まったく飛んだところを見たことがないわけではないです。
水面すれすれをビビビビと移動するように飛ぶのはなんども見たことがあります。
でも、街中の池にとつぜん姿をあらわすこともあるので、
どう考えても大空を飛んでくるのは間違いありません。
恐らく夜間に飛行するのだろうと思いますが、一度は大空を飛ぶカイツブリを見てみたいと思っています。


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2011.10.1

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