第73話
ドジョウ

みくにだより2011年11月号より転載

現在の総理大臣の野田さんは千葉県初の首相なんだそうですね。
てっきり関宿に記念館がある鈴木貫太郎さんが初の千葉県出身の首相だと思っていましたが、
生まれが大阪なんで違うんだそうです。
そんなことはどうでもいいですが、
野田さんが就任演説で「どじょうが金魚のまねをしてもしようがねえじゃん」と言ったことから、
連日のニュースは「ドジョウ、ドジョウ」の連呼でしたね。
なんでも泥臭い政治をめざすということでなぞられたようですが、
じっさいのドジョウも見るのは確かに泥の中です。

細長い円筒形の体の形は、泥にもぐりやすいようにできているためで、
ひっかかりがないように背びれや腹びれなどは小さくなっています。
口には10本のヒゲがはえいており、
ヒゲの感覚で泥の中にいるユスリカの幼虫(赤虫)やイトミミズなどを探しだして食べているのです。



 柏にもドジョウはもちろん棲んでいます。
いるのは決まって田んぼとその用水路です。
考えてみたら、ドジョウっておそらく田んぼに関連するところにしかいないのではないでしょうか。
よくメダカが田んぼの魚の代表とされますが、
私はどちらがふさわしいかといえば、ドジョウの方がより田んぼにぴったりな暮らしをしていると思えるのです。

 最近、田んぼは豊かな自然の象徴のように取り上げられ、
生きものの楽園のように思われがちですが、実際は大間違いです。
水田は魚が棲むには水温が高すぎますし、酸素も極端に少ないので過酷な環境なのです。
さらに水位変動がものすごく激しくて、最悪の場合は水がなくなってしまいます。
メダカは、この受難を用水路に逃げることで解決していましたが、
現在は用水路と田んぼがつながっていない事が多く、
そのため絶滅危惧種になってしまったのです。

 しかし、ドジョウはこの受難をメダカよりも面白い方法で切り抜けています。
まず、水があっても酸素が少ない場合は、
腸呼吸といって、口から空気を吸って腸から酸素を吸収する離れ技をもって対応します。
魚屋のバケツに入れられているドジョウが、
水面にむかって泳いでいき、空気を吸って沈んでいく姿をみたことがありませんか? 
あれが腸呼吸しているところです。
さらにすごいのは、まったく水がなくなった場合でもドジョウは泥の中にもぐって生きていくことができます。
もちろんカラカラに乾いてはダメですが、
少しでも湿っていれば皮膚で呼吸をすることでき大丈夫なのです。
体がヌメヌメしているのはそのためです。
また。ヌメヌメは体を細菌類から守る働きもあるそうです。

昔の人は、冬の田んぼにドジョウを捕りに行くときには網ではなく、
スコップを持っていくと聞いたことがあります。
泥の中で越冬しているドジョウを捕るにはそのほうがいいんでしょうねえ。
私も一回スコップでドジョウ捕りに挑戦してみたいと思っています。


おもしろエッセー目次へ

シバラボトップへ


2011.11.1

Copyright 2011 (C) Shibalabo (Y.Shibata) All light reserved.
文章及び画像の著作権は作者にあります。
無断転載などを禁止します。